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アラスカに夢を抱き愛した白人たち、そしてアラスカに生きてきた先住民たちの姿が、胸を打つ。
アラスカに核実験場を作ろうとする計画(プロジェクト・チェリオット)があったのは、初めて知ったのだが、こうした人々の根強い運動で回避されたのは本当によかった。もしも核実験場が作られていたら、環境や生態系などの地球の問題は、きっと今よりも大変なものになっていたのではなかろうか。
とはいえ……先住民たちの生活環境は厳しい。昔のような、狩猟による共同体的な生活は望めない。でも圧倒的マジョリティである白人と同じ地位を手に入れることも難しい。この本を読むまで、アラスカの先住民といえば、単純にエスキモーとインディアンだと思っていたが、その部族はまた細かく分かれているらしい。
どうしてこんな厳寒の地に暮らそうと思ったのか、不思議に思っていたのだが、厳寒の地ではあっても不毛の地ではなく、むしろクジラ、アザラシ、カリブーなど、さまざまな動物が生息している豊かで魅力的な地だという説明に、はっとしてしまった。物事は、一面だけでは語れない。
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浅上さん所有
→11/07/30 浦野レンタル →11/10/29 返却
→11/10/29 西村さんレンタル →13/04/19 返却(浦野預り)
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この本を読んで星野道夫さんを知りました。
読んでいて、広いアラスカの景色にぐんぐん近づいていくようで、生きているうちにオーロラを見てみたいと思いました。
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星野道夫さんの遺作。
アラスカの近代史もその土地に住む人々の目線でストーリーになっているのと、変化する時代や自然環境を脅かされていることへの星野さんの目線がアラスカへの愛情あふれていて素敵。
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アラスカという、ひとつの、とても美しい、しかし急激な時代の流れに飲まれながらも抗い生きる、土地と人々の物語。
ここに描かれるアラスカの人々は、ある意味で悲劇的である。近代化の時代の流れの中で辺境、マイノリティとしての位置に立たされながら、変化への対応と伝統との葛藤に苦しみながら、なんとか自己を守ろうとしている。
しかし、ここで著者が出会い讃えているのは、単純な過去への感傷やノスタルジアや反近代思想に溺れることなく、日々の生活の中で、時にそれを受け入れながら、自らのアイデンティティと向き合っていく、とても楽観的で力強い生き方をしている人々だ。
受け売りの思想に頼るのでなく、巨大な絵画のような時代風景に没入するのでもなく、あくまで等身大に時代と向き合う、たくましい人々だ。
彼はきっとそんな人々に共感し、我々日本人もそのような精神的試練に立ち向かうべきときが来る、と言いたかったのではないか。
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写真もいいけど、実章は文のほうが好きかも知れない。
この人の別の本だったかもしれないが
直に自分の周りになくても、
地球上のどこかにその自然が残されているのだと思うと
豊かな気持ちになる、
というようなことを(たぶん)書いてあって、
何かひどく納得するなあ、と思った。
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去年、六本木のキャノン写真展であった写真がちりばめられ、書かれていた。この本を読んでから写真展へ行く、というのもありだったかな、と。
それにしてもこの本は、自分が「アラスカ行ってみたい」とは思っているのだが、そういう軽い気持ちで数日間いるのではもったいないな、と思わせる。
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沖縄人はどこからきたのか?というテーマをもって、本を選び読んでいると数万年前からモンゴロイドのたどった道を調べるようになった。
そんななかに、星野道夫の存在を知った。
そして、「ノーザンライツ」を手に取っ た。
「ちょっと待ってくれ。おれたちの想いは、あなた達の考えている自然保護とは少し違 うんだ。
おれたちは季節とともに通りすぎていくカリブーを殺し、カリブーとともに生 きている。
自然はみて楽しむものではなく、おれたちの存在そのものなんだ。」グッ ティンインディアン
このグッティンインディアンの言葉は、
今の自然保護というものの視点を大幅に変えてしまう。
そこまで、私たちの生活は、自然の中にないことを知る。
どうも、自然の外に、自分の生活がある。
星野道夫が、アラスカにあこがれた。
人間は、自分だけだけど、自分さえもその自然の一部として 存在している。
星野道夫の本を読みながら、自分の中にあった何か忘れている
人間のかすかな本能がよみがえった感じがした。
