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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:1999/06/30
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/571p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-137321-3
文庫

紙の本

スキップ (新潮文庫)

著者 北村 薫 (著)

スキップ (新潮文庫)

税込 935 8pt

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みんなのレビュー411件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

“時と人”というキャッチボール

2006/11/21 07:05

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:リッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る

北村薫さんの名作『スキップ』。『ターン』『リセット』とともに、“時と人”と冠された三部作のうちのひとつです。
たくさんの方がこの作品の魅力について語っていらっしゃいますので、今さらな気がしないでもないのですが、大好きな作品なので私も一言。
この“時と人”というテーマは、北村さんの中で特別なものなのでしょうね。
北村さんのデビュー作『空飛ぶ馬』に始まる“円紫さんと私”シリーズの第3作『秋の花』と本作との関連—ここでは、第4作『六の宮の姫君』のなかの言葉から、物語と物語を行き交う“キャッチボール”と表現させていただきます—は、しばしば指摘されるところです。
過ぎ去った時、真理子の決意、そして、生きたという意味。
これは北村さんの最新作『ひとがた流し』にもキャッチボールされていますよね。
『空飛ぶ馬』の「砂糖合戦」にあるように、「相撲のひいき力士とは違いますから、いくら応援しても、今日はマクベスが勝ったよ、というわけには行」(p.102) かない過ぎ去った“時”と、今という“生”。
それらを、キャッチボールして響き合うような作品たちを通して、北村さんは我々読者に伝え、問いかけているように感じます。


ところで、北村さんは『六の宮の姫君』では、芥川龍之介の作品を通した“キャッチボール”について描いています。
一方で、作家の加納朋子さんは、北村さんの“円紫さんと私”シリーズから受け取ったボールを、『ななつのこ』に始まる“駒子”シリーズを通して“キャッチボール”(加納さん自身の表現では、“ファンレター”ですね) しています (この両作品、物語やトリックの構成などを比べてみると、とても面白い!)。
マクベスのように変更できない“円紫さんと私”シリーズの悲しい部分を、ひいき力士を応援するかのように“駒子”シリーズを通して描き換えている、とも言えるでしょう。

さて、こうなると、北村さんから加納さんへの“キャッチボール”もあるのでは?という興味が沸いてくるのですが、
改めて作品を見てみると、『空飛ぶ馬』に登場する“ゆきちゃん”に対して、『ななつのこ』では“真雪”ちゃんが登場していることに注目したくなります (聞くところによると、加納さんとしては、これは偶然の一致だったらしいのですが)。
真雪の“真”は、『秋の花』の真理子の“真”。
そして“時と人”の主人公の名前を見てみると、『スキップ』では真理子、『ターン』では真希、『リセット』でが真澄と、全員に“真”の字が共通しています。
これは偶然なのでしょうか?
私には、加納さんからのボール—“円紫さんと私”の悲しい部分を描き換えてみせた—を受け取った北村さんが、
“時と人”三部作、特に本作『スキップ』—かえられない時—を描くことを通して、“キャッチボール”していたかのように感じられました。

思いっきり見当違いな推理かもしれませんけれど、こう考えるとちょっと素敵じゃありませんか?

