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紙の本
新宿鮫の会話が嘘っぽくて読むのを止めていた大沢在昌。なーんだ、こんなしっかりした話書けるじゃん、こういう元夫婦関係って素敵!
2005/08/26 20:35
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
うーん、何だか早川書房の海外ミステリ、例えばアリステア・マクリーンの冒険小説といってもいいような風情のカバーです。無論、悪い意味ではありません。なんだか、日本というよりはアラスカを思わせる写真、手前は流氷?いえいえ、どちらも勘違い、カバーに英語が並んだりしますが、純日本のミステリ、ただし舞台は北ではなくて南の島。
でも、主人公が保安官ていうのがね、やっぱり海外ミステリしちゃってるというか。で、誰がブックデザインしているかな、と思ったら岩郷重力+WONDER WORKZ。でした。ジョー・ウォルトンの『アゴールニンズ』にも冴えた装幀をつけていますし、最近、もっとも露出度の高いコンビかもしれません。
先走って書きましたが、主人公は保安官の高洲、41歳です。元捜査一課に勤め退職、その経緯は殆ど触れられていません。そしてバツいち。その元妻は今も警視庁に勤務し、エリート街道を突っ走っています。人によっては、女性初の警視総監誕生か、とまで言われる傑物ですが、今でも高洲とは電話で連絡をしあい、相手のことを気にし、よほどのことではない限り元夫の依頼を聞いているように、嫌いで別れたわけではありません。
ちょっと脱線ですが、話を読む限り高洲はどうしても50代という印象ですね、無論、元妻との会話は40代でピッタリなんですが、どうしても読んでいて違和感があり、これはちょっと大沢さん、まずったかな、そんな気がします。
で、冒頭で主人公の性器を握っているのがオットー医師、なんて書きますとアブナイ話かと誤解されかねませんが、そんなことはありません。あくまで、異例の健康診断。二人を見守るのが助役の木島で、あとで登場するのが村長の井海幸子です。前任保安官・柴田の急逝で生まれた穴埋め求人に応じたのが高洲でした。着任早々の彼の目を引くのがチナミこと鈴木加寿美で、後で高洲とともに事件を担当することになるのが高洲の知り合いで捜査一課の山地です。一応、ここらが主な登場人物です。
で、皆がいるのが東京から約1100キロ離れたところにある青國島です。最も近い島というのが小笠原諸島の母島で高速船で1時間30分の距離にあるといいますから、いかにもミステリらしい設定で、誰もが孤島の連続殺人事件を予感しますね。そうです、本格ミステリではありませんが、殺人事件が起きるのです。
舞台となっている青國島は面積40平方キロ、人口は1000人に見たない、それでいて豊な島です。観光施設といってもホテルが二軒、ペンションが6軒という小さなもので、満室になっても120人が精々。太平洋戦争終結後10年はアメリカ海軍と沿岸警備隊の占領地で1968年に返還された、といいます。人口の関係から駐在所を設けることが出来ず、島では民間の保安官をおいています。
船戸与一に『竜神町竜神十三番地』という作品があります。設定が、ちょっと似ているんですね。ま、孤島があって、男の主人公がいて、女性がいる、酒場があって暴力団がいる、ま、多くの小説が似たり寄ったりの設定ではあるのですが、ちょっと全体を流れる倦怠感というか、だるさ、みたいな部分がです。
ただし、船戸作品はいかにも彼らしく真っ暗で救いのない話になっていくのですが、大沢のこの小説にはどこかアメリカ風のカラッとした風が吹いています。
高洲元夫妻が他の小説に登場するかは分りませんが、この二人のコンビならもっと読みたいなと思います。逢坂剛の公安ものとも違った、どこか健康さの漂う職場結婚をした夫妻というのは、最近には珍しい設定で、何故離婚したのかとか、出会いは、とか興味深々です。新宿鮫でキョウザメした私ですが、高洲ものならば読んでみたい、そういう気にさせる作品です。
紙の本
南海の孤島で次々に発生する事件,その島の秘密を元警官の保安官が一人探っていく.
2004/06/27 18:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は元刑事,41歳,高洲康彦.なぜか警察上層部に元妻がいる.警察に勤めることに疲れ,一人で南海の孤島,青国島に,保安官として雇われ,やってきた.
青国島は,小笠原から1時間半というところにある面積約40平方キロ,人口約900人の島.東京都に属するが,警官が常駐はしていない.一応,民宿やホテルがあるにはあるが,観光客を積極的に受け入れようというわけではない.なぜか,島民は皆それなりに裕福なのだ.
着任早々出会った老人に「おまえも財産のことを調べるのか? 嘘をついたら撃ち殺すぞ」と言われる.そして翌日,その老人は事故で死ぬ.さらに掲示板の焼き討ちと次々に事件が発生する.心のリハビリにきたにもかかわらず,捜査にのめり込んでいく高洲.
登場人物達は皆,なにか隠していそうでうさんくさい.自分のほうからすり寄ってくる美女,チナミ.役場の女村長で,ホテルも経営している井海に,助役の木島,役場にはでてこない収入役の草引.古くから島に一人だけの医者,オットー.さらに,島民とはつきあわず,民宿を経営するノブキ.
なんとなくありそうな島,島の秘密もうなずける.しかし,ここまで殺人事件が頻発するのはどうか.動機は当然説明されるものの回避出来るものもありそう.高洲の性格は,丁寧に説明され,のめり込んでいく様は納得.女性の誘いにもきっぱりとはねつけるのはまさにハードボイルドというところか.こんな島であとは,ゆっくり余生を送れるのだろうか.
紙の本
設定が丁寧で上手い
2016/05/21 16:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
小笠原の人口千人ほどの島を舞台にしたミステリーです。
離島というのがある条件が揃えば密室になる設定は
結構たくさんの作品でも書かれてきています。
日本を舞台にしたミステリーで拳銃がゴロゴロ出てきて
射殺死体がやたら出てくると小説だとわかっていても
興が削がれることが多いのですが
この作品はその点を丁寧で上手な構成設定がなされており
最後の結末まで面白く楽しめました。
地元の人間と他所から来た人間という
意識するしないは別として共同体が持つ寛容さと排他性に
もう少し踏み込んでいればさらに読み応えのある
作品になったのではと思いました。
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