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紙の本
天才の始まり。
2005/05/13 09:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者の作品、どれも設定が面白いのだが。デビュー作となる本作品
も非常に面白い。物語を語っていくのは、死体なのだ。
と言ってもゾンビのように生き返って復讐を・・・といったようなありきたりなB級ホラーではなく、ただ淡々と死体が自分のおかれた状況を説明し、物語は進んでいく。幼い小学生の兄妹が犯してしまった罪、秘密
それが見つかりそうになる、ハラハラ感。そして考えていたよりも驚きのラスト。
細かいツッコミを入れればキリが無いが、作者十七歳の時の作品と聞いて驚いた。天才の始まりが、確かにここにある。
電子書籍
☆2作品収録☆
2024/04/20 22:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
2作品収録されています。
面白かったなぁ~。
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【夏と花火と私の死体】
物語の視点(主人公)が死んだ《私》(から抜けた霊魂的な何か?)で淡々と展開されていくのがよかった。ある兄妹の感情がどう動いていくのかが物語の軸とはなるが、伏線として張られている誘拐事件が、直接的には言及していないものの、上手く回収されていたのがよかったと思いました。
【優子】
古典和風ミステリーです。話の運びは王道的でしたが、何となく残るおどろおどろしさがよかったです。
紙の本
☆2作品収録☆
2024/04/20 22:55
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
2作品収録されています。
面白かったなぁ~。
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【夏と花火と私の死体】
物語の視点(主人公)が死んだ《私》(から抜けた霊魂的な何か?)で淡々と展開されていくのがよかった。ある兄妹の感情がどう動いていくのかが物語の軸とはなるが、伏線として張られている誘拐事件が、直接的には言及していないものの、上手く回収されていたのがよかったと思いました。
【優子】
古典和風ミステリーです。話の運びは王道的でしたが、何となく残るおどろおどろしさがよかったです。
紙の本
活字で綴る“絵”。
2003/07/25 13:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み。9歳の五月は友達の弥生に突き落とされて死んでしまう。
五月の死体「わたし」が語る、一夏のお話。
まず、絵が浮かぶ。
おかっぱの、さらさらの髪を揺らす「わたし」の死体。
弥生と弥生の兄・健のしぐさ、表情。
そして、暗闇。お宮。石垣。花火。
活字を追っていながら、絵を見て物語を読んでいたような気がする。
今でも思い浮かぶ。
利発な顔を歪め、汗を吹き出しながら暗闇を走る健の姿が。
今にも泣きそうな顔でその後を追う弥生の顔が。
流れた血は黒く固まり、白濁した目を見開いた「わたし」の死体が。
おどろおどろしい描写も、恐ろしい事件も起こらないのに、背筋が寒くなるのは、淡々とした語り口だからか。
いや。
拙さの残る表現が、子供の残酷さを強調しているからではないか。
そこまで計算されているとするならば、やはり乙一は素晴らしい。
同時収録の「優子」もしかり。
優しく、愛情あふれる旦那様の笑顔が、絵としてしっかり目に焼き付いている。
しかしこちらは、人形に取り憑かれた哀しいストーリー。
短編の“絵”は堪能した。
長編では、どんな“絵”を見せてくれるのだろう。
HPはこちらです。
紫微の乱読部屋
紙の本
若い才能に食われたひと時。
2001/09/15 02:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の名前は五月。九歳の夏休み、私は死んだ。友達の弥生ちゃんに木の上から突き落とされて。弥生ちゃんは兄の健くんと私の死体を隠そうとするのだけど、大人たちも私を捜しはじめて…。
と、いうふうにこの物語は「死体の一人称」。死をきっかけに登場人物が神の視点に舞い上がるのがなんとも奇妙。その淡々とした語り口とのんびりとした田園風景、そして死体を扱うにはあまりにドライな感情の兄妹というミスマッチが読者の居心地を悪くするのに大成功。
タイトな展開にハラハラし、ラストは普段なら想像の範囲内のはずなのに驚いてしまって、これは作品世界に引き込まれすぎて考えも及ばなかったのかなぁとため息。執筆時作者は16歳。若い才能に食われたひと時。
電子書籍
見事な二編
2022/11/22 22:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は中編でラストの展開に衝撃を受けた。ただ個人的には二話目の短編「優子」のほうが面白かった。古き良き昭和ミステリーの味があり、因縁とかそういう話はゾクゾクしてしまう。
紙の本
じわじわと記憶に入り込んできている
2018/10/13 02:04
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらすじなどについては、他の方も触れているので、ここでは触れません。
まず、言いたいのは、この本を最初に読んだ時は、私があまりこの本を好きになれなかったということです。かなり評判の本ではありましたが、そんなに後味も良くないし、死体目線(もしくは殺された幽霊目線)の話や2つ目の短編のような話は、ここ最近ではそこまで珍しくもないですし。
そんなこんなで、最初に読んだ時の感想は、ネットでの評判ほどのものではありませんでした。
ところがです、読んでしばらくしてから、ふとこの本を思い出すことがあるのです。私は普段、それなりに本を読んでいますが、内容をきちんと覚えていることは珍しいです。しかし、この本については、ところどころの印象に残ったシーンが思い出せるのです。
こういうところを考えると、この本はかなりレベルの高い本なのではないかと、巷の評判も納得です。印象に残る本というのは、やはり、何かを持っているということですから。
電子書籍
ホラー?
