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遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)
遠い山なみの光
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紙の本
戦後の長崎
2022/05/17 16:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
カズオ・イシグロのデビュー作だという。
敗戦後の長崎が舞台。戦争に、原爆に、だれもが傷ついていた時代。それを乗り越えようもがく人々の営みを淡々と、悲しく、美しく描く。
新しい時代に適応したいのにうまくいかない。そんなままならなさが幻想的に伝わってくる。翻訳とはいえ、これがイシグロ文学なのだろう。
紙の本
購入依頼が増えました
2021/05/15 22:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tkm - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル賞の受賞までは、カズオ・イシグロさんを存じ上げなかったのですが、受賞以降、家族や知人に購入を頼まれることが多くなりました。この本もその中の1冊です。
紙の本
義父は結構面倒くさい人
2020/08/29 23:12
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品はイシグロ氏の初長編で王立文学協会賞を受賞している。これまでに読んだ順番からすると「わたしを離さないで」「日の名残り」「忘れられた巨人」と読んできて4作品目なのだが、近未来SF、純文学、ファンタジーといろいろなジャンルの小説を書ける人なのだと思っていたのだが、この初めての長編ではルーツである日本(長崎)を舞台にしていたのか。どうして日本人の夫と結ばれたのか、そして義父とはどういう関係にあったのか、そして夫とはどうして離婚したのか、そしてイギリス人の夫とはどうして知り合ったのか、そして・・・・と文章化されていない疑問がいくつもあるのだが、それは読者の想像にまかせるということなのだと勝手に解釈して読み進めた。特に印象に残ったのは謎の多い友人・佐知子が思っていたほど馬鹿な女でなかったこと、義父の緒方さんが(私が)嫌な人だったこと。
紙の本
うーむ
2020/08/02 18:55
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
会話の部分がとても日本人風でない感じがかえって新鮮でした。
日本人以外が描く日本人のイメージとでもいうのか、そんな風に見えているのかなと思いながら読みました。
紙の本
読みやすい
2020/04/10 10:39
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kazu - この投稿者のレビュー一覧を見る
カズオ・イシグロの作品は初めて読みましたが、思ったよりも読みやすかったです。
多分、会話のテンポがいいんだと思います。
紙の本
得体の知れぬ不安感
2019/07/14 19:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
長崎が描かれる。
期待して読んだ。
だって、ノーベル文学賞だもの。
村上春樹だって、評価してたもの。
ミステリアスな会話が続く部分はけっこう楽しめた。
ただ、翻訳文であるだけに、
もとはどんなテイストなんだろう、
この訳文でいいのかしら、
などと、自分で評価できない部分が気になってしまった。
稲佐山の「ケーブルカー」が出てくる。
え、ロープウェイちゃうん、と思って読み進めると、
描写からすると、やっぱりロープウェイやんか。
そんなことも、落ち着いて読めなかったひとつの原因。
また、長崎時代の回想の章は、常に得体の知れぬ不安感、悲劇の予感みたいなものがつきまとって、それも落ち着かなかった理由の一つ。
電子書籍
翻訳の問題
2019/04/30 15:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:林濤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
決して誤訳ではない。しかし何かが違う。
以前購入したこの本を原文片手に読み返している。のっけから仰天した。
訳文では、「ニキ、」で始まる冒頭の一文を読むと、これはニキという人物に語りかけているのだと錯覚してしまう可能性がある。勿論そうっではなく、読み進めれば、語り手の下に娘の名前がニキなのだとはっきり分かる。しかし原文では、”Niki,the name we fainally gave my younger daughter, is not an abbreviation.”となっており、Niki = 下の娘の名前、ということが最初から明白で誤解の余地がない。
訳者が「私たちが最終的に私の下の娘に付けた名前は…」と書かなかったのは、日本語の文章としてはくどくてもたついてしまい、読者の読む気を削ぐだろうと懸念したからに違いない。
ノーベル賞作家の作品で、今なら何か国語かのテキストが手に入るだろう。10連休等でたっぷり時間があるのなら、比較対照しながら読むというのも、贅沢な楽しみかもしれない。
紙の本
不思議な世界?