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紙の本

「反タイムスリップ」もの。《それでも》という意志。

2006/08/13 00:26

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:相楽知幸 - この投稿者のレビュー一覧を見る

(いつの間にか、無駄に時間を重ねて来てしまった------)
(あの時、もし、別の選択が出来たなら------)
(自分には、もっと他の人生が送れたのでは------)
『スキップ』は一種の《タイムスリップもの》です。
ただ、この作品は、《タイムスリップもの》の定番ともいえる冒頭に挙げたような悔恨に対し、その逆回しの構造をもって毅然として向かいあうもの。いわば《反タイムスリップもの》なのだといえます。
《人生をやり直したくはならないのか》と問われ、主人公・真理子はこう答えます。
「途中で何があったか知りませんけど、結局、彼女が選んでここまで来たわけですよね。だったら、今のわたしが時間をもらってやりなおしても同じことになる筈です。ならなかったら、おかしい」
勿論、真理子は、後ろ向きの思いをカケラも持たない、《揺るがぬ信念の人》などではありません。そうでなければ、これは血の通わぬ偉人伝になってしまう。
誰もが抱えずにはいられない苦しみの中で、《それでも》そう言い切り、顔を上げ、止まる事なく歩んでいくのが、この小説の主人公・真理子という人間です。
それは例えば、時を《SKIP》してしまった直後の、真理子と(その娘である)美也子とのやりとりを見れば明らかだと思えます。
まずは人前で無様な真似は出来ないという《意地》で、続いてあまりにも納得のいかない《理不尽への怒り》で、それに流されるまいとする《理知》で-------そして、それをも突き崩された時には、全ての誇りと自尊心を懸けた「地団駄を踏むような思い」を込めた叫びで。
真理子は自分の中から引き出せるあらゆる力を振り絞り、事態と向かい合います。それが、真理子という人物です。
この本を読み、その《それでも》という意志が感じ取れた人は、主人公・真理子を好きにならずにはいられないと思います。

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紙の本

たくましい女性像

2002/06/26 10:08

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:homamiya - この投稿者のレビュー一覧を見る

17歳の女子高生・真理子が昼寝から目覚めると、42歳の自分になっていたお話。といっても、この物語はSFではない。SFではないのでこの不思議の理由は全く解明されない。真理子はただ、現実を受け入れて、乗り越えてゆく。42歳、夫と娘がいる、自分の職業である高校教師の仕事、両親が既に死んでいる事実。著者は男性であるのに、実にあざやかに、これらの事実に直面する17歳の少女の心を描いている。
青春まっさかり、まだ将来は「夢」でしかない少女が、突然、職も決まっていて、夫もいて(しかももうだいぶオジさん)、何より女性として「若さ」を失ってしまうショックはどれほどのものなのだろう。当然真理子も悲嘆にくれる。けれど、彼女は本当にたくましい。この「たくましさ」は豪快さではない。ぶつかった問題に泣き、悩み、よく考えて、自分なりの答えを出して行動で示していく。こういう女性のしなやかなたくましさを書かせたら北村薫は天下一品だ。
最初、真理子は教え子の少年にほのかな恋心を抱く。この恋の行方が17歳の真理子の「たくましい成長」を語る一つのハカリになっている。この恋の行方は読んでからのお楽しみに。
何て事はないが、北村薫らしくて、私が好きなシーン。
真理子の夫が、自分の妻の中身が17歳に戻ってしまった事実を知り、でも妻への愛情は変わらない事を示す場面。娘の美也子が
「坊主憎けりゃ袈裟まで」
と言う。
「好きな人の心が17歳でもやはり好きだ、という事なのね」
という意味なのだが、敢えて逆の「憎けりゃ」という表現を使う所が、一見控えめで、でも派手派手しく「愛」を語られるより、よほどしみじみと印象づけられる。

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紙の本

なぜか、惹き込まれます。

2021/08/15 10:36

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る

読了しました。600ページ近くありましたが、物語の進行が気になって、いえ、正確には無意識にページを捲る手が止まらず、二日で完読という結果となってしまいました。今日はここ迄にしておこう、と気持ちの上では思っているにも拘わらず、手が勝手にあと1ページあと1ページ、と動いていました。
 本書のタイトル通り、冒頭暫くして主人公は自身が未来へスキップします。所謂タイムスリップです。スキップなので、後戻りはありません。スキップした時代で主人公は生活していきます。その人生模様が私自身の中で共感を得るというか、寄り添っている感覚があります。
 17歳が体験する未来の時代の42歳の自分。そこでの直向きな主人公に胸を打ちます。

