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最近、本自体読むことが少なくなり、読んだとしても自分のお気に入りの作家・作品しか読んでないことにふと気づいて、知人が勧めていた本作を読了。
おそらく本作最大のネタ、どんでん返しに途中で薄々気づいてしまったので、そのネタが終盤に明かされたときの驚きは残念ながら大してありませんが、それでも、充実の読後感でした。
20世紀初頭の同年同日にポーランドとアメリカでそれぞれ生まれ、一時は戦争捕虜となりながらも死の淵からなんとか生きながらえてきた男と、銀行頭取の子息として誰もが羨むようなエリート街道を突き進んできた男、文字通り対照的な2人の男の物語。
自分自身とはそれぞれかけ離れた存在なので、感情移入するようなことはあまりありませんでしたが、それぞれに魅力的。(余談ですが、2人とも女性へのアプローチは、わりと一目惚れのような感じなんですよね。そのあたりは時代を感じました。笑)
一番印象的なのは、物語に登場する重要なキーアイテム、銀の腕輪の扱い方です。
アベルの運命を時に死の手前に差し出し、時に死の淵から救い出した腕輪が、物語を大きく前進させるそのストーリーの運び方が見事だなぁと思いました。
ちょっと御都合主義的だと感じる物語の展開もありましたが(彼らの子供の話)、それを割り引いても、かなり面白かったです。
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もっと宗教色の強い話だと勝手に思い込んでいたが、全然そんなことはなかった。戦前〜戦後にかけてのヨーロッパおよびアメリカの歴史を下敷きにした、堂々たるストーリーでとても面白かった。
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ポーランドの田舎で、私生児として生まれたヴワデク(後のアベル)
ボストンの名門ケイン家という資産家に祝福されて生まれたウイリアム
というおいたちのこのふたりが主人公で、章を交互に振り分けて語られる一生の物語は
きびきびしていて、息もつかさずに読まされ、ストーリーは確かに面白いと思う。
聖書創世記の「カインとアベル」を下敷きにしているかなと思いながらも、
「ポーランドの悲劇」と「アメリカンドリーム」が合体して、
まっとうに頑張ればどんな困難も克服出来るというカタルシスが得られる。
ただし読後、思想的なものや哲学的なものが浮かばない。
まともは不条理に勝るというのかな・・・!
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実際の歴史上の出来事を織り交ぜながら進むドラマ。
どんな境遇であってもその人の中に流れる血が脈々と受け継がれる。
でもあんなに復讐を誓って、そのために生きているようでは、せっかくの人生はもったいないです。
きっと美しい娘さんだったのでしょう。
しかしすごいドラマです。映画にはなっていないけど、そこが惜しい。
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続きが気になり、上巻に続いて図書館で予約して借りた。
ニューヨーク巨大銀行頭取WASPのウィリアム・ケインとポーランド人の移民叩き上げ、世界にあまねくバロンホテルチェーンのホテル王アベル・ロスノフスキ。
二人の敵対する関係はどうなるのか?
下巻も引き込まれてました!
80年代出版ということもあって、ちょっと人物像がいかにもなステレオタイプに感じなくもないけれど、またその感じが古き良き時代を彷彿とさせるのだ。
二人の出生から挫折、成功、危機、孤独、老い、死までを壮大なスケールで描いている。
お互いが知らなところで、相手に大きな危機を救われていたということを、知る機会は訪れるのか?というのが一番気になるところだったが、そういう風に落としどころを持ってくるのか〜、と唸った。
うん十年ぶりのジェフリー・アーチャー。
十分堪能した^_^
2020.2.8
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20世紀アメリカ合衆国の歴史的事件を背景に、メガバンクの頭取として成功したケインと、ポ-ランドの移民からホテル・チェ-ンのオ-ナ-にまでのし上がったアベル(ヴワデグ)との宿命的な出会いと愛憎の果てを描いた壮大な人間ドラマは、大きな感動のうちに幕を閉じる。ケインとアベルがニュ-ヨ-ク五番街で邂逅する場面は、この大河小説を締めくくる見事な圧巻。(エリア・カザン監督の映画『アメリカ・アメリカ』で、新天地アメリカの “自由の女神“ を目にしながら入港する青年の姿が、アベル自身と被さって涙を誘う)
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下巻はケインとアベルが終始睨み合う。ちょっといがみ合い長ない?って思ってしまった笑
しかも一連の争いが金融市場にて繰り広げられるため、理解が難しく尚更長く感じた。
ポーランドという国は20世紀における様々な出来事に関わりを持っているなと感じた。地理的要因かな?
