禁断の魔術 みんなのレビュー

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ガリレオシリーズ第8作目。4編からなる短編集。

警察がちょっと難解な事件が起こると湯川に頼りすぎではないかと感じることも多かったシリーズではあったが、本著は事件と湯川とつながりが自然だったように思う。

表題にもなっている「禁断の魔術」など、また映像化されるんだろうが、映像化ありきの作品つくりだけはしないでもらいたい。

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相変わらずの展開のシリーズものです、安定感があるものの、やはりネタが純粋科学ものから、超能力やSF的なものまで引っ張り出してきて、科学者でなくては解けない謎を扱うトリックものという本来の面白さが少なくなってきているのが長期的にシリーズとしてつなげることの弊害であろう。モモンガの話ぐらいしか探偵が科学者である必要がないのだ。また、やはり映像化が前提となっているのが透けて見えるのも興を削ぐ。どうしても某歌手と女優の顔が浮かんでしまい、確かに格好は良いわなという話になっている。元々は偏屈な科学者で佐野史郎だったはずなのに、映像の刷り込みが文章に優っているのではなく、映像に文章が乗っかるような商業的な面があからさまに透けて見えてしまうのだ。

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やっぱりネタ切れと言う作者の言葉通り、最初の頃の方が突飛で面白かったなぁ…
それにしても最後のアレは、暫く新作はないけど、まだ続くかもよってことかしら？

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うーん、湯川がどんどんドラマの湯川になっていく・・・
ドラマとの兼ね合いか、草薙プラス内海でやってるけど、この短編で2人もいらない気がするし。
マンネリかなぁ。買うほどの本じゃない。

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これで暫くガリレオシリーズは出ないのかな、と思わせる終わり方だった。

短編集、という体裁ではあるものの、かなり読み応えがあった。
特に最後の『猛射つ』はこれ1篇で本にしてもいいくらいのボリューム。
この『猛射つ』とその前の『念波る』を読むと
『探偵ガリレオ』のときの湯川先生とはだいぶ変わったという印象を受ける。
これも人に歴史ありだなぁと思うと何となく感慨深い。

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いつもの湯川先生とは少し違う一面が見れた。最後の話は、かなり入り込んでしまった。最後まで一気に読めた。

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短編集は、その名の通り「短編」を集めたものだから、すべてが良い作品とは限らない。
この本は、「透視す」「曲球る」「念波る」「猛射つ」の四作から成っている。
全体として星４個なのであり、「透視す」「曲球る」「念波る」は３個で、「猛射つ」だけが星５個の評価だ。

前作「虚像の道化師」に続いてのガリレオ湯川先生の短編集だが、初期の頃よりスケールがこじんまりした感は否めない。
全体のストーリーよりも、単に新しいトリック発表の場、“ハウダニット”のみに重きを置いたような作品が多い。
ゆえに推理小説（ミステリー）独特の味わいである、手に汗握るような緊張感がそれほど感じられず、物足りなさが残る。
湯川先生と草薙刑事や内海刑事のやりとりの面白さや、湯川自身の頑固なまでの科学への思いも、さほど作品内から伝わってこない。

ただし、このなかでも最後の作品「猛射つ」だけは別格で、ほかの作品よりページ数が多く、中篇とでも言ってよい長さのせいか、物語に奥行きがあり、“ホワイダニット”も深く掘り下げられ、（この程度の推測に基づいたあやふやな動機で殺人に至るだろうか？　という疑問も多少あるが）湯川先生の少年に対する信頼や実直な行動の必然性も理解でき、最後はほろりとさせ、感動さえ覚える。
この「猛射つ」は、数あるガリレオシリーズのなかでも、最高傑作『容疑者Xの献身』に続く名作の感がした。

トリックに重きが置かれる作品だけに、（純粋にトリックの謎解きを楽しむ読者は別にして）ことさら登場人物の背景や心情、動機の部分を詳細に描けるだけの長さが必要で、もはや短編では難しい気がする。
そこが丁寧に描かれていないと、読者も深く共感できず、一級品となりにくいのではなかろうか。

この事件のあと、湯川先生はニューヨークに行き、しばらく戻らないようだ。
しからば、その間、東野先生にはじっくりと構想を練ってもらい、次なる長篇に再び期待したい。