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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2011/01/01
  • 出版社: 中央公論新社
  • レーベル: 中公文庫
  • サイズ:16cm/376p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-12-205425-7

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八日目の蟬 (中公文庫)

著者 角田 光代 (著)

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逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【中央公論文芸賞(第2回)】【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

どうしようもない、母性

2011/05/10 11:53

17人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

初手から私事で恐縮ですが、現在高校生の愚息がまだほんの赤ん坊だった時に、当時30代の半ばだった姉が遊びに来て、息子を抱き上げたことがありました。普段は勝気で男勝りの我が姉が、乳飲み子を胸に抱いた瞬間浮かべたその表情が、未だに忘れられません。笑顔には違いないが、何とも美しい聖母の笑み、母親の、笑み。ああこれが母性という物かと、正直唖然とさえしてしまったのですが。この男性からすれば驚くべきとさえ言える、母性。それを物語にしたのが、本作品と言えるかもしれません。
女性は、持って生まれて体の中に母親を宿しているもの。たとえ自分がお腹を痛めた子ではなくても、小さな命を目の前にすると、母性がその子を守ろうと、守りたいと訴えかける。それが愛した男の子供であれば、なおさら。絶対に赦される事ではないと分かっていても、どうしようもなく、母性が女を、突き動かしてしまう。気が付けば乳児を抱き取り、先の見えない逃避行に、旅立ってしまう。もし自分が主人公希和子の立場だったらと考えた時…やはりある種の同情を禁じ得ない。そこが本作品の面白さであり、テーマなのだろうと思います。
またテーマだけではなく、物語の展開や構成もまた白眉。ちょうど作品を二つに分けるくらいの量で、母親が子供を連れて逃げ回る1章と、その子供が成長してからの2章とにくっきりと分かれています。1章では母親の自分と犯罪者の自分との葛藤に思い悩みつつも、乳児を抱え逃避行を続ける希和子にハラハラさせられながら進みます。また2章からは少女が成長してから、事件の経緯の説明と共に「なぜ」を解き明かしていく構成。因果は巡り、真実が明らかになっていくのです。そして二人で逃げた最後の地、思い出の島小豆島へ。大人になった少女がその場に立った時、まるで噴水から水が噴き出すかのように想い出が迸るのです。そしてあの、最後の瞬間も。母親だった女が、大声で叫んだ言葉さえも。あまりに切ないその言葉を思い出した時、かつて自分を誘拐した女も、一人の母親だったのだと気が付くのです。
さて物語も終盤にさしかかると、一体どうやって話をまとめるのかと気になった。あまりに切ない終わり方しか、なかろうと思えたので。だけど本当に仄かな明かり、未来を感じさせてくれたのがまた良かった。可能性、くらいでしかないその明かりが絶妙にこちらの心を納得させてくれ、強張ってしまった頬を少し緩めて読み終えることが出来た。この点も非常に良く作りこまれていたと感じました。
きっとあらゆる女性に共感を得られる作品であろうと思いますが、では男性には薦められないかというと、私のような子供を持った男性にこそお勧めなのでは、と思います。何故なら私たちは「自らの腹を痛めない親」という点では、主人公紀和子に非常に近い存在なのではと、思うのです。

