紙の本
軽やかに重苦しい考察
2017/07/22 21:43
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず軽やかな文体でキツい事を語る内田氏。秋葉原無差別殺人事件の考察が印象に残りました。ありのままの自分と頭の中で肥大化した在るべき姿とのギャップであそこまでの事件になってしまうのだから救われない。
紙の本
警句に満ちています
2019/07/05 20:33
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
内田樹センセイの『呪いの時代』を読みました。
書かれてから何年も経っているのですが、内田樹の本は警句に満ちています。
たとえば、こんなの。
僕たちの時代にこれほど利己的で攻撃的なふるまいが増えたのは、人々が「自分をあまりに愛している」からではありません。
逆です。
自分を愛するということがどういうことかを忘れてしまったせいです。
僕たちはまず「自分を愛する」というのがどういうことかを思い出すところから
もう一度始めるしかないと僕は思います。
紙の本
「呪いは破壊を目指す」
2015/11/21 23:31
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なかなかインパクトのあるタイトル。
2008年から不定期に「新潮45」に掲載されたエッセイを中心とした本です。
第1章 呪いの時代
第4章 英語が要らない奇跡の国
第6章 「草食系男子」とは何だったのか
など様々なテーマで内田樹さんらしい言説が繰り広げられています。
なお、数年前に出版されたモンキービジネス14号に内田樹さんが書かれたエッセイ(「原発神社」「うめきた大仏」などがキーワードとして登場)は秀逸、と同時に内容が圧縮されている印象を持ちました。それが、この本の第10章 荒ぶる神を鎮める、で腑に落ちました。
以上のような内容に少しなりとも興味を持たれた方、一読をおすすめします。
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2008年から震災後にわたって不定期に『新潮45』に寄稿されたエッセイを中心に編んだ本。
内田樹らしく、いちいち腑に落ちる話がぎっしり。
呪いと祝福、日本における英語と翻訳文化、就活・婚活というビジネスモデル、草食系男子という戦略、交換経済から贈与経済へ、炭鉱のカナリアたるには、達意のための姿勢、原発=荒ぶる神の鎮め方、科学と身体、など。
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深い洞察に敬服。
安易な(とはご当人達は思っていないのであろうが)英語教育の導入が日本の社会・政治・経済に及ぼであろう影響を指摘する。また、そもそも英語でのコミュニケーションを前提とするという意味について、英語文化圏の者を勝者として固定化することであり、その背景にある戦争勝者への従属であることを理解せよ、と説く。
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戦後日本の呪い的諸状況を書き表す。
「自分探し」という呪い。
教育の産んだ「受験生マインド」。
ノイズ、兆しを察知しようとすることを忘れた日本人(現代人)。
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これぞ内田樹さんというような内容。
少し前の著作だと思いますが、彼が書いている
述べている内容は今と変わらずぶれない内容
だと思います。悪く言えば使いまわしですけど
この本に書かれてあるすべてについて、
ものすごく大事なことばかりだと思います。
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内田さんの言説は、なるほどな~と思うことが多いんだけれども、それはちょっと言い過ぎちゃうかーと思うこともある。「呪いの時代」という言い方はちょっと違和感があるけど、言っていることには同感する。
マスコミをはじめ、ツイッターなどのネットメディアでも、他人への批判や悪口であふれている。顔の見えないところから他人を攻撃するのは卑劣な手段だ。そしてそういう輩は、何かに文句をいうことはあっても、何かを提案したり、創りだしたりすることはない。文句を言うだけ、攻撃をするだけ、バッシングをするだけ。
最近もそれで科学者が一人なくなった。
そういう「空気」は僕は本当に嫌いだけど、どうしてそういう空気が蔓延する国になってしまったんだろう。
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文庫で読み始めたら、ママヨさんが単行本で読んでいた。学生と接していた研究者だけに、自己評価と外部評価、自分らしさへの言及が興味深い。
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やはりこれは、いつ読んでも名著。
頷けるところもあるし、そんな考え方をするのか、と新鮮なところもあり、読んでいて飽きない。
呪いの時代、読むのは三度目やけど、今回読んでみていつもとはちがうところに心が動かされるところがあったりして、そういう変化も含めて楽しく読めた。
