紙の本
蘇我氏の歴史的評価は確実に変わってきている
2019/06/02 15:59
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、蘇我氏の祖先から稲目・馬子・蝦夷・入鹿・石川麻呂までの蘇我氏年代記でした。
最も印象的なのは馬子です。馬子と推古天皇と厩戸皇子とのトロイカ体制で、盤石な地位を築いた優れた政治家でした。一方、豊かな才能で時代を乗り切ろうとした入鹿は、策謀家の藤原鎌足に外堀を埋められ孤立。一瞬の油断を突かれた形で失脚しましたが、英雄であったことは間違いないようです。
先に読んだ「謎の豪族・蘇我氏」と、内容に大きな齟齬はなく、蘇我氏の歴史的評価は確実に変わってきていることが分かりました。
紙の本
蘇我馬子、蝦夷親子が
2008/08/19 14:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
蘇我馬子、蝦夷親子が「大化の改新」で暗殺された事件は中学校の歴史の教科書でも出でいるくらい有名な出来事です。
でも、蘇我氏とは一体どのような人たちなのか、ということは案外知られていません。
この本では、蘇我氏の成り立ちから「大化の改新」までの蘇我氏と大王やその他の豪族の関係を描いております。
私個人としては、聖徳太子の部分をもう少し細かく書いて欲しかったという感じです。
古代史のロマンの香りがする一冊。
http://blog.livedoor.jp/c12484000/
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[ 内容 ]
まだ不安定だった大和朝廷の中枢に突如現れ、百年にわたって権勢を誇った豪族・蘇我氏。
しかしその出自もはっきりしなければ、なぜ滅ぼされたのかも諸説さまざまである。
ただ確かなのは、彼らがこの国の土台作りで決して欠かせない役割を果たしたことだ。
豪族連合から天皇制国家へ-。
古代史を駆け抜けた一族の全貌を描く。
[ 目次 ]
第1章 蘇我系大王の登場
第2章 蘇我稲目の時代
第3章 静かなる策士・蘇我馬子
第4章 蘇我・物部の戦い
第5章 用心深い二代目・蘇我蝦夷
第6章 王位争いと蘇我蝦夷
第7章 才能におぼれた蘇我入鹿
第8章 蘇我入鹿と山背大兄王
第9章 入鹿暗殺
第10章 蘇我石川麻呂の滅亡
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先日久しぶりに古代史を扱う本を読んだらちょっと火がついてしまった。
蘇我氏の歴史について書かれた本を読んでみました。
蘇我氏と言えば一番有名なのは馬子?入鹿?だと思いますが、本当に蘇我氏が栄えた時期は短くて、六世紀半ばから七世紀半ばの100年くらいだけなんです。
人物も、稲目-馬子-蝦夷-入鹿の四代で終わり。(実際には大化の改新後も石川麻呂等が活躍してますが本家じゃないのでね)
稲目の時代に、今まで格下のものとみられていた渡来系豪族を登用し、その能力を発揮させて中央集権化をすすめ、
馬子の時代は、仏教を興隆して聖徳太子を政権の中心に導き、それにより中国文化を受け入れ、近代国家の仲間入りを果たすのです。
蝦夷の時代は、馬子から引き継がれた体制を強化しますが、遣隋使が定着し、遣唐使の時代に入ることで蘇我氏の存在意義が希薄に。
入鹿の時代は、それでも独裁政治を行おうとするとこに無理が生じてこのような結果に…
蘇我氏は私、百済系渡来人を祖先としていると思っていたのですが、著者の主張では渡来人ではありえなくて、稲目は葛城氏の分家だとのことでした。
また、物部と蘇我の関係は新鮮で、なんと!稲目と尾輿の関係は良好だったらしい。。それが馬子の時代になり、協調路線から対立路線に移行していったそうです。宿命のライバルではなかったのね。振興勢力の蘇我のことを由緒ある物部が相手にするわけないか。。
それと、仏教伝来は百済の聖明王から、と日本書紀には書かれているけど、当初の日本は仏教の教理には関心を持たず、仏教を学問的に扱うのは太子がはじめてだったそう。。
やっぱり太子は偉大だ!
学びが多い本ではなかったけれど、読み易くてそれなりに楽しめました。