2017/11/21 12:06
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル文学賞作家の作品とは、どんなもの?
一言で、「不思議な世界」
どことなく村上春樹の小説を読んでいるかのような気になった。
この「遠い山なみの光」は、原題「A Pale View of Hills」である。
「女たちの遠い夏」という邦題で、1984年に刊行されたこともあるそうだ。
カズオ・イシグロ作品の中から最初に選んだ本である。
同時期に長崎で生活していたので、どう表現しているか興味があった。
作者の小さな頃の記憶なので、
あの頃の長崎の風景の再現ではないが、
稲佐山から見た「長崎の港の風景」が日本での鮮やかな記憶として、
この作品を爽やかにしている。
電子書籍
おもしろかったです
2017/10/12 19:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おでんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
明るい話ではなく、なんとなく不気味な雰囲気さえ漂っているような感じがしました。
主人公悦子の視点で描かれていて、客観的な描写が多いですが、どことなく佐知子に対して憧れ、嫉妬のようなものがあるように感じて、おもしろいなと思いました。
この作品がイギリスでどのように評価されているのかきになるところです。
紙の本
初めに戻って、また読み返したくなる
2016/02/12 00:38
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トオルちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私を離さないで」を読んでから、カズオ・イシグロの世界にはまってしまいました。読み終わってから、また最初から読み返したくなる。推理小説ではないのに、不思議です。読む前と、ものの見方というか、世界観が変わってしまったような気がします。戦後の日本の人々が、どんな希望、あるいは絶望を抱いていたのか、ほんとのところを知りたいと思いました。もう80才以上の人が、この小説を読んだら、どんな感想を持たれるでしょうか?
紙の本
英国人に「うどん」がわかるのだろうか?
2014/09/28 09:48
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wayway - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、著者が日本生まれであり、内容も日本についてのものであるこ
とから、日本の作品と思われるが、間違いなく英国で英語で発売され、
それが和訳されて我々が手にしていることになる。
なんと、英国人に長崎は分かるとしても、「うどん」がわかるのだろうか?
とは、余りにも細かいところにこだわりすぎているのだろうか?
しかし、そう私が思うくらいに日本の小説ぽかったし、主人公と佐知子さんの
会話、あるいか主人公と娘ニキのやりとり(会話)が中心の小説を、果たして
英国人がどう評価するのだろうか(ちゃんと賞まで貰っているのだから心配
しなくてもよいのだが・・・)と思ってしまった。
この引き込まれた感は、私の中では漱石の作品を読んだときに感じたものに
似ているのだが、作者はその辺も意識したりしているのだろうか?
戦争。被爆体験。日本から英国への移住の憂鬱感。
二郎。緒方さん。佐知子さん。万里子ちゃん。藤原さん。
松田重夫。ニキに景子。いまの夫。
それぞれが何を意図するのかは、いまは分からないが何度か読んだときに
分かる予感がある。(何度も読み返したくなるということ)
兎にも角にも、満足度の高い1冊である。
紙の本
小津安二郎の映画を観るようです
2011/05/17 19:53
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は翻訳「遠い山なみの光」の原書です。著者は長崎に生まれて5歳から一家でイギリスに渡っています。日本人ですが今はイギリスに帰化しています。
