「日本人男性はもっと積極的に育休を取ろう!」と強く主張している1冊です。
2022/10/25 06:56
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「日本人男性はもっと積極的に育休を取ろう!」と、著者が強く主張するのに終始している1冊です。
日本人男性がなかなか育休を取れない実態を取り上げ、育休を取る意義も説明しています。
日本企業の上役の方々にも読んで頂きたい1冊です。
少子化をもたらす日本の規範
2022/10/20 20:13
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
少子化により急激に人口が減少する日本は、なぜ出生率も幸福度も低いのはなぜかと問う。日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビュー調査よ、国際比較データを併せて分析することで、仕事に関する社会規範、男女に期待される社会的役割に関する社会規範に縛られる日本人の姿が明らかにされた。日本では、働く男性は家族を大切にしているのか、職場ファーストになっているのではないか、男性はなぜもっと育児休業をとらないのか、問題は多いと見える。少子化の改善には、共働き・共育てが必要なようだ。
育児休業制度に対する他人の目
2024/11/07 17:23
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のインタビュー調査はとても価値が高いものだと感じた。育児休業制度は男性の取得はなかなか進まない、周囲はどう思っているのだろうと他人の目を気にしてしまう
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口減少社会をむかえる日本の今後について、わかりやすく解説されていて、よかったです。今までの縛りに、気づかされました。
ジェンダー平等 実現すべきは 賛成も
2024/03/08 21:50
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投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
日本の少子化が止まらない。たしかに育児休暇制度は世界でも屈指である。しかしそれは女性が取得するものとされるので、男性が取得できず、その結果、女性に育児の負担が行くので(筆者の文章は異性愛を前提としたが、その他の性的指向を否定する趣旨ではない)、女性も満足しない。ポスト工業化社会では、女性は家庭で家事育児、男性は外でお金を稼ぐ、というジェンダーの役割を固定化すると、とりわけ女性が満足をしないので、婚姻や出産につながらない。そこで、本書では、多くのインタビューなどを用いて、あるべき政策を探求するものである。
2.評価
(1)まず、本書に書かれていることは素直に受け取り、本書で提言されている政策をいち早く実現させるべきだと筆者は思っている。男性も女性も家事育児仕事を分担してこなすべきことは本書にある他国との比較(日本はジェンダーの役割の固定化が強い)から明らかだと読み取れるからである。
(2)そのうえで、よく分からないところがあったので、1点減らして4点と評価する。
ア.筆者は、本書のブリントン,メアリー・Cの提言を支持する者であるが、それならなぜ以前は出生率が高かったのだろう。以前に戻るという選択はダメなのだろうか、とも言えるからである。ポスト工業化社会だからとして、何が変わったのかがよく分からなかった。
イ.韓国との比較の分析はよく分からない。図4-2のように日本の方が問題というデータもあるが、韓国の出生率が日本より低いのはなぜなのだろう。気にする必要はないのだろうか。
人口減少の理由の一つであることは間違いないが、他の要素の検討が必要か
2023/03/14 21:45
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口減少が進みつつある日本。これは相当前からわかっていたが、女性がもっと子どもを産めとしか言わない政治家の多いことに閉口していた人も多かったと思う。出生率は低下していくばかり。2022年の出生数は80万人を切ったという。それだけでなく、なぜ幸福度も低いのか。
本書は、日本、アメリカ、スウェーデンで子育て世代に調査を行った結果を載せて、分析を試みる。調査といっても、簡単なアンケート調査でなく、インタビュー調査を行いデータとあわせて分析している。ここでは、「規範」に縛られる日本の男女の姿を浮かび上がらせる。ここで、縛られる日本人という意味がわかってくる。
日本人は家族を大切にしているかのように言われるが、そのとおりだろうか。疑問を呈する。日本の男性はなぜ育児休業をとらないのか、取ればどういった扱いをされるのか。日本の職場(企業、官庁共に)のなにが問題かを追及する。
目次で見ると、
序 章 日本の驚くべき現実
第1章 日本が「家族を大切にする社会」だという神話
第2章 日本では男性が育児休業を取れないという神話
第3章 なぜ男性の育児休業が重要なのか
第4章 日本の職場慣行のなにが問題なのか
第5章 スウェーデンとアメリカに学べること
第6章 「社畜」から「開拓者」へーどうすれば社会規範は変わるのか
謝辞 となる。
