サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

「e-hon」キャンペーン 本の購入でe-honポイントが4%もらえる ~7/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

私の男 みんなのレビュー

138(2007下半期)直木賞 受賞作品

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー617件

みんなの評価3.7

評価内訳

611 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

津波の夢

2012/02/12 22:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:お月見 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 子供の頃から繰り返して見る夢があって、海で泳いでいて、大きな波に飲み込まれる夢。昔、小学生になったばかりの頃に本当に海で溺れたことがあるので、それがトラウマになっているのかもしれません。
 刊行当時、「私の男」を読んでいて一番強く心に残ったのが、津波のシーンでした。
そこでくり返し語られる、主人公の家族に手を離された、置いていかれた、という回想。愛情への渇望。
哀しくて、でもとても美しいシーンで、自分の夢までも不思議と甘美な気持をともなって蘇ってきました。
文章全体から、どこか死をイメージするような香りがして、そこが何ともいえない魅力を放っているのだと思います。

 どうしてもインモラルな場面ばかり注目されてしまう本書ですが、桜庭さんの小説は、どこか寓話的に、距離を置いて誰かが見ている夢の中のお話のように読むのが一番あっているような気がします。
 グロいシーンでも不思議とさらりと読めてしまうし(苦手な人は駄目かな。たまたま私は、何作かライトノベルの頃の初期の作品から読み進めていたので、段階的にヘビーなシーンが加味されてきたので大丈夫だったのかもしれませんが)
 桜庭さんの文章に通じる、ぶれない少女(どこか偽悪的)のたたずまいが、カッコ良いとすら思えてくるのでした。



このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

これで直木賞、大本命でしたが内容もそれにふさわしい立派なもの。思わず評も長くなってしまいます。それにしても12歳、時代の一言では片付けられない魅力的な年頃?

2008/08/11 18:19

9人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

桜庭の今までの本のイメージを一新するカバーです。なにより、MARLENE DUMASの装画が大人です。正直、ゲーマーや少年少女といった今までの一樹ファンはヒクかもしれない雰囲気です。現代美術というか、シーレなどの近代美術の系譜上にあるというか、そんなカバー画のデータは

装幀 鈴木成一デザイン室
装画 MARLENE DUMAS
Couples (Detail)
1994 Oil on canvas
99.1×299.7 cm
Marlene Dumas
Private Collection,
courtesy Zwirth & Wirth,New York
協力 ギャラリー小柳

です。無論、文章も違います。『赤朽葉家の伝説』で見せたユーモラスで濃厚なものから、ユーモアと饒舌を除き、一見、軽めの普通のそれになったかのよう。ただし、本の厚さ同様、見かけに惑わされてはいけません。実は私、この本を見たとき、これなら二時間で読めるな、と甘めに予測を立てて予備本を一冊余分に抱えて通勤電車に乗ったわけです。

ところが、これが大間違い。普通なら270頁程度の厚さのなかに、なんと380頁以上が収まっています。100頁読んでも少しも捗らない。中身も同じ。何気にみれば当たり前の文章。ところが、読み始めると若者向けの今までの軽快なものとリズムが違う。粘っこくはないけれど重い。結局、予備本は運んだだけに終わり、桜庭本には三日を掛けてしまいました。

で、お話の内容は、桜庭自身が「近親相姦」もの、と言い切っているので、あえてそれ以上の説明はしません。ともかく、私が最も好きな禁忌もの。私にとっては同性愛以上に大切な(何が?)主題です。おまけに、仕掛けもあります。それらについては、直木賞受賞作でもありますし、書評も多いのでこれ以上、触れません。

ただし、もし私が花や淳悟の立場にいたら、同じことをしたと思います。ほんとうに根拠もない常識という名のお節介ほどムカツクものはありません。「なぜ人を殺してはいけないか」と同じく「なぜ近親相姦はいけないか」も、簡単に答えがでないもの。むしろ澁澤龍彦が喝破したように「それはあまりにも甘美ゆえに権力者のみに許される」という解釈こそが妥当な気がします。

とはいえ、話は単純に甘美を謳いあげるものではありません。禁忌を前面に描くものでは決してない。どちらかといえばエロチシズムは通奏低音のように、全篇を通じて背景に流れ、時に水面に顔を見せ、あるときは深く水底の潜む。その見せ方が、今までの桜庭作品にないほどに微妙で上手です。直木賞受賞も当然でしょう。

実は、私、桜庭の受賞を二日前の書評で予告しています。自慢したいので、あえてここで1/15日にbk-1に投稿した『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』書評のコメントをコピペしておきます。

