紙の本
「サクラ」と言葉
2015/12/03 04:25
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
この家族に「サクラ」がいて、ほんとうに良かったよ。完全に長谷川家の要だよ、「サクラ」は。ミキが車で吐きだした長い言葉とサキフミさんこと、サキコさんの言葉が心に残った。「あんな、うちな、好きな人できたらな、迷わんと好きっていう。だってな、その人、いつまでおれるか分からんやろ。だから言う。そしてその人もうちのこと好きやったら、ありがとうって言う」「嘘をつくときは、あんたらも、愛のある嘘をつきなさい。騙してやろうとかそんな嘘やなしに、自分も苦しい、愛のある、嘘をつきなさいね」珠玉の言葉だ。出合えてよかった。
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何が良いのか不明なれど実に良い、楽しい作品。
2022/06/28 11:39
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何が良いのか不明なれど実に良い、楽しい作品。「はじまり」と「おわり」を除くとどちらかと言えばハチャメチャ家族騒動劇てな雰囲気なのだが、そのなかに鋭い社会風刺が潜んでるのが笑える。全体としては暗い話になるはずなのに何故か明るく楽しい。これは著者の帰国子女という経験から来る違うことが当然という意識に派生するものなのかも。何しろ登場人物がそもそも破天荒。基本的には受け入れらないはずなのに何故か主人公・僕の視点から描かれると有っても良いかもと思えてくる。そんなハチャメチャ家族の要だった兄・一が亡くなったことで崩壊したと思われたときに、物言わぬ飼い犬・サクラが無言で家族の輪を繋いでいたという結末へ。この結末で、やっと表題の『さくら』の意味が理解できた。何かは判らないが何しろ楽しくなる作品でした。
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西作品一冊目
2021/03/20 21:36
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投稿者:はなこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
西加奈子さんの作品を読むきっかけになった作品。内容は割とヘビーなのに、独特の乾いた文体で、切なくなったりホッと心が軽くなったり暖かくなったりする。
大阪のご出身なので当たり前だが、文章にしても関西弁がリアルで良い。
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さくらというのは犬の名前
2021/01/20 01:11
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投稿者:Masetto - この投稿者のレビュー一覧を見る
美男美女カップルの両親の元に生まれた三兄弟。 長男はイケメン、優秀、幼い頃からもてまくりの人気者。 一番下の妹は誰もが振り返るような美人。 背は高いけど地味に育ったという次男目線の小説。 普通の家庭で夫婦、家族、兄弟仲良く。。。皆ちょっと早熟過ぎ!なところはあるけど 幸せな家庭生活を描いていると思っていたけど だんだん歯車が狂ってきてしまう。 誰が何をしたというわけでもないけど ちょっと恋愛体質過ぎるのかなあ? 長男が事故になってひどい後遺症が残って家族はどん底に落とされ、ついに家族崩壊? あんなに順調な幸せな家庭だったのにもろいと思ってしまった。 でも最後はちょっと希望の光が見え始めたような。。。 軽いのりで始まったのに 結構重い話だったな。
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泣ける。。。
2018/06/20 13:17
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投稿者:chieeee - この投稿者のレビュー一覧を見る
賑やかで幸せな家族5人と1匹のわんちゃんの家族の物語。カッコよくて働き者の父。美しく暖かい母。そしてみんなのヒーローお兄ちゃん。記憶力以外は平凡な自分。美しく凶暴な妹。賢くてお上品なさくら。前半はただただ幸せな家族の話で、クスクス笑えたりほっこりしたり…。だからこそ後半の悲劇は読んでいてかなり辛かった。でも最後にはポカポカ出来る話で、読んでよかった!と思わせてくれます。ありがちな動物お涙物ではないところが良かった!西さんの作品の中でも一番お気に入り!西さんの作品は大阪弁の方が味があってイイ!
