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褐色の文豪 みんなのレビュー

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みんなのレビュー11件

みんなの評価3.9

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (5件)
  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
11 件中 1 件~ 11 件を表示

紙の本

佐藤の小説に出てくる人たちは、どうしてこうも人間臭いんでしょう。もちろん否定しているんじゃあありません。褒めてます。ただ今回のデュマ、ちょっと迷走が過ぎるかな・・・

2006/03/17 20:25

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「文豪デュマの父はコーヒー農園の奴隷だった!その膚の色と獰猛な巨躯ゆえに敵から「黒い悪魔」と恐れられた男の波乱の人生」という、年におなじく佐藤が書いた『黒い悪魔』の続編とも言うべきお話です。ということは、今回の主人公は文豪デュマということになります。
目次ですが、プロローグ、第一章 立志のとき、第二章 上京のとき、第三章 革命のとき、第四章 成功のとき、第五章 迷走のとき、エピローグ、たなっています。これだけで全体の構図がくっきり見えてきます。ちなみに、初出は別冊文藝春秋で2003年の246号から2005年の256号まで11回に亘って掲載されたそうです。
各章で時間が大きく飛びますので、前振りのプロローグと最後のエピローグを除いて簡単に書いておくと、第一章は、舞台はフランスの片田舎ヴィレル・コトレで1819年のことです。アレックスことアレクサンドル・デュマは17歳、44歳で亡くなった父デュマ将軍を慕いながらも、劇作家になることを宣言します。
第二章は、恋に破れた主人公がパリで暮らす決心をする1823年から始ります。第三章は1830年の七月革命で活躍するデュマの姿が中心。第四章は1832年、自分の息子の認知をしようとするアレックスがいます。そして第五章は1850年、バルザックの葬儀で棺の左に付き添う主人公を見ることができます。
主人公のアレックスことアレクサンドル・デュマは、生まれも育ちも、北フランスの辺鄙な田舎町ヴィレル・コトレです。しかも貴族の血を引いています。父方の祖父が「ラ・パイユトリ侯爵」の肩書きをもつ正真正銘の貴族です。ただし、本国のフランスでは零落して、植民地で一旗上げようとした祖父が現地の女奴隷に産ませた子供が父親のデュマ、「黒い悪魔」と恐れられた将軍です。
物語が始る時点で、ナポレオンに反抗したことで昇進の道を閉ざされた将軍は既に亡く、恩給もナポレオンの悪意ゆえに支給されないままに、デュマ母子は貧困のなかでひっそりと暮らしています。ま、父親の血を引いた息子は、体躯も立派なら性格も明るくて、劇作家の道を目指す友人ルーヴァンや年上の恋人アグラエに好かれています。
文豪デュマが亡くなったのは1870年12月5日、68歳。息子で「椿姫」を書き、その後、大家の仲間入りをしたデュマ・フェスに見取られての死でした。その晩年は、まさに迷走で、殆ど愚かとしか言いようのないものです。いや、それは17歳の時から少しも変わることはありません。しかし、それもまた人生。本人が満足しているのだからいいのかもしれません。
艶福家といいうに相応しい一生でした。読んで感動はありません。でも時代の雰囲気はとてもよく伝わります。少なくとも私が今まで読んできたどんな小説や歴史書よりも、といえます。これをフランス人はどう読むのか、塩野七生のエッセイをイタリア人がどう受け止めるのか同様、知りたいものです。
装丁は坂川栄治+田中久子(坂川事務所)、カバー地図はテュルゴーのパリ地図(京都大学付属図書館蔵)だそうです。

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紙の本

黒から褐色へ〜受け継がれるデュマ家の血脈

2006/04/18 01:35

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『三銃士』で名高いダルタニヤンを主人公に据えた『二人のガスコン』刊行から五年。遂にその生みの親、アレクサンドル=デュマが、『黒い悪魔』に続く、デュマ家三部作の主役として、佐藤作品に登場。氏のデュマへの思い入れを知る読者は、「いつ出るのか」とさぞや首を長くして待っていた事だろう。
ナポレオン指揮下で戦った彼の父・トマ=アレクサンドルは黒い肌を持つ巨漢だった。彼は人々の憧れ(巨躯)と、人種差別の格好の標的(肌の色)という、両極端のものを併せ持っていたが、前者の恩恵よりも、後者故の差別を受ける事が多かった。そしてその性格も、肌の色(=黒)と同じく、他と相容れる事を肯んじなかった。だが息子の代になると、肌の色も黒から褐色へと薄まっており、性格はどうかと見てみると、これもまた、父よりはるかに打ち解けやすい男になっている。ナポレオンの失脚から七月革命、二月革命。大揺れに揺れた国フランスで、こればかりは父譲りの「女性に対するセックス・アピール」を存分に振りまき、根拠のない自信を原動力にして、パリ文壇の寵児となっていくデュマ。前半はそんな彼のサクセスストーリーの側面を持つ。だが、やがて彼の最大の支援者だった市民が、劇場に足を運ばなくなる。それも原因となったのは、彼が共鳴していた「革命」がもたらした混乱によるものだというから、何とも皮肉な巡り合わせである。皮肉と言えば、デュマが父のように政治的・軍事的成功を夢見て積極的に行動を起こしたにも関わらず、世間的には「文豪」としか評価されない件もしかり。他人から見ればどんなに羨ましい立場にある人でも、必ずしも理想を実現できるとは限らない。このジレンマに悩む文豪を見せて、氏は彼への共感を、ごく自然に読者に抱かせる。
佐藤作品の場合、主人公と常に対峙する存在を登場させ、両者の対比や対立が、ドラマの軸となってゆく場合が多い。今回の場合ライヴァルとして登場するのはヴィクトル・ユゴー。内心嫉妬しつつもその才能を賞賛するユゴーと、その心中を知らず、無邪気に尊敬の念を表明しているデュマの関係は、映画『アマデウス』で天才モーツァルトとサリエリのそれを彷彿とさせる。但しデュマの場合は、相手に追い落とされるのではなく、自滅してゆくのだが。
尚、ユゴー、デュマ、そして本作にも少し登場するバルザックと、同時代の文豪を比較した鹿島茂著『パリの王様たち』が既に刊行されているので、併せて読むのも一興である。
「我が道を行く一癖あるヒーロー」が生き生きと活躍し、見てきたような『虚』と『実』が絶妙に絡み合った佳作だった。『黒』の次は『褐色』、さて、三代目の佐藤版小デュマは、どんな色を纏うのだろうか。