「私の見るところ、今回の直木賞は佐々木穣『警官の血』と、桜庭一樹『私の男』で決まりなんですが、2004年当時の桜庭はまだまだ子どもたちの支持をうけることしか出来なかったんじゃあないか、これもその域はでていない、そう思います。無論、13歳にしたという設定は凄いんですが」

ちなみに、佐々木穣『警官の血』はハズしました。残念。ま、桜庭に関しては本命だったかもしれないので、エラソーには言えないんではあります。コメントを引用したのには、他の理由もあります。第5章ですが、一人の主人公である花はこの1996年に12歳を迎えます。12歳といえば、ナボコフ『ロリータ』の少女が12歳、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の藻屑が13歳、まさに時代です。

話は15年という長きに及ぶものです。それをどう見せるかは、実際に味わってもらうとして、全体は6章構成です。各章のタイトルの「、」で区切られる前の頭を飾る花、美郎、淳悟、小町、はすべてその章の語り手です。話全体の主人公は花と淳悟なのですが、タイトルに名を出す4人を紹介しましょう。年齢は、その章の時代で代表しておきます。

腐野花は2008年現在、24歳です。両親を15年前1993年の夏に地震で亡くしています。当時の姓は竹中でしたが、現在の養父に引き取られ腐野となりました。明日、尾崎美郎と結婚するというところから話が始まります。式場で養父の到着を待つ彼女の姿は、ちょっと違いますが「健気」という言葉があう気がします。

尾崎美郎は2005年現在、25歳です。幼稚舎からの一貫教育で大学まで出て、父親が専務を勤める会社の子会社に勤務しているということからくる育ちのよさもあって、女性からは人気があります。先輩の頼みで合コンの手配をしているとき、派遣で受付をしていた花と出会い、噂の合った彼女と付き合い始めます。

腐野淳悟は2000年現在、32歳です。京都の海上保安学校を出て、北海道の海上保安部の巡視船で賄いを受け持っていましたが、公務員を辞め、東京に来て花と二人で暮らしています。仕事はバイク便の契約ライダーです。花を養うために働いていますが、どこか余裕のある仕事振り。といっても、それは金銭的なものでは決してありません。だから前借りもします。

大塩小町は1996年当時、25歳です。地元の高校を出て札幌の短大に進学、卒業後、地元にもどって北海道拓殖銀行の紋別支店に就職。高校時代Iに出会った二学年上の淳悟と本格的に付き合い始めたのは就職後のことです。そのまま結婚すると本人も周囲も見ていたのですが、花の登場に嫌な予感を抱いています。

他に、紋別では有名な実業家・大塩のおじいさん、大塩を尊敬する地元の警察官・田岡の二名が重要ですが、その理由は本文で確認してください。出版社のWebの案内で、皆川博子がブロンテの『嵐が丘』を例にしながら、「時を越えて読み継がれていく魅力」というのに思わず肯いてしまう、そういうお話です。

最後になりますが、タイトルなどを三段に並べた目次のレイアウトがちょっと面白いので、再現してみました。本とはちょっと違うかもしれませんが、大体の雰囲気は分ると思います。

→目次へ

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

成熟という名の変貌

2008/03/07 14:32

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

確かに、桜庭一樹は変わった。
変わったそのことと、大きな賞の受賞とに関係があるかもしれないが、そのことは小説に関してはあまり重要ではない。もちろん、幸福なタイミングには違いないが。
変わった桜庭一樹は、一言でいえば、「成熟」した。
そうはいっても、桜庭一樹本人のことではなく、小説が、である。
端的にいえば、対象読者層が、一挙に変わったはずである。
『私の男』には、たとえば山田詠美を彷彿とさせるような、大人の世界が、描かれている。
人物設定、それは確かに奇を衒った向きがないわけではないが、文体はその設定に頼ることなく、落ち着き、まっすぐに、しかも陰影を携えて安定している。
描こうとする世界(観)に、文体の小回りが効き切っていない恨みの残ったこれまでの桜庭一樹の小説を想起すれば、ここでの変貌は、自身の文体と、それに適したモチーフとの幸福な邂逅であるようにも思われ、それはそのまま、読者の幸福でもある。
こういう世界を、こういう文体で書ける作家が、他にいるのかいないのか、それは知らない。それでも、唯川恵とも文体のテンポが違うのは明らかだし、「性」そのものよりも「関係」を描く筆致は、島本理生に比べて明らかに大人の雰囲気醸し出している。
こうした成熟という名の変貌を遂げた桜庭一樹の小説が、直木賞という光を浴びて、多くの読者の目にふれること、これもまた作者・読者双方にとって幸福なことに違いなく、してみれば、桜庭一樹の変貌とは、幸福に包まれ、輝くのだろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

