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なんとも言えない気持ちになる小説。登場人物たちはひたすらに飲み、その描写がとても美しく文学的。
一方でブレットの淫らな雰囲気は共感はできないし、性的不能でブレットを愛しながらも彼女の恋愛を手伝い続けるジェイクはどんな気持ちなのだろう、と、思ってしまう。主人公なのに感情が読めず、誰にも共感ができない一方、昔のヨーロッパの一幕をまるで垣間見ている気分になる。
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尻軽女を巡るどうしようもない男たちの物語でしかない。ただ当時の時代背景とかを知るのにはいいのかもね。
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陰気で女々しいコーンと自己中心的で酔うと我を失うマイクと、性的不能のジェイクらが常に誰かから愛されていないと気が済まない女ブレットを中心に進む物語。ブレットと最も近く、しかし圧倒的な物理的な壁が存在するため結ばれることのないジェイクにどこか自分を重ね合わせながら読んだ。
この作品は「ロスジェネ」について書かれているが、自分の知識不足もありその真価を味わうことができなかった。
その中でも解説を読むことで「ロスジェネ」とは何か、ヘミングウェイが最も伝えたかったことは何かということに近づいた気はするけど、気がするだけで全く身になってない実感は正直ある。
海外文学を読んだ時に抱くありがちな感想である(自分の場合)「なぜこの人物はこのタイミングでこのような行動(発言)をしているのか?」に常に突っかかりながら読み進めた。読解力がある人はそんなことなしに読み進められると思うと、自分の読書体験の少なさや、知識のなさにしばしば落胆する。
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20代の頃「週休5日」の生活をしてた。いろんな奴がおってみんな見せかけの情熱を曖昧な毎日で埋め尽くしてた。
人でごったがえす商店街を押し流されながら、どこに行くんやろと思いながら、誰かが横にいることで安心してた。そんなことを、思い出した。
誰もが目標に向かって一直線に生きてるわけじゃなくって、寄り道しながらなんとかやり過ごす時期があるんちゃうのと僕は思う。
lost generationを自堕落な世代と呼ぶけれど、どの時代もそういう曖昧な時代があって、それは人が死んで、世代がつないでいくからこそ、繰り返すんやとそう思う。
でも曖昧さはめちゃくちゃ眩しくって。
当時の同世代はめちゃくちゃ共感したのもわかる、羨ましさと安心感が混ざりあったんやろな。
パリ、パンプローナ、マドリード街の描写が綺麗やなと素直に思う。
そして朝5時の御堂筋が、静かで清潔な感じがして好きやったこと思い出した。
最後の客を送り出してバーを閉めて、散らかったゴミとそれをついばむカラスを蹴散らしながら、ざーっという音を立てながら清掃車が通り過ぎる、俺はジャケットのポケットに両手を突っ込んで堺筋に向かって帰ると朝日が正面から昇ってきて・・・
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日はまた昇る
(和書)2009年05月17日 16:37
2000 新潮社 ヘミングウェイ, 大久保 康雄
傷を負ったなかで人生をやり過ごすということを描いていて、とても興味深く読めました。ただ何故、ヘミングウェイの作品の主人公は人生の上で貧困などに陥らないのかが不思議だけど、作品として芸術として文学として人生を描くためにそれを成立させるためなのだろうと思う。
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スペインに行って闘牛を見ながら汗のかいた壜に入ってるぶどう酒が飲みたくなりました。
友人と旅行に行くってのもたまにはいいのかな。
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一種の虚無感、皮肉感に囚われた男女のやりとり。
ヘミングウェイの実体験をベースに書かれたとされるこの物語は、当時第一次世界大戦開けの国際社会特に若者に新たな価値観を与えたというのはもっともだと思う。現代日本に生きる若者にとっても、新たな価値観をもたらすだろう。
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夏 /2021
高見浩さんの解説が興味深い。
戦争という極限状態下で神の不在を確認している。
•ロマンティシズムと神の不在。
•人間の肉体という「自然」
テン神を見失った”自墜的”な人間が、神の代わりに本来的に持つエトスへの自負ーそこにもまた本能的な直感という「自然」に対する深い信頼が示されていると言えはしまいか。
•人間の原初的な官能への信頼という実存的な脱出口
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おもな登場人物は主人公であるパリで暮らす新聞特派員のジェイコブ・バーンズと、同じくアメリカ人の友人であるユダヤ人の小説家ロバート・コーン、そして二人が愛するブレット・アシュリーの三人。これにブレットの婚約者やジェイクの友人、旅先で出会う闘牛士などが加わる。物語は第一部がパリ、第二部が一行の旅先となるスペインが舞台となる。
第一部ではジェイクたちのパリでの自堕落気味な日常を描かれる。第二部はスペイン旅行において一行が鱒釣りや闘牛観戦、フィエスタの牛追いなどに興じたり、多情で魅惑的なブレットをめぐって主にコーンが引き起こす騒動などを描いている。
作中なにが起こるというわけでもなく、ジェイクの視点で登場人物たちの気怠く頽廃的なさまを伝える。といってもとくに反社会というわけでもなく、格段にエキセントリックでもない。登場人物たちはおおむね三十前後であり、無軌道な若者たちを描いたともいえない。当時の時代背景を理解していればまた違っていたのかもしれないが、最後まで遠巻きに眺めているような感覚だった。
