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止まらない妻のののしりに途中だれてきた。だけどそれをがまんしつつ最後まで読むことで作者がいいたいことがわずかながらわかったような気がする。
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作者はなぜこれほどまでに、自分たちの醜い部分をさらけ出すのか、不思議でなりませんでした。
でも、「解説」を読んで、これもひとつの愛の形なんだ、って思うことが出来、救われた気持ちです。
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タイトル通り、暗くて重いストーリー・・・。
去年購入した本ですが、なぜこのタイトルに惹かれたのか我ながらよくわかりません^^;
リアリズム(?)を追求しているのか、とても情景描写が細かくて臨場感があります。
その代わり、文章がとても長くて、見開き2ページにわたって段落もなく文字がズラッと並んでいるので
読み進めるのがとても大変でしたが・・・。
読了までに3週間近く要してしまいました。
戦後まもなく発表された私小説です。
破滅的な家族だけれど、夫婦間の関係は、これも一種の純粋な愛の形なのでしょうか・・・。
とてもはた迷惑な夫婦で、子供や周囲の人達がとても気の毒です。
人を「許す」ことはほんと難しいんですね。
人間の弱さをつくづく感じさせる小説です。
僕は、この旦那の器の小ささがどうにも好きになれませんが・・・。
なんにしても、この麗らかな春の季節に読むのはあまりオススメしません。
梅雨時や冬に読んだ方がいいのかなあ。。
最後まで読み終えた時に、妙な達成感がありました(笑)
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別れない。
離婚など、このご時勢に珍しくも何ともない。人事だと
思ってのたりのたりと暮らしていたら、いつの間にか
近しい人にまでちらほらと現れはじめ、自分まで侵食
されていても少しも不思議じゃない。そのくらい今や
ポピュラーで、すぐそこにある現実、それが離婚。
苦渋の決断で、という人が大多数だろうが、中にはメシ
でも食いにいくか、レベルの気楽さであっさり片付ける
人もいる。
その中で相手の浮気といえば、数ある離婚原因の中でも
王様、キングオブお別れと言っても過言でないほどの
マイナスポイントだ。この本の主人公トシオもまた、
妻・ミホに愛想をつかされて離婚届を突きつけられても
文句は言えまい。ただ、それが現在なら。
ミホは今時の女性でなく、慎ましやかで古風で貞淑な
むかしの女性だ。そんな女性が夫の浮気を知った時。
読んでいるうちにほぼトシオと同じ勢いで体力ゲージが
減っていくのが判る。削る削る。とまらないミホ。
大車輪。針のむしろ。公開裁判。
家庭内はまさに阿鼻叫喚の地獄絵図である。
しかし、どんなに責められてもトシオが病んだミホと共に
あろうとするからこそ、読者は最後までページをめくり
続けるし、どうしようもないトシオを憎みきれない。
これは、今ではなかなか見ることのできない、愛すべき
強い絆の家族の物語である。
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実家に帰省した折、
父親の書棚にある、
日本文学全集に入っていたので手に取る。
(日記しか読んでいなかったので・・・)
ああ、小説と日記は全然違うんだと静かに驚く。
日記よりもずっとミホが浮き上がってくるように感じられる。
何の面白みもない平凡な実家の光景とがあいまって、
(というか、彼らにもあるであろうドラマは、
ドラマとして切り取られることを確実に拒んでおり、
平凡・日常であると極端に主張しているので)
主人公と妻の感情の混交は、
不思議に生き生きと、身体に迫るものであった。
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歌を詠むひとは、激しいものです。
何故なら歌というのは、瞬発力の情熱だから。
この小説に出てくる主人公の妻・ミホも
歌人なのだけれど、
やっぱり激しい性格の持ち主で
浮気をした夫・トシオを、責める。
ねちねち、ネチネチ、責めまくる。
「お言いなさいよ。あった通り、
すっかりそのまま言ってちょうだい。
そこだけでなしに、
あなたはいったいなん回旅行したの。
どことどこに行ったの。どこに泊まったの。
なにを食べて、どんな本を読んだの。
映画をみたでしょ。なんの映画?
どこで、なん回、どんなふうに、
うれしかった、どうだったの?」
などなど、
ほとんど取り調べにひとしい
ウンザリ度マックスの執着&詮索ぶり。
そしてトシオの愛人に似た女を見ては嫉妬し、
トシオが愛人と行った場所を想像しては逆上して
異常な勢いで暴れまくり、
トシオになだめられながらも
もう死んでやる!と
鬼のような形相で脅してみたりもするミホ。
たいへん情熱に欠けるわたしには、
このテンションの高さがわからない。
そして、わからないから、ひたすらに怖い。
トシオったら、よくこんな拷問みたいな仕打ちに
耐えていられるわね…、と思っていたら、
トシオも途中から狂い始めて、
逆に俺が死んでやる!!
