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紙の本
私の大好きな話ですね。もう、これがテーマになった、それだけで★四つ。で、文章がいいのでさらに★ひとつ。でね、あんまり突っ込んだことが書けないんです、とくに表題作ではないほう・・・
2006/07/02 20:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人的には集英社の「すばる文学賞」作家は、河出書房の「文藝賞」作家に比べると、芥川賞には数歩遠い位置にいるのかな、なんて思います。でも、その距離はほんの一跨ぎ、それが今回の小説を読んでよくわかりました。でも、この頁数の限りない少なさ。長編小説命の私には、今の若者、体力がないのかな、なんて思ったりして。
ちなみに、高瀬ちひろは1971年東京生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(修士課程)修了。「踊るナマズ」で第29回すばる文学賞を受賞とあります。写真はなし。文藝賞作家は、たまたま美女が続いたせいか、ここ何回か著者のポートレートが巻頭に大きく出ていましたが、こちらはどうなんでしょう? 初出ですが、「踊るナマズ」は「すばる」2005年11月号、「上海テレイド」は「すばる」2006年1月号だそうです。
一般受けはしないかもしれませんが、平野瑞穂の装画、好きですね、芸術していて。こう、水を吸い込みやすい紙に水彩絵具をたらしこんだような抽象画というか、時に押し花にも見え、ときに血の痕にも見える、どこか暖かみのある紅色のにじみがとても綺麗です。装幀は澤地真由美。
どちらも中編と呼ばれるものなんでしょう。第29回すばる文学賞を受賞したのは表題の「踊るナマズ」で、これはナマズ伝説が残る田多間町で雑貨商を営む家で生まれた私が、「ナマズ雨」をきっかけにナマズについて、というか自分とナマズとの因縁について語る、ちょっと不可思議な話です。
こう書くとエンタメ系の小説かと思われるかもしれませんが、味に深みがあって、どちらかというと北野勇作『かめくん』『どーなつ』といった不条理小説、あるいは伊井直行『濁った激流にかかる橋』といった異世界の純文学といったほうが理解をしやすいかもしれません。不思議な町で行なわれる奇妙な性教育、これだけで読みたくなりません?
でも、個人的には「上海テレイド」ですね。30歳の私が、一つ年上の万華鏡制作者・由利さんの家で聞かされる彼女の恋の話です。当時、彼女は大学で声楽を学び、音楽の道を目指していたのですが、大学の三年の夏に母親が交通事故で亡くなり、その後で大学を中退して万華鏡製作の道を選んだといます。
由利には一歳年下の弟・拓美がいて、二人は仲のいい姉弟で、母のこともあってか、運命共同体みたいな感覚もあったから、姉弟というより自分が二人いるみたいだった、といいます。性格や顔や体格は全然違うのに、魂のどこか奥深くで重なり合っているような感じ、だそうです。
私はこの手の話に弱いんですね。こう、最も美しい愛の形、なんて思っています。昔、澁澤龍彦がこれについて、書いていましたが私は今でもそれを超える意見に出合ったことがありません。うーん、何だか持って回ったようで、隔靴掻痒でしょ?何をもったいぶっているか、それは読んでもらうのが一番です。
その悲劇性も、こう、なにかストイックなところがあって、私はこのままで終らせてはいけない、いつか、いつか・・・なんて思います。うーん、やっぱり隔靴掻痒・・・、でも読む価値十分。ただし、気を抜くとちょっと分からなくなる、そういった書き方を高瀬自身がしている部分もあるので、心して読みましょ、はい。
紙の本
ナマズとテレイドスコープ。
2007/03/28 17:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「踊るナマズ」
ナマズ伝説があり
今ではシンボルマークにしている町で育った「弥生」。
その町の中でも、弥生の一家はナマズに強く惹かれています。
特に叔母の小夜子はナマズの絵を描いている画家。
弥生が小学生の頃、
同級生の一真と一緒に
民話をよく知る水口さんに
本当のナマズ伝説を聞きにいきます。
小学生には刺激の強すぎる話なのですが
弥生はもうナマズから離れられない。
大人になり、妊娠した弥生は
おなかの子どもにナマズの話をします。
昔話を体感的に表現し、ナマズのぬめりよりも
愛嬌のある顔立ちや振る舞いを描きます。
自分の子宮との繋がりを感じるのは
やはり女性作家ならではの感覚でしょう。
「上海テレイド」
万華鏡作家の由利の、美しく悲しい昔話。
浮世離れした話なのに、リアリティがあります。
万華鏡(カレイドスコープ)ではなく
テレイドスコープという、先端にガラスがついた万華鏡が
小道具に使われていて、より繊細な世界を作っています。
ナマズにしてもテレイドスコープにしても
小道具の使い方、その膨らませ方がうまいですね。
物語力があります。
紙の本
ぬるぬる語り継ぐ
2018/05/10 06:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
出産を前にした、女性の揺れ動く心がリアリティー溢れていました。土俗信仰と絡み合っていくナマズの絵が印象深かったです。
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