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紙の本

「交換可能性」のドラマから「繰り返す」ドラマへ

2011/04/08 00:09

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 角田光代の作品では直木賞受賞作の『対岸の彼女』を読んだ。凝った作りのとても面白い小説だった。にも関わらず、どこか僕好みの範疇に入って来ないところがあって、『情熱大陸』のHP上で展開されたいくつかの短編を除けば、その後1作も読んでいない。
 この『対岸の彼女』は WOWOW でドラマ化された。これを観たのも原作が好きだったからではなく、出演者のひとりである多部未華子が見たかったからだ。平山秀幸が監督を務めていて、これまた非常に出来が良かった。
 そして、今度は映画『八日目の蝉』の予告編が始まった。これまた好きな永作博美が出ているので観たいと思った。そして、本屋で見て久しぶりに読んでみようか、映画の前に読んでおこうかという気になったのである。
 6年ぶりの角田作品は(と言っても書かれたのは直木賞の2年後なのだが)、あれ、この人、こんな巧い作家だったかなというのが第一印象だった。もう少しあざとくて、読んでいると時々引っ掛かってしまう作家という印象があったのだが、わずか2年間で文章もストーリーもこんなに滑らかに書ける人になったのか、という気がしたのだが、それは単に僕が『対岸の彼女』の時に見抜けなかっただけなのかもしれない。
 で、映画の予告編を見て想像していたのと少し印象が違った。映画では希和子を永作博美が、希和子に誘拐された娘・恵里菜の成人後を井上真央が演じている。この2人の絡みのシーンって予告編になかっただろうか? 編集でそれぞれのシーンが交互に出てきただけなのか、2ショットのシーンがあったのか、考えてみれば記憶が定かでないのだが、当然2人が激しく絡む映画だと思っていた。ところが、小説ではこの2人が絡むシーンがほとんどないのである。
 小説の半分以上を占める第1章は、希和子が赤ちゃんを盗むところから始まる長い長い逃避行である。親友の家。得体のしれない婆さんの家。宗教団体のような、女ばかりが共同生活を送る宿舎、そして小豆島。──希和子は子供を連れて転々とする。すんでのところでいつも逃げる。そして捕まる。随分起伏に飛んだドラマがあるが、希和子が逮捕された時、彼女が薫と名付けた娘・恵里菜はまだ幼児である。
 そして、第2章は成人した恵里菜が物語を語って行く。そこに、かつて同じ組織で集団生活を送っていた千草という娘が現れる。これが多分映画では小池栄子がやっている役だと思う。ネタバレを避けるために書かないが、第2章も結構重い話である。誘拐から解放された恵里菜は決して幸せに育ってはいなかった。心に大きな傷を抱えていたのである。
 却々緻密に組み立てられた設定である。進行もとても巧みで、読む者の気を逸らせない。タイトルの付け方、そして、そのタイトルへと繋がるエピソードの入れ込み方も見事である。そして、余韻がある。深い深い余韻がある。
 『対岸の彼女』は交換可能性のドラマであったと思う。いじめる側といじめられる側が、ちょっとしたことで入れ替わってしまっても何の不思議もないのだというドラマだったと思う。それが、この小説では「繰り返す」というテーマに収束しているような気がする。ま、あまり書くと面白くなくなるのでこの辺で留めておこう。
 巻末にある池澤夏樹の「解題」を読んで初めて気づいたことがある。それは、そもそもこの小説では登場する男性の数が少ないが、出てくる男が皆どうしようもないほど頼りがいのない、嫌なことからただ逃げようとするだけの男だということである。こういう男の存在によって、女たちが「繰り返す」ことになる。それは悲しいこと。でも、繰り返すことによって単なる憎しみから痛みの共有へと変って行く。
 悲惨な話を書きながら、作者の温かみがしっかりと伝わってくる作品である。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

角田光代さんはすごい!この読了感は永遠に続くみたいに思える。

2011/03/08 14:32

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェラテ愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る

母親と言う役割とは一体何であろうか?子供にとって幸せとは一体何であろうか?読了後もいくつもの問いかけに頭を振り回され、混乱している私がいます。

母親だけれど、母親の役目をしない母親。母親じゃないけれど、とても大事に愛情深く子供を育てる他人。誰が間違ってたのか、誰も間違っていないのか、もちろん子どもを連れ去り逃げ回った、希和子は犯罪者だ。しかし、それをも超越してしまう、希和子の愛情の深さに脱帽してしまう。

一体何なのか、目撃されて下さい。いや、目撃とはいかにもマスコミ風で違った表現をしてしまった、読んで打ち震えて下さい。愛情とは何か?子どもに必要なものは何か?この読了感は、いつまで私を捉えて離さないだろうと思う。角田光代さんはすごい!私はいつでもこの話を思い出すだろう。あらゆる場面で。あらゆる時間に。