2017/08/17 12:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぺろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み、田舎を舞台にしたホラー?ミステリー?小説です。初めてこの作者の作品を読んだのですが亡くなった少女目線で書かれたストーリーだったので斬新?な感じの小説でした。
紙の本
狂気じみたそのストーリー展開
2017/04/28 22:28
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
『夏と花火と私の死体』
登場人物の思考回路がサイコパスを通り越して意味不明なところがシュールである。その展開もコミカルで、そのシュールさを増している。また語り部であるわたしは死体であるが、このわたしの出来事への叙述がその雰囲気を強めている。その文体や登場人物の言動があなたをおかしな世界へいざなってくれるでしょう。
『優子』
短い作品ながらも伏線の張り方が見事であり、その結末には驚きを感じた。
紙の本
最初の一編、ここから始まった。
2004/07/04 16:50
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
乙一、17歳のデビュー作「夏と花火と私の死体」です。いやはや、なるほど、これが17歳とはね。やはり驚きでしょう。ホラーの定義がわからないのですが、これはしっかりしたミステリーです。兄と妹に妹の友達は仲良し三人組で妹とその友達もお兄ちゃんが大好き、いつものように遊んでしてある事をきっかけに妹はその友達を殺害してしまいます。折しも近県で子供の誘拐事件が相次いで起こっている事から誘拐事件に見せかけようと兄妹は死体を隠す事にします。果たして上手く隠し通せるのか、発見されるのか…異様な設定で何処か重苦しい中、あっけらかんと死体を運び移動させる兄妹にハラハラさせられ、いつの間にか物語に引き込まれてしまう。しかし、それだけで終わらないのだ。そうか、そんなラストがあったのか…と、また驚かされるのである。表題作の他に「優子」一篇が収録されています。さてと、まだまだ攻めるぞ、乙一。ええーと、次は…。
紙の本
ぞわっと怖いぞ!すごい才能!
2002/07/28 15:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中にはすごい才能を持った人がいるのですねえ…。
十代半ばにしてこの作品ですか…。
第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。
表題作と「優子」の2編が収録されています。
「夏と花火と〜」は、なんと死体が語る、ある夏休みの出来事。
一人称の視点が、定まらなくて読みづらい点もあるのですが、
子供の残酷さと無邪気さがストレートに、表現されています。
さらにラストで、そんなオチって…。
もし、実際にそんな事件があったとしたら、
そこまで日本の警察の目をごまかすのは難しいとは思いますが、
ぞぞっと恐くなります。
「優子」の方は、一種の叙述トリックを使用した作品。
「はは〜ん、これは読めたぞ!」と思って読んでいると
(そういう風な、思わせ方が上手いんだ、これが!)
状況を気持ちよく、ひっくり返してくれます。
こちらの作品の方が、恐いかな…。
さすがにネット上でも、人気のある作家だけあって
しみじみ&ぞわっと恐い作品なのでした。
紙の本
うーん、非凡だーー!!
2002/01/23 11:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みずの - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品、書いたのは16歳のときと知って驚きました。
ストーリーは、友達の五月ちゃんを木から突き落として死なせてしまった(殺意アリ)弥生ちゃんが、兄の健くんと死体を隠す話ですが、殺された五月ちゃんが、「わたし」の一人称で語っていくのです。
つまり、自分の死体の場所や様子を実況中継しているかのようなのです。
うーん、非凡だーー!!
死体は何度も大人たちに見つかりそうになるのですが、健くんの頭の良さと運に助けられて…ラストは…せつないです。大人たちの会話にちらほらでてくる「最近の誘拐事件」も、そんな! そうだったのか…と幕を下ろします。
のどかな夏の田園風景、淡々と綴られた夏休みの日々も心地よく、夏と花火と死体がいっしょに並ぶことが自然に思えたりします。
ホラーは苦手な方にこそ、読んで欲しいです。
紙の本
本当は何も聞かずに読んでほしい。
2002/01/21 20:41
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投稿者:どしどし - この投稿者のレビュー一覧を見る
二つの短編、表題作と「優子」から成りますが、何と言っても表題作がすごい。
「夏と花火と私の死体」は、はじめの方で主人公の少女が木の上から友達の少女に突き落とされる。突き落とした少女とその兄(突き落とされたのではなく事故だったと少女からは聞かされている)は死体を隠すことにすることを中心にして話は進んでいく。途中何度か見つかりそうになり緊張を迎えるシーンがある。しかし、この作品の特徴的なのは死んだ少女が語り手だというところにあって、自分を突き落とした友達に対して怒りとか恨み、あるいは悲しさや寂しさを持たずにニュートラルな感情で語られていく。時々それを忘れて、あー、一人称だったんだなと思い出すほど。なぜ一人称なのだろうと思いつつ読んでいくことになるわけで、最後にいたって納得することになっている。とても余韻の残る作品。