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ページをめくる手が止まらなくなるような小説です。
20世紀。ポーランドから放浪の旅を経てアメリカのホテル王になったアベルと、ボストンの名家に生まれ大銀行の頭取となったケイン。
世界恐慌や第二次世界大戦といった、歴史的大事件に翻弄される二人の数奇な人生。生まれも考え方も対照的な二人が、互いをを蹴落とそうと繰り広げられる頭脳戦。そして迎える2人の最期と感動的な結末。
聖書の「Cain」と「Abel」を彷彿とさせるタイトル。響きからして絶対面白い!と思ったらそれ以上の面白さでした。サスペンス、ロマンス、戦争、歴史小説と、いくつもの物語を詰め込んでいるのに全く陳腐にならず壮観です。
時間を忘れ、物語の世界に没頭したくなった時に良い本だと思います。
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ケインとアベルは最後の最後まで対立していた。
お互いの大事な問題の時に一度ずつ歩み寄ろうと提案したのに、頑固なために結論一度も話し合うことはなかった。
息子のリチャードも娘のフロレンティナも、お互いの親を責めることはなく、感謝の気持ちを持っていたが、互いの両親が一歩も引かずウィリアムは一度もフロレンティナと話すことはなかった。
相手を恨み続けることは、自分を立ち止まらせてしまう。仕事ではうまく行くかもしれないが、自分のプライベートを、心を縛り付けてしまう。
仮に誰かが苦しみ消えてしまうことがあっても、悔しくて殺したいと思うことがあっても、まずは対話をして、お互いのその時の状況を知ることは大事なことだと思った。
対話はできないとしたら、想像してみること。
あとになって、その人のせいではなかったことを知ることはとても悲しいことである。
後悔は先に立たないもの。
初めはケインとアベルがどのように交わって話が進んで行くかと思った。途中交わって、犬猿の仲になって、それでも和解して、共にハッピーエンドになるものだと思っていた。しかしその逆だった。もし2人が早めに和解し、力を合わせて仕事をしていたらどんなに繁栄して、幸せになっただろうかと思うと残念だった。
和訳の永井淳のあとがきで、【小説、アメリカ現代史】と話している通り、ストーリーとアメリカやヨーロッパの歴史と共に話が進んで行くのはとても面白かった。
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久しぶりに一気読みした小説。
ザ•アメリカといった波乱万丈のお決まりコースのような展開で、あまりに物事がはまりすぎてツッコミどころもあるが、それも含めてダイナミックなストーリー展開を楽しめた。
最後の終わり方が変に仰々しくなく、ただ2人の人生の物語として淡々と終わっていることで、逆に2人の壮絶な人生が色濃く浮き上がって余韻に浸ることができたように思う。
フロレンティナの続編があるようなので、そちらも読みたい。