紙の本
破戒と部落解放運動
2003/12/28 21:25
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:妹之山商店街 - この投稿者のレビュー一覧を見る
島崎藤村の「破戒」は、明治39年に自費出版されました。
全国水平社の結成が大正11年ですから、部落問題を真正面から
見据えた「破戒」の先駆性は明らかです。
昭和14年に「破戒」の改定本が出版されました。島崎藤村と
全国水平社との協議による改定でした。
「破戒」の差別的表現を訂正したとのことです。
確かに初版「破戒」には、種々の差別的表現がありました。
「穢多、非人、かたわ、気狂い」等の。
しかし、それを訂正すると、かえって、部落差別を糾弾する
作品のインパクトが明らかに低下してしまい、改悪でした。
そして、昭和28年、初版本が復原されます。
しかし、部落解放同盟は、
1.何の解説もない、単なる初版本の復元はおかしい
2.部落民と解放運動を考慮してほしい
というものでした。
「破戒」には、確かに「差別的要素」は、あると思います。
・差別用語
・丑松が、穢多だということを隠していたことを、土下座して
謝る。アメリカへと旅立つ=逃避
・解放運動家の猪子連太郎の台詞:「いくら我々が無智な卑賤
しいものだからと言って」の問題点
しかし、まあそれは、何というか、無いものねだりという気がしてなりません。
まだ、部落解放同盟はおろか、全国水平社すら無かった時代のことですからね。
時代的制約というものが、時代的限界性というものが確かにあるでしょうね。
むしろ、その先駆性をこそ賞賛すべきだと思われてなりません。
紙の本
時を超える名作
2023/11/09 11:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずとしれた名作だが、出自によっていまだ有形無形の差別や偏見、ヘイトがあるなか、今なお深く胸に響く物語だ。日露戦争の時代に書かれた物語であるとは!
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世間の常識・通念というものは、必ずしも正しいものとは限らない。民主主義を謳う現代社会でさえ、言い換えれば「多数決なら悪も正義になりうる」社会だ。それが、部落民が世間から厳しい目で見られていた時代ならなおさらであろう。瀬川丑松のとった行動はそう考えると本当に勇気のいる行動であると言える。小説技法においても自然主義という文学界の変革を起こそうとした藤村と、その発想はどこか似ているではないか。
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出来る限り多くの人が読んでこの問題について考えていただけることを望みます。部落差別は過去のことではありません。今もまったく消えてはいないのです。私はその実際を知っています。ぜひ、考えてみてください。
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「人は平等」って言っても絶対こういう差別の感情って今もどこにでもあるんだろうな。本編中暗さが徹底してるのが良い。丑松を通して見る世界がすごくリアル。
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部落差別問題。日本人なら知らないと絶対に恥。
作品としてはラストがちょっと納得いかないけど、でも『破戒』のシーンは切なくてどうしようもないです。
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何度でも読み返したいと思う本のひとつ。最後の丑松の行動は人によって意見が分かれそうですが、私は彼なりの「自己解放」を感じられた気がして清々しさを感じました。個人的には好きな終わり方でしたね。
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部落差別について書かれた作品。是非、読んで考えてもらいたい。しかし、最後の主人公の行動には賛否両論があるようで、納得は出来ない。
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日本のリアリズムのさきがけらしい。読み応えあるけど入り込みやすく、読み飽きない。面白かった。最後の講評が辛辣。笑
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読むのに少ししんどいかもしれません。でもこれは一度は読んでおいた方が良いお話だと思います。差別という残酷な社会の中で、悩み苦しみ結局はアメリカに渡るという結末に少し物足りなさを感じましたが、それは私が今、この平和な世の中に生きているからなのだと思うと、いろいろと考えさせられるところがありました。
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島崎藤村の描く、部落差別問題を扱った作品。やはり日本人ならば、日本に根付く差別問題は知っておくべきではと思います。主人公が戒めを破るかどうかで葛藤する。その経緯が描かれることで、「破戒」ということの重みの片鱗にでも触れられる気がします。
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爆笑問題太田さんが、高校時代に読んで読書のきっかけとなった本。
最初は昔の文章に慣れなかったけど、慣れてしまうとすいすい読めました。
最後の破戒のシーンはとりあえず読んで欲しい。丑松の決心は、私なんかが考えているよりも、もっとすごいことなんだろうなあ。
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家にあったので久々に読み直してみました。
「同じ人間なのに、日本人なのに差別される」
こんな時代もあったんだとつくづく思わさせられる。
今はいい時代だなと改めて痛感。
主人公の差別のことよりも、色恋、周りの同じ境遇の人たちの描写、が多く含まれていますね。
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読んでおくべき本だと思う。当時の差別問題を知るためとかそういうの抜きにしても文学としてとてもよい作品だと思った。主人公の弱さとか人間関係とか。読み応えあり。
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明治後期、部落出身の教員瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていたにもかかわらず、同じ宿命を持つ解放運動家、猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。その結果偽善にみちた社会は丑松を追放し、彼はテキサスをさして旅立つ。