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紙の本

「八日目の蝉」ってどういうことなのだろう。巻末で池澤夏樹が「この小説を読むに際して、まず育児が快楽であることを確認しておこう」とその悦びの経験?を語っているのだが、これは蝉とは無関係。死の淵にたってこその真の再生ってことかな。いやそんな長生きの蝉はいないね。このタイトルに託した著者のメッセージはどう考えても謎である。いっそ、「空蝉」のほうが深遠で想像するに広がりがあっていいのじゃぁないだろうか。

2011/04/09 00:45

8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画化されまもなく上映とテレビでしょっちゅう宣伝されている。話題作ということで野次馬的に手にしたところ、たまたま同年代の友人が電話で、ちょうど読んでいるところだという。彼はなんでこんな作品がベストセラーになるのかと腹を立てていた。が、あえて理由は聞かなかった。

「逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか………。東京から名古屋へ、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活。そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶられるラストまで息もつがせぬ傑作長編」
「優しかったお母さんは私を誘拐した人でした」
「罪深い逃亡の果てに母と娘が見た光―――」

性衝動も手伝って、とても優しい彼だから、結婚している男だけれど彼女は好きになりました。そして妊娠しましたが、奥さんは許してくれそうもなく、彼は離婚ができません。仕方がないから中絶し、子供の生めない体になりました。それでも優しい彼だから、彼女はあきらめきれないで、ずっと彼につきまとう。彼ら夫婦に子供がうまれ、あまりにかわいい女の子だから自分の子として育てよう。女ならば母性の本能そのままに、にっこり笑いかけた乳飲み子を抱っこ、そのまま遠くへ旅立った。他人の子供だろうと自分の子供だろうと母子の愛には変わりがない。母と子の絆ほど強いものはない。警察の追及からなんとしてでも逃げのびて、私はあなたを守る。それが私の生きがいだ。世間にはおなじようにかわいそうな女がいてお互い寄り添いながら生きているところもあった。そこは全財産の運用を任せるだけでとても面倒見がいい集団だった。だから親の残した保険金・4千万円を寄付することもためらいません。周囲の人はみなさん善意の人たちです。意地悪そうにしていてもどこかで私たちをかばって励ましてくれます。

昭和60年ごろのお話だからまだ当時の日本女性は女の業というのでしょうか、こういうかわいそうな女性が多くおられたんでしょうか。「女は弱し、されど母は強し」という古い言い伝えは腹を痛めた経験を前提にしているのだけれど、誘拐という現代的テーマで装いをあらためたものかもしれません。

後半はこの女の子が大学二年生に成長して始まります。

やはり結婚している男だけれど、性衝動も手伝って、優しい彼が好きになり、やはり彼が離婚できないままに妊娠します。ところで時代が変わっています。生みの親と育ての親を冷静に見つけることのできた女性として、彼女は親たちには見えなかった新しい世界への踏み切りを決意するのでした。

ベストセラーになった作品ですから
「あなたは一人じゃないよ」
「みんな見守っているよ」
と多くの読者から善意の支援が聞こえるようです。
私だって彼女が育ての親に再会できることを期待し、新たに踏み込む世界で平穏に暮らせる明日を願っています。

ただ、リアリストであるオジサンとしては、彼女がどうやって食っていくのだろうと、気になって仕方がありません。
余計なお世話かもしれませんが、自己陶酔はほどほどにして、とりあえず就職先を見つけなさいと忠告します。

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紙の本

腐ったやつらにあらがい続ける母性愛。

2017/05/14 00:14

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

角田作品は、「キッド・ナップ・ツアー」「対岸の彼女」に続き、
三冊目の読了となる。正直に言うと、最初この本に手を
出すつもりはなかった。それくらい対岸の彼女から受けた衝撃は
強烈だった。

しかし書評の評判も高く、ドラマ化・映画化もされたうえに
アカデミー賞でも圧倒し、私は翻弄されるばかり。
魔が刺すように手元に本が来ていた。
相変わらずヘビー級のボディブローが連続する作風だったが、
感動したので書評に残そうと思った。