寒い国というより、凍った国での生命の営み。
そこには、自然を守ろうとする人たちの思いがあり、
それを星野道夫が淡々と書いていることに興味がもてました。
今まで思いも寄りませんでしたが、アラスカに行ってみたい気分になりました。
これまでは、どちらかといえば、あたたかい国に行くことばかり考えていました。
しかし、今回の星野道夫の本を読んで、とりあえず、アラスカのフェアバンクスにいってみたいと思いました。
詐欺師がつくった町というのに、興味がもてました。
アメリカ大陸の北の果て、ポイントホープにもいってみたいな。
「フロンティアというのはね、2つの種類の人間を魅きつけるところなの。
新天地を求 めて、
2種類の人間とは、実に魅力的な人々と、悪人たち
両方とも、生まれ 育った世界に溶けこめず、
何かから逃げてきた人間たちだからね。」
ジニーがいったのか、シリアがいったのかわかりませんが、
しかしこの言葉はおもしろいと思いました。
フェアバンクスの町は、詐欺師バーネットがつくった町だった。
「フェアバンクスの雪は、空から地上へと、梯子をつたうようにいつもまっすぐ降りて くる。
雪の世界の美しさは、地上のあらゆるものを白いベールで包み込む不思議さかも しれない。
人の一生の中で、歳月もまた雪のように降り積もり、辛い記憶をうっすらと 覆いながら、
過ぎ去った昔を懐かしさへと美しく浄化させてゆく。」
この表現が、フェアバンクスという町を魅力的にしています。
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今回で、星野道夫氏の著作は8冊目ぐらいだが、今までで圧倒的に面白かった。いや、どれも星野道夫氏の著作は面白いのだが、この著作では、アラスカの激動の歴史が、その時代を生きた人々からの経験や言葉から語られ、それらの人と年齢が大きく離れているにも関わらず星野が実際に深い友情で結ばれていること!が物語を面白くしている。こんなにも、アラスカという場所が、魅力的であることを今まで知らなかった。いつか、自分にとって人生で大事な旅の時に、アラスカを訪れてみたいと思う。
星野氏ほど、写真としての表現力、人を惹きつけるこの文章力の2つの両方が、これほど卓越している人はいないのではないか。。
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大自然を賛美し守るようなことが書かれているのかなと思っていたが、それは余りにも浅はかだった。アラスカでの核実験計画プロジェクト・チェリオットの話には興奮した。ただやみくも今のアラスカを守るのではなく、アラスカや人々の変化は当然で必要でありそれに対応していくことが重要という立場は非常に冷静で、しかしアラスカに対する情熱は人一倍であるのが伝わってくる。
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星野さんが生きたアラスカで出会った人々が歩んだ道。
それは大自然の中、カリブーやサーモン、クジラなどの恵みの中で暮らし、その自然を守ろうとした人々の歴史。
どんなに厳しい環境であれ彼らはこの場所で生きているしこれからもきっと生き続ける。
ノーザンライツ―北極光とは“オーロラ”のことだそう。
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星野道夫さんの2冊目。
最初に読んだ、「アラスカ、風のような物語」同様、内容はアラスカのこと。
ジニーとシリアという、二人の元パイロット達との交流を中心に描かれている。
半世紀以上前に、アメリカにはパイロット志願の女性達がたくさんいたこと、実際にパイロットになり、命をかけて空を飛んでいたことなど、それだけでも信じられない思いだったが、その中の二人が、アラスカという大地に根ざし、様々な活動を生涯をかけておこなってきたという事実にはただただ感服するばかり。
二人の写真も掲載されているが、本当に素敵だ。
最終章では星野さんが、ジニー、シリアと一緒に川を旅するのだが、最後は涙無しには読めなかった。
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アラスカ行きたい。アラスカの百年を生きた人びとのストーリー。星野道夫は最後、ノンフィクションライターとしても一流の域に。
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旅をする木の本の内容をもっと深く書いた話で写真も満載。山岳パイロットのドン・シェルドンの姿やグッチンインディアンの人達、トーテム・ポールの木など、旅をする木では言葉で表現してた話が写真でも見られる本書。
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この歳にもなってまだ、生きている意味ってなんだろう、などと考えたりする。
意味などない、ということは知っている。
北へ旅するムースの群れだとか、
季節ごとに巡ってくる鯨たちだとか、
年ごとに変わる氷河の風景だとか、
そういうものと同じ。
でも、「暮らし」には意味がある。
その意味を守ろうとする尊い意志がある。