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太陽の塔 みんなのレビュー

文庫 第15回日本ファンタジーノベル大賞 受賞作品

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みんなのレビュー1,261件

みんなの評価3.7

評価内訳

1,247 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

腐れ大学生でなくても堪能できる物語

2009/05/25 00:11

19人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「外出時に持ち歩く本の選択」について書かれた、穂村弘の文章を読んだことがある。
期待を裏切らず、彼は作業に毎度手間取り、
数冊の重い本を1日中持ち歩くという、けっしてスマートとは言えない結果にたどり着く。

じつは私も彼のことを笑えない。
重い荷物を持てない事情から、薄めの文庫本が理想なのだが、
その日の気分や脳の働き具合(?)によって、
自分が購入した本なのに、どうしても受けつけないものもある。
慌てて鞄に入れて家を出た結果、しまった、選択を間違えた……と後悔し、
我慢できなくて書店に飛び込んだりと失敗が多い。

最近ではギリギリまで迷ったとき、『太陽の塔』の文庫を鞄に入れるようになった。
当然、頻繁に読み返すことになる。
薄めの文庫本という条件はクリアしているが、
いいかげん飽きるだろうと思いきや、これが不思議と大丈夫なのだ。

森見登美彦のデビュー作である本書は、かなり魅力的な文章で始まる。
最初のこの2行に魂を持っていかれてしまうと、
あとはもうどこを開いても楽しめるのではないかとさえ思う。

京都大学を休学中の5回生という、微妙な立場の男が主人公である。
華のない生活を送っていることを自覚しつつ、
それらすべてに詭弁を弄して、こちらを煙にまこうとする。
抜け駆けして、水尾さんという後輩とつきあうことになるのだが、
クリスマス前に振られてしまった過去がある。

「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という問題を抱え、
水尾さん研究という名のもとに、彼女の生活を追っかけ始めるのだが、
本人いわく、これは世間でいうストーカー行為とは根本的に異なるらしい。

やっていることがストーカーであることは間違いない(彼女に実害はないのだが)。
それでも詭弁をふるい、己を正当化する彼に対して湧き上がるのは、なぜか嫌悪感ではないのだ。

彼女が夢中になったという太陽の塔、彼女に贈った珍妙なプレゼント、
恋敵との姑息な攻防戦、主人公に負けず劣らずヘンテコな友人たち。

ひとつひとつのエピソードの面白さもさることながら、
客観性に欠けるあまりに生まれる認識のズレが最高に可笑しく、
独特の文体によって、その可笑しみはさらに増し、
結局何度ページを繰っても、飽きることをしらない。

他の物語が生まれる前は、このテのものしか書けない人かもしれないし、
この巧さがこの作品だけで終わるのはもったいないよなと、ずいぶん余計なことまで考えていた
(まったくの杞憂であったことは、周知の事実である)。

飽きない最大の理由は、結局巧さなのかもしれない。
読み返すたび、一文一文に感嘆の声をあげているからだ。
だからこそ筋を覚えてしまっている物語を、何度も何度も読めるのだろう。

「ストーカー気質のモテない大学生の話」と括られてしまうのを見るたび、残念に思う。
小説は、発想の奇抜さよりも文章の巧さのほうが、長く楽しむことができるからだ。

彼の作品は、装丁にも恵まれていると思う。
文庫化の際に変わるものもあるが、これは単行本と同じである。
もちろん岡本太郎の太陽の塔も描かれていて、
実物の虜になっている者としては、
得体のしれない水尾さんの気持ちがちょっぴりわかるような気がするのである。

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紙の本

頭でっかちで、不器用で、自意識過剰な主人公の、悶々たる、されど美意識あふれる失恋物語

2007/07/04 23:49

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:T.O. - この投稿者のレビュー一覧を見る

 頭でっかちで、不器用で、自意識過剰で、しゃれて小粋にスマートに過ごすような「軽い生活を送ること」は、自分の美意識が許さないし、不器用ゆえに出来もしない。さりとて、そのような生活がまったくうらやましくないかというとそうでもない、とひそかに心の奥底で認めないでもない主人公の、失恋物語。なんともその悶々たる様子が、面白いですし、主人公も、あえて「悶々たる生活」を選んでいるところがあって、それも、ある種共感できます。
 ずっと昔、私自身が大学生だったころ、周囲にいた男子学生って、こんな感じだったなあ、と思って読んでおりましたら、この森見登美彦さんって、ずいぶん若いのですよね。1979年生まれといいますから、今27−28歳?!いまどきの若い人って、こんなに自分の美意識と闘って悶々とするのかなあ、もっと軽いんだと思ってた、とちょっと驚きでした。
 本のタイトルともなっている「太陽の塔」も、シンボリックに印象的に描かれていて、自宅からその太陽の塔を見ることの出来る私には、なかなか感慨深いものがありました。もっとも、「これが出てきた意味は結局なんだったんだ??」というところもありますが・・・。
 とにかく、面白かったです。京都に住んだことがあったり、京大生だったりした人は、何割り増しかで一層楽しめるのではないかと思います。

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紙の本

確かに良い。

2007/12/03 00:24

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hachi - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近の作家で面白い作品を書く作家はいないか、という話
を友人としていたところ、森見登美彦を進められた。
「文章がお洒落で、言い回しが面白い」というのが
理由だった。


読んでみて「確かに」と思った。
内容も言い意味で馬鹿馬鹿しく面白かったが、それ以前に
文章が面白い。気に入らない男の心の器は子猫のミルク皿
程度だし、風呂場は昭和基地並みに寒く、ゴキブリキューブ
には麻薬的な魅力があり、太陽の塔の異次元宇宙の気配に振るえ、
クリスマスファシズムと戦い、世界は残酷な神が支配して
いる(これの元ネタは萩尾望都の作品だろうか)。