読み進むと、著者の主張されていることはクリアだし、学ぶべきところは多い。テーマを絞り、深掘りしたインタビュー調査は価値が高いと思う。男性が出産段階から関わり、子育てに参加することの意義は大きいと思う。育児休業制度は仕組みとして充実しているが男性の取得はなかなか進んでいないので、制度改正の話になりがちだと思う。周囲はどう思っているのだろうと考えることに対し、制度で対応する難しさはあると思う。本書で「多元的無知」を紹介する。さらに、具体的な解決案も提示する。これは、テーマを絞ったことにより、出てくるメリットではないかと思う。
それでも、これだけで人口減少になるのだろうかという疑問がある。非正規が増え、特に女性に集中し、女性すら取れない育児休業とも言われ、生活基盤(特に経済的に)の不安定さに起因し、子どもを産み、育てることができないのではという考え方もある。いろいろと考えさせられるが、やはり、一読してほしい本である。
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人口が急減する日本。なぜ出生率も幸福度も低いのか。
ハーバード大学ライシャワー日本研究所の所長による現代日本への現状把握と考察
結論:日本人が幸福で、出産率を上げるためには、「夫が積極的に育児と家事に参加すること」そのためには、男性の育児休業を義務化して強制的に実施することだという
気になったことは次の通りです。
・新しく生まれてくる子どもの数が減り、しかも平均寿命が目を見張るほど上昇しているため、日本では人口が減少しているだけでなく、社会の高齢化が驚異的なペースで進んでいる。
・日本は、人間ファーストではなく、労働ファーストです。
・日本の人たちは人生への満足度が低い。そして、国際的な研究により、人生への満足度が高い人ほど、子どもをもうける確率が高いという強力な実証データが得られている。
・仕事と家庭の両立を支援するための制度や、政策が充実している国では人々の幸福感が高まり、その結果として子どもの数も増えると考えている。
・子どもが親と一緒に過ごす時間をどうやって増やすか。日本では、母親が仕事を辞めるか、勤務時間を減らすかを選択すべきだと考えている。
・日本の男性は、他のポスト工業社会に比べて、子どもと一緒に過ごす時間が極めて少ない。日本人は、父親が家族と一緒の時間を過ごすことを必ずしも重要視していない。
・日本では、女性の育児休暇取得率 81.6%に達しているのに対して、男性は、12.7%にとどまっている。
・日本では妻の母親や夫の母親による支援を頼りにする人が多い。
・育児休業を取得する男性の割合が増加すると、その地域の女性が第二子を産む確率が高まることを明らかにした。夫の参加が当たり前だという社会規範は、若い女性たちの出産に関する意思決定に影響を及ぼす。
・どちらの国でも、夫の給料が妻より大幅に高い場合は、夫が育児休暇を取得する確率が低かった。
・女性の睡眠時間が男性より少ない国は日本だけだ。
・有償労働と、無償労働の時間を合計すると、日本人女性の週平均労働時間が男性にほぼ匹敵すると聞くと、驚く人も少なくないだろう。
・日本の男性は家庭で家事と育児の15%しか分担していない。
・夫が家事と育児に積極的に参加すれば、妻が仕事と家庭を両立しやすい
・夫が家事を多くこなしている夫婦では、妻がより多くの子どもを欲しがる傾向がみられる
・夫が幼い子どもの世話をすることに時間を費やせば、妻は、夫が家庭を大切にするつもりなのだと理解する。
・赤ちゃんを入浴させる時間までに帰宅する父親がふえれば、日本の出生率が高まるかもしれない。夫の育児参加の重要性は極めて大きい。
・雇用の保護がほぼ皆無のアメリカでは、日本のような国よりも頻繁に転職が行われる。正社員、非正規労働者、パートといった概念はなかなか理解できない。アメリカでは終身雇用に類する仕組みが失われて久しく、正規被雇用者という言葉を聞いても意味が解らない人がほとんどだろう。今日のアメリカに終身雇用という考えはほぼ存在しない。
・日本の男性たちがどのように生きるかはみずからの願望や選択よりも、勤務先の会社の意向によって決まっている面が大きい。
目次は、以下です。
序章 日本の驚くべき現実
第1章 日本が「家族を大切にする社会」だという神話
第2章 日本では男性は育児休業を取れないという神話
第3章 なぜ男性の育児休業が重要なのか
第4章 日本の職場慣行のなにが問題なのか
第5章 スウェーデンとアメリカに学べること
第6章 「社畜」から「開拓者」へ
謝辞
参考文献
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【1家族が大切だという神話】
子供ができる=苦労@日本
↑日本における家族の狭義性
核家族化に耐えられない日本人
「家族本質主義」(政治学者Leonard ショッパ)
【2男が育児休業をとれないという神話】
ジェンダー本質主義
能力主義
「多元的無知」
【3男の育児休業の重要性】
父親quarter
家事労働をどれくらい担うかは、各国の「文化的所与、文化的デフォルト」によって決まる傾向がある
ヨースト・デラートとアルムデナ・セビーリャ=サンスの研究
家事分担割合と行動に強い関連
【4職場慣行の問題】
単身赴任
顧客絶対主義
雇用制度
時短勤務
ガンダム・ウーマン
【5スウェーデンとアメリカ】
コーホート完結出生数
【6社畜から開拓者へ】
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今の働き方では持たないと誰もが思っているのにいつまでも日本人の長時間労働は変わらない。あるいは変わるスピードが遅い。この社会や会社に蔓延する空気や雰囲気こそが今の停滞につながっているのだろうか。男性も女性もさまざまな働き方の選択肢やオプションがあって、利用できればいいと思った。
