これまでの重厚な感じに比べると、かなり軽い感じの流れである。
2017/12/15 12:04
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、早い段階で密室殺人が連続するが、密室絡繰りのかなりの部分は萌絵によって解明され、むしろ何故密室にする見せ掛ける必要があったという問いを中心に展開される。これまでの重厚な感じに比べると、かなり軽い感じの流れである。更に、萌絵が具体的に犀川への好意を意識し始め、それが別のミステリーに見えて来る。そして、第3の殺人で一気に結末に流れ込んでいく、これまでとはちょっと違う流れに感じた。とは言え、この後半以降は、何が出てくるのかという期待感で一気読みでした。作風の変化というより、犀川と萌絵との関係変化に視点を当てた展開だったのかな。フフフ。
二人の関係に進展
2018/10/28 01:13
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、殺人事件やトリックそのものよりも、犀川先生と萌絵の関係にハラハラさせられました。むしろ、事件の方は案外あっさり?(だからこそ、ミステリ要素を期待していた読者は微妙な気分かもしれません。。。)
犀川先生や国枝先生の言葉は、時々私の心にぐさりと刺さります。そういう部分があり、私は森作品を楽しんでいるのかもしれません。
余談ですが、ちょい役で出てきた男子学生が今後も出てきそうな空気をまとっていたので、個人的には今後の展開にも期待です(笑)
知らないことは謎のまま
2009/01/07 12:11
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
二つの大学の構内で、二人の女子大生が死体で発見された。それぞれ自らの所属する大学ではない方で。発見された場所はどちらも内部からロックされた状態にあり、死体は衣服をはがれた上で、腹部に文字が刻まれていた。それぞれが事件関係者とちょっとした知り合いだった関係上、犀川や西之園はまたも事件の渦中に巻き込まれていく。一体なぜ犯人は密室を構築したのか。
シリーズ第一作と第三作が似た雰囲気を持っているように、第二作と第四作にあたる本作品も似た雰囲気を持っている。事件現場が大学構内であるということだけでなく、極めて論理的に構築された密室が、一般に非論理的と考えられる動機によって作られているという構造そのものが似ている。
探偵役の二人も、考え方が少しずつ変化してきているようだ。さて、次はどのような展開になるのか。
ミステリーそのものより…
2022/12/26 10:13
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投稿者:永遠の黒柴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーそのものより、S&Mシリーズの二人の話に気を取られる感じでした。私には事件の動機つけが今までより軽く感じました。
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投稿者:kissho - この投稿者のレビュー一覧を見る
S&Mシリーズです。今回の舞台はS女子大、T大、そして犀川助教授、萌絵のN大で連続殺人が起こります。3つの殺害現場は全て密室。被害者は全員下着だけで腹部に犯人からのメッセージが刻まれています。最初から最後までとてもテンポ良く進んでいき全く飽きません。シリーズ中でもテンポの良さでは上位でしょう。密室のトリックもまあまあ。とりあえず納得はできます。一方、連続殺人の動機が・・・。説得されるしかないんでしょうけど。私的にはあまり現実的な気がしません(まあ、非現実的な動機なんて推理小説では山ほどありますけどね)。面白い作品ではあります。
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投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり面白くなかったです。
私の場合、犀川と萌絵のおままごと的な会話が多い作品は冗漫に感じてしまうようです。連続して起こる密室殺人の謎を、工学部的知識で解いてゆく過程はそれなりですが、登場人物たちのなんとも教訓くさいセリフまわしにはうんざりしてしまいました。
森博嗣ファン以外は読む必要ないです。
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大学施設で、女子大生が連続して密室で殺害された。 捜査線上に浮かんだのはN大に籍を置くロック歌手、結城稔。 結城稔の歌詞と事件が奇妙に符合して、殺人が殺人を呼ぶのか事件はまた思いがけない方向へと展開していく。 犀川と西之園がその事件の構造を解体する。
トリックは意外なほどあっさりとしていて、物足りない&納得できない部分も多々あったのが残念。 今回はサイドストーリーに面白い動きがあるので、純粋にこちらを楽しもう(笑)
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これは、読みにくかったな。あ、犀川&萌絵シリーズです。でもって、二人が「結婚」とか口にするのが、どうもねぇ。なんか、世界狭くないですか?と、他人のことながら心配してみたりして。
最後の方になると、すっごい面白いんだけど、途中がつらいのはやっぱり萌絵のせいだろうか?(苦笑) と、今回はゲストキャラに魅力がなくて吸引力が落ちてたな。ああ、でも最後のある人の独白はとてもよかったけど。うむ、これを生かすための前の部分だったのだろうか。
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花が枯れても、人は泣かない。花はまた咲くからか。いや、人間だってまた生まれる。
失われるのは、身体ではない。死んだ者の記憶だ。
だが、記憶でさえ電子的に保存することが出来る。再生できないのは、人間の思考だ。思考だけが、今の技術では再現できない。
けれど、思考が失われるということが、何故悲しいのだろう。(p.302)