面白くないわけがない。
主人公たちは多少変なところがあるとはいえ、いたって真面目だ。
しかし、こんな文章で書かれては笑わずにはいられない。
電車の中で読んでいたが、何度となく笑わされてしまった。

小説は内容も重要だが、文面はその内容をしるためのもの
なので、さらに重要なのだと改めて感じさせられた。
久しぶりに1冊読んで他の作品も読みたい、という作家に出会えた。

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紙の本

屈折したユーモア

2015/06/04 21:54

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミミック - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は森見登美彦さんの作品を知って、その作風に惹かれたので、これはデビュー作も押さえねば何がファンかと思って早速本を手に取った次第であります。

 『太陽の塔』は森見さんが大学生の時に書いたと言うことですが、いやはやあの貫禄は世間一般に言うバラ色のキャンパスライフを送ったからには手に入れられない白物でしょう。

 まず、主人公「私」が礼儀正しくありながらも、やはりどこか茶目っ気があるのがなんとも憎めませんよね。

 「私」はとにかく、理屈で自分の周りを埋めていく。相手との外堀を埋めようとしても既に泥沼に嵌まっているという状態。ですが、当の本人はそれを楽しんでる節もあります。

 上品な文体から醸し出すユーモアのロールキャベツ。どうぞ召し上がれ。

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紙の本

さすがの森見登美彦の京都もの

2019/10/02 22:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

森見登美彦氏といえば、京都の学生もの。この作品の主人公も京大生だ。この主人公とその仲間たちは絶望的に女性に縁がないのだが、主人公は3回生のときに水尾さんという恋人ができた。その時に万博公園に彼女を連れていき彼女が太陽の塔にはまってしまったのが、このタイトルの由縁だ。想像通りに主人公はふられてしまうことになるのだが、ふられた後も彼女をおっかけて「水尾さん研究」というレポートまで作る始末、まことに気持ちの悪い人なのだ。彼の周りには彼に勝るとも劣らない気持ちの悪い連中がたむろしているのであるが、じゃあお前は彼らとは180度違う明るい学生生活を送っていたのかと聞かれると自信がない、どころか360度まわってしまっているかもしれない

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紙の本

森美ワールド

2018/07/11 20:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

森見ワールド全開の作品。あまりもてないけど自意識の高い学生たちを見ると、どうしても森見登美彦の作品と、京都の町並みを思い出す。

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紙の本

言葉に羽根が生え、空中を自由自在に飛び回っているといった文章に感激。

2017/09/25 08:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

言葉に羽根が生え、空中を自由自在に飛び回っているといった文章に感激。実は平凡な日常茶飯事が、著者の手にかかると如何にも哲学的真理、宇宙の深遠なる心理を表現しているかのごとき、神々しい文章に変わってしまうのだから驚き。そして、“水尾さん”が乗り回す“叡山電車“など世の中の全てを超越した空想世界。しかし乍ら、その文章を読んでいると、何故か判るし、その世界に一体化している自分に気付くのである。更に、文章から映像が浮かび上がってくる、つまり文章が見えるというか可視化されてくるのである。題名の「太陽の塔」は、1970年に大阪府吹田市で開催された日本万国博覧会(EXPO'70・大阪万博)の会場に、芸術家の岡本太郎が制作した巨大な芸術作品・建造物であり、“水尾さん”が異状に気に入ってる作品である。2017-【111】『夜は短し歩けよ乙女』(c2017:日本/93分/アニメ、監督:湯浅政明、脚本:上田 誠;評価5点)の面白さ参照。【242】『有頂天家族』(幻冬舎文庫、2010年8月5日、幻冬舎)を2012年12月に読んで気になっていた作家でしたが、その後暫し忘れていたが映画2017-【111】『夜は短し歩けよ乙女』を観て思い出した作家でした。
 さて本作品は、670:四畳半神話大系(2008)の前段階の話である。ごく普通の?大学生たちが織り成す、青春ならではの苦悩や妄想が実に紳士的な表現で綴られていく。個性豊かな登場人物も魅力的である。様々なやり取りの後、終盤のP-205で彼らの現況が簡潔に纏められているのだが、「高薮は謎の美女に迫られて都落ちし、井戸は濃密な法界悋気の泥沼であえぎ、飾麿は顎に絆創膏を貼って街をさまよいながら陰謀をめぐらし、湯島は果てしなく自己嫌悪し、水尾さんは叡山電車を乗りまわし、海老塚先輩は輸入食品の店で働き、遠藤は彼岸で高らかに笑い、そして私は宙に浮かぶ四畳半の城で携帯電話片手にむっつりと黙り込んでいる。」といった感じである。何とも微笑ましいというかその馬鹿らしさに呆然である。本作品は、著者が2003年12月に発表したデビュー作で、第15回日本ファンタジーノベル大賞(2003年)の大賞受賞作品である。

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紙の本

森見節の始まり

2015/03/29 23:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:朱里 - この投稿者のレビュー一覧を見る

私はアニメで『有頂天家族』に興味を持ち、しだいに森見登美彦さんに興味を持ったのですが、四畳半神話体系で完全にハマり、”是非ともデビュー作も読みたい!”と思いこの作品を読みました。
デビュー当時から独特の森見節が炸裂しています。不毛なことに全力をかける大学生たちの青春が鮮やかなタッチで描かれています。
『森見登美彦作品』をまだ読んでいない方にも読みやすくおススメです!!

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2006/08/05 23:26

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2006/08/12 13:54

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2006/08/29 17:15

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2006/10/03 16:12

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2006/10/23 05:58

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2006/11/10 14:39

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2006/11/23 12:21

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