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  • 販売開始日: 2022/05/27
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • ISBN:978-4-10-125333-6
一般書

からくりからくさ(新潮文庫)

著者 梨木香歩

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質...

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からくりからくさ(新潮文庫)

税込 781 7pt

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商品説明

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を、深く心に伝える物語。

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みんなのレビュー345件

みんなの評価4.1

評価内訳

旅を続ける生命とその生命を支える絆を深く心に伝える物語

2005/05/04 09:02

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

祖母の古い家に共同生活を始めた孫娘の蓉子、下宿人の紀久、与希子、マーガレットの四人と市松人形の「りかさん」。かつて蓉子の祖母は、体は命の「お旅所」だと言った。命は旅をしている。私たちの体は、たまたま命が宿をとった「お旅所」だ。それと同じようにりかさんの命は、人形のりかさんに宿ったのだと言う。
祖母の家は祖母が亡くなった今も祖母の「育もう」とする前向きなエネルギーを留めている。祖母の気配に満ちた家で、心を持つ不思議な市松人形の「りかさん」を通してからまる四人の縁。
蓉子は糸を染めながら、祖母の死と祖母の死後変わってしまったりかさんと向き合いながら生きている。紀久は紬を織り、紬の織り子さん達への実地調査を元に、織りの歴史を裏で営々と支え続けてきた名も無い女性たちのことをそれぞれの織物を通して紹介するための原稿に身を費やして生きている。そして、恋人神崎との辛い別れにも耐えている。
与希子はキリムを織り、紀久と蓉子との三人展のための作品創りに余念がない。マーガレットは、アメリカで異民族として生きた辛い過去と闘いながら、鍼灸を学んでいる。そして、神崎との間に出来た新たな命を育んでいる。

原稿の出版にあたって試練を受け、故郷に帰っていた紀久が「人はきっと、日常を生き抜くために生まれるのです」と言う。 紀久と与希子の縁は、「りかさん」を作った澄月という人物を通して互いの祖先へと遡る。澄月は、人形作りになる前は能面を作っていた。紀久が紬を、与希子はキリムを織る。紀久とマーガレットの想い人である神崎青年を通して、織物は日本から中近東のキリム、クルドの世界へと及ぶ。それぞれの祖先が生き抜いてきた日常と今それぞれが生き抜いている日常が、からくりからくさのようにからまって、個を超えた普遍の模様を織り成す物語。
蓉子が染めに使う植物や四人の食卓に上る庭の草花、クルディスタンに咲く草花が美しい。
日本の織物である紬も中近東のキリムも、女達のマグマのような思いをとんとんからりとなだめなだめ、静かな日常に紡いでゆく営みであることを語る紀久の手紙の言葉が心に残る。
抑圧された民であるクルド人の世界がマーガレットの恋人となった神崎の手紙を通して語られることで、物語の奥行きが深くなっていることを感じさせられる。クルドの民を語ることで、染めも織りも人形も能面も、美しいものは人間の抑圧された苦しみを経て作り継がれて来たことを作者は伝えたかったのではないかと思う。クルドを語ることなく、『からくりからくさ』を完結できない作者の思いの深さに感銘を受けている。
染め、織り、人形、蛇、能面、唐草、それらの全てが、蓉子と紀久、与希子の合作「りかさん」炎上で芸術的な一体となる最期が圧巻だ。そして、「りかさん」の死が、マーガレットの新たな命へと連なり、蓉子、紀久、与希子、マーガレットの再生を予感させる。旅を続ける生命とその生命を支える絆を深く心に伝える物語としてお勧めの一冊。

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この生活から一歩もはみ出したくないと言う蓉子の愛しさ

2008/12/21 14:40

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:菜摘 - この投稿者のレビュー一覧を見る

心が落ち着かない時に入り込んで、すっと気持ちを落ち着かせてくれる。そんな物語。これからも何度も読み返すことだろう。

大抵の小説は章立てで構成されるが、この物語はところどころに2行ほどの空白行があるのみで連綿とつながっている。つながっていながらも時間は流れ場面は流れ、娘達の気持ちは変化していく。このつながっている、ということがこの物語の一番のテーマではないだろうか。