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紙の本

時間を取り戻そうとする姿勢

2002/07/06 16:05

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る

体を動かしながら考えること。主人公真理子のこの姿勢は見習いたい。

やわな部分を持ちつつも、それを直視することなく常に前進し続ける主人公。そんな主人公が戻ることができない楽しい時間と、その時間と共に在った友。失った時間を思い知らせるのも、崩れ落ちそうになるのを救うのも、その友だった。残酷な内容でもあるが、最後には不思議な爽やかな気分が漂っている。この感じ、これを味わいたくて幾度となく読み返してしまう。

何度読んでも、主人公に感情移入してしまう。次に再読する時は美也子の視点に注目して読んでみたい。

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紙の本

たった1晩で飛び越えてしまった25年。そこから成長していくヒロインの物語。

2002/06/30 08:30

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

17歳の高校生の高校生だった真理子は、なんと、一晩眠って起きたら、
42歳になっていた!
しかも、結婚していて、ゆうべの自分と同じ年齢の娘がいる?
なんてこと!
17歳から42歳という、人生の花も実もある時間を、たった1晩眠った
だけで飛び越えてしまうなんて、理性のたががふっとぶような事件。
東野圭吾の『秘密』の、逆バージョンのような設定ですね。

でも、せめてもの真理子の救いは、「娘」の美也子と「夫」の桜木が、
とてもいい人であるということ。
なんと言っても、真理子の主観では、前の日まで高校生だったと言っても、
端から見れば真理子の時間はごくごく普通につながっているんですから。
真理子の言うことは、ものすごく奇妙で、妻が母がおかしくなったとしか
思えないはず。ある日突然、「自分は昨日まで高校生だった」
なんて言い張るんですから。
戸惑いながら、そして、それを信じているのではないにしても、そんな突拍子もない
主張をする真理子をそのまま受け入れようとする。
これって、すごいことですよね。
相手のありのままを受け入れるって、なかなかできるものじゃないと思う。
ましてや、真理子の主張を信じれば、美也子や桜木には自分の存在をある意味、
否定されているようなものなのですから。
でも、彼らは根気強く真理子に付合っていく。
その姿勢を見て、涙が出るほど嬉しかった。
だって、そんなことになって、1番心細いのは、真理子なんですから。
それを支える人たちが家族であって、とても嬉しかったのです。
そして、ああ、一ノ瀬真理子は、その25年間を、とても素敵に生きてきたのだと
いうことも、とても嬉しかった。

そして、その25年を失ったことが夢でもなんでもないのなら、いつか、
本物の?桜木真理子が自分の時代に帰ってきたときのために、そして、何よりも
自分自身のために、真理子は、しっかりと、地に根をはって与えられた世界で
生きようとし始める。その1歩を踏み出すのに、どれほどの勇気がいったことでしょう。
だけど、そういう姿勢が、真理子の周りの人たちの真理子への接し方に、とてもよく
似合っていて、「桜木真理子」は間違いなく「一ノ瀬真理子」の延長線上にいるのだと
いうことが、無理なく信じられました。

それから、嬉しいのは、まるで、自分の高校時代を追体験するかのように、そこに
描かれた高校生という年代を感じることができたのが、ものすごく懐かしくも
切ない気持ちにさせてくれました。

とても爽やかな読後感の1冊です。

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紙の本

17才から42才へスキップ

2001/02/25 21:01

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読み出してすぐに話に引き込まれた。
 狂った時間の軸に巻き込まれた「わたし」。17才だったのに、気がつくと自分は42才。知らない男性と結婚してる!恋の記憶もないのに!そして職業すら持ってる。どうしちゃったの?!
 主人公は17才の自分とその周りの世界に、いつか帰れるはずだと思う。読者である私も思う。なのに、全然帰れない。主人公は苦しんで、それでも最後に言う。
 「昨日という日があったらしい。明日という日があるらしい。だが私には今がある。」
 感動する。生きるということすら考えされられる。

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紙の本

今を生きるということ

2023/09/14 00:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:文庫小僧 - この投稿者のレビュー一覧を見る

時の流れを強烈に意識させられた。老いるのは誰だって怖い。25年もの時間をスキップするとなると想像を絶する。しかし元少女は強い。「昨日という日があったらしい。明日という日があるらしい。だが、わたしには今がある。」時に立ち向かう。ひたむきに今を生きていく。ふと、過ぎた年月を憂い寂しい気持ちになることがある。この本は、そんな気持ちに寄り添い、今を生きる勇気を与えてくれる。つい繰り返し読んでしまう。これはただのSF小説ではない。

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紙の本

あり得なくても共感!

