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「不味い!」4
著者 小泉武夫
出版 新潮社
p76より引用
“あの口の中を刺すようなエグ味は、
古くなった酒と蛇の成分と酸化された蛇の脂肪によるもの
だったのである。”
発酵学者である著者による、
数多くの著者の食歴の中から厳選された不味い物を紹介する一冊。
身近なラーメンから爆発する缶詰まで、
おなじみの楽しい文体で書かれています。
上記の引用は、
不味い蛇の項の中の一文。
二十年物の蛇酒を、
水と間違えて飲んだ時の感想。
その他の著作を読んでいると、
この世に不味い物はないんじゃないかと思える著者ですが、
そうでもないようです。
他の著作でよく出てくる、
シュールストレミングが今回も出てきます。
やっぱり美味しくないと思いながら食べていたんだなと、
同じ人間なんだなと少し安心する一冊です。
普段の食事の美味しさを再確認するのに、
読んでみると面白いのではないでしょうか。
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ど真ん中直球のタイトルがインパクト強し。
“このお店のナントカが大変おいしゅうございました。おもたせにも最適ですね”ということが延々と書いてある本の逆バージョンだと勝手に判断して、軽く読み始めたのですが、謝罪しなくてはなりません。
もちろん、軽く読めて、普通の生活をしている私などにも「あるあるある!!!」と笑える章もバランスよく挟まれているのですが、「そんなもの食べるのか!不味いとわかってて食べる方が悪いんじゃないか?」と思われる(しかも、その度合いが半端ない)エピソードもあり。
農学博士ならではの知識と分析、そして己を実験台にしての恐るべき探究心に頭が下がります。
そして、『不味い!』モノも、決して残さず食する、食べ物に対する誠意も立派だと思う。
まずい食べ物に対しての記述だけではなく、世界や日本の食文化、調理だけではなく、その元となる“水”についての話も良かった。
虫・・・は、ちょっと凄かったです。
不味い!を構成する要素。
アンモニア臭
未去勢牡牛の獣臭
グルタミン酸ナトリウム(の入れすぎ)
解説も面白かった。
今度、解説の嵐山さんの本も読んでみようと思います。
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筆者が出会った不味い食べ物についてのエッセイ。
文章が上手く面白く、食べ物に対する愛を感じる。
取り上げられているのは旅先のホテルのテキトーな料理や、腕の悪い定食屋の話から、シュールストレミングや昆虫食など、いわゆる「奇食」まで幅広い。
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確かに、世の中に美味しいものを紹介する本は数多あれど、不味いものを紹介する本には出会ったことがない。
それにしても、さすが小泉先生。どんなに臭くても、どんなに気持ち悪くても、必ず飲み込むとは。
蛇、血、カラス、シュールストレミング、ホンオフェ、カレーが面白かった。あとがきの嵐山さんもGood!
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世の中美味しいものを紹介する書籍はたくさんあるが、「不味い」食べ物のことを書いた本とは初めて出会った。
「ムサボリビッチ・カニスキー」、「味覚人飛行物体」、「走る酒壺」、「ジュラルミン製胃袋」、「発酵仮面」等数多くの別名を持つコイズミ教授、この人の不味さへの科学的アプローチには驚く。しかし、そんなものまで食べなくても・・・。
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味覚人飛行物体こと小泉武夫先生の「不味い飯」に関する本です。
不味いものを紹介している本なのに、どうしてか腹がへる。
不味いものに関してはどうして不味いのか、どういった物質が出ているのか、どうやって保存されたり加工されたりしているのかということを解説されています。
それと合わせて、美味しい方も美味しそうに紹介しているので非常に腹が減る本です。
ゲテモノに関してはほんの少し、あとは一般的なスーパーなどで売っている「不味いもの」を紹介しています。
解凍に失敗している刺し身、猫跨ぎな鮭、大阪の水、ホテルのティーバッグと言った感じです。
ゲテモノとしては、血の腸詰めやカラスの肉、虫ぐらいですかね。
あとがきのあとの嵐山光三郎氏の解説の様な寄稿文があるのですが、そこにも書いてあるとおり、小泉先生の場合、まずくても大体ちゃんと食べるんですよね。
そしてわざわざ不味いと評判のものや、不味いかもしれないというモノにも挑戦しているというのが面白いです。
読んでる間、顔も緩んでしまいます。
ダイエット中などには禁忌ですが、非常に楽しい読み物でした。