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どこかで評判になっていた(犬が主役っぽかったこともあって)ので、読んでみた。
日常なのか非日常なのか、懐かしいと言うか不思議な感じがした。
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インフルで体も頭もフラフラに弱った直後に読んだせいか
枕が濡れるほどに泣きました。
新興住宅街に越してきた家族5人
人も振り返るようなハンサムで人気者の兄ちゃん
人も振り返るような美人で変わり者の妹
平凡な僕
世界一仲のいい兄妹と世界一愛し合ってる父と母
そして僕らの愛犬「サクラ」
彼らが幼い頃から怒涛のような青春時代を駆け抜けるのを見守っていると
ご近所の幸せな家庭を眺めているようなふんわりとした居心地の良さを感じ
いつまでもこのまま眺めさせてね・・・・・・と夢見心地でいると・・・・・・
→
ここからネタバレあり
兄を襲った事故がこの家族をがらりと変えてしまう。
ハンサムだった兄ちゃんの容姿は形が変わり、
羨望の眼差しを向けていた人々の視線も180度変化した。
ただひとつ、変わらないはずの家族愛だったけど、それもむなしく・・・・
ラスト、「サクラ」を介してまた家族がひとつになろうとする。
光を見つけようとする家族に涙が止まらなかった。
「カタチあるものはいつか壊れるんだよ」
神戸で私は26年間、やんちゃな弟二人と
ワンマンでキレやすい、でもめちゃめちゃ優しい父親と
キレやすい父を受け止めるふわっとした性格の母親と暮らし
そのうちの16年間(たぶん)は
ほぼ野生化したようなマルチーズ犬の親子2代と過ごした。
みんなが友達を連れて帰っちゃあ泊めていたので
他人も含め、いつも家の中は人だらけ。
連れて帰り率は父親が一番高かったので母はいつも大変。
でも怒声やら笑い声やらで賑やかだったあの家。
一番最初に家を出たのは私だった。
それからひとり、またひとりと出て行き
父親も他界し、今は母親がひとり、新メンバーのパピヨン犬と一緒に
あの家を守っている。
これって世間的に見れば
ごくごく当たり前の流れなんでしょうけど
母親がひとりあの家で、テレビ見ながら食事してるかと思うと
・・・・・・涙が出てくる。
「カタチあるものはいつか壊れるんだよ」
それはよーくわかってるんですけどね。
2006.2.2
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さくらって題名が本当にピッタリな本だった。
好き、この本。
もう1回読み返そうとは思わないだろうけど。
なんて言うか、例えて言うなら
センターの問題文になりそうな書き方。
でも薫くんの本音みたいのが面白い。
あとサクラが、喋るのがホントにカワイイ。
うふふって。
登場人物の全てのストーリーが充実してるから
長いけど飽きない。
こんな感じだろうなってのが
鮮やかにイメージ出来た。
色んなパターンの愛情が出て来て、
何か可愛らしかったり、切なかったり、
究極の形は、こうなのかもって思ったり。
とりあえず、映画にしたら
絶対見るのにな~なんて思った。
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陶器のように美しい。 性格は明るく、常に笑顔を絶やさない。
その全身で家族を愛する母。
優しくてハンサムで働き者。無口だが確実に一家を支える存在の父。
生まれながらにして、ヒーロー。誰もが憧れ、誰からも慕われる。
人生の全てが「はじめレジェンド」になった兄「一」。
生まれながらの美女。誰もが必ず立ち止まり、振り返る超美形。
美しい顔とは裏腹に、
異常な喧嘩っ早さと野生児の感覚を持つ妹「ミキ(美貴)」。
「長谷川君の弟」「長谷川さんのお兄ちゃん」と言われ育った僕「薫」。
そして、
愛すべき上品な女の子(笑)タワシ好きな雑種犬の「サクラ」。
長谷川一家5人と1匹家族。
「僕(薫)」が、兄妹それぞれの際立った個性を、
時にユーモラスに、時にシリアスに、
しかし、いたって軽い口調で淡々と語り続ける物語。
まるで“幸せの魔法”にかけられていたような、
幸せだった5人と1匹の家族が・・・
兄の交通事故から、一変する・・・。
前半は、この家族が、
どれほどまでに幸せで、どんなに輝いていて、
どんなに眩しい家族だったかを…
これでもか、これでもか!と、読者にぶつけてくる。
兎に角、受け止めるのが、やっとこさだった(苦笑)。
三人の子どもの成長過程はとても分かり易く、