4人の娘達が登場する。染色、織物、鍼灸と4人の娘達のライフワークは違えど全てに共通するのは【手仕事】であるということ。その集大成である日本人形のりかさん。りかさんは娘達に【所有】されているのではなく【同居】しているのだ。

りかさんはかつて蓉子と心を通わせ話をすることができた、と蓉子は言う。しかし蓉子の祖母が亡くなってからは話さなくなったのだと言う蓉子。同居することになった紀久や与希子はそれは蓉子の少女性がもたらした蓉子だけの思い込みだと認識し、読者も同様に認識する。

非現実的なものを理解できない、とハッキリ言い放つマーガレットと共に、4人はりかさんを家族として扱い共に生活する。理解しがたい、理解できないが受け入れる。それは梨木氏のエッセイ「春になったら苺を摘みに」にある通りの生き方である。

からくりからくさの古い家に住む娘達の想いは様々でも、それは家族として共に暮らすうちに連綿と紡がれつながってゆく。蓉子たちには因縁とも言うべき深いつながりがあるのだが、その因縁とも別に4人がこの家につながれたのはやはり宿命としか言いようがないのではないだろうか。

誰のまわりにもこうした他者とのつながりがあり、生きていく上で永遠に連綿と紡がれていく。それが生きることなのだと著者は物語を通じて伝えてくれる。

蓉子の独り言にある【この生活から一歩もはみ出したくないように思う】。まだ22歳の蓉子がそう思ってしまうほどの落ち着いて満ち足りた、からくりからくさの家の暮らしと4人の娘達という家族。「りかさん」「この庭に」以降の連作に期待。

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壮大な機が織られていく物語。四人の女性が心の交流を交わしていく様子は、弦楽四重奏曲の美しく静かなハーモニーのよう

2004/07/11 16:29

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る

内側から光が輝くような個性を持った四人の女性。蓉子(ようこ)、与希子(よきこ)、紀久(きく)、マーガレットの四人。彼女たちが、ひとつ屋根の下で生活を共にし、あたかも弦楽カルテットのように、ひとりひとりが自分を主張しつつ、ハーモニーを奏でていく姿が素敵でした。

話の経糸(たていと)に、人形師にまつわる彼女たちを結ぶ宿世の縁を、話の緯糸(よこいと)に、織物の文様にまつわる東と西の国の繋がりを織り込み、ラストに収斂させてみせた手際の鮮やかさ。織物のある絵柄が、眼前に出現した瞬間の息を呑む見事さ。あれとこれとがそういう風につながっていって、こーんな壮大な絵が出来上がるのかあ、うわあっ! と声を上げたくなった感動が、最後の場面で押し寄せてきました。

蓉子のおばあちゃんの家で暮らしていく四人の、それぞれに魅力的な女性たち。そして、おばあちゃんが亡くなって、永い眠りに入ってしまった蓉子の大切な人形、りかさん。さなぎから美しい蝶に変身する如く、お互い同士の心の交流を通して、彼女たちは変容し、再生していく。その様子が、生き生きと作品の中に描き出されていたところ、本当に素晴らしかった。

四人の女性では、私は殊に紀久さんが好き。思慮深く、落ち着いている半面、鬱屈した思いを胸に抱え込んでしまうこの女性に、とても親近感を覚えました。彼女の台詞で、「ああ、素敵だ」と思った言葉を引いておきます。

>( p.143 )

東と西の世界の中継地点、トルコが話の中に出てきて、話の中に織り込まれるところなんかは、梨木さんの後の作品『村田エフェンディ滞土録』を思わせるものがありました。個性も様々な四人が一緒に生活していって、かけがえのない思い出を共有するっていう話の設定も、そういえば通じているなあと。

また、りかさんが関わる話ってことで、新潮文庫の『りかさん』の二篇と合わせて読むと、味わいもひとしお。話の時系列的に言うと、「りかさん」「からくりからくさ」「ミケルの庭」とつながっていきます。なので、りかさんが蓉子にとってどれほど大切な存在かといったことが分かる『りかさん』を読んた後に、本書に向かうのが良いのではないでしょうか。私、初めて読んだ時は、いきなり本書から入ったので、ちょっとその辺の事情が掴めず、やや戸惑った記憶があったものですから。

