正欲(新潮文庫)
著者 朝井リョウ
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を...
正欲(新潮文庫)
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商品説明
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
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老若男女、たくさんの人に読んでもらいたい作品
2023/09/28 16:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
盗撮や児童ポルノ等のニュースが毎日流れるなか、以前からモヤモヤしていたことを改めて考えさせられた。
誰かを傷つけることや法をおかすことは確かにやってはならないこと。
でも、根本にある性癖や性嗜好を否定するのは違うのではないか?異常性癖、性嗜好異常といわれているが、「異常」「正常」は誰が決めたのか?
多様性が叫ばれる現代で、矛盾しているんじゃないか?
誰もが自分は「正常」「普通」と思っていたり思い込んでいるけれど、そうではないんだということ。その価値観を他人に押し付けず、正常か異常かのどちらかだと決めつけず、「そういう人もいるのか」「そういう考えもあるのか」とただ認めること。それができたら、少しは生きやすくなるのではないか。
知らなかったことや、印象的な文章もたくさんあり、今読んで本当に良かった。これからどんな世の中になっていくかわからないけれど、何十年か経って読んでみると違う捉え方になるんだろうなと思う。
私にも実は人には言いたくない性癖がある
2024/10/03 15:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
「性欲」でなくて、どうして「正欲」なのか、正しい欲とは何なのか、生きるということを選ぶこととと死ぬということを選ぶということの違いは何なのか、突き詰めていくとあまりにも深いというか深すぎるテーマだ。簡単に多様性という言葉を持ち上げるなと主人公の夏月や大也は強く売ったる、少し前に話題になった同性愛を取り上げたドラマ「おっさんずラブ」を想像させるドラマに対して夏月は「性的少数者を都合よく描いたドラマ」と容赦ない、確かに多様性とかダイバーシティという言葉は耳障りはいいが、なんだか響いてこないことは確かだ、主人公たちの想像もつかなかった性癖、私にも実は人には言いたくない性癖はある、それが犯罪につながるものではないにしてもそれを公表することは躊躇われる
感想の押し付けになってしまうのか
2024/05/15 11:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふう - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様性を主張しておきながら、自分の範囲を飛び越え理解できない部分・異常な部分は排除する。果たしてそれは本当に多様性と言えるのだろうか。
なにが正常で何が異常なのかどうして人間に決められるというのか。多数派に収まればそれは正常だと言えるものなのだろうか。多数派に収まり続けるのは、結局のところ少数派だというのに。
理解したい、わかりたい、寄り添いたい、そう思うことが正欲の投げつけであり、それこそ多数派の仮面を被った少数派の価値観の押し付けではないだろうか。
結局のところ、どれが正しいかなんてあやふやで、ないも同然なのだから、他人のことについてはそっとしておくのが1番で、自分のことにだけ集中してくれ。他人の考えを理解しようとかそんなのしなくていい、自分の欲も大事にして、他人の欲の存在も否定しない。
それだけでいい気がする。
「差別を無くそう」と謳っていることそのものがより差別化しているのではないか。
「多様性を認めよう」と謳っていることそのものが、多様性を狭めていっているのではないか。
最終部分の、セリフがぶつけ合われる部分、
セリフの内容は、重たいものであるのに
何故セリフの間に穏やかな日常風景の描写がされているのだろうか。
実は知らないだけで、
日常にはこういった光景・欲が埋もれているということなのだろうか。
そしてこの感想も、読んだから自分の感想を書いて共有したいという、正欲の押し付けだったりするのだろうか。
爽快でした
2024/12/04 21:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
爽快でした!多様性という言葉、風潮に納得できていなかったまさにその部分がしっかりと濃厚に書いてあり、本当にすっきりしました。みんな違ってみんないい、なんて綺麗事にもほどがある。
夏月と佳道が共生してよかった。将来は大也も仲間として生きていけたらいいなと、浅はかですが思いました。
こころの自由を
2024/11/04 00:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H&M - この投稿者のレビュー一覧を見る
『多様性』や『繋がり』といったことばが、さも正しい、前向きな意味でとらえられているが、全ての人がそう感じているわけではない、全ての人に、全てのコミュニティで必要なわけではない、ということを、この小説でたくさんの人に感じてほしいし、考えてほしいとおもった。
思い出したことがある。
子供の小学校で、コロナ禍の休み時間にいつもひとりでいる子がいて、担任の先生から執拗に、本人にも母親にも、みんなと遊ぶよう指導されているという話を聞いた。その子は、友達もいるし、人望も厚く、ただコロナが怖いから接触を避けてるだけだった。母親からそう説明しても、担任が納得しなかったそうだ。
繋がりって、休み時間に遊ぶことじゃないし、そもそも、同じ学年やクラスに価値観のあう子がいないことだってある。
そういう、【こうあるべき】という形にはめたがる人にこそ、読んでほしい作品だと思った。
比較的いろいろな価値観の人と交わってきた方だと思っていたが、それでも、本作には気付きがたくさんあった。心がヒリヒリとする良作だと思う。
生きづらさ
2023/10/14 23:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しいテーマでした。
「多様性」「繋がり」正当で聞こえの良い言葉。
その意味は個人によりけり。
無理に理解する必要はないけど、無関心はまた違うなぁと。
同じ時代に生きる人たちが生きやすい世界になりますように。隣にいる人に優しくあれますように。
映画化が楽しみです。
マイノリティとマジョリティ
2025/01/09 16:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マジョリティの側が多数派故に少数派を迫害する構図になる。
マイノリティなりに多数派になるべく関わらないようにしているだけなのに……。
多様性を認めようという動きは止められないし、余計なお世話の人もいれば、ましになったと感ずる人もいるし。
検事の寺井さん、もうちょっと家族に向き合いな。
知らなかった世界を垣間見る。
2024/01/26 08:45
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
放水を見て、感じる事は、全く考えたこともない世界でした。 少数派の性癖の方達には、確かに、息苦しい世の中だろうと思いました。 自分の価値観は、まだまだ未熟だと悟りました。
わからない
2023/06/12 19:01
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様性って何なのだろうって考えてしまいました。
レインボーの性の多様性だけを考えていましたが、あぁ、違うのではないか、と。
とても難しい、近くにいる人でも理解してあげられないかもしれない、自分がそうなのかもしれないと悩んでしまう小説でした。
ウーンと唸る
2024/06/21 10:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様性とひとくくりに名前を付けたものの、その多様性の本質がなんなのか分からない人たちが多数を占める世の中。
結局は多数決ではないが、多くの人が歩む道が正当な道とされて・・・
とは言え、法を犯すのはもってのほかだが・・・
一人一人感性は違う事を心して人と接せねばと考えさせられた。
よく分かりません
2024/03/06 11:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Jung - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分にはよく分からないストーリーでした。3つの話がどう重なっていくのかわくわく感はありましたが、それで?というところまででした。
繋属と分断
2023/08/09 00:32
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝井リョウ×多様性の組み合わせで、
本屋大賞にもノミネートした作品ということで、
ちょっと切り口に期待しすぎたかも。
多様性を目指す社会が
分断を産むという視点は
そんなに目新しい感じはしないし、
いろいろと現実にある要素をとりこんだわりには、
どのエピソードもこれといったエンディングはなく。
もっと「何者」のときのような
これまで立っていると思っていた場所がごっそりなくなるような、
そんな読書体験を期待してしまっていた。