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系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに みんなのレビュー

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みんなのレビュー27件

みんなの評価3.9

評価内訳

27 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

楽しくて為になる,万人にお勧めしたい……って本ではちとないけれども

2008/04/19 06:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 さて皆さんは「科学が科学であるために必要な5つの基準」ってご存知だろうか。いわく,

(1)観察可能であること。
(2)実験可能であること。
(3)反復可能であること。
(4)予測可能であること。
(5)一般化可能であること……。

 そらそうだ,と思いました? そう思っちゃうと,歴史学とかは「科学ぢゃない」し,突き詰めるとダーウィンの進化論も「科学的ぢゃない」つうことになるんですよ奥さん(奥さんって誰?)。

 もともとはバイオメトリクス(……横文字ぢゃなんだかよくわかんない? 漢字で書くと生物測定学,やっぱりわかんないか。まぁご安心を,オレもです)の研究者であった著者は,そのあたりから筆を起こし「進化生物学が科学ぢゃないなんて,そりゃ基準の方が間違っとるよ」とばかりにちゃぶ台返しを敢行,演繹と帰納という古典的な2つの推論スタイルに対し,エリオット・ソーバーが1996年に提唱したアブダクションという「第3の推論スタイル」を導入する。「より良い系統樹を探索する」ことも科学足り得ると……。

 はぁはぁ,実を言うとここまででやっとこの本の内容の半分くらいなのね。あとがきにちょっと言い訳があるけど,確かに「詰め込みすぎ」ってとこはあろう。が,その「ぎゅうぎゅうに詰め込まれている」のが本書の魅力でもあるんだよね。Timesフォント歴史から生物体系学論争,オッカムの剃刀に新世紀エヴァンゲリオンまで出てくる,楽しくて為になる,万人にお勧めしたい……って本ではちとないけれども。

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紙の本

世界を認識する方法としての系統樹

2006/12/27 16:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 繋がりを可視化する系統樹。生物学での系統樹に留まらず、言語間の関係や文化の関係、卑近なところでは家系図まで、いたるところで人間は系統樹をつくって考えている。著者は生物系統学の専門家であるが、「系統樹」的な思考方法の普遍性に注目する。
 生物も非生物も、人間社会も区別しない、世界を認識する方法はあるのだろうか。「共通点を推定し過去を復元するという方法論」である系統樹的思考方法は学問分野を超えて共通方法論を確立することができるのではないか、とする著者。この本は著者の認識論の世界である。
 文章の語り口は柔らかく、説明しなれている、という感じがする。系統樹的思考方法のルーツや関係した研究者も簡潔に紹介され、学問としての「系統樹思考」についてもポイントが押さえられている。各章のタイトルもわかりやすく組み立てられているし、索引・参考文献も充実していて、「さすが関係を扱う専門家」と思わせられる。欲を言えば、「物事の繋がり」を考える認識論いう点で、グレゴリー・ベイトソンの「精神と自然」あたりにも少し言及して欲しかったところ。
 しかしながら、多様な内容が盛り込まれているので、焦点が複数にみえ、印象が散漫な感は否めない。全体の読後感は先行するGTOさんの書評に同感である。著者の思考の樹はまだまだこれから育つのだろう。美しい樹、良い実を期待したい。
 科学的一般書としても優れているので、なぜ「現代新書」に入れられたのか、この出版社なら科学の新書シリーズもあるのに、と不思議な気がした。そちらのシリーズで「科学の新書としてはどうか」と思うものもあったりする。出版社の事情はどうなっているのだろうか、と余計なことも考えてしまった。

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紙の本

育ちて樹となれ

2006/10/25 21:38

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

正直、この本の意図を充分に理解できた自信はない。エピローグに『あまりにも多くの話題を盛り込みすぎたのではないか、もっとテーマをしぼったほうがいいのではないかとあなたは感じたかもしれません。しかし、論点をしぼって自己規制しても愉しいことは何もないのです。』(p.265)とありますが、著者としては愉しいことだったとしても読者にとっては苦痛であることもあります。そのため、系統樹思考が多くの学問分野で行われるべきことを伝えたいのか、系統樹思考とは何なのかを伝えたいのか、生物進化学の現在の知見を伝えたいのか、これほど諄く書かなければ伝わらないほど学問間の壁は厚いことを訴えたいのか分からなかった。結局、途中引用されるオタク的蘊蓄まで含めると、「系統樹思考とは何か」よりも「三中信宏とは誰か」が伝わってきた。