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そして人は今日も人生を紡ぐ

2004/01/23 14:12

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しっぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る

小さい頃、といってももう中学にあがろうとする頃だろうか。
決して「世の中の役に立つ仕事にはつかない」と心に誓った。
なぜそんなことを考えたのかも覚えていないし、それほどその誓いにこだわって生きてきたわけでもない。
けれど、僕の中のどこか深いところで、そう誓ったという記憶だけは薄れることはなかった。
そのことだけが理由と言う訳ではないが、今のぼくは少々浮き世離れした仕事で生活の糧を得ている。
それはとてもうつくしいけれども、本質的には何かを生み出したり作り上げたりすることはない、そんな仕事だ。

文庫版の解説でもさりげなく触れられているけれど、この物語の中で印象に残っているのは、「手仕事」に代表される日常のこまごまとした生活のための作業の描写だ。
まず主人公やその友人たちが修行しているのは染色や機織りや鍼灸だったりする。
庭の雑草を摘み草して食卓にのせるくだりを初めとした食事の支度にまつわるシーン。
物語全体は時には中近東の山岳地帯や伊豆の島をはじめてした日本各地へと広がりを見せ、古い出来事と現代のできごとが、現実世界と精神世界のできごとが重なりあい深い奥行きを感じさせる。
にもかかわらず、登場人物たちや物語が読み手の日常から離れていくことなく、地続きの世界のできごととして感じられるのはそうした「日常」に対しての揺るぎない感覚がバックポーンとして貫かれているからではないのか、そんな気がした。
遠い昔から現在まで続けられてきた生の営み。
そのしがらみのなかで人は苦しみ、あがき、迷いつづけてきた。
時に何かにあらがい、逆らい、戦いをくりひろげてもきた。
けれどそのひとつひとつも、長い時をくぐり抜けてしまえば、ひとつの変わらぬテーマに対しての無限に繰り返される変奏曲に変わってしまう。
そしてそれこそが、人間のもつ強さのもとなのかもしれない。

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読むたび好きな描写が増えるけど...。

2020/06/15 22:33

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

若い女性が4人で古い日本家屋に住む話。主人公の一人が染色の仕事をしていることもあって、草木の話がふんだんに出てくるところが良いなと思う。特に、庭の雑草を素材に食事を作るエピソードがあって、ふと目を離すと、本日食卓にのせるはずの雑草で丸テーブルが飾られてるシーン。白いテーブルクロスの上に丸く並べられた「白のハルジョン」、「淡紅のハルジョン」、「蛇苺の実」、「露草」、「カラスノエンドウ」…。この描写が何度読んでも好きです。

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スケールの大きな話にびっくり

2017/11/20 11:11

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る

心を持つ人形「りかさん」の話というあらすじからは想像していなかったスケールの大きさでした。いい意味で裏切られました。梨木さんらしいとても優しい展開だったけれど、ラストは悲しかったな。

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不思議な読後感

2002/07/26 22:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書を読み終わった直後に書いている。私自身何だかよくわからないが、力が身に付いたような気がしている。示唆的な言葉が多く散りばめられ、そういう部分にさしかかる度に心のどこかが叩き起こされるようで、とても緊張した。そしてその度に、自分が生まれ変わったような、違う自分になっていくような、そんな気がした。そして、これからも続く自分の残りの時間を、受け入れられるような気持ちにさせてくれた。今までは手探りに触っていた苦しみや重圧みたいなものを、匂いや色で見せてもらった感じ。

それに、謎解きのように全てが一つの線になり、最後の壮烈なシーンへと繋がる盛り上がり、これにも大いに興奮させられた。

また、私自身は詳しくない染色や草木のこと、これらについても知らないなりに雰囲気を味わえた。まだ私が知らないそれら世界への憧憬と、知ってみたい・飛び込んでみたいという欲求とに、今は押し潰されそうだ。

もう一度読もう。

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染織をしたことがある方に特におすすめ!