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三年前に刊行された本が文庫化されたので手に取った。内容は先生が出演なさっている『辺境ラジオ』でも語っておられるものと重複している内容が多々あり、既視感はいつにもまして高かった。
けれども、はたと膝を打つ考察もあります。たとえば、「あらゆる呪いは記号的」すなわち「抽象的で、一般的で、反復的」だとした上で『源氏物語』の六条御息所の例を引き、葵の上に対する嫉妬心を自分の固有名において引き受けることを拒絶したために、嫉妬が記号化し葵の上を取り殺す結果となったことを指摘しています。この指摘に目から鱗が落ちるのはもちろんですが、日本文化という文脈に限定されはしますが、普遍的な形で「呪詛」の構造を物語にビルトインした紫式部の並外れた慧眼には感服せざるを得ません。いまさらか。
他にも興味深い指摘はあります。「努力することへのインセンティヴを傷つけるというのが社会的差別のもっとも邪悪かつ効果的な部分なのです」という指摘です。前述の『六条セオリー』とも関係しますが、昨今のヘイトスピーチ的言説がはらむ呪詛的な性格をうまくいい表してるのではないかと思います。
というのも、対象物への呪詛は、それを見聞して溜飲を下げている人々に対しても、「既得権益を持ってる連中がその権益を手放さない限り、努力しても無駄だ」と思わせ、社会への積極的コミットメントを損なわせようとする力を持つからです。「人を呪わば穴ふたつ」と申しますが、最近は「呪うひと」「呪われる対象」の他にも「呪いで溜飲を下げるひと」さえもが呪詛の対象になるようです。恐ろしい世界になったもんです。
誰をも賦活させない言説を呪いとするならば、匿名の掲示板に書き込まれる多くの文言が、呪いとして機能している世界に我々は生きているということを、まざまざと実感せざるを得ません。
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「呪い」をキーワードに現代社会を見る。
必要なのは呪詛ではなく祝福であり、贈与の経済である。
と説く。
個別に仰ってることはとてもよくわかりますが、
まだまだ血肉化できてないのが現状。
2回読んだのにね。
これからを生きる上で必要な1冊。
なにって装丁が可愛い。
もう一度落とし込みたい。
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中身はいつもの話しではあるけれど、タイトルがすごい。『呪いの時代』と言い当てるセンスが光る。特に原子力発電所を「祟らないように祀り畏れる」ように扱うべき、というところ。(第10章 荒ぶる神を鎮める)
そして文庫版あとがきの、「さきの戦争での絶望的な敗戦」は戊辰戦争の呪詛の結果であり、今日の混乱は太平洋戦争の呪いの結果仮説。確かに、初めて聞くとそんなバカなと思うものの、聞けば聞くほど腑に落ちる。
願わくば、呪いではなく祝いを。両者は表裏一体なのだから。
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本屋でジャケ買い。直感がまるで物を言うようにそれが必要なのだ、というのを度々感じるがこの本も全くその通り。買って正解。
前半を読み進めながら、何度も耳が痛いなーと思うところもあったが、辛抱強く読み続けているうちにこの人の言いたいことが段々わかってきて、最後には全体的に、なるぼどそうですねーと納得させられることになる。
とくに最終章にかけては、現代日本の科学立国化と日本の太古からのアミニズムから来る霊性の対比の論説は、ながく感じていたけど、自分自身ではうまく言い表せられない事柄を、この著者はうまく書いておられる。
何かを変えなくてはならない状況にあり、それを実際に変えるためには、まずやってきた痛みやつらさを感じて、それを受け止ることが必要となる。そのために何か必要であり、それは何かを信じる力だという。そこで著者は時代を遡のぼり太平洋戦争下の日本人は敗戦後にそれまであった社会構造、信仰、信条などが一辺にガタガタと崩れ去り、そのとき日本人の多くが「何も信じない」ことを信じる、という信仰を選んだのだろうといっている。このことが第二次世界大戦後に科学立国の日本、経済力の日本という神話へむかって何かに駆り立てられるように突き進んで行ったと語っている。そしてそのことは東日本大震災後の原発事故における問題にもその影響が及んでいるのだと話を進めている。確かにあれだけの被害を被ったにもかかわらず日本総体として、原子力というパワーを手放せない理由は、意識している部分以上に無意識下での影響からきているのかもしれない。
時代は点ではなくて線でつながっており、要は今必要なのは日本人が共有する全時代的に大事にしてきたことは何かというとことを見直すこと、そのバランス感覚の再認識だということだと思う。
にしても理屈っぽいと思う。女性にはうとまれそうな本だ
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ちょっと久しぶりに読んだ感のある内田節です。相変わらず舌鋒は冴えまくってて、”呪い”っていうおどろおどろしいタイトルに基づいて、でもいつも通りの論旨が繰り広げられます。ちょっと走りがちに読んでしまったのもあって、十分な内容咀嚼が出来てない感があるけど、また読み直して理解を深めたいと思います。