言葉はね、言い方や、言い回しじゃない。内容はちゃんと伝えないとね。それが、言葉の役目だから。
底なし沼と普通の沼はどう違う?底がない沼なんてない。ようは、人間の幻想の有無なんだ。(p.307)
将来を決めてしまうなんて、恐ろしいじゃないか。台風の進路だって扇形に広がっているだろう?人間の進路はもっと広角だ。(p.460)
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登場人物の魅力でこういうミステリを読まされるのは悔しい気がする。時間的には、前に読んだ「笑わない数学者」の次にあたる作品。ミステリとしてはともかく、登場人物としてはきちんと時間的に動いているから、このシリーズ10作は順番に読んだ方が良さそうだ。
最初と二番目に提示される密室のトリックが、わりあいとあっさり解明されてしまうのが、この連続殺人事件のポイントである(と書いてネタばれにならないといいんだけど)。そのポイントをちゃんと押さえると、うまいなあって感じられた。そうでないと、ちょっと苦しいかな。この作者が「理系」っていわれるのもちょっとだけ納得。それがどこかっていわれると確かに漠然としているんだけど。
例によって自分の中でのツボは、主人公の探偵コンビ。どうも、自分ではあんまり意識していない密かな願望を込めて、そのシリーズを読んでいるような気がして、自分で恥ずかしい。いかんなあ、と思う。
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バイトで本を読む機会に欠いていたので、かなり久しぶりの書評になる。夏期休業後半はいろいろ読めることを期待する。と言うか、バイトが終わって暇で暇で仕方がない。大学の友達は実家に帰って金沢に居ないし、一人で部屋に籠もって本を読んだり書いたり、電話したりするぐらいしか楽しみがないのはどうしたことか。
いつから主人公が入れ替わったのだろう。やる気のない天才探偵役の犀川センセが主人公だったはずなのに、その仕事は進行役の西之園萌絵に移ったのはどうも面白くない。いや、好奇心旺盛なお嬢様もいいが、そんなものより森博嗣の魅力は犀川の様な天才だと思うので、西之園萌絵が活躍するのは見てて面白くない。だが、犀川センセはお話を進行させないから仕方がないのか。
森博嗣のトリックは健在なのであるが、それについては触れるのが面倒なので止める。
それにしても、分母分子をスラッシュしていって、素敵なイーコールの式を組み立てたときの快感は忘れがたい。その辺の話が書いてあったのが理系として共感してしまう。計算とは、条件式で縛っていっていく行動だと思う。文系にはこの感覚は一生判りまい、理系だけが持つ独特な快感だ。その時理系は『解けた!』と叫ぶ。
そんな理系本能を呼び覚ましてくれるミステリー小説森博嗣。文系の皆さんが読んで面白いのかいつも疑問なのだが、その辺どうなんだろう?
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文系の人間にはですね、コンクリートとかエポキシとか言われてもさっぱりでした。今回については密室のトリックはお手上げ。最初から「知るかー!」という感じで。まあ密室のトリックよりも誰が犯人か、ということについて驚きました。わたしにはその心理はなかなか理解できかねるところでしたが。わたしはどちらかというと間違えても汚くても次のページにそのまま書きなぐるタイプなのかもしれません。
それと萌絵が犀川先生にプロポーズするシーンがなかなかよかったです。犀川先生のせりふも。
森作品は「人間が描けているか否か」についてはちょっぴり分が悪いなあと思っていたのですが徐々に登場人物に命が吹き込まれていく感じがします。今回、特にそれを感じました。
エピローグでの、犀川の最後の呟きがわたしは好きだなあ。
(たった今、君が突然言い出した、押しつけがましいお願いが希望で……、
僕がそれを断った、言葉では説明できない曖昧な理由……、それが夢だ)
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この作品をきっかけに、私はどっぷりと森作品にはまりました。
この作品のミステリとしての出来は、よくわかりません。犯人も、トリックも、もはやどうでもいい。
犯人の動機が問題なんです。
「すべて、素敵なイーコールのために・・・・」
この当時、私はすごく、ある事で悩みを抱えていました。
来る日も来る日も、それ以外のことが考えられなくて、毎日泣いてばかりいて・・・
そんなときにこの作品を読んで、
「相手の思考を楽観的に期待している状況・・・、これを、甘えている、というんだ。
いいかい、気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは、言葉で言いなさい。
それが、どんなに難しくても、それ以外に方法はない」
・・・これは犀川先生の血も涙もない冷たいセリフです。
この淡々とした理系思考が、当時のわたしにはとても優しい言葉に思えたのです。
わかりやすい。答えがひとつしかない。
この世の出来事が全部数学の証明のように解けたらどんなに楽だろう。
犀川先生のように、すべてを公式と論理で断言していける人がそばにいたら、さぞかし安心するだろう。
実際、この話の犯人は「イコールのために」殺人を犯してしまうので悲しいのですが、
でも、私も「イコールを求める」ことをやめちゃいけないと思ったのです。
イコールを理想とか、夢と言い換えても良かったかもしれません。
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すげー面白かった。相変わらずトリックはよくわかりませんでしたが。言葉の使い回しがすごい好きな本です。
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ミステリー面はもしかするとイマイチ???かもしれないけれど、S&Mシリーズのひとつとしては、萌絵と犀川とのかかわりがとても良い感じで描かれていて、個人的に好きな作品。酔っ払った萌絵にタバコをあげるシーンは映画みたい。