サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

「e-hon」キャンペーン 本の購入でe-honポイントが4%もらえる ~7/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

おはん 改版 みんなのレビュー

文庫 第10回野間文芸賞 受賞作品

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー23件

みんなの評価3.4

評価内訳

23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

小さな夜行性草食動物の一心さ

2010/08/01 20:19

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:analog純 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 さて、今回の作品『おはん』ですが、一読、谷崎潤一郎の影響が明らかです。
 例えば、こんな文章です。

  --------------------

「ふん、いややて? 一しよになるの、いややて?」とあとさきもなう声たてて言ひますと、おはんは、
「あんさん、何いうて、」と言うたかと見る間に、いきなり私の胸もとへ跳びかかつてまゐりました。そのまま顔よせて、ひーいイ、ひーいイと声たてて泣きはじめたのでござります。
 そのぬくとい、湯のやうな涙のわが内懐を伝うては流れるのが、なにやら肝にしみるやうに思はれてきましてなア、
「はあ? うれしいか? うれしいと言うてくれ。おオ、泣け、泣け、」と私はおはんの背を抱いたまま、気が違ふやうになつて申しました。

  --------------------

 この文体は、やはり谷崎潤一郎の諸作品、『卍』『芦刈』または『猫と庄造と二人のおんな』などに酷似しているように思うのですが、小説の場合は、文体・設定酷似だけでは、なかなか簡単に言い切れないでしょうかね。

 事実本作は、途中までは谷崎諸作品の影響下にある感じのままに進んでいきますが、終盤思わぬ展開になり、私としては少しびっくりしました。

 簡単にまとめますと、二人の女に愛されてその真ん中で全く無意志的に踏ん切りのつかない、男女関係にだらしない男を描いた作品です。

 中盤から終盤にかけての話のポイントは、この男の「だらしなさ」「無意志さ」具合にあります。
 それは誠に、徹底的なもので、二人の女に挟まれて、実際ここまでだらしなくいられるものだろうかとは思いつつ、しかし、そこには妙なリアリティがあったりします。

 そのだらしなさが終盤に向かって加速度的に募っていって、果たしてどうなるものかと思う時、ふっと体の浮き上がるような浮遊感を覚えます。
 あ、これは、シュールレアリズムだなと、筆者の意図がそこにあるかどうかは分からず、私は思いました。これは一種の、やはり、小気味のよいような心地よさの感覚でありましょう。

 そして、本当の終盤、一つの大きな事件のあと、タイトルにもなっている「男」の別居中の妻「おはん」が、「男」に一通の手紙を送ります。
 この手紙が、何といいますか、実に引き締まった最後の展開となってゆきます。

 例えばこれは、小さな夜行性の草食動物の一生懸命さ、そんなイメージが浮かびます。
 何か理にかなっていない、だからその分不思議で気味の悪い、しかしせっぱ詰まった懸命さ、真剣さが感じられます。

 この感覚、あ、どこかで読んだ、と思い出しました。

   太宰治『女の決闘』

 あの、身も蓋もないような殺風景な、しかし神々しいという言葉でまとめても決して間違いではない「女の一生懸命さ」と同様のものが、本作読後私の心には残りました。
 やはりこれは一種の深い感動であろうと、私は静かに思うのでありました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

幸吉のことは、すきになれない

2019/01/28 12:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

1984年に、おはん(吉永小百合)、幸吉(石坂浩二)、お加代(大原麗子)という豪華キャストで映画化されている。この映画については未見であるが、配役を見ただけで「はいはい、そうゆうことなんでしょう」と想像できる。吉永小百合のおはんはとことん健気で、大原麗子のお加代はとことん気が強い、石坂浩二の幸吉はとことん情けない。幸吉の情けなさは、田山花袋の「蒲団」の先生や近松秋江の「別れたる妻に送る手紙」の男などのダメ男を主人公にした物語の系譜にあるものかもしれない。でも、幸吉のことは先生のようには好きにはなれない

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2006/01/26 19:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/01/01 23:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/01/16 08:06

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/04/02 00:31

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/07/03 23:17

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/02/21 00:40

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/03/06 09:21

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/03/27 10:57

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/09/19 11:25

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/10/13 10:44

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/11/11 17:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/02/14 13:03

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/08/04 22:49

投稿元:ブクログ

レビューを見る

23 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。