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苦役列車 みんなのレビュー

144(2010下半期)芥川賞 受賞作品

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みんなのレビュー356件

みんなの評価3.5

評価内訳

347 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

苦役列車を読んだ。頭を真っ白にして読んで欲しい。

2018/11/06 00:12

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

文藝春秋の芥川賞全文掲載を楽しみにしていた。
受賞者インタビューや選評が載るからだ。しかも今回は二作品。
こんなにお買い得な号はめったにない。
加えて、大物の呼び声の高い朝吹真理子さんのきことわと、
既に怪臭を放つ西村賢太さんの苦役列車とあれば迷うまでもない。

全部読んでみて、私の選択は苦役列車だ。
オーソドックスな私小説だ。

読書量が多い方は、きことわの方が面白いのかもしれない。
選者がこぞって褒めているし、丸谷才一さんも新聞に
書評を寄せていた。感覚面でかなり優れた作品とのことだが、
私のレベルでは掴みきれなかった。
多分、修行不足なのだが何かの参考になれば。

さて苦役列車の前評判だが、全く大変なものだ。
フリーターの星だとか、久しぶりの破滅型作家の登場だとか
散々な褒め言葉だ。本人も受賞の電話が遅いから
風俗に行くところだっただの、傾注する破滅型作家の
全集発行に芥川賞の賞金を全額突っ込むだの、
とんでもない臭いをまき散らしている。

事前の紹介だけでは、嫌悪感と高揚感に分かれると思う。
これに反して、作品は至ってまともだ。残忍な暴力や
クスリは出てこず、日雇い労働者の生き様を描く物語だ。

主人公は貫多。
ねたみ、そねみに翻弄される自分の狭量を罵りながら、
どぶ汁をすするように生きる。そんな貫多に、日雇い現場で
日下部という同年代の男が声をかけてくる。
日下部の爽やかさは貫多の目を通してまばゆく映る。
二人の友情を通して、貫多は自分自身を深く認識していく。

底辺を生きる人の生活の怖いもの見たさかと思ったが、
まるで違う。貫多は、貫多のものさしで生きている。
幸せかどうかは自分で決めることだ。
そのことを再認識した。

日下部によって勇気づけられた心を、貫多がどのように
つないでいくのか。子供っぽい逡巡を繰り返すが、
そんな貫多の生き様から目が離せなくなってしまう。

「どうで死ぬ身の一踊り」「小銭をかぞえる」に続く作品だそうだ。
タイトルの付け方が抜群にうまい。

すげえや。この一言だけでいいのかもしれない。

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紙の本

ひさしぶりに「おもしろい小説」を読んだという充実感が残った。

2011/02/23 15:00

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

「月刊文藝春秋」3月号で読んだ。芥川賞2作品が読めて860円はたしかに安い。ただし、私が読んだのはこの作品だけ。朝吹真理子氏の作品は選評を読んだだけ。週刊文春で阿川佐和子さんとの対談も読んだが、作品は最初の1頁ぐらいを読んだだけで直ちに残りを読もうという気は起きなかった。

 それに反して、西村賢太氏のこの作品は、最初の3行目当たりから引き込まれた。あまり小説、特に純文学系のものを読まない私としては、ひさしぶりに「おもしろい小説」を読んだという充実感が残った。不思議な魅力を持つ文体であり、作品だと思う。

 最初の3行目あたりとは以下のような書きっぷりである。
>しかし、パンパンに朝勃ちした硬い竿に指で無理矢理角度をつけ、腰を引いて便器に大量の尿を放ったのちには、そのまま傍らの流し台で思いきりよく顔でも洗ってしまえばよいものを、彼はそこを素通りにして自室に戻ると、敷布団代わりのタオルケットの上に再び身を倒して腹這いになる。

 たしか、石原慎太郎氏は「太陽の季節」で、ナニで障子を破る話を書いていたと思うが、それを思い出した。1955年に発表され1956年に芥川賞を獲得したこの作品は、Wikipediaの解説を見ると「裕福な家庭に育った若者の無軌道な生き様を通して、感情を物質化する新世代を描く。当時としては、発表されるや文壇のみならず一般社会にも賞賛と非難を巻き起こした作品で、そのストーリーが倫理性に欠けることや誤字があることで、芥川受賞の際にはある選考委員がそれらの問題を口にした。」としている。 本作品は「裕福な家庭」とは対極的な舞台で展開されるのだが、「感情を物質化する新世代」という点に関しては共通性を見出せるだろうか。

 文藝春秋誌掲載の各氏の「選評」が読ませるのだが、その石原慎太郎氏は「この作者の『どうせ俺は――』といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジェニュインなるものを感じさせてくれる」と評している。 石原氏は昨年も西村氏の前候補作「小銭を数えて」を評価したものの孤軍奮闘に終わったそうであるが、三島由紀夫氏が野坂昭如氏を評価したことを連想した。

 林真理子氏は友人に「貴女は小説がうまくなければ単なるデブ」と言われたそうであるが、本作の著者も「小説が書けなければ、単なる中卒のろくでなし」とも言われたであろうから、人間の「能力」とは不思議なものだと思う。多くの人間はたとえ秘められた能力を持っていたとしても「天の時、地の利」に恵まれないまま人生を終えるのだろうが。
 

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紙の本

時代が芥川賞をつくるのか、芥川賞が時代をつくるのか

2011/08/17 09:32

6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第144回芥川賞受賞作。ですが、私にはこの小説の何が面白いのかよくわかりませんでした。
 作者の西村賢太さんは私小説作家にくくられるそうです。ですから、受賞作となった『苦役列車』も自身の青春期の苦労話とでもいえばいいのでしょうか、袋小路のようなみっともない生活がくだくだと描かれています。
 こういう作品を読むと、いったい小説とは何だろうかと考えこんでしまいます。この物語で誰が救われるのでしょうか。

 選考委員のひとり高樹のぶ子さんはこの作品についてこう書いています。「人間の卑しさ浅ましさをとことん自虐的に、私小説風に描き、読者を辟易させることに成功している」と。
 どうして「読者を辟易させる」ことが必要なのかわかりません。さらにいえば、ここに描かれているのは「人間の卑しさ浅ましさ」ではなく、貫多という「馬鹿のくせして、プライドだけは高くできてる」19歳の青年の持つ「卑しさ浅ましさ」にすぎません。そして、けっして貫太は現代の代表的な青春像でもないのです。
 高樹委員はさらにつづけて「卑しさと浅ましさがひたすら連続するだけで、物足りなかった」と書いていますが、他の委員にいたっては西村さんの術中にはまった感がないでもありません。それこそ西村賢太さんの文学の魅力でもあるのですが。

 たとえば、この作品が東日本大震災のあとの芥川賞の選考対象であったら、果たしてこのような青年の描いた作品が選ばれたでしょうか。いかほどに文章が達者であったとしても受賞には至らなかったように思えます。
 芥川賞が時代を作ることはないとはいえないですが、時代が芥川賞をつくりだすということは確かにあります。それが不幸かどうかは、今後の作品を西村さんがどう創りだしていくかにかかっているのではないでしょうか。

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2011/01/28 00:05

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2011/01/27 10:23

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2011/04/04 15:42

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2011/03/23 07:31

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