ストーリーは戦後まもない頃の長崎での出来事を中心に、主人公 Etsuko エツコ の視点で描かれています。話としてはとくに浮き沈みもないもので、多分10年前に読んだとしたら今のようには楽しめなかったでしょう。私も色々な経験をして、年齢を重ねてきたということでしょう。
本作は彼が28歳の頃の処女作ですが、登場人物、特に女性の描き方が凄い。女性が多く描かれているのですが、彼女たちの台詞もそうですが、その心情がリアルに描かれています。私はオトコなので多分に誤解しているかもしれませんが、当時(今も大差はないでしょう)の女性が見事に描かれています。
著者が28歳にしてこれを書いたということに驚きます。しかも異国の地にいながら、日本(長崎市内)の情景が見事に描かれています。著者曰く「全くの想像で日本を描いた」そうです。小津安二郎映画のファンだということは、かなり納得するところです。「引いた」「控えめな」「しみ入るような」という小津映画に通じるような魅力があります。
著者を知ったのは全くの偶然で、英語の雑誌で彼の本を薦める記事を読んだことでした。その後、著者の名前を失念してしまっていたのですが、先日NHKの番組で彼の特集(「カズオ・イシグロをさがして」)をたまたま観て名前を思い出した。彼の知名度が海外並みに国内で高いかどうかは分からないですが、多くの方に読んで欲しいと思う。
偉そうに言わせて頂ければ、日本語翻訳ではなく、是非とも原書の英語でお願いします。私は英文の美しさを語れるほど英語力はありませんが、それでも流れるような読みやすい、惹かれる英文だと思います。
他の著作も読みたくなりました。彼は、英文原書から好きになった最初の作者になりました。
PS
現時点で、bk1さんでは原書の取り扱いがないようです。是非、お願いします。
紙の本
カズオ・イシグロのデビュー作。この頃から人間の内省的な気持ちを描写するのに長けてたのですね。
2009/08/11 19:41
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小野寺健訳。王立文学協会賞受賞作品。
この作品が出版されたのは1982年のことでカズオ・イシグロはまだ20代ですね。
代表作とも言える『日の名残り』同様、過去の回想という形で語られる物語。
この作品は読者の想像力が掻き立てられるタイプの作品ですね。常に謎めいた気分で読書に浸ることを余儀なくされます。
それは主人公である語り手のわたしが何故イギリスにいるのか、何故前の主人と別れたのか、そして何故娘である景子が自殺に至ったのか。
そして物語は過去に景子を身籠っていた長崎で知り合った2人の母娘の話がメインとして語られます。
その母娘とは佐知子と万里子。
アメリカ人男性フランクに人生を翻弄される2人に首をかしげる当時のわたし。
誰しも今の自分に似た過去のある人の出来事を回想することってありますよね。
この作品はそれがその当時の時代にとっても合っていると思いました。そして特筆すべきはまるでカズオ・イシグロが日本語で書いたかのような思えてしまう見事な小野寺さんの訳文。
作者の言いたいことがわかってるが故でしょうね。
いろんな捉え方が出来るほどある意味深遠な作品だと思うのであるが、私は概ね次のように捉えています。
この物語の回想シーンにて出てくる万里子という少女、語り手であるわたしだけでなく読者も亡くなった景子に姿を重ねるのである。
そして語り手は回想することによって自分自身の過去を清算し、そしてもうひとりの娘であるニキの幸せをひたすら願っているのであろうと。
人間の価値観って本当に千差万別ですよね。
本作では戦後の時代、そして被爆地であり作者の生まれ故郷である長崎という土地も相まって、いかに生きるかということの難しさを再認識しました。
人と人との関係って本当に微妙です。
かつてはわからなかった佐知子の気持ち、今はわかるのですね。
そして肯定と否定、意味合いは180度違いますが実は紙一重であるということ。
そしてこの物語の醍醐味は“書かれていない部分のことを読者自身が類推すること”なのでしょう。
多少、評価が別れる作品であることは間違いないのであろうが、戦後の日本の国のこの時代を象徴している物語でもあると思える。
その際立ったシーンは作中の緒方さんと二郎が将棋をするシーンですね。
個人的には語り手であるわたし(悦子)が残された娘ニキに対しての愛情を読み終えて救い取れました。