ポーランドもう少し注目してみようかな
とりあえず海外小説はこれにて当分休憩に入らせてもらいます笑
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とても面白かったです。
素晴らしい小説でした。
人間模様、歴史、恋愛、成功、策略全て詰め込まれていました。
感動しました。
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トニー・シモンズと永年いっしょに働きながら、彼がどんな人間か知るまでにいたらなかったのに、今わずか数日間の個人的危機を経ただけで、それまではろくにわかっていなかった人間をたちまち好きになり、信用するようになったということは、考えてみればいかにも奇妙だった。(p.109)
アベルはいつの日かポーランドがふたたび自由になり、自分の城が戻ってくるまで生きられるかもしれないと信じたかったが、ヤルタ協定におけるスターリンの成功のあとでは、その可能性もはなはだ疑わしかった。(p.211)
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以下、物語をふりかえるための備忘。
・アベルの人生は、初めから危機一髪。生まれた時から九死に一生を得る。
・ロスノフスキ家はポーランドの名家。アベルもポーランドを誇りにもてるように育つ。
・ドイツとオーストリア=ハンガリー帝国に締め付けられたポーランドの運命が、アベルの運命と重なり、彼の人生に大きく影響。ヴワデクのときのアベルの運命たるや悲惨の一言。
・ケインの方の投資力の磨き込みはすばらしい。きっちり帳簿をつけるということやきちんと銘柄を分析することなどの規律が大切。投資をする上では、確かに高い資本回転率、高い成長率、信頼のおける資産の裏付け、有望な取引といった条件を満たす銘柄をいかに見つけるかといったことが効果的。
・ケインの方も、実は悲惨な境遇。父を亡くしただけではなく、その後、未亡人となった母親がどうしようもない男にひっかかって死んでしまう。しかし、ケインは順調にハーバードへ行き、個人口座100万ドルを21歳までに増やした。
・アベルも、ついにアメリカに渡り、勤勉に働き、学び、プラザホテルからリッチモンドコンチネンタルの副支配人になる。裏からのケインのサポートによりアベルはホテル王への道を歩む。
・他方で、ケインも親友の父からアポイントを受けてレスター銀行頭取就任。就任時の取締役会のハンドリングが見事。
・その後、2人の間で、醜い互いの応酬が繰り返される中で、アベルの娘、ケインの息子が恋に陥る。互いの親は激怒し、2人は家を出る。
・アベルが逮捕され司法取引で釈放、その意趣返しで、ケインがレスター銀行頭取辞任させられる羽目に。
・最後は、フロレンティナとその息子のウイリアム・アベル・ケインに託される形で物語が一旦終わる。
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かっこいい人は、良いことをしても公にしないってのがよくわかる。それで、人の口から広まってその人の価値が高まる。
リチャードはそんな人でした。しかも、自分の発言や行動が相手や社会にどんな影響を及ぼすか、そんな広い視野を持った素晴らしい人間でした。
リチャードとアベル、色々なすれ違いや感情の入り乱れもあったが、最終的には心が温まる結末でした。
欲望にまみれすぎても家族や周りの人との人間関係が崩れる。自分のためよりも、その人たち一人一人を思った行動が、良い人達に恵まれる方法なんだなと思いました。良い小説でした。
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ココロおどる"ちゃんぽんドラマ"
経営者の覚悟、決断と孤独。そして交差する感情と憎しみ、家族愛。色々渋滞していてお腹いっぱいだが、すんなり読めてしまう所が秀逸
□先に感想から
