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空中庭園 みんなのレビュー

  • 角田光代 (著)
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みんなのレビュー14件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (8件)
  • 星 4 (5件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)
5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本空中庭園

2009/09/07 22:24

わたしには読みにくい作品

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

空中庭園 角田光代 文春文庫

 かれこれ4年ぐらい前にこの本を読み始めて、体に合わなくて、30ページ付近で読むことを絶ちました。わたしには苦手な文体です。その後、同著者の旅行記「いつも旅のなか」を楽しんで、少しずつ著者の書き方に慣れてきました。「八日目の蝉(せみ)」「対岸の彼女」「予定日はジミー・ペイジ」などの作品を読み継いで、またこの本「空中庭園」に戻ってきました。
 空中庭園と聞くと、行ったことはありませんが、大阪にあるらしき高層ビルの展望台を思い浮かべます。旅行ガイドブックで見たことがあります。
 この本は、いくつかの小編を連ねながら全体で276ページの物語になっています。団地暮らしをしている4人家族、夫婦と姉弟、よくある家族形態です。内容は暗い。もう10年ぐらい前になるでしょうか、本屋さんで立ち読みをした別の本を思い出しました。本のタイトルは覚えていません。家族をテーマにして、内容は、家族のメンバーに対する怨(うら)みを集めたものでした。家族というものは結束するものではなくて、散っていくものでした。
「ラブリー・ホーム」前回読んだとき、読み手のわたしは、出だしでつまずいた。15歳の姉マナちゃんによる、「わたしはラブホテルで仕込まれたこどもであるらしい」という語りから始まるのです。マナちゃんの母親は秘密を抱えています。性描写から、なにかしら悲しい家族観が浮き彫りになってくる。根拠は不明だけれどむなしい生活感がただよっています。前回読書を断念した30ページ付近を通過しました。この時点ですでにわたしに達成感が生まれました。著者の文体は、大鉈(おおなた、斧)をふりまわしているようなものです。読み手にも力(ちから)が要(い)ります。作家志望の方が読んだら、小説家になることをあきらめさせてくれる文体です。自信を失くします。
「チョロQ」小編の全部を通してですが、出だしで語り手がだれなのかがすみやかに判明しません。だから読むのにとても疲れます。パズルを解いているみたいです。この小編の場合は、語り手がマナちゃんの母親になります。京橋絵里子さんといいます。タカぴょんというのが彼女の夫で、京橋貴史さんです。娘が、マナちゃん、息子が、コウちゃんですが、この時点できちんとした名前が判明しません。そして、みんな嘘つきです。以前血縁関係の無い架空の家族を演じていた宮部みゆき氏の「理由」を読んだことがあります。そのパターンを予測したのですが、京橋一家には血縁関係があります。
「空中庭園」だれかもかれもが、地に足が着いていない。だから、空中に浮かんだ庭園(家族)=京橋家の人々なのだろう。しかも庭園だから手入れがされている。見かけだけの家族なのです。
「キルト」京橋家には別居で近居のおばあさんがいます。妻絵里子さんの母親です。この部分を読みながらやっぱり読まないほうがよかったという気持ちになりました。あまりにも嫌な気持ちになって、自分が感じる悲しみが徐々に笑いに変わってきます。作者は若いのにどうして、おばあさんの気持ちがこれほどわかるのだろう。天才です。作者は自分の過去と同時に未来を背負いながら文章を書いています。
「鍵つきドア」読みながら人間が怖くなってきました。みんな嘘つきだ。作者は、同作者の他の作品を含めて「父親」にこだわる人です。作者の父親は飲んだくれの人だったのでしょう。そして、体を壊して若くして亡くなったのでしょう。わたしの父親もそうでした。とても悲しい気持ちになりました。
「光の、闇の」最終章となる小編です。わたしは、現実にはないこういう架空の家族という前提で読み続けてきましたが、ここにきて、そうではない。こういう家族って実際にいるという断定的な結論に達しました。最後はコウくん(中学生)の語りになります。最後まで読んで、不思議な気持ちになりました。ここで、この物語は終わるのですが、他の作家の作品につなげることができるのです。あさのあつこ著「バッテリー」です。コウくんをバッテリーのピッチャー巧くん(たくみ)に置き換えることができます。それぞれ個性は異なるのですが、わたしの頭の中ではできます。

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紙の本空中庭園

2005/07/15 14:01

“家族”という名の“冗談”

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:吉田照彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 それは“家庭”という名の“空き箱”に住まうある家族の物語である。
 「何ごともつつみかくさず」がモットーの家族。そのモットーに従って、長女のマナは自分が高速道路のインター近くにある「ホテル野猿」で受精したことを母親から告げられているし、弟のコウは「性の目覚めの晩餐会」なるものを開いてもらっている。
 だが、そんなもっともらしい“冗談”を、もちろん、誰も守っている者はいない。誰も彼もが秘密だらけ。みながみな、家族の中で嘘をいい合い、隠し事をし、体裁を取り繕っている。
 シロアリに食い荒らされた木造家屋のように、物語の初めからすでに家庭は空洞化し、形骸化してしまっている。名前だけの家族。自ら隠し事を作りながら、この冗談のようなモットーが家庭の中でまだ有効に機能していると無邪気に信じ込んでいる親たちと、彼らの嘘をとうに見抜いている子供たち。子供たちは、親たちが“家庭”と名づけ、綻びを取り繕い、守ろうとしているものの意味を、意義を、問い、疑っている。それはまるで、「裸の王様」に登場する正直な子供のようだ。子供たちは、親たちが守ろうとしている家庭というものが端から丸裸であることを知っている。だが不思議なことに、彼らは「裸の王様」の子供がそうしたように、「この家庭は裸だ」と自ら大声で告発してみたりはしない。むしろ親たちの秘密を黙っていることで、消極的ながら自分たちの“家庭”を守ろうとしているのだ。
 それこそ、家族愛なんてものが半ば冗談みたいになりつつある昨今、こんな家庭はきっと、日本中に存在する。そして、往々にして暴力的な方法で、そんな冗談につき合いきれなくなった少年少女たちが、時に少しだけ世情を騒がせる。

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紙の本空中庭園

2021/03/22 22:42

それぞれの登場人物が一風変わっている

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

角田光代の初期の短編連作である。最初はこんな話は現実離れしていると思ったが、読み進むうちに引き込まれていった。短編それぞれが、別々の登場人物の視点で描かれている。それぞれが一風変わった変な人達だが、それでもオッケーと思わせる。面白かった。

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紙の本空中庭園

2020/06/21 20:28

秘密家族

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

理想の家庭を作るつもりが、少しずつバラバラになっていく過程が皮肉です。京橋一家が暮らす集合住宅や、絵里子の勤め先のショッピングモールの無機質さも効果的でした。

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紙の本空中庭園

2020/05/25 16:25

仄暗い闇

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る

隠し事のない明るい家庭の仄暗い闇を
家族それぞれの視点から描いた短編集。
文庫版の石田衣良さんの解説が軽妙で、
やっと救われました。

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