そこが何よりの光明であったような気がします。
紙の本
一級品の「語り」
2003/09/22 19:44
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る
『日の名残り』で有名なカズオ・イシグロの作品を初めて読んだ。悪くない小説だけど、なんとなく嫌悪感を覚える。変な言い方だけど、この小説は優等生が書いた小説、という雰囲気がある。たとえば小説創作学科というものがあれば、そのクラスできっと「優秀である」と先生から認められる作品なんだろうなあ、と。たぶん、小説の構成とか語りの方法とか、いかにも「小説的」だ、と言いたくなるようにきっちりと生真面目に書かれてあるからだろう。お手本通りに書いた書道のようなもので。たとえば、先生のお手本通りの書道って、すごく巧いなあと感心するけれど、心を揺り動かされるということが少ない。イシグロの小説に感心したのは、きっとこの「巧さ」であり、嫌悪感を感じたのもこの「巧さ」なのだ。
小説は、母とその娘の関係を繊細な手法でもって、微妙な心理を書いている。物語は、娘、景子を自殺という形で失った悦子が、もう一人の娘ニキの訪問をきっかけに、かつて過ごした長崎のこと、そこで出会った佐知子とその娘万里子のことを回想する。悦子は、佐知子のことがどうしても理解できなかった。佐知子は、夫を亡くし、長崎の伯父のところへ身を寄せていたが、そこを万里子と飛び出し、アメリカ人男性と一緒になりアメリカへ行くことを望んでいる。娘、万里子にとってもそれが一番良いと信じている女性だ。そんな佐知子に対し、悦子はとまどいを隠せない。佐知子の生き方を否定することも肯定することもできないでいる。
佐知子の娘、万里子はどこか影をもった不気味な存在として描かれている。それは、普段悦子は、「万里子さん」と呼ぶのに、時々万里子が周囲とのコミュニケーションを拒絶する時、「女の子」と呼ぶことからも理解できる。そんな万里子は、しばしば女の人が現れると言う。佐知子は大人に関心を持ってもらうためのいたずらだと、はじめは説明していた。しかし、その女性は、戦時中、佐知子と万里子が東京で暮らしていたときに見かけた人であり、自殺したと言われる。佐知子と万里子はある日、その女性が赤ん坊を堀割の水の中に浸けていたのを目撃したのだった。
この光景は、物語中にもう一度反復される。それは、佐知子がアメリカ人男性と一緒になるために神戸に引っ越しする際に、万里子が子猫を一緒に連れて行くと言った時、佐知子はどうしても連れて行けないと言い、最後は近くの川の中に子猫を沈めてしまうのだ。
物語のはじめに悦子は、自殺した娘景子のことを語るのではない、と言っていた。しかし、佐知子と万里子の関係を語りつつ、それは次第に悦子と景子の関係と示唆しているのではないかと思われる。まるで佐知子を語りながら、悦子自身の人生を語っているようなのだ。とすると、先ほどのエピソードすなわち赤ん坊や子猫を沈めて殺してしまった女性の反復は、悦子自身、自分もその女性たちと同じなのだ、という思いを抱いているからではないか。すなわち、娘景子を自殺に追いやったのは、自分ではなかったという自責の念である。
語りたいことを直接には語らず、別のことを語りながら、言葉と言葉のあいだから非常に繊細な心理を浮かび上がらせるイシグロの手法。この「巧さ」は、まさしく小説的だと感じるのだが、一方でこのような手の込んだ仕組みに多少の嫌味を感じないこともない。これは単に個人的な趣味な問題ではあるけれども。しかし、そうは言っても、この小説の語りは一級品であることは間違いない。
紙の本
本当につらい思い出は胸にしまって
2002/05/28 07:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公、悦子の家に二人目の娘ニキが泊まりに来ている。そして、悦子の長崎時代の回想が始まる。前夫の父親、緒方さんのこと。一人目の娘、景子がお腹にいている時に出逢った親子の話。
長崎時代の夫との離婚、アメリカ人の夫との再婚そして渡米、そして、娘景子の自殺。そんな事実があったことが分かるのだが、そのことについては悦子は何も語らない。ただあるのは、長崎時代の回想だけ。悦子の気持ちは読者が推測するしかない。不思議な余韻の残る本です。