アップテンポで爽快に綴られる。
父と母のラブラブぶりを惜しみなく披露し、
「サクラ」の発する言葉を交えながら、
まるで、そう・・・
映画を観ているような気持ちになった。
どの登場人物にも、感情移入はできない。なのに、なのに、だ。
この西加奈子という作家の生み出す「魂」のような、
目に見えない強靭なモノに惹き付けられ、
この一家が、まるで存在している錯覚に陥る。
弾むような語り口に惹き付けられながら読み進むと、
「比喩」の魔法に驚かされる。そう、斬新な「比喩」の所為なのだ。
次から次へと端的で、リズミカルで、決して装飾過多にはならない
美しい表現に気付けば魅了され、そしてはっきり実像化されていく。
中盤からは、
はっきり言って、一つの作品の中に詰め込むテーマが多すぎる。
只でさえ、彼らにはいろいろあるというのに…。
そしてこの終盤にきて、長男「一」が自殺した。
そう言えばそうだったんだ…。
と、我に返らされ、最終章では、泣きっぱなしだった。
作者が本書に籠めた「思い」の深さに見事、KO。
両親からとびっきりの愛情を受けて育った子どもは、
その愛されているという力が、やがて確信に代わり、
己の強さになるのだと感じた。
「家族愛」
それはどんな不幸をも乗り越えられる、唯一なのかもしれない。
本書ではペットではなく、家族である「サクラ」。
誰よりも冷静に愛情を理解していたのは「サクラ」かも知れないね。
「うふふ。」 合掌。
読後、実家の父や義母さん、
その他親戚付き合いをしている人からの「着信音」…
「Top of the World」 になりました。
「うふふ。」
次は 『きいろいゾウ』にします。この作品は、絵本も欲しいなぁ。
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この作品と「さくら」という高野健一さんの曲って何かリンクしてるんだろうか?と読みながら疑問に思って調べてみたら、この本にインスパイアされて書かれたか詩だということが判明。改めて聴きたくなりました…。
久しぶりに本を読んでダラダラ泣いてしました。こんなのは東京タワー以来。
とても切なくて悲しいんだけど、優しくて温かい。
悲しいことだって全てひっくるめて幸せ。
改めてそう思わされる。
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20代の女性とは思えないほどの視野で書き上げられる言葉たち。
突然訪れた、家族のつながりを奪う一日。
ひとりの家族を喪うという大きな痛みの中、
絶対的な存在であるはずの家族のつながりがどうにかなってゆく。
それでも、再生のときはやって来る。
家族と言うつながりを、信じているか信じていないかではなく、
そこにつながりがある限り、再生のときはやってくる。
大きな志の下、「家族」という形を描きだす。
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みんなが個性的な長谷川家と、一匹の犬(さくら)の物語です。
前半で語られる家族の話は、淡々としていて、微笑ましいエピソードが続きますが、ある事件が起きてしまった後のことが語られる終盤は、一転して悲しい話になります。
それでも、愛犬さくらだけは、変わらずしっぽを振って、家族を励ましている姿がいじらしい。
家族の大切さと、人の弱さ・強さを同時に感じることができる作品でした。
西さんの文章は、とても丁寧で美しく、独特の表現力を持っています。
それだけでも、十分に読む価値があるのではないでしょうか。
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描写が綺麗な小説です。終盤に向かってどんどんと惹かれていった気がします。ぎりぎりのところまで追い詰められて、最後のところで救われる。そんな小説です。
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犬・サクラの台詞。私は好きですよ〜。まさに長谷川家の一家族・女の子です!!
最初は温かな幸せいっぱい。後半は一転、家族崩壊に向かう長谷川家の物語です。それでも前向きな気持ちにさせてくれるのは…サクラ!!
家族のあり方を考えさせられる作品ですね。
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最後のほう、ずっと泣きながら読んだ。
まぁ、わたしすぐ泣くし、泣くような話でもなかったかもしれない。笑