2002/06/05 17:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ポッケ - この投稿者のレビュー一覧を見る

梨木さんの本はこれで2冊目でした。人形をめぐっての不思議な世界もおもしろかったですが、主人公や、そのまわりの人たちがやっている染織にとても興味がわきました。昔染織をやっていたのですが、そんな私もまったく知らなかったことをたくさん書かれていたのでまたやりたくなったり、詳しく調べてみたくなったりしました。描写がうまいのか、目の前にそれぞれの作品が見えるような気もしました。もちろん話もおもしろく引き込まれる感じで読み終わるのも早かったです。梨木さんってもしかして昔染織をやってたのかな? なんて思ったりして…。

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不思議な空気の流れる「美」の物語

2009/06/22 19:04

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者の他の作品に違わずこの本も不思議な空気の流れる物語だ。時代はいつぐらいだろうか?車で行き来する場面が結構あるので、現代に近いとは思うのだが、時間がゆっくりと流れる感じは、もう少し昔を思わせる。
 主人公は、蓉子。歳は二十歳ぐらいか。染織の工房で働いている。蓉子の祖母が他界し、その家を女子学生の下宿として間貸しするので、そこの管理人もしている。管理人とはいっても、間借りしているのは同年代の女性3人(与希子、紀久、マーガレット)だから、何となく長い合宿生活のような感じだ。

 与希子、紀久は美大の学生、蓉子の父は画廊の経営者、与希子の父は画家、と蓉子や他の登場人物も含めて芸術肌の人々が揃う。そしてそれぞれが、自分の考える「あるべき美の形」を追い求める。それは時には頑ななまでで、そうした心のあり方が物語を大きく展開させる。
 また、蓉子が少女のころから心を寄せる「りかさん」という名の人形や、高名な能面師が軸となって、同居する4人の物語が撚り合わされていく。どこか牧歌的な下宿の共同生活からは想像できないドラマチックな展開に後半は目が離せない。
 中盤あたりから、様々な事実が明らかになり、時代も場所も縦横無尽に駆ける。目まぐるしくて、一体著者はどこに連れて行こうとしているのか?、と思ったこともあった。しかし、終わってみると物事は収まるところに収まり、著者が示そうとしたことも何となく分かる。おみごと、という他ない。

 ところで、本書の中に「女には機織りという営みが必要だったのではないか。誰にも言えない思いをなだめるそういう営みが」というくだりがある。織物も反物になれば1000本を下らない経糸、その何十倍かの緯糸からなる。それを1本1本織りあげていく、とんでもない手間をかけた作品だということを思い合わせると、織物には女たちの「思い」が織り込まれているのだということを改めて感じた。
 

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ふと頭を上げるとそこには大きな広がりが…世界への眼差しを感じさせる逸品

2002/12/14 14:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「からくさ」をキイワードに、日常微細な世界から読者を時間と空間の広がりの中へ連れだしてくれる佳作。

 唐草そのものが、歴史と空間の無限のつながりを象徴するものであるが、この意匠を巧みに使って、作家は読者を自在に不思議な思いの「場」へと誘い出す。

 染色や織物といった伝統工芸を学ぶ学生たちを主人公とし、彼女らの自然とのふれあいや歴史洞察、女たちの情念、さらには遠く西南アジアの地で困難に立ち向かうクルド人たちへの眼差しまで、作家の懐の広さを感じさせる作品だ。

 ただし、作家が大河ドラマを夢見て書きつづろうとしたクルド人の記述が、物語全体のバランスをくずしてしまっている。ここが実はこの物語に大きな視野をもたらす画期的な場面であるにもかかわらず、リアリティをもって迫るものがない。惜しい。

 クライマックス、主人公らの作品が展示される場面は、「中陰の花」(玄侑宗久著)のクライマックスシーンを想起させるが、「からくりからくさ」のほうが遙かに感動的で、描写も生き生きと優れている。