それにしても、角田さんは悪意たっぷりの描写がいつも冴える。
個人的な趣味からすると、そこんトコはもちっと控えめにして
もらえませんかねえ、と希望だけ書いておく。

冒頭から引用する。
> ドアノブをつかむ。氷を握ったように冷たい。その冷たさが、
> もう後戻りできないと告げているみたいに思えた

部屋に忍び込んだのは希和子。あの人の赤ん坊を見るために
行動をおこす。たぶん、ちょっと見るだけだったはずだ。

しかし、赤ん坊の泣き声を聞き、涙を見てしまう。
赤ん坊の目に希和子が映り、笑い顔に変わったその瞬間、
希和子の感情がほとばしり、全てのリミッターが外れ、
気がついたら赤ん坊を抱いてタクシーに乗っていた。

希和子は逃げ続ける。いくつかの運命的な出会いがある。
歪んだ形の母と子を、目に見えない力で押し流すように、
物語は進んでいく。
後半、希和子の取った行動、背景、あの人のことなど、
ぽつぽつと明らかにされていく。角田さんらしい硬質の
抑えた展開が待っている。

一瞬、母性愛はすべてのものに勝ると錯覚し、でも
惑わされてはいけないと自らを戒める。
女性が読むと、この対立は鋭利な刃物のように
感じるのではないだろうか。

終盤、家族のありかたの根源が揺さぶられる。
心も頭も、強く共鳴してしまう。
家族の中の憎しみがもたらす、小さな安寧と大きな圧迫。
角田さんの描きたかった母性愛は、腐ったやつらに対する
反面教師的に、きらきらと輝いている。

これは詭弁だ、現実世界では犯罪じゃないかと、
声を上げたくなる。この本を読むまで忘れていたが、
新潟で少女監禁事件があったことを思い出した。
そして、おかしいと思いつつも、角田さんの世界にどっぷりと
浸っていることに気付く。迫力のある作品だと思う。

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紙の本

相対的な2人の主人公が切ない

2014/05/06 08:42

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BACO - この投稿者のレビュー一覧を見る

貫井徳郎の本を読んだあとにすぐ読み始めたので、貫井徳郎が作者なのかと勘違いを起こしてしまった。
なんとなく文章表現などが似ている感じがして、読みやすかった。
文庫本の厚さは普通であったが、とても長い物語を読んだ気がして、充実感が感じられた。
赤ちゃんを誘拐して、逃避行を続ける主人公がとても人間味があったので、なぜか逃げ切ってくれ、頑張れ、と応援してしまった。
第二章には主人公はほとんど登場せず、その誘拐された赤ちゃんがメインとなって物語が進むが、逆に今度はその人物を「なんでこうなっちゃうかな~?」と否定的に捉えてしまった。
一生懸命守り抜こうとする誘拐犯と、本来あるべき場所に戻った子供とが相対的に見えて、切なくなってしまう。ただ、ラストは私好みの終焉で良かった。

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紙の本

飯食ってなんぼ

2014/02/12 01:40

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:英現堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る

人間やっぱり、飯食ってなんぼのもんじゃ。ほんでもって子供にはしっかり食わせるのが、何よりも大事。わが子となるとそりゃあもう、飯の心配ばかり。ああ、ごちそうさん。
 NHKのドラマ10でこの『八日目の蝉』を見た。主演は壇レイと北乃きいだった。別れの最後の言葉に心を打たれた。映画の『八日目の蝉』も観た。主演は永作博美と井上真央だった。そして原作を読んだ。それぞれ微妙に話を変えているが、母親の心配するところは同じ。そんなことをいつも気にしている。その瞬間は本当の母親だ。なんかいいよね。

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紙の本

締め付けられるような

2021/12/04 17:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

むごい。
何故、このふたりは実の母娘ではないのか。その事実がふたりを、関わる人々を追い込んでいく。
犯人と彼女が不倫相手の家から攫ってきた赤ん坊という位置づけの残酷さ。
それでも、その残酷さの果てにも希望はある。

