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みんなのレビュー42件

みんなの評価3.9

評価内訳

42 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

地味なようでいて、とても鮮やか。起承転結の「転」、「転」から「結」への部分の不思議な迫力が作品の魅力です。

2012/02/25 20:02

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きし - この投稿者のレビュー一覧を見る

 
収録作は9篇。
『恋占い』、『浮橋』、『家に伝わる家具』、『なぐさめ』、『イラクサ』、『ポスト・アンド・ビーム』、『記憶に残っていること』、『クィーニー』、『クマが山を越えてきた 』。

最初に読むことになる『恋占い』はいったいこの女性は?と疑問符から入りますが、その他の作品では、友人の家を訪ねる、離れていた異母姉妹の家を行く、葬儀に出席するために出かけるなど、ごく日常的な状況から始まります。
登場する中にも飛びぬけて奇異な人はいません。
退屈に似ている平穏の中にいて、奔放さには無縁。
不幸ではないけれど、意識する、しないに関わらず、彼女達にはどこかしら閉塞感が漂います。

けれども自由を完全に諦めたわけではない彼女達は、生活に差し込まれる出来事がつくる小さな波のひとつひとつを身を浸すようにして味わっていきます。
一緒にいる人の沈黙の意味。
唐突な情事。
どのような形であれ、人を決定的につなぎ合わせる出来事。
目に映る星や緑、肌で感じる風や空気の密度。

波乱万丈という言葉からは遠いところにある作品ですが、地味なようでいて、とても鮮やかな印象を残します。
たふたふと揺れている水の表面が一瞬真っ白に光って、まるで別のもののように見える。そして、その後すぐにまた元に戻っていくからこそ、それが目に残るというような。
そういう起承転結の「転」、「転」から「結」への部分の不思議な迫力が作品の魅力です。
読み応えがありました。
 
 

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紙の本

イラクサ

2022/06/24 10:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

収録されている作品の多くは女性が主人公で、主人公や家族・友人の夫が登場するのだが、その夫がほとんどモラハラ夫であり、しかも現実にいそうな夫である。自分の論理で妻を解釈し、それを退けようと自分で論理的に説明しようとすると、激高する。そこに真っ向から対峙するわけではない、というところが面白い。復讐してスカッとして終わり、というのなら初めから誰も苦しまないだろう。
そんな作品の中で異色なのが、「クマが山をこえてやってきた」である。かつて教え子と関係を持った大学教授が、妻が認知症になって施設で別の男と親しくなるのを見て苦しむ。面白い作品だった。

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紙の本

疎遠になってゆく人間関係を淡々と

2019/01/21 22:19

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

彼女はカナダの作家で、ノーベル文学賞を受賞している短編作家だ。彼女の作品群を私がなぜ気に入っているかというと、どの作品も「どんなに親しくしていた間柄でも疎遠になってしまうことはよくあること」ということが、淡々と綴られていくところだ。たとえば、「恋占い」の中でのサビナとイーディスは学生時代、大親友だったにもかかわらずサビナの父親の葬式の時にはお互いに顔もあわせない中になっている、「記憶に残っていること」の主人公と医者もセックスしたにも関わらず、二度と顔も合わすことがなかった。クィーニーの二人は義理とはいえ姉妹なのに・・・。人間関係が面倒で淡白な私には彼女の小説の世界がここちいい

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紙の本

心の奥底に閉じこめ、誰にも見せなかったであろう思いを誰にもできない手わざで過不足なく摘出してみせる。

2015/03/13 11:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:abraxas - この投稿者のレビュー一覧を見る

書き出しは謎のような箴言のような一節ではじまる。あるいは、真空管があたたまって回路がつながったラジオから聞こえてくる会話のような。そんな切れ端だけでは、なんともつかみがたい見知らぬ他人の人生の中に土足で入り込んだような落ち着かない気持ちのまま、おずおずと物語のなかに招じ入れられるのだ。心してかからなければならない。見かけから伝わってくる印象ほど、理解するのは容易ではないのだ。今しがた足を踏み入れた場所は、他人には見せたことのない隠れ場所のようなものだから。整ってもいないし、快適でもない。積りつもった塵埃や湿気でぼろぼろになった古証文が散らばったままの地下室みたいなものだ。