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日本はなぜ出生率も幸福度も低いのか。各国の若い世代へのインタビューとデータをもとに、アメリカを代表する日本専門家が緊急提言。
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インタビューをもとにしていることで、作者曰くミクロなレベルで具体的なケースとして考えられるのは分かりやすかった。すごく目新しいわけではないけど、タイトルがそのままなんだね、いくら制度があっても私たちは規範に縛られているだろうなぁ。
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アメリカを代表する日本研究者である著者が、日本、アメリカ、スウェーデンの子育て世代へのインタビューと国際比較データをあわせて分析することで、日本の人口減少、少子化の原因を指摘し、その解決に向けた政策提言を行う。
具体的には、日本の少子化の原因は男女の役割に関する硬直的な社会規範であると主張し、その解決のために、①子どもを保育園に入れづらい状況をできる限り解消する、②既婚者の税制を変更する、③さらなる法改正により、男性の家庭生活への参加を促す、④ジェンダー中立的な平等を目指す、ということを提案している。
著者の主張は、データに基づく国際比較や詳細な子育て世代のインタビューに裏付けられており、かなり説得性があると感じた。
正直、最近は男性の育児休業に対する忌避的な考えはほとんどなくなってきているのではないかと思っていたが、それはおそらく公務員という自分の立場によるバイアスが影響しているもので、まだまだ日本社会では男性の育児休業に対する理解が深まっていないのだということを思い知った。育児休業等の制度は他国に比べても充実しているのに、その活用が大幅に見劣りするのは、やはり社会規範、意識の問題が大きいのだと思う。
人口減少、少子化に歯止めをかけるために、日本も「共働き・共育てモデル」に社会を変えていかないといけないと強く思った。その上で、日本社会を著者の政策提案はどれもやるにこしたことのないものばかりで、特に、男性の育児休業の義務化は強制的に社会規範を変えていくためにとても有効な一手だと思う。
ただ、日本社会に根深く残る男女の役割に関する社会規範、ひいて言うと深層心理が原因ということであれば、小手先の制度的対応では限界があるような気もした。明快な対案があるわけではないが、もっと一人一人の意識の面から変えていかないといけないのではないか。
その点で、日本の男性が家事育児を全然担っていない状況は、単に長時間労働等のためだけではなく、男性自身の意識の問題の面が強いと思うので、教育や啓発でなんとかなるものなのかは心許ないが、その面の改善をなんとかしていく必要がある。本書でも指摘されていたが、男性の意識改善のためには、男性上司・同僚がカギになるのではないかと思う。
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結婚と出産が減っている。
男性が育児休業をとれない
職場慣行に問題がある
低出生率国ほど、男女とも人生への満足度が低い。
日本では性別役割が硬直的、アメリカ、スウェーデンでは家族との時間を大切にして、バランスがとりやすい。
日本では男性の育児休業制度は手厚いが使いにくい。
時短勤務制度と育児休業期間の延長は、両刃の刃。女性の利用がほとんどで、ジェンダー主義が強化されている。
くるみんマーク=子育て支援に取り組んでいることを示すマーク。取得自体が目的となっている。
コフォート完結出生数。女性が再生産年齢(45歳など)までに出産した子供の数の平均。合計特殊出生率より、出産年齢の変化の影響を受けない。
アメリカは、有給の育児休業制度がない国。有給の出産休業制度もない。20%程度の大企業にあるだけ。
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日本の出生率減についてジェンダーの視点から述べた本だが、まあ想定の範囲内の内容だった。
もっと広い多角的な視野からの日本人論を期待していたのだが…
これ!、と思って買った中公新書は大体期待以上の内容なのだが、肩透かしを食らった感じが残った。
大垣書店イオンモール北大路店にて購入。
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育児に関する制度について、アメリカ、スウェーデン、日本の比較をしている本書。
結論として、制度自体は整っているが、男性が働き、女性が家事育児をするという社会規範がある限り、人口減少対抗策は機能せず。まずは、このような性別分業的な規範を早い段階で打ち破るべしという内容。スウェーデンの共働き・共育てモデルで参考になるのは第一子から第二子までを短期間で出産する場合には、育休の補助が増加するというもの。日本の若い年代でも、キャリアウーマンはやはりキャリアとの天秤の中で子供を作るタイミングを遅らせることになることは既に傾向としてあるが、スウェーデンの場合、スピードボーナスというこの制度によって、出産のタイミングを早く作ってもらうという制度があった。
なお、本書は福利厚生として育児への補助ができるのかという問題意識で読んだが、正直なところ、最も成功しているスウェーデンのモデルでは、適宜転職や時短勤務等を行い、金銭的な補助ではなく職を変えることや現職との交渉により、流動的に時間制約を労働者側で無くしているということがわかった。こうしたモデルの場合、企業として福利厚生にかける投資効果という意味では、なかなか訴求しずらい傾向にあるのではないかと感じた。