紙の本
歴史と現在の接点。
2002/02/03 20:43
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投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作「故郷忘じがたく候」は、豊臣秀吉の朝鮮出征の時に島津軍に連れてこられた朝鮮人陶芸師とその子孫の話。このような話しは現在と歴史をつなぐ話しのような気がして大変興味深い。
しかし、「胡桃に酒」、「斬殺」もなかなかの出来だったと思う。表題作は小説というよりは取材記という感じで、司馬遼太郎の他の作品とは少し違った感じの作品であるように思える。
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戦国、江戸、幕末以外の司馬さんの小説を初めて読んだ。
朝鮮の役で薩摩に連れてこられてしまった朝鮮の人々の子孫の思いが書かれている。
小説のようなルポのような。
この人のカラリと癖のない文体はやっぱり読みやすくて好きだ。
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柳美里が、この小説を読み感嘆と号泣を繰り返したと聞いたことがある。
人は神により過酷な運命を強いられても、世代を超えその運命に順応する逞しさを持ちえているということだろう。
読後の第一印象は、メディアにて民族とは、国家とは、居丈高に提唱する人たちが、あたかも浅薄であるのではないかと疑いたくもなってくるから不思議だ。
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故郷忘れじがたく候、惨殺、胡桃に酒の
短編三部作からなる司馬遼太郎の小説。
タイトルになってる
「故郷忘れじがたく候」は秀吉の時代に朝鮮から連れてこられた
鹿児島(島津に仕えたとされる)陶工が白薩摩焼生み出したっていうのと
現代になってからの初めて母国でスピーチをした話まで。
その次の「惨殺」は奥州征伐に行った薩長軍の人事不足の末の話。だと勝手に思ってる。
長州人の世良修蔵という政治も外交も礼儀さえ知らないのに抜擢されて
奥州鎮圧しに行ったけど散々な結果で殺されたというなんだかなーな話。
最後の「胡桃に酒」は食べ合わせの話かと思いきや
細川忠興とたま(ガラシャ)の話。
輿入れの日から忠興やきもち焼きすぎて紆余曲折ありーの
キリシタンになったけど最後ガラシャ死にますな話。
なんか読んでたら実話と勘違いしそうだけど
飽くまでも、小説は小説。
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「あなた方が三十六年をいうなら」といった。
「私は三百七十年をいわねばならない」(P58)
重いなあ。
今いる場所で全力を尽くすのが人生だ、と思っているけど、沈さんと同じ境遇で同じことが出来るだろうか。。。