 全体としては、相対主義的思考に対する力強い批判であると同時に、絶対的なものへの懐疑も充分に含んでいて、あらゆる分野の研究者に対する提案のようになっている。そして、科学で思考するだけでなく科学を思考することの大切さがよく伝わってきた。また、巻末の「さらに知りたい人のための極私的文献リスト」は結構面白い。私にとって系統樹思考はさほど目新しいものには思えなかったが、専門分野に閉じこもり、頭が固くなっている人には、お薦めです。

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紙の本

系統樹の木の下で

2006/09/03 18:43

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 実によくできた書物だった。すべての頁をいろどる活字と図版と空白、それらを縁どる夥しい引用(この引用の的確さ、技と趣向の鮮やかさは本書の最大の読み所のひとつである)まで含め、細心かつ大胆な三中ワールドがひろがっていく。
 まず、それ自体として読むに値する詳細な目次が素晴らしい。そこに鏤められた「正しい名前」をつないでいくだけで本書の骨格が炙り出されていく。たとえば「歴史」としての、「言葉」としての、「推論」としての、そして「説明」や「仮説」、「モデル」としての系統樹、等々。
 巻末に目をやると、本書「に」学び、かつ本書「で」学ぶための導きの糸となる懇切な文献リスト(ダーウィンの「読書ノート」に拮抗しうるミニ書評集!)がついている。工夫のあとがうかがえる丁寧な索引がついている。これらの書物や項目の関係をうまく図示していけば、本書の見取り図を示すツリー、いや本書を起点もしくは基点とする無尽蔵の刺激に満ちた知のネットワークを設えることができる。
 なによりも、本文の練り上げられた構成と叙述のスタイルが素晴らしい。読み手の側の事情を忖度し、著者はときに自らの来歴を語り、身辺雑記を織り交ぜつつ、ひとつの概念が読者の脳髄のうちに沈澱していく時間を正確に測定しながら、ネットで鍛えられた健筆をふるっている。二つのエピソードからなるインテルメッツォをはさんで、同じ話題が反復、進化、深化されていく。書物もまたそれを読む時間を通じて生成し進化することを、読者はそれこそ身をもって、息継ぎと深呼吸を繰り返し、ときに息をのみながら体得していく。
《経験科学としての「歴史の復権」──それは、歴史は実践可能な科学であるという基本認識にほかなりません。そして、その実践を支えているのは系統樹思考であり、一般化された進化学・系統学の手法です。
 進化生物学はダーウィン以来の一世紀半に及ぶ道のりの末に、人間を含むすべての生物を視野に入れるヴィジョンをもつにいたりました。それは同時に、関連諸学問をこれまで隔ててきた「壁」をつきくずす古因学を現代に甦らせ、さらには、科学哲学と科学方法論の再検討を通じて歴史の意味そのものをわれわれに問い直させました。これこそが「万能酸」(ダニエル・デネット)としての進化思想が諸学問にもたらした衝撃だったのです。》
 ──世界は一冊の書物である。この書物はある図形言語で書かれている。その言語の名を系統樹という。世界は系統樹思考(進化的思考)に基づく推論(アブダクション)を行っている。推論の結果、世界は生成進化する「もの」と「こと」で満ち溢れる。その「もの」や「こと」のうちに系統樹は入れ子式に挿入されているが、その「こと」を知る「もの」はいない。あるとき、世界のなかの一存在者であるヒトの脳髄のうちに世界が折り重なり、歴史が復元される。そのとき、世界は自らを知る。
 この世界は「分岐」だけではなく、「分岐と融合」からなる高次の構造をもつ。系統樹すなわち分岐による階層構造のツリーから、分岐と融合による非階層的な系統ネットワークへ、さらには「系統スーパーネットワーク」へ。この第4章の最終節における「高次系統樹」をめぐる議論は、人間の「思議」を超えた世界の実相へと迫っていく。そこにおいて、局所は全域と一致し、未来と過去が連続するだろう。