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2015.10.15 読了。
不味い物が書かれたエッセイ。
美味しいもののエッセイはよくあるが、不味いもののエッセイは珍しく面白かった⤴︎
食べ物が美味しくなる過程、不味い理由など
発酵学者ならではの知識と分析はすばらしい。
蛇
臭い缶詰
虫
羊の血
カラスの肉は線香臭い
グルタミン酸ソーダは手軽な調味料でつい使ってしまう自分の料理を反省する…
どんなに不味くてもきちんと食べているのは、小泉先生の食べ物に対する愛情を感じます。
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折り詰め弁当の貧相なフライ…。都会のカルキ満点の水…。酸化して湿気って食べられたもんじゃないナッツ…。思わず「わかる~!!超まずいあれ!!許せん!」と頷く食の数々。さすが味覚人飛行物体小泉先生。まずい物に対する見識も広大です。
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逆説的なマズい、かと思ったら、本当にマズいと思った(味、環境含め)もので、ユーモアが感ぜられなかった。
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小泉武夫先生が出会った「不味いもの」を紹介。筆力、知識ともに申し分ない筆者だからこそ、読んでいるうちに口の中が不味くなってくるすごい本。鰻の回は、不味い鰻を食べたことのある人は「そうそう、こんな感じ!」と激しく頷いてしまうのではないだろうか。星マイナス1としたのは、類稀な筆力のおかげで不味いものから逃れる暇がなかったことと、グルタミン酸ナトリウムが大嫌いな先生の強い主観が入っている点。天然の出汁は美味しいが、効率を求めてしまうのは全否定できない。食べ物の趣向を題材にするのは難しいところである。
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美味いものに出会っている人はまずいものにも敏感ということ、美味さの描写がうまい人は不味さの描写もうまいということがよくわかる。不味さの分析もセットでさすが小泉先生という印象。とはいえ、不味さが伝わってくるのは気分のいいものではない。じっくり楽しむ本ではないというのも正直なところ。
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20180630読了
2006年発行。これがおいしい、あの店がすごい、という本はよくあるが、まずいものについてのエッセイというのはあんまり聞いたことがない。この方の新聞連載を読むが、それはおいしいものについて語る内容なので、この切り口は珍しいのかも。発酵学者の著作。聞いただけでそりゃあまずいだろう!と思うようなゲテモノ類(蛇、虫など)がある一方で、病院食や学校給食など、そうそう、それっておいしくないよね、という身近なまずいものがあったり。「ホテルの朝食の蒸した鮭」「未去勢牡牛の肉」なんて奥が深くて、そういうからくりがあるのか、と目を覚まされる思い。外食のあの人工的な味は「グルタミン酸ナトリウムの味」だったんだな。おいしいもの、おいしくないもの、という味の違いの感覚は自然に身につくものではなく、興味をもって学びながら獲得されていくものなんじゃないかという気もする。
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20190216 タイトル通りに不味い物を追求して、理由を分析してくれる。不味さの原因が判るが、だから?という感じ。この人は美味しい物の紹介の方が読んでいて楽しい。食いしん坊だから、不味さへの恨みが行間に出ていて読んでいて楽しめないのも残念。
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小泉武夫、この人の本、結構読んでいると思っていたんだが、まだ2冊目だった。
読了してないのが多いんだな。
この人の本、面白いのが多いので、今更ながらにタグを作ってみた。
で、不味いである。
美味しい食事や料理の本は数あれど、不味いものをわざわざまとめた本は、確かに読んだことがない。
作者も、不味いものがあるからこそ美味いものがわかるという趣旨のことを書いているので、なるほど納得。
濁すところもあるけれど、お弁当などだれもが一度は経験したであろう、不味い体験も書かれていて、もう二度と同じ過ちはするまいと誓えるのでした。
面白かった。
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美味しいものについて書かれた本はよく見るが、「不味い」ものについて書かれた本はあまり見ない。
旅先で、あるいはせっかくの外食の機会で、考えて選択したはずのメニューが思いのほか口に合わなかったときの残念な感じ。
それもまた懐かしい思い出となっているのが面白い。