紙の本
物語は大きく動いていく
2020/01/01 14:36
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻の終わり頃に事件は始まり、中巻では犯人との駆け引きが続く。そこに新聞記者達の動きが絡まり、物語は大きく動いていく。かなり読み応えのある小説だ。ひと時もきを許せない。
紙の本
息詰まる攻防
2015/10/30 01:59
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投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本からの再読。中巻はレディージョーカーの面々が影絵のように後景へ引き、日之出ビール、警察、新聞社の攻防が前景に出てくる。中でも日之出の城山社長と警察官合田の心理戦は息が詰まる緊張感をはらむ。組織の中の個人というテーマが通奏低音として流れ、物語はクライマックスを迎える。一分の隙もない高村薫の緻密な筆が冴え渡っている。
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夢中で読了。上巻とは打って変わって、レディ・ジョーカーを追いかける警察、報道、そして渦中の日之出麦酒。それぞれが自分の責務を全うしようと立ち回る。駆け引き目いた攻防もおもしろいし、大企業の中身が垣間見えるのもおもしろい。自分の仕事への自問自答は胸を詰まらせるし、自分で選んできたとはいえの公と私も。頭の容量の限界を感じながらも、ぐいぐい読まされてしまった。下巻もじっくり読みたい。
http://beautifulone.jugem.jp/?eid=288
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この巻での主人公は日之出ビールの城山恭介なんだろうな。
一見すると凡人のようなんだけれども、そういった自己評価が揺らいでゆく。
その過程が丹念に描かれていて、こっちまで心が折れそうになってくる。
いや、登場人物が一様に歪んでゆく。
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LJによる日之出麦酒への恐喝開始から、杉原武郎の自殺まで。中巻は、LJ組よりも、日之出、警察、報道側が多く描かれています。それぞれの表と裏、それに翻弄される人間、LJ事件を利用する闇。いろんな人間の、いろんな思惑が渦巻く事件にページをめくる手が止まりません…
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『時代と社会を穢して終える一生と、それを嫌悪しながら終える一生との間に、どんな差があるのか』
中巻。中巻らしく、いい感じで手繰り寄せられた糸が、いい感じに織り目を為している。ただ、個人的には、話の展開云々よりも、構成と演出が結構肌にあうと感じた。題材としている基盤によるのかもしれないが、程よい思想に程よい現実。鳥肌が立つまではいかないけれど、二の腕がむず痒くなるような、そういった表現が多かった気がする。
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エクスキューズ用の危機管理のマニュアルを作ったり、証拠づくりのための研修やるなら、この本を全社員に読ませろ。これは秀逸な危機管理のケーススタディのテキストである。
つまるところ企業の企業管理は仕組みやシステムでなく企業に対面した人間をどう監理し動かすことができるかなのだという本質を見事に描ききった。
それにしても何故、どうすればこんな作品がかけるのか。気分一つで、狭い世界と薄っぺらな感情で書かれた凡百の小説たちはひれ伏すがいい。これが小説を生業とし小説で飯を喰う小説家の小説だ。
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恐喝の被害者を演じながら裏取引に応じる大企業のトップ、事件の裏の裏を探そうとする新聞屋、組織の駒に徹しきれない警察官。
登場人物は色々あって、みな個性的なんだけれども、やっぱり合田に入れ込んでしまうなあ。
末端の警察官の苦悩というのは大変なものなのかもしれない。実際の警察という組織がこういうものなら、おれには向かない職場だな。合田を疑いながらも、義理を欠かさない城山がいい。
残り30ページで中巻も終わり、読み切っちゃおう、と思ったところでイベント発生。続きが気になるじゃん。
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高村薫『レディ・ジョーカー』(新潮文庫、2010年4月)税別705円、743円、629円
※上中下3冊あわせてのレビューです。
