紙の本
ウンチクも楽しめます
2019/04/03 16:24
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
井上ひさし『東慶寺花だより』を読みました。
井上ひさしは何年ぶりだろう。
鎌倉の駆け込み寺にまつわる人々の話。
中心人物の名前がついた15の章にそれぞれ花の名前も添えられています。
全体を通した主人公的人物は読み本の作者志望の医学生という設定。
江戸期の出版事情や医学事情について、また「三(み)行(くだり)半(はん)」に象徴される当時の女性の地位について、資料魔の井上ひさしらしいウンチクも楽しめます。
さだまさしの「縁切寺」というのはこの東慶寺のことだと思われるのですが、井上ひさしによると「縁切り寺」と「駆け込み寺」は別物だそうです。
ウィキペディアでもごっちゃにされてるんですけどね。
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一つ一つの作品が研ぎ澄まされているというか、洗練されている。長年かけて、連載されてきたのも頷ける。さすがは井上ひさしである。長編も魅力あるが、こういう連作物の短編集もいい。ミステリーであり、人間ドラマであり、ユーモア小説でもある。ホンワカとしたストーリーが心を癒してくれる。
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描写、時代考証、プロットなどどこをとっても、丁寧に練り上げられた作品群だと思います。遅筆で有名でしたが、その理由も分かるきがします。
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お花と井上ひさしって何だか結びつかず、この表紙絵と井上ひさしも何となく結びつかず、どんな物語なのか気になって購入。
縁切りにまつわる人間関係のドロドロした話が展開されるわけではない。かといって幸せな結末とはいかない話もある。それでも爽やかな読後感が残った。そして、それぞれの話にアクセサリーのようにちらっと出てくる草花が印象に残った(鎌倉に遊びに行く理由がまた増えた)。
しかし「わたし」自身はその後どうなったのだろうか。井上さんはどうしたかったのだろう。主人公の結末を知りたかった。
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江戸時代、女性たちを、不合理な夫から守るアジール(聖域?)だった縁切り寺の東慶寺。
東慶寺に駆け込む、または駆け込んだ女性たちの話を聞き、最善の方法を見つける役目を果たしていた、門前の宿屋での出来事を綴ったお話。
いつも時代も女性は強くて、男は浅はか…
庶民の様々な事情が、時には面白おかしく、時にはしっとりと情緒を込めて描かれていて、鎌倉に旅したくなりました。
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鎌倉にある、駆け込み寺として知られる東慶寺。
その門前の「御用宿」の居候にして、医師見習い、そして駆け出しの作者でもある信次郎から、駆け込んだ女たち(時には男も!)の「事情」が描かれる。
短編の連作集。
純愛あり、悲劇あり。
それぞれの人物の、事情が多彩で、飽きることがない。
出てくる人物も、味のある人たちが多い。
章題には、植物の名前が冠されている。
それがどんな風に出てくるのかも、楽しみにしながら読める。
それから、中に出てくる食べ物の描写が、これまたおいしそうで・・・。
なんか、連続ドラマになっていてもおかしくなさそう。
それにしても、井上ひさしにこんな作品があったなんて知らなかった。
十年以上、散発的に発表していたらしい。
まだ書き継ぐつもりだったのだろうか・・・
信次郎は、医師の道を選ぶか、作者の道か、それとも東慶寺門前の柏屋の婿におちついてしまうのか。
決着がつかないまま終ってしまっている。
井上さんが生きていたら・・・どんな決着を与えたのだろうか。
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寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立する―離婚を望み、寺に駆け込む女たち。夫婦のもめ事を解きほぐすと現れるのは、経済事情、まさかの思惑、そして人情の切なさ、温かさ。鎌倉の四季を背景にふっくらと描かれる、笑いと涙の傑作時代連作集。著者自身による特別講義を巻末収録。
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【女たちの「駆け込み寺」を描く、涙と笑いの遺作】離婚を望み決死の覚悟で寺に駆け込む女たちの強さ、家族の絆を描いて胸に迫る、涙と笑いの物語。十年をかけて紡いだ感動の遺作。
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東慶寺への駆け込み訳の謎解きとお白洲模様は、境内に季節ごと咲き乱れる花の数程に十人十色。軽口、人見、人情、愛情が巧妙かつ、小意気に織り込まれる小気味の好い短編集♪。それにしても、駆け込み寺の数々の舞台装置!?と、お美代ちゃんの挿し込みはお見事と言うしかない!。
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縁切り寺で有名な東慶寺を舞台にした短編集。
縁切り寺を舞台にしているものの、全ての物語が離婚する結末ではないので、読み飽きない。
私が気に入ったのは、「竹の章 菊次」。
クスッとできる話です。
時代劇ものが苦手な人には、こういった短編集から入るのも良いかも。
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駆け出しの戯作者で、医者の卵で、そして駆け込み寺の御用宿で番頭として働く信次郎の目を通して、描かれる夫婦の問題、あれこれ。
それぞれに違った女性(一部例外あり)を主役にした短めの物語が章仕立てになってます。花の名前が各章につけられているのは、花の寺の美しいイメージですが、同時に、時代が変わっても、夫婦に関わる問題や悩みは同じところを巡ってるってことなのでしょうか。
作者は、現代の戯作者・井上ひさしさん。足掛け11年、ゆったりゆっくりの連載によるもの。この方も、夫婦間の問題引き起こし、一時は世間をずいぶん騒がしたことがありました。
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読みやすい短篇集。
何かに月刊誌にでも連らいされてたのか、四季を通じた花とともに、男女の機微、人情を描いている。
読後感が良い
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映画の原作だと知り、観終わってから即購入。原作は短編だったんですね。映画は映画で良かったし、原作は原作でのんびりしていて良かったです。
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映画を観ました。大泉洋の大らかさ面白さがこの映画の魅力。そして、満島ひかり嬢の色気よ…。昔の女性は大変だ。私たちは恵まれてるな。
(@丸の内ピカデリー)
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映画を見てから本を読んだ(映画のタイトルは「駆け込み女と駆け出し男」)
オムニバス形式の短編集である。
どれも余韻を残して読語の清々しさが残る。