彼女たちの人生に光があるといいのだけど。

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紙の本

明日が見えない絶望の中でも。 生きていること以上の宝はない。 宿命の中でも生き抜く素晴らしさを描いた、角田光代の人間賛歌。

2021/10/19 10:32

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る

不倫相手の新生児を発作的に誘拐してしまった希和子。

友人宅へ。
立ち退きを拒み居座る老女宅へ。
社会から隔離された「エンジェルホーム」へ。
そこで知り合った久美の実家のある小豆島へ。

薫と名付けた少女が4歳になり、小豆島からも逃げようとした時、希和子は逮捕される。

「誘拐犯に育てられた子」として、薫でなく恵理菜としての人生が突然はじまる。

家庭はめちゃくちゃ。友達もいない。だが、帰るところもない。

大学へ進学した真理菜は、ひとり暮らしをはじめる。

そして、妻子ある人の子どもを身ごもってしまう。

21年前のあの人のように。

「八日目の蝉」というタイトルは、七日で死ぬ蝉の断末魔の叫びを思わせた。

だが、読後に全く逆の意味があることを知る。

どんなに救いようのない状況でも。

明日が見えない絶望の中でも。

怨んで怨んで怨み抜いても。

苦しんで苦しんで苦しみ抜いても。

生きていること以上の宝はない。

生きて見つめる景色こそ、その足で歩む人生こそ。

宿命の中でも生き抜く素晴らしさを描いた、角田光代の人間賛歌。

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紙の本

数々の傑作を世に送り出しておられる角田光代氏の傑作長編小説です!

2020/07/22 10:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、『まどろむ夜のUFO』、『ぼくはきみのおにいさん』、『空中庭園』、『対岸の彼女』など、数々の話題作、名作を世に発表してこられた角田光代氏の傑作作品です。同書も中央公論文芸賞を受賞された名作です。同書の内容は、「逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか」と思い悩みながら、それでも、東京から名古屋へひたすら行き当たりばったりの女たちにかくまわれながら、逃げ延び、そして小豆島へたどり着きます。偽りの母子の先が見えない逃亡生活を描き、読者に、彼女たち二人に光はきざすのかとドキドキさせてくれる長編傑作小説です。ラストまで、読むことが止められません!

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紙の本

ありありと。

2019/11/18 20:52

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:miyajun - この投稿者のレビュー一覧を見る

かなしいことも、こわいことも、よろこびも、ありありと浮かばせる。

登場人物はきっと窮屈なのに、とてつもない解放感を感じさせる。

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電子書籍

寂しくて仕方がない人たち

2017/05/27 20:40

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

ダメ男との付き合いを断ちきれない。血の繋がらない幼児に異常ともとれる愛情を注ぐ。見ず知らずの母子を自宅に上げる。母の仕事中に幼児の子守りを引き受ける。自分の娘のように仕事や子どもの世話をする。もしくは、子どもに受け入れられていないように感じて、子どもにどう接していいのかわからない。この作品に出てくる女性は皆それぞれに、愛情を与えることを欲しているのに叶えられず、非常に寂しそうだった。

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紙の本

母との関係を考えさせられる

2023/04/13 19:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公は2人の女性。不倫相手の子、恵理菜を誘拐して3年半育てた希和子と、大人になった恵理菜。
と書くと、希和子が悪者のように見えるのだが、「八日目の蝉」を読むと、そんな風には思えない。
世間的には希和子は犯罪者なのだが、恵理菜にとっては愛情深い母親だった。
むしろ本当の母親との方が確執を抱えている。
実の母親よりもそのまま希和子に育てられた方が幸せなのではなかったかと思うのは私だけではないはず。

この本を読んで、血のつながりよりも実生活の積み重ねの方が尊いのではないかと思わされた。
そして、私は希和子が恵理菜に注いだほどの愛情を実の子に注げているだろうか。
自問する毎日である。

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紙の本

読後の余韻に浸る

2022/04/04 14:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カレイの煮付 - この投稿者のレビュー一覧を見る