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紙の本

次のページをめくる力

2006/03/27 21:42

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:土手南瓜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本を読むときの至福の一つに、次のページへの期待がある。
止められない止まらない、明日は仕事だしいろいろやることもあるのだけど・・・もういいやって読んじゃえ!って人間失格な行為がたまらないのだ。
この本で佐藤さんは小説とは次のページをめくらせる力の事だと語っている。うん、まったくそのとおり。
下品で野蛮でどうしようもないが魅力にあふれている、そんな男を描くのが実に上手い佐藤賢一さん。
今回の作品の主人公はあのアレクサンドル・デュマ!お調子者で人がよく精気にあふれた人生を描いている。
こんな人間が近くに居たらたまらないが、逆の意味でもたまらないかも知れない。
「文学とは絶望を希望に変える錬金術。」
うん、明日も起きて生きて本読んで・・・それでまあいいのじゃないかと。

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紙の本

波乱を追って

2017/03/26 14:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

文豪・デュマの物語。彼は自らも激動の生涯をおくった父、そして自分の書く小説のごとくダイナミックでドラマチックな人生をおくらなければならないという強迫観念でもあったのかもしない。周りはたまったものじゃなかっただろうなあ。

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紙の本

人間味あふれる、行動する作家の生涯。

2006/02/17 23:41

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった不朽の名作を世に送り出した作家、アレクサンドル・デュマの生涯を描いた小説である。
 “文豪”という響きから、近寄り難い、重厚な姿を想像してしまうが、本書で描かれるデュマは、素直で人懐っこい、とても愛嬌のある人間だ。
 物語は、ワーテルローの戦いで大敗したナポレオンが、パリに逃げ帰る途上、幼いデュマと遭遇する場面から始まる。惨めな姿の元皇帝をじっと見詰める褐色の肌の少年。どういう物語なのだろう、とワクワクさせられる冒頭だ。
 本書では、行動力にあふれ歴史に名を残したナポレオンと、“黒い悪魔”と恐れられた将軍の父親を、終生デュマが理想とした人物として描いている。そういえば、『モンテ・クリスト伯』はナポレオン寄りの作品だったが、作者はそこからデュマの人物像を想像したのかもしれない。
 「行動する作家」—この称号こそ彼にふさわしい。彼は常に、考えるより先に行動する。ろくに物を書いたことのなかったデュマが、「決めた。僕は劇作家になる」と宣言してから人気作家に至るまでの道のりは、苦労や悲壮感といったものが感じられず、およそ偉人の伝記らしくない。
 それは、彼自身の持つ人間的魅力によるものが大きいのではないか。素直な心の彼には、大事な局面で助けてくれる人間が現れる。自分の小さい殻に閉じこもらず、おおらかに人の意見に耳を傾ける姿勢には、見習うべきところが多い。
 また、本書で作者は、「“物語”という虚構の世界しか動かせず、現実の世界では無力なのだ」と作家としての自分に悩む、新しいデュマ像を読者に見せてくれる。この点、文学によって社会を変えようとしたヴィクトル・ユゴーとは対照的でおもしろい。
 自由奔放なデュマと、堅物なユゴーの対比は本書の魅力といえるが、ユゴーを敬愛する私としては、あまりに彼が情けなく描かれているので、受け入れ難いところがある。また、デュマの母親と妻の人物描写に違いが感じられず、手抜きの印象を受ける。デュマを掘り下げようとするあまり、女性の方はおろそかになったのではないだろうか。
 作者の、デュマに対する愛情は、確かに伝わってくる作品である。

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2007/03/24 14:32

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2007/08/25 13:36

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2009/06/21 09:30

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2010/06/16 07:08

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2016/10/24 17:57

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2019/03/29 15:54

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