2020/10/25 08:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る

意識だけ未来へ飛んでしまうタイムスリップものですが、主人公の女性の心情がとてもリアルに伝わってきます。本来、高校生であるはずの主人公は、戸惑いながらも未来の私として順応していきます。その過程はやや出来過ぎな印象もありますが、その不自然さを忘れてしまうほどのリアルな感情が胸をつきます。絶望、希望、すべて入り混ざり、激しく心揺さぶられます。そして「誰でもいつでもそこからスタートすればいいんだ」という強いメッセージを投げかけてくれるところがこの作品の素晴らしいところです。今の現状を嘆いている人には是非読んでもらいたい一冊です。

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紙の本

何が幸せか

2007/09/26 23:27

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る

淋しいけれど愛しいような。17歳から突然中年になってしまった少女のお話。
いきなり子持ちだし、恋愛経験もないのに旦那がいるし。
戸惑いが手に取るように分かるし、感情移入しました。
東野圭吾「秘密」に似た切なさも感じました。
戻るのか戻れないのか、問題はそんなことじゃないのだ。

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紙の本

ふたつの「スキップ」

2001/03/07 20:48

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:フィン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この小説のタイトルである「スキップ」ということばから、連想される意味は二つ。
 VTRで言うところの早送り。そして、軽快なステップ。この作品を含む連作シリーズが「時と人」という主題を掲げている事からすると、前者が本来のタイトルの意味なのだろう。
 しかし、読了後に改めてタイトルを見たとき感じた気持ち。それはまぎれもなく後者の「スキップ」だった。

 70年代初頭、17歳だった主人公は、ふとしたきっかけで「心」だけが25年後、40歳で教師になっていた自分に「スキップ」してしまう。外見は40歳だが、中身は17歳。彼女を取り巻くのは20世紀末の「未来世界」。25年間という時間のギャップがもたらす、主人公の違和感による笑い、ノスタルジィを随所に織り込みながらも、この物語は単なる時間旅行モノに終わってはいない。

 この物語の主題は、17歳の心をもった教師と18歳の心と体を持った生徒たちとの交流を描くことにある。教師が生徒と同じ心理、同じ目線で接するコトで、見えてくる様々な悩み、葛藤。作者はこれを感受性豊かな主人公の心情を通して鮮やかに描き出している。
 おそらく作者は、この学園物語を描くため、17歳の心を持つ教師を描きたいがために、「スキップ」という仕掛けを用意したのだろう。そしてそれが見事に物語として結実している。