切ないという読後感が浮かぶ。主人公が子どもを誘拐した罪は消えないが、精一杯愛情を注いで、その子どもを守って来たことには救われる。穏やかで楽しい記憶が、誘拐された子どもに残っていることが、せめてもの救いと思った。

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紙の本

「女」と「母」を描いた一冊。

2011/05/27 21:56

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ずいぶんと前からタイトルは目にしていたのだけれど、今一つ手に取るまでにいたらなかった小説。内容はあまり知らずに読み進めたわけで、途中でとても驚く展開があった。同じように何も情報を得ていない方がこの文章を読むことで展開を知ってしまうということはできれば避けたいので、未読の方はご注意いただければ、と思う。

野々宮希和子は、不倫相手の子どもを身ごもったが、相手の秋山丈博に説得されて中絶。いずれ離婚するから・・・と言い続けていた秋山の言葉を鵜呑みにしていた希和子。しかし、その直後、秋山の妻・恵津子も妊娠していることを秋山から聞かされる。別れようとするのに、追いかけてくる秋山。いや、振り切ろうと思えば振り切れるのだろうけれど、ね。難しいわけだ。そして、とうとう恵津子にバレた。恵津子は秋山に向けるべき怒りを希和子に向ける。容赦ない残酷な言葉を投げかける。

精神的にも相当に追い詰められていたのだろう。希和子は朝の20分間、赤ん坊を残して秋山夫婦が家を空けることを知って、忍び込む。自分が産めなかった赤ん坊の姿を、恵津子が産んだ子供に重ねたのか。赤ん坊をあやそうと抱いた瞬間、もう離せなくなった。そのまま誘拐。

そこからは逃げるだけの毎日。男の子でも女の子でも使える名前にしようと、自分が妊娠していた頃に決めていた「薫」という名前をその赤ん坊に付けた。自分が産んだ子。そう思いこもうとしていた。その子との幸せな日々を夢見ながら。けれど現実は逃亡生活。人の目を避けながらの日々。そうしてたどり着いた小豆島。島のゆったりとした生活で自分たち”母子”の居場所を見つけたと思った。結局、仮の”母子”生活は3年半で終止符を打つことになる。

前半は希和子と薫の生活。後半は恵理菜(薫)が実の両親の元に戻ってからの生活。

「誘拐された子供」と奇異の目で見られる生活が恵理菜の心を蝕んだ。いや、実の両親も突然現れたわが子をどう扱っていいのか戸惑っていたわけで、恵理菜はその気持ちを嫌と言うほど感じていたのだ。彼女を見るたびに夫の元浮気相手を思い出すという母。逃げてばかりの父。事情を理解できないまま知らない場所に放り込まれた自分。恋しい人や場所から無理やり引き離されて、居心地の悪い「実の家族」のもとで暮らさざるを得なくなった。彼女が憎むべきは何だったのだろうか。

営利目的ではない誘拐事件。数年間、実の親以外の人の手で育てられた子供のその後というものを想像したことはなかったな・・・。実の親の元に戻ってきたからと言って、当然「めでたし、めでたし」で終わるわけはないんだ。ある程度、成長したあとに誘拐された場合はどうだろう。それでも、同じか・・・。

七年土の下で暮らし、やっと地上に出たと思ったら七日間で死んでしまうといわれる蝉。八日目を迎えてしまった蝉がいたらどうだろう、というのがタイトルの趣旨か。七日間で死ぬといっても仲間もみんなそうなのだから哀しむことはない、けれど自分だけ八日目まで生きてしまったらどうする?

読了直後の今、いろんな感情が渦巻いていてまだ整理しきれない。悪意も善意もなにもかも。ただ希和子には幸せになってほしいと思うし、恵理菜(薫)も千草も。このあと、希和子と恵理菜が会うことはあるだろうか。かつては母子として暮らした二人が・・・。

誘拐を美化する小説ではないと思うし、そうであってはいけないと思う。「女」を描いた小説なのかなぁ。「女の情」を描いた話。そんな気がする。

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