 市松人形「りかさん」をめぐる謎が物語を牽引し、妖しげな雰囲気を漂わせる。なおかつ地に足のついた生活のありかたが読者に魅力的に映り、最後まで引き付けずにはいない。

 梨木香歩は、「いま、ここ」という地点に立ちながら歴史や世界に<もの>を見ようとする意欲に満ちた作家だ。これからが楽しみ。

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現実と幻想世界とが交錯する摩訶不思議な世界観に推理小説的要素を強く付加した美味しい作品。

2018/09/28 08:49

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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

現実と幻想世界とが交錯する摩訶不思議な世界観に推理小説的要素を強く付加した美味しい作品。祖母が亡くなったことを契機に、蓉子は紀久、与希子、マーガレットらと共同生活することに成るが、その中心に祖母から貰った「りか人形」がいる。やがて「りか人形」にまつわる過去の話と現実世界の話とが微妙に交差しはじめ、紀久、与希子との意外な関係に繋がっていく。意外だったのは、主役は蓉子であり「りか人形」だと思ったのだが、紀久と与希子だったこと。著者の一連の作品群(389:家守綺譚、391:f植物園の巣穴、418:渡りの足跡、483:沼地のある森を抜けて)の中では、最も現実社会に根ざした作品である。あくまでも諸事は現実社会である。さて、植物に詳しく、自然の表現が巧みな著者の文章は美しい。本作では、植物染色家を目指す蓉子を軸に、機織(特に紬)と織物図案を学ぶ女性を加えることで、植物の魅力と織物の魅力を遺憾なく伝えている。私好みの作品でした。

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受け継がれてゆく命

2016/12/26 15:54

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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

三浦しをん「あの家に暮らす四人の女」を読んだら 猛烈に読み返したくなった作品。植物の濃密な気配に囲まれる中で生まれてくる命の力強さに広がる未来を感じた。

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様々な伝統文化への見方が変わる

2015/08/27 02:10

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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る

手に取ったときは、和物が好きな事も手伝いとっつきやすそうな題材に思えた。
ようこの染色作業の工程の描写の細かさや、同居メンバーが質問する場面など、とても丁寧に描かれている。
他にも織物・古今東西と意味、一度でも丁寧に読めばしっかりと頭に入ってくるし、読了から10年以上たってもしっかり思い出せる。

神崎の登場で、女子家庭がグラつきギスギスし始めるところは、好きではないが避けられない流れの一環だろう。
(わかっていながら自分可愛さに寂しさを埋めるべく、去るのも計算のうちとして
入り込んでくる神崎が本当は好かないのかも知れない。
それを言ってしまうと、マーガレットも矛盾が…。)

能面についての描写も個人的には深くこころに残っている。
そして、本作最高潮へと繋がっていくのだが、それは読了後に個々で調べる楽しみのはずだ。

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不思議な縁の物語

2002/04/21 19:14

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投稿者:和音 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本は梨木香歩さん著の「りかさん」の十数年後の物語です。祖母が他界し、その祖母の家に4人の女子学生が下宿する事になります。この4人は不思議な縁で結ばれています。1人1人の生き方が、血筋が、物語が進むにつれてツタのようにからみあってきます。物語はタイトルの通り、からくりでいっぱい。多くの伏線がはられていて、こんがらがってしまいそうです。私は、前に「りかさん」を読んでいたので細かく張り巡らされている縁をだいぶくみとって読むことができました。なので、私的には、先に「りかさん」を読んだ方がいいかな?と感じました。染め物や織物、そして、質素ながらもとても豊かな生活。日本の暮らしのいい所の描写が多く、読んでいて心地よいです。女性の生き方について考えさせられる事が多いので女性向きの本かもしれないとも思いました。

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りかさんの続編です

2002/02/24 22:43

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 同じ著者の本で「りかさん」と言う題名の本があります。からくりからくさは、「りかさん」の主人公ようこ(容子)さんが大人になってからのお話です。「りかさん」は子供向けであるのに対し(と言いつつ大人が読んでもよい本ですが)、こちらは大人向けと言ってもよいでしょうか。「りかさん」を読んだのならぜひこちらも読むと面白いと思います。読んでない方は「りかさん」を先に読むことをお勧めしますね。

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