ビザンティン帝国の興亡
2022/07/18 20:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビザンティン帝国の興りから滅亡までをコンパクトにまとめている本。
たまに筆者の想像なんかも交えつつ、どういった時代にどのような皇帝がいたかを手がかりに解説してくれている。
今とはだいぶ価値観が違う時代の話なので、色々と新鮮。
ビザンチン帝国の1000年にも及ぶ繁栄を追った興味深い一冊です!
2020/03/12 13:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中世においてヨーロッパとアジアの境界地域で1000年以上にもおいて栄えたビザンチン帝国の歴史を解説したとても興味深い一冊です。同書では、ローマ皇帝の改宗からコンスタンティノープルの陥落までのおよそ10世紀もの長きにわたる歴史を詳細に、かつ分かり易く解説しており、栄華を称えたコンスタンティノープルの様子、イコンに彩られた聖ソフィア教会の様子などが分ると同時に、興亡を繰り返す重要な地域にあってビザンチン帝国が、なぜこれほど長く存続しえたのかという疑問に明確に答えてくれます。内容構成も、「プロローグ――奇跡の1000年」、「第1章 ローマ皇帝の改宗」、「第2章 新しいローマの登場」、「第3章 パンとサーカスの終焉」、「第4章 栄光のコンスタンティノープル」、「第5章 苦悩する帝国」、「第6章 ビザンティン帝国の落日」、「エピローグ――1000年を支えた理念」となかなか興味深いテーマとなっています。
ローマであってローマでない
2023/07/03 09:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ローマ帝国らしかった西ローマ帝国が滅びた後も、1000年にわたって存続した東ローマ帝国 ビザンチン帝国について描いている。建前上は「帝政ローマ」を取りながら実質的には中世専制国家 として存続したという国のあり方については感慨深い。建前と本音の使い分けについては、古来より日本もよくやっていることであるが、極東の僻地である日本と、各種国家勢力 民族が交錯する東ヨーロッパとでは国に対する試練の度合いがまるで異なる。よくぞ1000年 と感心してしまう。
ビザンツ帝国が生き残った理由
2021/12/23 21:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
1000年もの長きに渡りビザンツ帝国が生き残った理由をローマであるという建前を堅持しつつも現実に合わせて大きく体制を変えてきたことに求めている。極東にも律令制を建前にしながら内実が完全に変わった国があるのでそれと似てるところもあるな(違うところの方がもちろん多いが)と思いながら読んだ。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rim - この投稿者のレビュー一覧を見る
学術文庫なので、「難しいかもしれない、読みにくいかもしれない」と購入を躊躇していました。
思い切って購入。文字の大きさが丁度よく、大変読みやすいのに驚きました。
文字の読みやすさと、文章の分かりやすさに助けられ、歴史初心者の私でも読み進んでいけます。
著者が自身を非宗教者と言っていらっしゃるのに少し違和感を感じたことと、宗教に関する部分が、わかりにくいと感じました。
投稿元:
レビューを見る
ビザンティン、つまり東ローマ帝国(ビザンツ帝国)のこと。
学者が書いた本とは思えない程、とてもわかりやすい。高校生でも読めます。
マケドニア朝初期等、意外なところが抜けていたりするが、大体のツボは抑えている。
学校の世界史ではスルーされてしまう、面白い時代がここにある。
投稿元:
レビューを見る
今の世界史教育においては、西ローマ帝国の滅亡をもって『ローマのおわり』と説明するのがが通例となっている。ところが、実際にはローマ帝国の正統に継承したビザンティンは、その後も1000年にわたって命脈を保っており、その首都であるコンスタンティノープルは、経済的にも文化的にも往時のローマにも匹敵する大都市であった。西ヨーロッパ世界とイスラム世界の中間にあって、独自の文化を形成していたこの帝国、世界史を学ぶ上で重要な意味を持つはずなのに、どういうわけか教科書での扱いは非常に限定的である。
ビザンティンという帝国は面白いことに、発展と衰退を何度も経験しているが、それが可能だったのは伝統を保ちながらも行政を柔軟に変革させていったからだと言うのが本書の主張。専制君主制で陰謀ばかり繰り広げていたという従来のイメージからは大きく隔たりがあるが、そもそも1000年の長きにわたって生きながらえた帝国だけに、一つのイメージでくくるのは難しいのだろう。本書では、ビザンツ1000年の歴史を皇帝の列伝風に説明する。あまりなじみのない皇帝ばかりだが、ところどころにローマ時代の残滓を感じるエピソードなどもあり、ローマ愛好者にとっては楽しく読めるだろう。
投稿元:
レビューを見る