と、たんすや障子に頭をうちつけて
血みどろになってみたり、
電車に飛び込みかけてみたり。
そしてそれに
「死なないで!!!」
と泣いてすがるミホ。
結局、ミホとトシオは
きわめてアブ度の近い似たもの同士。
だから離婚もせず、
ずっと一緒にいられたのでしょう。
最初から最後までこの調子なので、
読了後のすっきり感は一切無し。
けれど、(奇天烈感満載とはいえ)
ほかにはないくらいに
凄絶で濃密な夫婦の記録に、
やはりこれは名作なのだわと思いました。
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人に薦められた(その人からは人間みな病気も薦められた)。
強烈すぎる。
グドゥマとウニマ頭から離れませんでした。
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どうしようもなく暗くて重いです。読み終わったあとどっと疲れます。負のエネルギーが渦巻いていて、くらくらしながら読みました。
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面白かった!!
息詰まりながらも、すごい早さで読んでしまった。
なぜこんなに引き込まれるのか考えながら、でもわかってもいたような。
ミホとトシオがあまりにも近く感じられてこわいくらい。
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浮気をしたのをきっかけに奥さんが精神病になる。彼女が快癒してくまでをねちねち書く。読んだ後はため息しかでない。暗くせつなく痛切な夫婦の1日記。映画化もされてるのでDVDみながら読むのもいいんじゃないか
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全十二章、文庫本で610頁というかなり長大の、その扉をたいした覚悟もなく開いてしまってからは、トシオとミホのなんとも形容しがたいくんずほぐれつの結ぼれように、なにか暗い洞穴に無理矢理押し込まれ逃れ出る術もないままに、ただひたすら読み進むしかなかったというのが実情にちかい。
なに、読んでみようと思った動機のほどはたいしたものではない。
何週間かまえに、小説「死の棘」の母胎ともいうべき「死の棘日記」が単行本化されているのを新聞誌上で知ったのだが、その紹介の書評から此方に食指を動かせたのだが、待て待て、小説の本体そのものを敬遠したままでというのも、戦後文学の代表的傑作と称される本書に対し失礼千万だろうし、ここは一番、小説から入ってみるかと思ったのだ。
著者島尾敏雄は’55年-S30-に「死の棘」に着手、’77年-S52-の最終章発表にいたるまで23年に及んで書き継いでいる。この間、’61年(S36)に芸術選奨を受け、完成翌年の’78年-S53-には日本文学大賞と読売文学賞を受賞している。
高橋源一郎氏曰く、埴谷雄高の「死霊」や大西巨人の「神聖喜劇」、武田泰淳の「富士」を差し措いても、ぼくはこれを第一位に選ぶと、「死の棘」を戦後文学最高の作品と推奨している。
夫の不貞から心病み狂気に彷徨う妻・ミホにただひたすら向き合うしかないトシオとの、果てしなくつづく地獄図としかいいようのない日常。それは妻の快癒へと闘いに明け暮れる日々でもあるのだが、その決してほぐれぬ縺れに縺れた泥まみれの日常の描写が全編を貫く。出口のない堂々めぐりの回廊、微かな救済の光さえ見えぬ、あまりに非日常的な結ぼれの日々が、なにか鉛の塊状のものとなって読み手の私の喉元へと力づくで呑まされ、内臓深くにまで達したような感じがして、どうも日頃の身体感覚から遠く、その感触が五臓六腑になにやら重く沁みわたっているのだ。
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夫婦の愛憎物語。
妻の(夫も?)精神が病んで行く様が訥々と語られているが、その言動には、やはり愛情も感じられる。リアルな夫婦間の感情について、考えられる作品。
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家族が壊れて治って、また壊れてっていう無限地獄におちいって、終わりがないように見える絶望感。一難さったと思ったらまた次に、一進三退くらいの中で、気を遣ったり、宥めすかしたり、この手の壮絶は、きっとどこの家庭にも潜んでる。
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ようやく読み終えた……疲れた
ストックホルム症候群とかパブロフの犬とかそういうのを思い出した。こわい……
一文が長いし、比喩が積み重なるしでほんとに疲れる本だった。改行も全然なくて、読んでるほうも気が狂いそう。なんにもしてないのにこっちまで責められてる気にさせられた。ぐったり。
愛情、というか服従というか。「じぶんがいなきゃこの人はだめなんだ」みたいな、DV被害者の心理のようなものも垣間見れたり。
「狂おしい神経の世界」という一文がこの作品を物語ってると思う。
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長かった。
だんだん自分もトシオと一緒にミホに責められているような、
何もかもどうでもいいような気分になった。
しまおまほさんのファンなので、彼女の魅力の秘密も少しだけ
垣間見えた気が。