前半に比べると心理描写多めでドラマチックになるものの、アベルとケインからそれぞれ学べることは多い。特にケインがレスター銀行の頭取になる際の取締役になる際のリスクの取り方、事前根回しは学びが多い
・人間ドラマも潮らしい
ちょっとベタな展開ではあるが、親友の死や憎悪のある家系同士の結婚も単なるピースではなく、前後繋がるから面白い
・話さなきゃ伝わらないが、言わない正義もある
マシューも病気を黙っていたし、ウィリアムもアベルを買っていたことを最後まで言わなかった。(途中から憎しみが上回り言えなかった)
わだかまりは言葉にしないと溶けそうにない、プライドのある経営者が歩み寄るのは難しい
・アベルから何を学べるか
サイコパスぽいアベルだが娘への想いとか、自身への理解もない太って見た目も悪くなった女房を捨てるとか、人間ぽいのもアベル。あれだけ壮絶な経験の後に這い上がってきた中での人間らしさ、凡庸さみたいなところが面白い
・アベルもケインも抜かりなし
さすが名経営者と名頭取。抜かりなしは言い過ぎで、抜かりあると片方に確実に刺されている。両者の緊張関係がお互いの能力の高さを示している。
※ただし別の感想にあったが、ちょっと憎しみ合いが長く、凡人には共感が難しいかも
・脇役が良い味を出している
副頭取のトニー・シモンズとか、悪役のオズボーンとか、お互いの親友であるジョージとマシュー、アランロイドとかリロイ娘とか
■概要(完全ネタバレ)
それぞれ順調に成長するアベルのバロングループホテルとケインの銀行、しかも親友のレスター家が途絶え?レスター銀行の頭取になる。お互い世界恐慌や大戦を乗り越えながら順調に成長するも、恨みの種があって互いの足を引っ張る様になる。
アベルは恩人で親友のリロイをケインに殺されたも同然と思い、ケインは母の死のきっかけとなった詐欺師オズボーンと組むアベルを憎む。アベルは本当はケインに助けられたのを知らないし、アベルも敵の敵は見方で仕方なくオズボーンと組んでいた。
大戦にそれぞれ兵士として出願する中で、実はアベルが瀕死のケインを助けていたのも数奇な運命か?
交差する人間模様と激動の20世紀のダイナミズムを文字面だけで体感できる超大作!
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最後のウィリアムの秘密がわかったことによって
これまでのアベルのホテル王としてのし上がってきた人生が一瞬で虚しいものとなった。
ある意味、誤った復讐心が何十年も生きる活力になっていたから。死が近くなりその事実を知ったら「俺の人生ってしょうもな!」と絶望するかも。
ウィリアムの良い行いとして美しい終わり方みたいになっているけど…
実はアベルへの最高の仕返しだったりするのかも。
ひねくれた見方ですかね?
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すごかった〜ほんっとすごかった
ほんっっとにすごい。もうこれしか出てこない笑
最後の最後に二人が挨拶することはすごく感慨深いものがあったし、題名のとおりだなと
いやーーほんっとにおもしろい
ただ唯一途中途中若干だれてしまう感じがした
でもこの一冊は本当にすごかった
銀の腕輪が最後二人の息子にわたってよかった
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上巻に引き続きどんどん読み進め、ほぼ一気読みだった。上下巻通しての感想を一言で表すとすれば「どっちもどっち」という言葉が一番しっくりくる。お互いに対する憎悪もさることながら、めまぐるしく時代が変わっていく中で年老いていく二人はどちらも新しい時代に適応しきれなかった部分もあるように思う。戦争、ビジネス、復讐など様々な要素がこの小説にはあるが、アメリカや世界全体で価値観が大きく変わっていく過程と、自分の個人的な恨みに固執するあまりその流れに乗り切れなかった哀れな男の物語と言えるのではないだろうか。