等身大の快作。南木さんの代表作だと思う。
2017/12/25 23:12
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
知人が映画「阿弥陀堂だより」を紹介してくれた。
そのきっかけで,原作を手に取ることとなった。
映画は見ていないが,長野にロケ地が残されているらしいので,
いつか訪れてみたい。
小説家の夫と,外科医の妻。妻が心療内科にかかったことを
きっかけに,夫の故郷の信州に引っ越した所から話は始まる。
二人は阿弥陀堂に暮らすおうめさんに出会い,交流が始まる。
下界を超越したおうめさんの暮らしや感じ方には心を洗われる。
夫婦以外にも,小百合ちゃんという子がおうめさんに
会いに来ている。彼女は取材としてまとめ,村の広報誌に
「阿弥陀堂だより」として連載している。
これが数行のものなのだが,抜群の切れ味である。
短歌や俳句のような,短文の持つ醍醐味が味わえる。
この本をきっかけに,南木さんの著作を読むようになった。
何作か読んで感じた事は,私小説的な部分がある作家であり,
背伸びしていない緩やかさが魅力であるということ。
自身の経験をプロットに入れて臨場感を出しているので,
派手さは少ない。
邪推だが,死や,自らの心理状態などについて考えたことが
少ないと,共感が得にくいかもしれない。
但しこの作品に関しては,その中でも読みやすい作品だと思う。
特に,物語性は一,二を争う作品ではないだろうか。
仕事や家事をしていると心理的にきつくなる事も多いと思う。
南木さんの作品を読むと,「ゆっくりいこうぜ」と言ってもらえる
みたいで心底くつろげる。
南木さんを紹介したことで,ほっとする人が一人でも増えると
嬉しい限りである。
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投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心温まる作品。この一言につきる。大きな感動があるわけではない。でも、心にすっ
と入ってきて、読み終わったあとの充実感はすばらしかった。とても丁寧な描写で、
美しい作品だった。
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
やはり原作小説のほうが、状況がよくわかっていいですね。実家の信州が舞台なので、それだけでもうれしかったりします。
料理のできるすばらしい夫
2018/07/08 09:37
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投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
無職でも料理のできる夫はすばらしいと感じた。医者の妻も安心して結婚生活を続けられるのだろう。うらやましい。
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生きるということの不思議さ。
生きるということの意味。
生きるということの全て。
阿弥陀堂便りは、何気ない
日常の毎日で―。
それがどれほどのことかを
教えてくれる小説です。
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仮想の原風景で癒される、って部分もあるのかもしれません。でも、登場人物の考え方、行動に感動させられた、と思います。
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忙しい毎日でピリピリしていたときに、友人が贈ってくれました。ゆっくりとした時の流れの中で、「生きる」とはどういうことか、改めて考えさせられました。「ただ生きる」ということの尊さ。そして、幸せの基準とは?無意味なものに振り回されがちな情報化社会で、立ち止まって考える機会を与えてくれた本でした。大事件が起こるわけではないのに、読み始めると止まらない、不思議な本です。私も今度、癒してあげたい友人に贈りたいなぁと思っています。
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出てくる人皆優しく、しかも優しい筆致で描かれる夫婦の話。山本周五郎と同じ雰囲気が漂っています。しみじみ。
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売れない小説家の夫・孝夫と、医者であり心を病んだ妻・美智子が、夫の田舎である山村に暮らし、そこの生活に心穏やかなものを感じていきます。郷愁が溢れる谷中村と、阿弥陀堂に住むおうめ婆さんの何気なく語られる言葉に、普段は忘れている懐かしい心に、母親のようにそっと優しく触れられて優しく起こしてくれるような感覚になりました。
おうめ婆さんの生活は質素で、贅沢なものなど何もありません。「多くの事を聞いても心配が増えるだけだから、自分に合っただけの、なるべくいい話を聞きたい」という話に、情報が溢れすぎる今の社会に気付いてはっとさせられました。
美智子と同じように心が疲れたり、自分を見失いそうになったことがある人は、きっと感じるものがあるはず。心から優しく、温かい話。
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ストレスがたまりにたまっている現代人におすすめ。すごく心温まる話で、読み終わるのがもったいないくらい素敵な小説だった。
何も欲しがらず、ただ運命にしたがって静かに生きることができたらいいなぁ。
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人間が生きていく上で、何が必要なのかを考えさせられた。有名でもなく金持ちでもないおウメ婆さんのような人はたくさんいると思う。映画は、寺尾聰、樋口可南子、田村高廣、香川京子、吉岡秀隆、小西真奈美出演。
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過疎化の進む寒村に夫妻で
戻ってきたところから始まるお話。
一昔より前?な暮らしが書かれていて、
こんなこと、あるの?という感じです。
話のポイントはいくつかあって、
それがところどころカオを出してきて、
葉っぱで作る草もちみたいな感じです。
うまく混ざらない、ばらつきがでる。
しかも、きまって少し堅い。
主人公の回想時の学生時代の様子が
一番良かった気がする。
シンプルに体を動かして、生きるのです。
しかし、何がなんだかわからないうちに
すらっと・・終わりましたね。
阿弥陀堂だよりというのは村が出す広報のなかで
阿弥陀堂の堂守、梅ばぁ(あれ?だっけ)の
どこか突き抜けた説法のようなエッセイのことです。
こういうことがいえるように果たしてなるのか、
はたまた、なりたくはないか。
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淡々とした文章が寒村の話、というか静かな感じでよかった
しかし浅田次郎が書いたら厚さが三倍になりそうだ
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DVDで作品を見て、どうしても原作を読んでみたくなった一冊。
すごく丁寧に、「生きる」ということが描かれている。
派手ではなく、名声ではなく、やるべきことを黙々とやる人生。
四季折々の自然の営みに寄り添うように生きる人の生き様の意味を
静かに静かに、描いている。
一気に読み進むのがもったいなくて、
ちりぽりちりぽりと読みました。
一人の時は、声に出して読んでもみました。
そんな気持ちにさせられた本です。
映画も素敵です。本も素敵です。
どちらもステキ…というまれなる例ではないかと思います。
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非常にあたたかな手触りの本である。
素朴な表現でありながらも、近づこうとする方向がぶれていない。
中年から老いへ差しかかろうとする
主人公たちの生きることへの欲望の在り方。
決してセンセーショナルでないので、密やかなスパイスでも
十分に味になるという日本料理的本。
いや、田舎料理なのか。