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何故水戸藩士は井伊直弼を殺害したか
2018/05/11 07:07
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時の大老井伊直弼を水戸藩士たち(薩摩藩士もいたが)が暗殺した、いわゆる「桜田門外ノ変」は歴史の授業でも習うし、時代が大きな舵をとったエポック的な事件として名称だけは聞いたことがあるかと思う。
事件があったのは安政7年3月3日。江戸には季節はずれの大雪が降っていた。
安政という年号で思い出されるのは「安政の大獄」。
井伊直弼が当時の改革者を弾圧した、これも有名な事件である。
安政の大獄で命を散らしたのは水戸の人間だけではない。長州の吉田松陰が有名だが、被害者は全国にわたる。
では、何故水戸藩士が井伊直弼の殺害を狙ったのか。
吉村昭がこの変を殺害の首謀者の一人関鉄之介を主人公にして、1988年10月から翌年8月にわたって新聞に連載したのがこの作品で、新潮文庫版で上下二巻として刊行されている。
新潮文庫版の上巻では攘夷派の水戸藩藩主斉昭が幕府側とことあるごとに衝突し、開国を迫る異国に対して朝廷の許可なく開国の条約を結ぶ大老井伊直弼と決定的に敵対することになる。
関係のこじれは開国問題だけではない。
薩摩藩などと共闘して次期将軍を一橋慶喜に推挙せんとしたことや朝廷側とのやりとりなど、幕府側にとっては排除したい人物であったことは間違いない。
吉村の筆は変に至るまでのさまざまな事象をまるでサスペンス劇を見ているように息もつかせない勢いで綴っていく。
吉村昭が記録小説という分野で勝ち取った文体が歴史小説でも生きているといえる。
圧倒的な面白さのまま、まもなく桜田門外ノ変へと続く。
電子書籍
この変が、日本史を変えた
2015/08/23 13:55
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
激動の幕末、なぜ、いかにして、水戸浪士たちは井伊大老の暗殺という一大テロを決行したのか?歴史を動かした大事件を、浪士のリーダーである関鉄之介を主人公に描いた作品。家族もある身でありながら、藩の内外の情勢は平穏に生きることを許さず、また激動の時代に生まれた故に命を賭してテロを敢行しなければならなかった彼らの姿が伝わってきました。ただ、この事件を井伊大老側から描いた作品が無いのは少し残念です。
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有名な桜田門外の変を、暗殺に加わった関鉄之介を中心に描いている。よく知った内容ではあるが、読んでいて大変スリリングである。
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2009年に映画化の話が持ち上がっているので、読んでみる気になった。2008年のNHK大河ドラマが篤姫という幕末を江戸城大奥で暮らした女性を描いたドラマであったことも関係している。さらには、著者が吉村昭氏であることも。
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安政七年(1860)三月三日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた一発の銃声と激しい斬りあいが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安政の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊大老を暗殺したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷思想は、倒幕運動へと変わっていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききった歴史小説の大作。
1997年6月29日購入
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限りなく実話・・・時代小説なのかもしれませんが、歴史カテゴリに
水戸という海岸線が長い地理、その近くまで捕鯨にくる多くの外国船
水戸が水戸学を独自に発展させ、御三家にも関わらず、多くの急進派
としての行動を起こした事情が伺えました
もともと、外圧に対する危機感が、水戸斉昭をして、時代の先端と
なしたのだが、その性格の頑迷固陋さが、支持者の離反を招き、孤立
を生むのでした
水戸で生まれ勃興した尊皇攘夷の影響を受けた諸藩の攘夷活動で、
外国の脅威と武力に圧倒された・・・尊皇攘夷から尊王倒幕の動き
がでてきた
混迷する幕府を見て、幕政に参与できるかもから幕府に代わり治世
できるかもと
何をするか分からないとまで恐れられた「水戸一派」
幕府は厳しく追及するおうになり、藩としての活動は維新の未明に
弱くなり、明治の舵取りの場には参加できませんでした
しかし、水戸浪士の決死の「桜田門外」「東禅寺」「坂下門外」などの
変や、島津久光の出兵など、時代の凶器がなかったら、明治維新など
無し得なかったろうな
さて、本編はこの桜田門外の変を士気した「関鉄之介」にスポットを
あて、事変が起きた必然などを、主人公の心情から描き出した作品
です。
周辺事情を確認しながら読まないと大変ですね
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淡々とした筆致で桜田門外の変が描かれていく。
主人公は関鉄之介なのだが、どうして主人公なのか。
あくまでも史実を丹念に紐解いていっているので、
そこからの膨らみがないような気がする。
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桜田門外の変が起こって150年なんですねー><
日本を変えようと必死だったんですね…
いまと比べてみたら感慨深いものが。
映画にも興味が出てきました!