物語を追うというより雰囲気を感じるための作品なのだろう。文字よりも映像のほうが魅力が伝わりやすい作品だったのではないかということと、スペイン旅行の一部だけを切り出した中編であれば違和感なく読めたかもしれないとは思った。世界的な文豪の代表作のひとつとされているが、わりと読み手を選ぶタイプの作品ではないだろうか。
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ヘミングウェイの父親は医者だったが、ミシガン州北部のワルーン湖に別荘を建てていた。幼いヘミングウェイは父の影響で釣りや狩りを覚えて生涯にわたる趣味となった。
1928年すでに作家として名を馳せていたヘミングウェイは『武器よさらば』の執筆を開始した頃に、フロリダ沖の島キーウェストで暮らすようになった。以降は海釣りを好んで、「大きな青い川」といえばメキシコ湾の海流のことになる。1939年からはすぐ、南のキューバに移るがその間、自前の釣り船を買っている・ディーゼルエンジンを動力とするデカい船である。
『老人と海」を出版した時期の書簡では、大量の年だとカジキを54匹釣ったと言っている。
『老人と海』のモチーフになった話と思われるヘミングウェイの実体験が雑誌に掲載されていた。
1899 シカゴ近郊のオークパークで誕生
1900 ミシガン州のワルーン湖畔の別荘で初めての夏を過ごす。ここで父から狩猟や釣り、キャンプを学ぶ
1917 高校卒業後、大学進学を拒否し、記者見習いとして就職
1918 新聞社を半年余りでやめ、赤十字社の募集を受けてイタリアへ。負傷兵を搬送する運転手に志願する。オーストリア軍の発砲により重傷を負う。
1921 結婚し、パリに夫婦で移住。
1923 スペインでの闘牛観戦を経て、トロントに戻る。
1924 パリに家族でもどり、スタインのサロンに集まっていたフィッツジェラルド、ドス・パソスなどいわゆるロストジェネレーションの作家たちやピカソ、ミロなどの画家たちとも交流する。
1953 『老人と海』がピュリツアー賞を受賞。翌年にはノーベル文学賞を受賞。
1961 猟銃により自殺
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構成の完璧さでいったら『武器よさらば』に軍配があがるのだろうけれど、初期作らしく少しでこぼこしているにもかかわらず、どうにも抗えない魅力を持っているのはやはりこの『日はまた昇る』だなあと思う。ふらふらと酒に酔いながらパリの街をさまよう寂しさから一転、灼熱のスペインでの狂乱の祭りで交錯する男女の思惑、そして全てから解放された第三部のすがすがしさと結局同じところに戻ってしまう虚しさといった全く異なる魅力をぎゅっと詰め合わせて一つの長編にした面白み。ヘミングウェイの作品は常に終わり方の切れ味がとてつもなく素晴らしいと感じるのだけれど、この『日はまた昇る』の「面白いじゃないか、想像するだけで」という一言なのに悲しさの凝縮したセリフは心にずんとのし掛かり、読後作品から離れられない余韻を持たせる。ずいぶん昔の作品にはなってきているが、登場人物たちは私たちの隣人のように生き生きとしていて、その抱える思いも現代的なところに凄みがあるね。
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本の雑誌のハードボイルドを探せ!特集に刺激されていまさらヘミングウェイを読んでみる。読んだのは中央公論社の全集版。
第一次対戦後の「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれた若者たちを描いているとのことだけれど、始終酒を飲んでウロウロしながらくだを巻いているようにしか見えなくてぐったり。第二次対戦後やベトナム戦争後のPTSDに苦しむ若者とかそんな姿はみられなかったのだろうか?明るい感じではあるのだけれど投げやりなどうでもいいや感が強くてさらにぐったりくる。どうもよくわからない。
短編のほうが切れ味鋭くいい感じ。
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失われた世代。
ロストジェネレーション。
パリからカナダ。
二人目かの奥さんの叔父さんが子供がいなくて、その姪を可愛がっていたから、アフリカ旅行やクルーザーを買ってもらっていたそうだ。世界大不況の1930年代とか豪華に遊んんでいたそうだが、他の人々との格差に悩み出したそうだ。
後にも先にも、お金、大事です。
不遇のパリ時代。若かりし頃。
文学。とにかく、書くこと。
テニスも。
ヒットはこの作品まで出なかったので、鬱屈していただろう。
10年に一度は結婚離婚していた、のだ。
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第一次大戦後の若者の自堕落な生活を描いた作品。登場人物はヘミングウェイ自身や実際の友人などがモデルとなっている。あらすじは、友人と旅をしながら酒に溺れ、ひとりの女性を巡ってすったもんだを起こすといった内容。なにか大きな事件が起こるわけでもなく、ただただ刹那的な快楽を求めて若者達は日々を過ごす。この作品に関しては、心理描写はほぼないと言ってもよい。会話の中で何となく感じ取れる程度である。また文章が回りくどくなく簡潔なため非常に読みやすいのだが、その反面、心に残るものがほぼなかったことは残念である。
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「自堕落な世代」という言葉に基づき読むと、ふらふらした生活をしてるもんだ、と思ってしまう。働いている姿もないし。とはいえ、このような生活は、自分も似たようなもの。新たな出会いをしたいと思わせてくれる。