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電子書籍
もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年
著者 小山聡子 著
モノノケは、古代・中世では、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族らは退治や供養に苦心した。近世になると幽霊や妖怪と同一視され、怪談や図案入りの玩...
もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年
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もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年 (中公新書)
商品説明
モノノケは、古代・中世では、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族らは退治や供養に苦心した。近世になると幽霊や妖怪と同一視され、怪談や図案入りの玩具を通して庶民に親しまれる。明治以降、知識人のみならず政府もその存在を否定するが、新聞に掲載される怪異や文芸作品で語られる化物たちの人気は根強かった。本書は、豊富な史料からモノノケの系譜を辿り、日本人の死生観、霊魂観に迫る。
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紙の本
古代からの通史 納涼にオススメの一冊
2021/12/09 10:29
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
モノノケは、古代・中世には「正体不明の死霊」でしたが、近世には幽霊や妖怪と同一視され庶民に親しまれます。明治以降も根強い人気は続きました。本書では、豊富な史料からモノノケの系譜を辿り、日本人の死生観、霊魂観に迫ります。「もののけ姫」が終章で、現代のモノノケのイメージをつくった作品として論じられています。
紙の本
道長は実はもののけにびびりまくっていた
2021/06/10 23:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」という歌は、もちろん権勢を欲しいままにしていた平安時代の貴族、藤原道長が詠んだものだが、この歌だけ詠むと「何てデリカシーのない驕り高ぶった人なんだろう」と思ってしまうが、実は自分が失脚させた同族の道隆、道兼、伊周、定子などの死霊にに脅かされる毎日だったことが「小右記」などの資料で明かになっている、おもしろいことだ。興味深いのは、能の有名な演目「葵上」がもちろん、「源氏物語」の「葵」をもとにしながら随分と異なった内容になっているという指摘だ、「葵上」が作られた中世後期には、古代ほどもののけに危機意識をもたなくなり、「源氏物語」という古い文学作品にでてくる「怨霊」のような表現を用いたにすぎないということらしい、どうであれ六条御息所という人が怖い人に変わりはないのだが
紙の本
もののけの系譜をたどりながら、私たち日本人の死生観に迫った興味深い一冊です!
2021/03/03 09:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本宗教史を専門に研究され、『護法童子信仰の研究』、『親鸞の信仰と呪術』、『浄土真宗とは何か』、『往生際の日本史』、『幽霊の歴史文化学』など興味深い多くの著作を発表されてきた小山聡子氏の作品です。同書の中で筆者は、「もののけとは、古代・中世において、正体不明の死霊を指した」と言います。実は、もののけは、病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族たちを悩ませたそうです。しかし、近世に入ると幽霊や妖怪と混同され、怪談や図案入りの玩具などで親しまれるようになってきたと言います。近代以降、根拠がないものとして否定されつつも、怪異は根強い人気を博し人びとの興味をひきつけてやみません。同書は、もののけの系譜をたどりながら日本人の死生観、霊魂観に迫った貴重な一冊です。
電子書籍
モノノケの変遷
2022/04/24 20:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代では病気や死をもたらす死霊として恐れられていたモノノケが中世では調伏される対象となり、近世近代にかけて迷信として扱われる&怪談として娯楽化されていくというイメージの変遷を辿ることができる。
紙の本
モノノケの通史です
2021/01/15 17:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代から現代にいたるまでのモノノケ現象を辿った通史です。病気や死の元凶とされ畏怖されてきた古代から、娯楽になる近代以降まで時代によって変化するモノノケの在り様が丁寧かつ綿密に描かれています。
紙の本
日本人は「もののけ」とともにあった
2022/04/23 08:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて「モノノケ」は「物気」と書かれていたそうだ。「物」とは今でいう物体のことではなく、「神を成す元、あるいはその力」を意味していた。一方「気」は「霊や鬼が発し、目に見えず漂う性質を持ち、触れると病や死をもたらすもの」。モノノケとは、いわば病や死をもたらす超自然的な力のことだった。
藤原道長の時代も、モノノケは加持祈祷により折伏されることがあったが、中世にはこれが「退治」される存在となり、さらに近世以降は、幽霊や妖怪とも混ざり合い、フィクションとして娯楽の対象となっていった。
その傾向は明治維新以降も続くが、おもしろいのは、普通に考えれば、近代化の中で「迷信」として退けられ、排除されてもおかしくないはずのモノノケが、むしろ現代になって存在感を増しているところ。
モノノケは、一方では「自然を守る神」として描かれ(たとえば『もののけ姫』に出てくる山の神々)、もう一方ではキャラクター化され、人間と共存する存在として表現される(たとえば『ゲゲゲの鬼太郎』『妖怪ウォッチ』)ようになったのだ。
紙の本
歴史学的観点からの物の怪
2020/12/25 16:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
九世紀の貴族たちの精神世界(死生観)から現代まで語り続けられた「もののけ、死霊、幽霊、妖怪」を歴史的資料から解説している。現代の妖怪ブームを考えて表題から読んでしまうと、考えていた内容とは違ってしまいます。あくまでも歴史的資料考察の内容です。もう少しその当時の人々の精神観が書かれているとおもしろみが増したかもしれません。