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2011.1.19~2.14
著者が言う"江戸幕府崩壊と大東亜戦争敗戦はそこに至る経緯が似ている、とりわけ桜田門外の変(1860年)と二・二六事件(1936年)は極めて類似している"との指摘はなるほどと感じた。確かに事件によって前者は(尊王はともかく)攘夷派が敗れて開国に導き、後者は軍国主義の暴発と悲惨な敗戦に導いた。しかし暴力によって事態を打開しようとする野蛮な行いが76年後に繰り返されたとうことは歴史に学んでいない訳で、その代償は余りにも大きかったと思う。「長英逃亡」と同様、幕府側の捜査網の鋭さに驚く。
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2010.10.30新宿バルト9
映画の感想です。DVDがないので、原作本での登録。
中高年向けに作られたまじめな時代劇、という印象。
音楽の使い方とかが古くさく感じてしまったけど、それも時代劇的といえば時代劇的なのかも。
あと、途中でところどころ挟まる現代語(語尾や話し方ではなく単語とか?)が気になったんだけど…時代劇ってそんなものなのかな?分かりやすくするためには仕方ないのか…
途中、関と剣豪との一騎打ちシーンがあったのは、あれ史実なの?サービスシーンなの?(笑)
冒頭、唐突に井伊直弼暗殺実行の準備の話から始まるんだけど(途中から、黒船来襲からこれまでのエピソードが挟まれていく)、襲撃側たちの心情をそれほど書き込むことなく第三者的な視点で淡々と描かれているので、多少眠くなったり…^^;
しかし後半、主人公関鉄之介(大沢たかお)が逃亡し、逃げ回りながら再決起を志すあたりから面白くなってきた。
やっぱり心情部分が描かれるからなのかな。
これまで協力を誓ってきた藩たちからも協力も得られず、自分以外の仲間が次々に捕まっていく過程のなかで、自分たちのしたことには何の意味があったのだろうか、と自問自答する鉄之介。
時代の流れって容赦ないよね…
ていうか、昔の日本人ってすごすぎる。
お家のため、お国のために本気で命を賭けた人々がいる、っていうのがねー。自害のシーンが壮絶で、胸に迫るものがあった。
歴史的事実を元にしたストーリーだからこその感動だね。
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水戸藩脱藩浪士が中心となり江戸幕府の大老「井伊直弼」を暗殺した事件を通過点に、関鉄之介という現場で総指揮をとった者の最期までを丁寧に描く。
会話を減らして状況を忠実に記述する書き方は最初は戸惑ったが、読み進めていくほど、彼らをとりまく苛烈な歴史的情勢や思想が浮かび上がる。
作者の徹底した事実の追求姿勢に頭が下がる。
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幕末の水戸藩における門閥派と改革派の主導権争い、安政の大獄での異常に執拗な水戸藩士への処分など、政治的な闘争が克明に記されている、と思う。武力衝突中心の戦国時代は、政略結婚など複雑なお家関係こそあるが、弱肉強食という比較的分かりやすいルールの下で歴史が展開しており、興味が持ちやすい(事実、私は小学校・中学校程度で高い関心を持った)と感じる。一方、幕末は尊皇攘夷と体制維持の両派、とくに前者の歴史的経緯が語られない中での学習が多かったこと、政治的な闘争が多く複雑に感じたことから、個人的にはあまり関心が持てないでいた。本書は、尊皇攘夷論の起源を水戸学にあるとして、勃興から諸国への広がりまで書かれており、幕末の歴史を学ぶ上で読んでおくと、幕末の政治的混乱や闘争がなぜ起きて現在知られているように展開したのかがよく理解できる。当然の結果として、幕末に対しても小中学校程度の学習で、戦国時代同様、関心が持てると感じた。小説としても、教科書の補助的な書物としても価値のある作品だと感じる。
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授業で習った程度で、漠然としか知らなかったですのですが、出来事の流れがよく分かり、勉強になりました。幕末の緊迫した状況が伝わってくるようで、この時代のことに興味がわきました。
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水戸藩は、幕末の導火線に火をつけたが、内ゲバにより、薩長のようにコトを成し遂げることができなかった。
吉村昭の「逃げる」描写が冴えわたる。
幕府側の拷問の様子を読んでいると、水戸藩士の怒りが自らのものとして響いてくる。
映画化されたが、この小説の方が断然面白い。
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弾圧に反発した尊皇攘夷志士が井伊直弼大老を殺害するという有名な事変の成り行きを詳細に描いた記録小説。
井伊率いる「開国=幕府側」のネチネチとした弾圧に「尊皇攘夷=水戸藩」の怒りは爆発寸前。
そして、井伊暗殺の桜田門外ノ変へ・・・と、なる前に上巻終了。安政の大獄の熾烈さはハンパない。