間違っていると思うのになぜ間違っているかは分からない

2008/01/22 22:12

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人もうらやむ結婚をした花。それなのに、その目は、その心は、養父である淳悟を求めてしまう。憎しみをはらみながらも。なぜ、ここに行き着いたのか、この結末は必然だったのか。この原因を手探りするように、少しずつ二人の歴史を遡っていく。
 突然断ち切られた想いをどうすればよいのか。行き場をなくした愛はどこを目指せば良いのか。読み進めて行く内に、そんなことを考えさせられる。
 人知を超越する自然の力により崩された関係性を、人間がどう構築しなおすか。そのときに、誤ったピースを組み合わせてしまうこともあるかも知れない。枠外にいる人間は、それを間違っているというだろう。しかし、枠の中に他にピースがなければ、そうするしかないことだってあるのだ、きっと。

 サムシング・フォー。結婚式でこの4つを花嫁が身に着ければ幸せになれるという風習。この一つである古びたカメラが思い起こさせる罪と愛の物語。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

娘と父親の愛の物語

2007/12/13 00:40

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

北海道の小さな島、
津波で家族を失った少女は、
親戚の叔父に引き取られ、
二人はそれから彼女の結婚が決まるまで
ずっと一緒に暮らして来た。

私はその少女で、
男は育てて暮れた叔父。
その叔父は当時25歳、少女は12歳だった。

物語は現在からだんだん過去へと
溯っていき、
二人の濃密な関係が
読み進むうちに匂い立つ感じだ。

久々に割り切れない感情や、
訳の分からない、でもきっと人間は
多かれ少なかれ同じように
持ち合っているのだろう、
その領域に踏み込むかどうかは別にして。

複雑な感情が
時を逆行することで、
読みながら整理されていく。

胸の奥底辺りがザワつく、
こんな主人公と結婚する男も
大変だろうなと思いつつも、
強烈に誰かを好きになる感情をもった人は、
他の人にどんな愛情を注ぐのかも
興味はある。

もちろん当事者にはなりたくない。

読み応えのある本が少なく、
簡単にズンズン読めてしまう軽目のものなら
いくつも平積みされていて、
新刊を読むのに躊躇していたが、
何処かで勧める書評を読んで
ネットでオーダーした。

作者に思い入れもなく、
改めて本を見て、書いたのが男性作家と
初めて認識して、それも軽い驚きだ。

どうも女性の書く
微妙なニュアンスをこの本は全体に
漂わせていると感じていたのに、
読んでいる間中のある種の感情は
結局全然的外れだったのだ。

私の男というタイトル、
これしかありえなかったか、
読んでいる間中、このタイトルが
ずっと頭から離れなかった。

読後感もスッキリなんてしない、
人に題絶賛で勧めるのもなんだか
気が引ける、
それでも次も読みたい作家を
見つけたなと確信した。

http://yaplog.jp/sora2001/

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

私の中の、血

2007/11/18 20:17

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

世の中には決して変えることの出来ないことがある。どうにもならない不変の事実、<過去>である。
そしてこの世に生を受けて最初に<過去>となるのは「誰某のモトに生まれついた」という事実だ。
また本書を読みすぐに思い出したのがアダルトチルドレンというかつて流行ったコトバ。その典型的なケースに共依存・・・親の子供への精神的な支配の継続により、子の主体性が低下し支配してもらわないと機能できなくなる・・これはまさに本書の彼女・花そのものだ。
彼女は幼くして親も家族も海という怪物に飲み込まれ、失い、血を求め、血にすがった。
彼もまた父を海に呑まれ、「母」を失い、血を求め、子供という血の詰まった人形を作り愛した。
家族という過去を失った(持てなかった)彼らはようやく見つけた血の塊=家族を狂おしいほどに求め、奪い、与え続ける。

「もしも俺の子がいたらそのからだの中に、親父もお袋も俺が失くした大事なものがぜんぶある。」

アダルトチルドレンを例に挙げたが、この物語は肉親に憎しみは一切無い。置いて逝った家族を恋しくいとおしく求め続けているだけである。
家族を知らない彼らが互いを結び続けるためにとった方法は、与え続け奪い続けるというもの・・・これほど激しく優しい狂気があるだろうか。

この作品を読んでおぞましいと感じる人もいるだろう。
しかし私は全てが詰まっているこの血に安堵を覚え、逃れられない血の束縛に小さな恐怖を感じた。 私の中にも沢山の血が、流れている。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2007/11/07 23:04

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/10/13 23:28

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/11/15 20:46

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/11/25 11:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/11/28 23:35

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/12/04 16:23

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/12/06 22:24

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/02/18 23:40

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2007/12/10 23:58

投稿元:ブクログ

レビューを見る

611 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。