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紙の本

行き詰まった日本社会を打破していくための切り口として「系統樹思考」には大きなヒントが示唆されているように取れる。しかし、一般的な「布教」には別の仕掛けが必要という感じがしてならない。

2006/08/14 23:45

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

団塊世代の定年開始を前に、合計特殊出生率が急速に低下し、人口推計予測より早く日本の総人口が減少に転じた。四半世紀前に話題になったハーシュ『成長の社会的限界』という本の題が胸に響いてくる。もっともハーシュは、成長のさなかにあっても、社会の成員皆が成長を望めはしないという一種の経済格差を論じたものだったと記憶する。だが、人口減という事実は、天井知らずの成長などなく、社会はいつか必ず限界に達するという真理を、改めて突きつけてきたように思える。発展を望めない社会は、持続可能な方法を模索して運営するよりないのだ。
「もはや右肩上がりの経済は望むべくもないのだから、適正規模の組織や社会をイメージし、それをどう運営していくべきかを考えなくてはならない」てなことを、友人たちと話した。そこに必要になってくる「社会を考える枠組み」が何なのか、それがずっと見つからずにいたのだが、最近になってぼんやりと、1つに「ボランティア」があると思った。自分の持てる余力を社会に還元していく。これは社会の活力として日本を盛り上げていける大きな要素だ。したがって団塊世代には、旅行・グルメなど消費への貢献をほどほど、社会貢献に目覚めてほしい。
いま1つは、たとえばサッカーの応援のようなパワーである。サッカー自体は日本で飛躍的にビジネスとして伸び、大きな経済効果を生んだ。その経済成長とは別に、スタジアムやら街角で燃やされる若いエネルギーは、この国が正しい方向へ進んで行く原動力として活用されるべきだ。具体的には、倫理観の保守であり、資源を循環させて再利用していく社会の実現、融和的な外交や外国人の受け入れなどであろう。
余計な話ばかり長くなっているが、こうした「経済」とは別の国民個人が持てる力の活用をする際、それを動かす「理念」「思考」というものが必要になる。それは今さら20世紀を動かしたイデオロギーではなかろうし、宗教も現実的ではない。
そこで期待できるのがこの「系統樹思考」だっ!と安易に直結させるわけではないが、しかし、筆者が科学ジャンルのみならず科学哲学へ、社会科学へと普遍的応用を提言する思考方法には、価値観の転換という点において、ありきたりの思考を打破していくためのヒントがある。
正直、科学的思考のあり方について現在の議論を知らない私にとっては、分析の対象として限定されるものがあまりに専門的に細分化されつつある現代科学の傾向に対し、筆者が警告を発している本なのかという漠とした印象しかない。時間や空間の広がり、ひいては哲学という対象に対峙する際の姿勢の広がりを「学際」として促している内容やに取れただけである。そしてもしかすると、科学への警告ばかりでなく、目的合理的な近代人・現代人の科学的思考そのものに一石を投じ、社会そのものを斬る視点を提示しているのだろうか。
筆者の意図がもし私の受け止め方で合っているならば、このような思考、つまり物を考える枠組みの提示方法には不満が残る。それは、「普遍→専門」という紹介の流れが、通常期待する「専門→普遍」の流れと逆になっていた点である。例えば、カエルの系統樹を辿っていくと、それがどのような枝を遡っていき、どの枝でどういう生きものと出会うか、さらにその先はどうなっているかという具合に、「系統樹」という生物進化の専門的概念をまずは具体的事例で分かり易く説明してほしかった。しかるのち、その「遡行」を伴う考え方が、いかに無生物の進化を考える際にも応用させていけるのかという流れで、風呂敷を広げていってほしかった。応用の可能性の広がりは、そのように末広がりに読者に託されて行くのが自然なのではないか。専門に収斂されていく構成ではなく、前へ、先へと開かれて行くものがあるからこそ、生半可な読者でも喜びや興奮をつなげて行くことができると思えるのだ。

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2006/08/28 09:04

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2006/10/24 05:54

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