ローマの伝統を受け継ぎ、1千年続いたビザンティン帝国。拡大と縮小、繁栄と衰退を繰り返し、脱皮しながら生き延びた帝国の歴史を概観する。西ヨーロッパ世界、カトリック、イスラム、トルコと東西の狭間に位置しながらも東西交流の要衝として常に歴史の表舞台にあった帝国。キリスト教を公認し、国教とした帝国は、ローマの名を冠しながらも常に内外ともに危機にさらされ、変質を余儀なくされ、それを受け入れ続けることで生き延びた。著者は「革新」こそが帝国存続の真の条件だったと述べている。彼らを常に支えたのは「古代ローマ帝国の正当なる後継者」という矜持だったのだろうと思う。歴史の中に今なお生き続けるビザンティン帝国。その栄枯盛衰の一端に触れさせてもらった。
投稿元:
レビューを見る
奇跡の一千年
ローマ皇帝の改宗
「新しいローマ」の登場
「パンとサーカス」の終焉
栄光のコンスタンティノープル
苦悩する帝国
ビザンティン帝国の落日
一千年を支えた理念
著者:井上浩一、1947京都市生、西洋史学者、京都大学文学部史学科→同大学大学院、大阪市立大学名誉教授、ビザンツ学会副代表
投稿元:
レビューを見る
知られざるビザンチン帝国の歴史を一気に駆け抜けることができた。
とても読みやすく、特に現イスタンブールの歴史的背景を知ることができて良かった。
トルコに行く前に一読を。
投稿元:
レビューを見る
ビザンチン帝国を、ほぼ独立して描いていて、1000年を一気に駆け抜けられた。
年表を見ながら、同時期の西欧、アジアの状態を追いたい。
読むべき本。出会えてよかった。
投稿元:
レビューを見る
ドラマティックな政治を求めるなら専制君主だよね。やっぱ帝国はイイね。民を振り回してる政治って傍観してる方からすれば非常に魅力的。
文章がなんかすごくすっきりしていた。
文章の(問題提起)→(論説)→(結論)がシンプルで読みやすかった。
それにしても、やっぱローマは政治だよね。なんといっても政治だわ。
良くも悪くも政治にドラマがある。まぁ後世の人が完全にドラマ化しているわけなんだけど、ドラマ化できるだけの何かがある。
それは人を振り回しているかだと思う。振り回される人々がいるからトラジェディーがあるし、強権を振るう人がいるからヒロイズムがある。権力に慢心する輩がいるからコメディーにもなるしね。
今の民主主義は「全員イイ子ちゃん化」が最終目標なわけだから、そりゃあ世の中つまらなくなるわ。事実を小説より奇にしているものは人のよくだからね。
そんなことを思いました。
___
p57 キリスト教がローマの国教となったけど、その時点で宗教としての本質は外れているよね。キリスト教会は度々宗教会議を開いて異端宣告をしてきたけれど、純粋なキリスト教はそこで異端にされた宗派だったんだろう。例えば、聖書至上主義を説いたルターも異端とされている。
キリスト教はローマ帝国に政治の手段とされちゃったんだね。
そういうことも考えて宗教の歴史を考えていくべきだと考えました。
p101 「パンとサーカス」はエジプトなどのローマ属州からの搾取で成り立っていた。戦争によって支えられていたローマの豊かさを理解させるべきである。そして、搾取による安定ではなく、実力で安定を生み出そうとした政治家の素晴らしさを伝えていくのが指導者の使命だと考えました。
「ローマ」という建前ってすごいんだなぁ。皆がつけたがる称号なんだもんな。
だから千年も使われ続けてきたんだね。「中身なんて関係ない、名前にローマってついてれば売れるんだ!」的な?
再確認だなぁ~。
投稿元:
レビューを見る
貸していた本が久しぶりに返ってきたので再読です。
コンスタンティヌス一世のキリスト教公認とコンスタンティノープル遷都から、オスマントルコによる滅亡までの千年以上続くビザンティン帝国の歴史。ユスティニアヌスの再征服、イスラムによる侵食、8~11世紀の再興、第四次十字軍による占領・奪還など、少しずつ姿を変え、栄枯盛衰して存続した国の歴史をたどるのは非常に興味深いです。
投稿元:
レビューを見る
古本ワゴンで見つけた新書。ビザンティン(東ローマ)帝国というと、高校世界史の知識で大雑把に言うと「東西ローマ分裂からコンスタンティノープル陥落まで1000年以上緩やかな没落を続けた」ってイメージ。まぁローマ法大全のユスティニアヌスとかたまに上向くことはあっても基本下り坂、という。
極めて大雑把に言うと間違っちゃいないんだけど、ただ下るだけじゃ1000年ももたない訳で(モンゴルだのティムールだの見ればわかるように)、まぁ下り坂の歴史を学ぶことで今の日本がどうこうという意識高い人ではないので純粋に歴史として読んでおもしろかった。あと、通史なんだけど、所々に著者の自分語りが出てくるのがちょっとかわいい。
って今気づいたけどオイラ買ったの旧版だな。クリーム色の現代新書。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
栄華の都コンスタンティノープル、イコンに彩られた聖ソフィア教会…。
興亡を繰り返すヨーロッパとアジアの境界、「文明の十字路」にあって、帝国はなぜ一千年以上も存続しえたのか。
キリスト教と「偉大なローマ」の理念を守る一方、皇帝・貴族・知識人は変化にどう対応したか。
ローマ皇帝の改宗から帝都陥落まで、「奇跡の一千年」を活写する。
[ 目次 ]
プロローグ―奇跡の一千年
第1章 ローマ皇帝の改宗
第2章 「新しいローマ」の登場
第3章 「パンとサーカス」の終焉
第4章 栄光のコンスタンティノープル
第5章 苦悩する帝国
第6章 ビザンティン帝国の落日
エピローグ―一千年を支えた理念
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]