紙の本
スマホも携帯もない時代の大学テニス部を舞台にした人間ドラマ
2021/06/14 07:35
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
新設された大学のテニス部を設立し、友人を勧誘して運営してゆく主人公たちの日々を描いた宮本輝氏による小説。
舞台はおそらく1960~1970年代の関西。スマホもない、携帯もない、インターネットもない時代の大学生活。友人と意思疎通するには直接会って話をするか、固定電話で話をするしかない時代。授業の後でクラブの練習に明け暮れて、練習が終わったら行きつけの喫茶店で友人と他愛もない会話を楽しんで、三々五々別れていくというような毎日。50歳の私にとっても大学時代は携帯は無かったし、友人との連絡は固定電話のみでした。そんな大学生活を送った経験を持つ人なら、なんとなく懐かしい気持ちでこの本の世界に入っていけると思います。
テニス部が舞台とは言え、テニスをしている描写はそれほど多くなくて、だからスポーツ小説というわけではなく、主人公の燎平には憧れの女性も登場しますが、恋愛小説というわけでもなく、一人の20歳ぐらいの男の子が周囲の友人たちとの出会いや別れ、彼らの言動やテニスを通じて成長していくような姿を描いています。ストーリーに練られた伏線があったり、ドラマチックな展開があるわけではないのですが、登場人物が話す自然な関西弁、細やかな心理描写などで間延びせずに引き込まれていくのはさすが宮本輝氏という印象です。
大学時代にスマホ、携帯の無かった年代の人であれば、読者を選ばず誰でも感情移入できると思います。でも言いかえると、スマホやらSNSが友人との交流の手段として当たり前の世代にとって、この小説の舞台はどう映るのか、興味が湧いてきます。
電子書籍
選ばなかった道の物語
2020/05/29 19:56
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投稿者:あおひこももね - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は一本道しか歩けないけれど沢山の選ばれなかった道を鮮やかに感じ取ることが出来ました。
ドラマは東京が舞台になっていましたが、大阪版リメイクしてほしいです。
紙の本
H26.2.28読了
2014/03/01 08:15
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投稿者:竹匠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮本輝の青春群像小説。燎平をはじめとする学生時代のモニュメント。もし、発刊、俺が20代に出会っていたら、もっと、感銘が深かったと思う。今の、宮本洋クンの立場に置き換えて読めば、プレゼントされた彼女にとっては、重たいのでは・・・
紙の本
舞台の隅には
2024/04/28 09:10
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投稿者:ナムナム - この投稿者のレビュー一覧を見る
まじめでまどろっこしくて、ぶきっちょでやきもきさせられる大学生たちが主人公。
その舞台の隅には、若かりし私や友達の姿が見え隠れしているようです。
そして、今は老いた私が、それでいいんだ、それでいいんだと、応援しています。
無性にいとおしく思います。
ケイタイはないけれど、たばこの煙は溢れていた時代でした。
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この作品が刊行されたのは1982年ということに驚きを隠せません。
四半世紀を経てもなお、色褪せず鮮やかな色彩を放っています。
この小説はまさに青春を描いた小説だと思います。
大学4年間をテニスと故意と友情に捧げた男女の物語。
さらには男の弱さと女の強さが対照的に描かれます。
男の持つ危うさや脆さと女の持つ芯の強さや計算高さ。
誰もが持っているであろう、光と影をうまく共存させています。
傷のない人間なんていないんだろうな。
先が気になるのに、読み終わりたくない。そんな作品です。
登場人物たちの今後も読んでみたいです。
大学生活を悔いなく終わるために、全力投球しよう。
そう思わせる熱い何かを感じられる作品だと思います。
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この本を初めて手に取ったきっかけになったのは、石黒賢と二谷由利恵のドラマでした。
もう30年ほど前じゃないかな。
そして、今回また久しぶりにこの青春物語を読み返したくなり。。。
夏子に始めてあった時から思い続ける4年間の思い。読み終えた時は心にぽっかりと穴が開くような感じだっけど、それもまた青春。
金子も祐子もとても魅力的で、「ぜひ、一度お目にかかりたい。」と思える人物だった。
サークルのメンバーも嫌なところ含めて「仲間」のすばらしさを感じる事ができた。
あ〜、こんな青春時代送ってないけど、この時期に戻りたいなぁ。と思ってしまった。
ちなみに「青が散る」が青春物語昼の部とすれば、「道頓堀川」が夜の部らしい。
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20080421再読完了!