アリス・マンローの短篇小説を読むのは心躍る行為だ。そこには、他の作家の見せてくれる世界とは異なる光景が用意されている。飛び抜けて酷薄な自然や、信じられないような事件が起きるわけではない。誰にでも、どこにでもある、ごく普通の家族や親類縁者、友人知人の間にある長きにわたる交流。誰がどうしたこうしたという、主婦が台所で友だちと洗い物をしながら話す仲間うちでの打ち明け話。一口で言えばゴシップである。有り体にいえば、小説というのは、それを読者という他者に開放してみせたものだ。アリス・マンローの凄いところは、難易度の高い手術を短時間にし遂げる外科医に似ている。傍で見ている者には、そこで何が行われているのか見当もつかないくらいの速度で事態が処理されている。特に現在と複数の過去の時間の処理。速い時には段落単位、高速度で切り替わるので、慣れない読者は面食らうにちがいない。馴れるとやみつきになるのだが。

素材となるのは自分とその周りにいた人物が主だ。人物に憑依したかと思えるほど、心の奥底に閉じこめ、誰にも見せなかったであろう思いを、腹腔鏡でも使うように適切な部位を過不足なく摘出してみせる。他の誰にもない、というのはそこである。他者を扱うなら思う存分メスでも何でも振るえばいい。しかし、どんな名手でも自分相手となればそうはいかない。躊躇が、逡巡が目を曇らせ、手を震えさせる。自分を自分ではない赤の他人のように冷静に、時には悪意さえ感じられるほど酷薄に見つめ、意識の深奥部に沈めてしまったであろう過去の記憶を探査し、掘起こし、切り捌く、その手際に魅了されるのだ。

訳者によるマンローの邦訳としては初めてのもの。いかにもアリス・マンローという作品が並ぶ。いつも最後の文章に魅かれるのだが、父のいとこの思い出を語る「家に伝わる家具」の「なかに入って、コーヒーを飲んだ。コーヒーは沸かしなおしで、黒くて苦く――薬みたいな味がした。まさにわたしが飲みたかったものだった」がいい。マンローの書く自伝風短篇の味を語り尽くしている。今ひとつあげるなら、「ポスト・アンド・ビーム」か。大学教授の妻になって二人の子を持つ年若いローナを訪ねて、実家から幼なじみのポリーがやってくる。そりが合わない夫とポーラの間に立って苦慮するローナはポリーを突き放すかたちで家を空ける。留守中絶望したポリーが自殺するのではという妄想に、ローナは神との取引を思いつく。自分の大事な何かを手放す代わりに、自殺を思いとどまらせて、と。神様との取引という民話によくある話を夫の教え子との「姦通」願望にからませ、幼な妻の揺れ動く心に迫る一篇。その思いがけない結末は神慮なのか、それとも思いなしか。読み方ひとつでどうにでもとれる、オープン・エンドもまたマンローの得意とするところ。表題作の「イラクサ」、「浮橋」も「人生の苦さと思い出の甘やかさ」を湛えて詩情あふれる佳篇。

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紙の本

結構、読みにくい

2023/02/11 12:13

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Robin - この投稿者のレビュー一覧を見る

心理描写、情景描写が生々しく、延々と続き、作者の描くワンシーンにわしづかみで同席させられる感じ。
三人称書きだが、神の視点ではなく、視点となる登場人物が急にすり替わったり、時間軸が一足跳びに飛んだり、そもそも関係性が分からないまま、会話などからそれを読み解かないとだったりで、読者に親切設計ではない。
人生のある一時に焦点を当てて、主人公の人生を凝縮させるスタイルなのかな?
読後感は悪くないが、主人公がひとり合点して終わるパターンが多く、オチがない。
例外は、「恋占い」でおおっ!と思う結末で、唯一、楽しめた。

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2006/09/04 11:58

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2007/06/19 01:39

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2009/09/24 15:17

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2009/04/10 17:36

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2010/06/08 23:22

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2010/08/27 06:39

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2010/10/22 23:31

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2011/10/25 09:17

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2011/10/17 22:35

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2008/07/06 20:34

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