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リトル・トリー みんなのレビュー
- フォレスト・カーター (著), 和田 穹男 (訳), 藤川 秀之 (挿画)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:めるくまーる
- 発売日:1991/11/01
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紙の本
悲しみと怒りがあふれてくる
2002/02/10 01:38
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yan - この投稿者のレビュー一覧を見る
リトル・トリー(ちいさな木)は、作者のインディアンネーム。チェロキー族の血を引く彼は、幼いころに父母に死に別れ祖父母に育てられます。祖父母のチェロキーの生き方を受け継いでゆくリトル・トリーの回想録。
私は、「モヒカン族の最後」や「アメリカインディアンの教え」「ナバホの歌」などでネイティヴアメリカンの行き方に共感していましたが、祖父母が孫を前にして、教える言葉、行動そのものが感動を起こしました。それは、チェロキーのおきてに基づいていて、自然がすべてであって人はその一部に過ぎず、自然の恵みに感謝して生きるということなのです。
アメリカ合衆国の悲惨な政策のひとつにインディアンの強制移住があり、チェロキーの人々も、不毛な地域に移住させられる途中で何万人もの人が死んでいきました。その中でも誇りを失わず、涙を流さず生きた人たちの姿は、そのままリトル・トリーの祖父母の中に現われていました。
ガラガラヘビに襲われたリトル・トリーを、自分の腕を犠牲にして助ける祖父。毒の回った祖父を必死で助ける祖母の姿にジーンときました。
行商人のワインさんの「わしの家族はな、みんな大きな川のずーっとむこうにおる。みんなといっしょにいられるようにするには、たった一つしか方法がないんじゃ。毎晩決まった時間にろうそくをともす。こうすると、みんなの思いはひとつじゃからどんなに離れていてもいっしょにいられるんじゃ」。この言葉に、家族と離れたことのない自分の甘え、いつでも誰とでも通信ができる自分への怒りを感じました。ワインさんのこころの豊かさも感じました。ワインさんは、自分が死ぬ時ろうそくを家族とはなれているウィロー・ジョンへ渡そうとしました。人の悲しみを感じることのできる人、それがチェロキーの人なのです。
リトル・トリーが法律という冷徹な手段で孤児院へ入れられてしまうときも、祖父母は冷静です。「どんなところにいても夕方になったら天狼星(ドッグスター)を見なさい」と祖母の言った言葉は、ワインさんのろうそくとおなじことなのでした。孤児院で、院長に偏見と差別の目で見られたリトル・トリーは「体の心(ボディ・マインド)を眠らせ、霊の心(スピリット・マインド)で苦痛を耐える」ことを教えてもらっていたので、体罰の痛みに耐えぬきます。そして、ドッグスターのおかげでおじいちゃんに再会できるのです。
なつかしい我が家へ、でもそこには優しい人々との別れが待っていました。たった一人で死んでゆくウィロー・ジョン。おじいちゃんにおばあちゃん。それぞれの死は誇りに満ちていて幼いリトル・トリーに生きる力を与えてくれたのでした。「今生も悪くなかったよ、リトル・トリー。次に生まれてくる時はもっといいじゃろ。また会おうな」。「リトル・トリー、風の音を聞いたら、木々を感じるようにわたしたちを感じてちょうだい。おまえが来る日を私は待っています。次に生まれるときはもっとよくなっているでしょう」。
日本人がかつて持っていた輪廻転生の考え、忘れてしまった耐える心、人の痛みを感じる心、そういうことを教えてくれました。冬の夜空に輝くおおいぬ座のシリウス、わたしの大好きな星が天狼星(ドッグスター)でした。
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紙の本
保存用に購入
2001/12/26 14:25
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投稿者:かもめじょうろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館で借りて読みました。読み終えたとき、「これは、自分の手元に置いておかなくてはいけない本だ」と感じ、今から購入します。子供の頃読んだら、夢中で読んだかもしれない。しかし、このように心を動かされる事はなかったと思う。山や森やそこに暮す動物とともに生活するインディアンの考え方が、文明社会で生きる自分になにかを問いかけてきた。これが人間の本当の生き方かもしれない。とすると、「やばいなあ私」と思いました。
紙の本
大人でも泣けます
2001/08/29 08:15
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投稿者:Romi - この投稿者のレビュー一覧を見る
おばあちゃんはやさしく、おじいちゃんはリトル・トリーを大人の男として扱った。木や山や川や犬達から、強さも、秩序も学んでいくリトル・トリーの成長と愛情の物語です。ふと涙を流した時、自分もおじいちゃんとおばあちゃんを愛している事に気が付きます。