 主人公と、クラスの皆が一緒になって踏む「スキップ」のステップ。その軽快な足音が聞こえてくるような作品である。

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紙の本

失われた時間

2001/02/22 23:52

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちゃぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 17歳の高校生だった私は、目覚めると42歳になっていた。四半世紀を飛び越えて、いつの間にか私は《今》にいた。失われた25年はどこに行ってしまったのだろう……?
 先ごろ待望の《時と人》シリーズの第三作『リセット』が発売されたミステリー作家・北村薫の書き下ろし長編である。この『スキップ』は《時と人》シリーズの第一作にあたる。とても男性が書いたとは思えないほど女性的で瑞々しい筆致で描かれたこの物語は、時間と人との関り、巻き戻せない時の中で生きて行くことの意味を考えさせられる。
 過去は常に私たちの背後にある。振り返ればそれはそこにあり、いつでも掘り起こして眺めることができる。それは正に自分という人間の生きた証であり、連綿と続く歴史の一部にほかならない。だが、唐突にそれが無くなってしまったら? 気がつけば何十年という先の未来に自分が飛ばされてしまっていたら? 失われた空白の時間はどう贖えばいいのだろうか。
 答えはきっと、日々の時間の中にあるのだろう。いや、もしかするとそんなに単純な問題ではないのかもしれない。
 ケン・グリムウッドの『リプレイ』という作品がある。作者自身もかなり意識したというこの『リプレイ』では、主人公は同じ時間の中を繰り返し繰り返し生きる。このモチーフは同氏の作品『ターン』と同じものだが、この『スキップ』ではまったく正反対のモチーフになっている。主人公は当然あったはずの時間の中を一度も生きてはいないのだ。だが、本書『スキップ』とケン・グリムウッドの『リプレイ』、この二冊は、私には読者に対して全く同じ問いかけを発しているように思える。すなわち、一度しか与えられない時間の中をどう生きるのか、という問題だ。
 答えはどこにもない。また、どこにでもある。あなたには見えているのかもしれないし、見えていないのかもしれない。それは本書を読んで確かめてみてほしい。

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紙の本

知らない世界なのに知ってる気がする

2004/09/04 00:12

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Edamame - この投稿者のレビュー一覧を見る

少し前の本なのですが、家の本棚にふとあるのを見て読みました。物語の粗筋は、他の書評者の方々が、すでに書いているのであえて書きません。主人公の真理子のいた時代は、私自身は生まれておらず、全くと言っていいほど知らない世界のです。しかし、知らないはずなのに何故か妙な懐かしさを覚えてしまいました。物語の中には、真理子のいた世界(時代)を感じることができるように「植木等」がブームであることを書いていたり、「ショーケン」や「ジュリー」という言葉が出てきたりしていて、懐かしさを表現しています。しかし、だからといってそのことが私に懐かしさを感じさせるものとは思えませんでした。どうしてなんだろうと私自身考えた結果、17歳の真理子の学校生活に懐かしさを覚えた理由があると感じました。文化祭に向けて、ガリバーの張りぼてを作ったりする様子に私の学生時代の思い出と重なる部分があったのかもしれません。その学生時代にいきなり42歳になっってしまったら、自分はどうなるだろう…学生時代の自分と主人公を重ねた私は、自然に自分自身が主人公のように感じながら読むことができました。
 17歳から42歳へいきなりなって、42歳の自分になりきることなんか無理です。物語では、42歳の真理子は高校教諭を職業としているのですが、実際には適応できるはずもありません。教師の仕事はそのような簡単にできるものではなく、少し話が飛躍しているようにも感じます。しかし、何だか懐かしくて甘酸っぱい気持ちで読ませてくれる物語です。きっと、20代の人が読んでも、この甘酸っぱさは感じることができるのではないでしょうか。この本を読んで、自分の昔に浸るのもいいかもしれませんよ。

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紙の本

もう一人の真理子はどこへ

2023/07/20 23:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る

若い頃に読んだ時はターンやリセットと比べてイマイチだった記憶ですが、歳を経た今読むと面白く感じました。
17歳の真理子の魂?が25年後の自分の体に宿るというお話ですが、記憶喪失ではなく、それが本当に起こった事として、では42歳の真理子の魂はどこに行ってしまったのでしょうか?もう二度と元に戻る事はないのでしょうか。
終わり方を読むと、元には戻らなさそうだと感じますが、そうするとかなり切ないと思いました。家族にとっても。最後に美也子の事を娘として呼んでいましたが、お互いそう割り切れるものかなと。
25年後の世界で教師として生きていく事を決めた17歳の真理子さんはすごすぎる。精神的に大人だし、強い人ですね。

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紙の本

読後感に浸れる

2022/06/18 14:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る

日経の書評欄で目にして手に取りました。
時をスキップする、という考えが荒唐無稽ではなく、妙にありそうだなと思ってしまう。
今を生きることの大事さというのも、何となく感じました。
にしても、こんなことがないことを願っています。

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