紙の本
この気持ちは忘れられないなと思った。
2007/01/02 19:18
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投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品には時差があるのかもしれない。
何年も前に読んだことのある文庫本を、また読みたくなって手に取った。
こうばしい日々。
こうばしいものは色々あるけれど「日々」には普通付けない形容詞だ。
なのに「こうばしい日々」を読み終えると、そのタイトルがしっくりくることに気付く。
鼻の奥がむずむずするような、一度嗅いだら忘れられないこうばしさ…。
思春期に入る前の新しい経験はどれも強烈な輝きを放っていて、記憶に吸い込まれていく。
本書にはこの「こうばしい日々」と「綿菓子」の2編が収められているのだが私は「綿菓子」が大好きだ。
結婚しているのにふわふわとした年の離れた姉、その姉の昔の恋人・次郎くんに片思いする妹。
その妹・みのりの視点で物語は描かれる。
「わたしは矛盾のない恋に生きよう」
なんて生意気で子供らしくないかもしれないけど、みのりが自分なりに一生懸命考えて、次郎くんを好きだという気持ちが伝わってくる。
童話のようなゆらめく世界の中で、みのりの想いだけがはっきりとした線として存在している。
好きな人にコーヒーを飲ませてもらった時の「夢みたいな」気持ち。
この場面は大人の私が読んでもくらくらしてしまう。
何年か後にまた、読むと思う。
紙の本
少年の頃にしか感じられないようなこうばしい日々。
2001/03/21 22:24
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投稿者:りーこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のダイは、日本生まれのアメリカ育ち。2歳で父親がアメリカ勤務となったため、英語はペラペラの11歳。
根っからのウィルミントンっ子のダイだけど、最近気になるのがガールフレンド(!)のジルのこと。ドキドキの初恋。そして、ファーストキス。でもそれが全然いやらしくないのが不思議。大人になってもこんな恋がしたいな、と思いました。
紙の本
シンプルさに潜む江国の力量
2001/01/03 17:11
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投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「幼稚」の一歩手前の「可愛らしい」。「単純」 の一歩手前の「シンプル」。「気恥ずかしい」の一歩手前の「微笑ましい」。本書に収められたふたつの中編「こうばしい日々」と「綿菓子」は、そんなギリギリな場所に位置するラブ・ストーリー。それ位置取りは決して偶然ではなく、どこまでも江国の力量によるものだ。
「こうばしい日々」は、アメリカ育ちの少年・大介が主人公。「綿菓子」は、結婚した姉のかつてのボーイフレンドに恋するみのりが主人公。いずれも、少年少女の淡い恋物語を、大人や姉の恋愛関係と巧みに相対化させながら、綴っている。「こうばしい日々」では、大介のナショナリティ/アイデンディティの問題が絡むし、「綿菓子」では、「死」の低音も静かに響く。そんな周到な構成が、大人の鑑賞に十分堪えうる物語を形作っている。こんな物語を、いかにもサラッと書いたように見せる江国は、やはり凄い作家だ。
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ドライとしっとり。
犬とハモニカを読んであまりに気分じゃない、と思ったけど、こうばしい日々は気分だった。
当時読んだときは、江國さんのなかではそんなに好きじゃなかったようですが、今は好きです。
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江國さんの書く子供たちが好きです。特に「綿菓子」の次郎くんを思うゆみちゃんのモノローグは切ない。最後のシーンは、ぽつりと残って今でも時々ふと思い出す。すう、とのどが涼しくなるような気がする。
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こういう男の子目線、好きです。ただ、お姉ちゃんの描写やお姉ちゃんとの仲の悪さがイヤだったな。。うちが姉弟だからかな。
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アメリカ育ちの大介は日本を知らない。
アメリカ国籍のアメリカ人として大介は生きている。
ニホンジンの両親と姉と一緒にいながら、変な日本文化に囲まれていることがカワイソウで仕方ない。
国際社会に生きるニホンジンの結末はこれでいいのだろうか?
帰国子女の友達と話していた時に感じた違和感を垣間見た気がした。
綿菓子はちょっと背伸びした主人公みのりが可愛くて仕方ない。
私もお姉ちゃんが欲しかったなって思う。姉妹ってどうしてこうも楽しそうなんだろうな。
羨ましいよ、本当に。
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こうばしい日々も面白かったが、綿菓子の方が楽しめた。
やっぱり、主人公が女の子なので自己投影できたんだと思う。
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短編が2作入ってる本です。一つが「こうばしい日々」で、2つめが「綿菓子」
「こうばしい日々」はアメリカ育ちの日本人大介日常を描いたもので、
「綿菓子」は結婚した姉の、かつての恋人に恋する妹みのりの恋愛模様を描いたものです。私はどっちも好きだけど、一つめの「こうばしい日々」の方が好き。ガールフレンドのジルに対する謝り方がすっごく可愛い!!!!子供ながらに恥ずかしいこととか意地とかあったりして、それがもう本当に可愛い!!!なんだかんだでジルのこと好きなんだなぁ〜vvvってカンジで本当に本当に可愛い・・・!おすすめです!「綿菓子」の方はラストが私的にびっくり。ドキドキした。
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これがわたしの初・江國香織さん。カフェテリアのおばさん特製のブラウニーとか、お母さんが焼いたりんごとか、野球場で食べたピザとかの、食べ物が目の前にあるような気がする。とってもおいしそうな小説。
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一気に読んでしまった。12、3歳の子どもでも考えていることは大人だなぁと。初々しい感じ。
(2005.2.25読了)
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江国さんの小説はいつも一気に読めないのはなぜだろう。これも例により毎日少しずつ読んだ。かみしめるように読んだ。
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私的には綿菓子のほうが好き。お話もいいけど、あとがきも面白い。何よりも私の読書復活のきっかけになった本。
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表題作「こうばしい日々」の主人公・ダイが男の子なのにキュートでかわいくて大好きです。江國さん初期作品は本当に言葉遣いが素敵・・・。こうばしい日々、って題名だけでもうっとり。なんてことはないようなストーリーに見えるけど、実はちょっと人種差別のことについて触れてたり、さらりと問題提起してるところもあっていい。それが押し付けがましくないのも◎。やっぱり食べ物描写がおいしそうです。
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この本はこうばしい日々と綿菓子という2本の中篇からなります。まず、こうばしい日々。やっぱり女の子の方が男より頭がいいよなぁっておもった。それを認めている男は男なりに理由をつけて生きているんだな、と感じさせられた作品。金髪のウィルって奴が妙に好き。綿菓子。途中まで雰囲気がめちゃ好きだった。でも終わり方がきもいと思う。こんな恋を女の子は期待しているのか?だとしたら、カルチャーショック。同じ大学生として次郎とは友達になりたくないもん。きもい。大人びているつもりのみのりは周囲の大人をシニカルに(嘲笑的に)見るけど、周囲の大人はやっぱもっと大人な気がする。俺も独りよがりに俺は大人だなんて思っていた時期を思い出した。多分、姉は自分の妹のみのりが次郎に恋しているのに気づいて手を引き、島木さんと結婚したんじゃないかな。それは絹子さんと谷くんが伏線になっているのではないか。
『人は愛されたらその愛に報いる生き方をしなくちゃいけない』
この本はおもしろさは微妙ですが、いろいろな解釈が出来るところが面白そう。友達や彼女に読んでほしい一冊。