青が散る。1982年の名作。
青春の光と影。きっちり、大学生活4年間のものがたり。
宮本輝自身が、大学時代4年打ち込んだというテニスをメインテーマに、
大学生たちの青春群像を描き上げる。
この作品には全編をとおして「真夏の陽のような強すぎる光」が当たっているのだけど、
そのぶん、陰は昏い。
鬱屈としたフラストレーションのはけぐちにするようにテニスに打ち込んでゆく人々を丹念に追う。
この作品は、どうしようもなくやるせないような長編のものがたりのなかにときどきすっごいスマッシュが決まる。
そのとき、わたしの背筋にはすごいトリハダがたつ。
びていこつからものすごいスピードでのぼってくるトリハダは、背骨をいたくして次の瞬間脳天をちょくげきする。
文字をみながら脳がビリビリしてる。からだの芯がすう、と冷えるような感じ。
(この作品で言えば、王道の色紙を受け取る瞬間など)
こうして想像力がものすごい瞬間を連れてくることがあるから、どうしても活字を追うのはやめられない。
・・・こういう感覚は宮本作品ではよく感じることなのだけど他ではめったに感じることがなく、
これを相性というのかなァとさいきんよく思うようになった・・・
やっぱり宮本輝はすごすぎる。
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テニスにかける青年の熱くもかなしい物語。
何か情熱をかけられるものがあるというのはホントにすばらしいことやなと感じました
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わたしの出身大学が舞台の話。
すこし前に(いや 随分前に)テレビドラマ化されたらしいけれど
当時のわたしは小学生だったので観たことありません。
が、主題歌が「蒼いフォトグラフ」
ーみんな同じ 見えない荷物 肩に背負って 歩いてたわ
それでも なぜか明るい 顔して笑ってたっけー
という歌詞が合っているこの小説。
「生きる」ということに真剣に向かい合う若者達の姿
それだけで
なぜだか
苦しくて、切なくて、涙がこぼれます。
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テニススクールの複数の人がお勧めしていたので、読みました。
何かに一生懸命取り組むっていいね。
青春に戻りたい〜
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新装版ではなく、その前に出版されていた文庫版を読みました。
(画像が出ないので、表紙が同じだったコレを選択)
本の厚みと同じくらい、内容も重い。
いろんなことを考えさせられる1冊。
大学って行ったことないけれど、
そうでなくても、いろんなことを若い時に考える。
知ってる人が死んだり、悪い人とからんだり、もちろん恋もしたり。
それが自分の全てになっていって、そこから捨てていくものもある。
何が大事かなんて言えないけれど、
そこに自分がいて、考えて、伝えたということは、
紛れもない事実なんだな。
というわけで、分厚い本なので、かなり根気が必要です。
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大学の4年間って言うのは、人生においてとても貴重な4年間なのかもしれない。どこにでもある似通った時間ではなく、そこでしかない特殊な時間なのかもしれません。
大学を卒業する少し前に、この本を読めてよかったかも。
あと4ヶ月を大事にすごしたいです…。
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くそ真面目に、一生懸命に、ひたすらテニスに明け暮れた4年間。不器用でいびつで、脆くて寂しい。だからこそきらきらして見えるのかな。寂しいけど、寂しさをこえる、強さみたいなものも感じた。喪うことが大人になるということなんだろうか。
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最後まで、なんか普通だなぁという印象だったのだけど、最後終わってしまうと寂しいというか、あっけないというか。なんか、もっと先まで読んでいたかった感じです。青春、とみなさんが言っているのも最後にきてやっと分かった気がします。
森絵都さんの解説が素敵でした。
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テニス青年のりょうへい。
部長、部員、ヒロイン、ちょっと悪い友達、
みんな余裕なんて皆無で不安定で、愛しい。
青春小説だからといって爽やかなわけじゃない。
どこか切なくて
胸熱くなる
涙なしには読めないお話。