単行本は1997年に毎日新聞社より刊行されたということなので、13年前の作品の満を持した文庫化ということになる。
評者が単行本を地元の図書館で借りて読んだのが2000年頃だと記憶しているが、それからもう10年も経っているのかと、改めて思う。その当時夢中で読み耽っていた『我が手に拳銃を』『リヴィエラを撃て』『神の火』といった高村作品の中でもとくに重厚な作品群に比べれば、本書は読みやすかったが読み応えという点ではいま一歩か、と当時はぼんやりとした印象を持っていた。
正直に白状すれば、この文庫本を手に取るまで大まかな粗筋以外はすっかり忘れてしまっていた。しかし、ページをめくる度に10年前の記憶がつい先日のようにフラッシュバックしてくる。これも作品の持つ力だろう。
そして10年前には今ひとつ面白味が感じられなかったが、2010年の今になってみれば、他の高村作品に一歩もひけをとらない傑作だと確信できるようになった。
業界シェアトップの老舗ビール会社の社長誘拐に端を発する企業テロというド派手な事件を軸にしながら、そんな喧噪は作品の遠景でしかない。高村の筆は常に東條人物の内奥にピントがあわせられている。
企業、警察、マスコミ、犯人グループの主要登場人物たちは、各々のおかれた立場は違えど皆心の底に人間不信という大きな岩を抱え、その巨岩ですら憤怒・絶望という通過点を経て「諦め」という底なし沼に飲み込まれていく。
この小説は「レディ・ジョーカー」という不条理に対して「諦める」ことを選択した男たちの物語である。
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怒涛の勢いで読み終わった。カバン持ちの合田にニヤニヤさせてもらう。中巻はやるせない中にも、みんなの必死さが伝わってきて、読んでて重苦しくないのが救いでした。
あと、加納がしたたかになっていたのに驚いた。
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中巻。
解放と裏取引など。
中巻では、大会社の中で社長として生きる自分と、一個人として自分に課せられた要求との狭間で懊悩し、空虚を見、呑まれていく城山の話が中心。
また、記者である根来の、やはり大きな社会の中に一個人として相対そうとしていく姿も垣間見える。
一見無謀に見えるが、確実に熱い何かに突き動かされている根来という男から目が離せなかった。
命を賭けて信念を通そうとする彼の姿に、希望と期待を抱いてしまうも、日々漫然と馬鹿でかいシステムの作った流れにただ身を任せて流されていて、いや、流されていることにも気付かないでいる自分がページを捲るたびに目の当たりにさせられて、中巻はドラマ性のある一方で個人的に少し辛かった。
合田もいい感じに狂ってきているけれど、まだまだ高村薫にしては甘い感じなので安心(笑)して読む。
しかし、一課長から特命を受けて城山の警護につき、刑事職から離れて一企業の中に身を置くことになった合田が、ただのスパイとして犬になることなく、自身のこれからについて本気で思い悩みするという描写が高村さんらしいなあと舌鼓を打ち、美味しくペロリ。
というか、本当のところなんて全く分からないけれど、それでも高村薫がいかに取材を綿密に行ったかということを想像して、その努力や執念に惚れる。
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やっと下巻へ。そういう派ではないが、結末を先に読んでしまいたいという誘惑と戦っております。どうなるんだ。
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企業テロの動機と被害者心理(ともに単一ではない)を描く上巻は、
犯人と企業代表とを。
事件そのものに揺り動かされる間接的な「被害者」を描く中巻は、
一警官と事件を追う貴社とを。
主人公は入れ替わり立ち代り。
さて両方向の意図と策略とが物理的に絡み合うことになるであろう下巻、クライマックスはどのように描かれるのか?
上と中とでこうきれいな、描写にあわせた構図をつくりあげたあとで片手落ちの仕事は許されないと思うのだけど。
楽しみ。
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会社員という立場になったからか、どうも日の出ビールの内部が気になってしまう。特に社長とその周りの動きとか。
初めて読んだ学生時代には全く気にならなかったのにな。
ヨウちゃんだけがやけに清々しい。
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いよいよ犯人と警察の知恵比べが始まった。どうやって現金を手に入れるのか。テンポの速い展開で、話がどんどん進んでいきます。
これからの展開が楽しみになってきます。