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探偵小説? ミステリー?
間違い電話をきっかけに「ポール・オースター」として探偵の真似事を務める羽目になり、次第に数奇な運命に巻き込まれていく。
日常から引き剥がされていく不安と孤独が詩的で軽やかな文章で流れるようにするすると綴られていく様に引き込まれました。
都市の乾いた空気と、相容れない者同士それぞれの孤独が鮮やかに切り取られる。
物語全体を通して語りかけてくるのは「私」とは何なのか、「私」を私たらしめているものとは? という問いかけなのだろうか。
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http://kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-9ef0.html
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人間にとって言葉とは何か
ことばから逃げてしまうと、現実からも逃げてしまうことになる。そんなことを考えてしまった。作中にオースターなる人物が出てくるのがポストモダン的なのか……。
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久しぶりに読んだ翻訳本。
オースターのデビュー作。結末の無い、妄想の物語。
ミステリーの形式を取りながら、謎は解かれない。いや、そもそも事件さえ起きない。奇妙な登場人物達は次々に姿を消して行くばかり。。。
イヤー、苦戦した。
書きたい、書かなきゃいけないという想いばかりで書かれ、読者が置き去りにされている。
凄さは感じるが、とにかく判らない。言葉の不確かさ、人間の不条理、都会の孤独、様々なものが織り込まれ、主題が定まらない。
如何にもデビュー作という感じ。
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柴田元幸さんは、日本語に翻訳しているというよりも、物語に翻訳しているといった感覚を持つ。
素敵だなあ。
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衝撃的に面白かった。
孤独な男の元へ来た間違い電話は、
ほんの序章に過ぎず、
少なくとも4つの入れ子みたいな、
予測不能な落とし穴のような展開に、
読み進めるほどにはっとし、
清涼感と荒涼感を同時に体験するという、
不思議な読後である。
*
海外文学はあまり読んでいないのだが、
ポール・オースターはじめ、
フィリップ・ロスといい、
マイケル・カニンガムといい、
現代アメリカ文学は実に面白い!!
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対象を追いかけて追いかけて自らを堕ちるまで追い詰める。大体このパターンやね。そして自分を登場させるという不思議なやり方。
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不思議なお話でした。自分がどんどん無くなっていくような。主人公のクインの、スティルマンとの会話が面白かったです。ハンプティ・ダンプティと、ドン・キホーテ。最後まで読んで、クインのこれまでがとても辛く感じられました。わたしも、クインの幸せを願います。
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最初は面白かった。でも後半はイライラした。はっきり言って、絶望した人間が、中国午後がどうとか考えるわけがない。と思ってしまった。
ニューヨークの街並みの描写は好き。
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あるミステリー作家にかかってきた間違い電話から始まる不思議な物語。
途中から「あれ?」「え?」って動揺することが増えてきて、最後は「で、お前は誰よ」ってなる。
なにがどうなったんだか最後までわからないどころか謎が投げっぱなしなんだけど、文章がとても美しくて読みやすかった。頭の中はぐるぐるしてるけれども…。
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本書は主人公の意識と登場人物の会話で大部分が成り立っているのだが、読み進むにつれて、真実と虚構の区別があいまいになってくる。そのような文章は通常読みにくいものだが、本書は逆にわくわくしてくる。そのようなことを楽しむ作品なのだろうと思う。
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(ハードカバー読了)
オースターが妻と出会っていなかったらどうなっていた可能性があったかを書いたと言われる(後書きより)。
クインという一人の作家の出来事と関わった作中のオースター(作者とは別人の設定かは不明)と、それとは別にこの物語を書いた作者がいて、クイン自身が書き続けた赤いノートなどの事実をもとにしているという。
最初から予想はできるだろうが、スティルマン事件は結局、事件でもなんでもない。最後の方でクイン自身が述懐しているように、「人生における別の場所へ至るための橋」だったにすぎない。
この「別の場所」とは、世界の外のことで、クインが最後にたどり着いた場所なのかもしれない。
スティルマンの問題に執拗にこだわり続け、ピーター・スティルマンのマンションの近くで路上生活をし始めるまでに陥った(クイン自身が自分を「落ちてい」ると感じているにもかかわらず)。最終的には、資金が尽き、自分がかつて住んでいた部屋も別の人物に使用され、なにもかも失って、ピーター・スティルマンとその奥さんが住んでいた部屋にたどり着き、赤いノートに記述を続けた。
オースター自身がが幸福でクインがそうではない、として書かれたのかもしれないが、本当にそうであるかどうかはわからない。
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豊かな音楽的な言葉の数々。
人は言葉によって自分が何者であるかを認識するし、ここがどこであるかを定義する。
自分自身の存在があやふやに感じることもあれば、物語のなかの人物が生き生きと存在感を表すこともある。
言葉に、フレーズに、音に、小説に、真摯に素直に向き合った作家と、翻訳家の妙技をただただ芳醇な香りのように、音楽のように味わうことができた。
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ダニエル・クイン(主人公)は、ウィリアム・ウィルソンの名前で推理小説を書くことで生計を立てているのだが、あるとき、私立探偵ポール・オースター宛ての間違い電話に出たことがきっかけで、ポールに成りすまし、依頼を受ける。マックス・ワークは彼の小説の主人公。
かなり序盤のほうから、このウィリアム、ポール、マックスの間でクインがアイデンティティ崩壊して自分が何者なのかわからなくなるのだろうなー、と思ったら、やはりそういう感じで、なんというか、
よくわからなかった。
依頼されておいて結局何もしてないし。老人スティルマンの足跡がThe Tower Of The Babelとなっていたのも、結局は謎のまま。
二時間おきに電話をかけると言ったのに、かけないでオムレツなんて食べて他人の生活に嫉妬しているところは、本当にこの人どうなのかと思った。
安部公房の燃えつきた地図や、ロブ・グリエの消しゴムを彷彿とさせる出口のない街。
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探偵小説のようだが、何も解決せずぐるぐる主人公のクインが回っている小説。クインはドンキホーテか?「幽霊たち」の幽霊なのか?読みやすかったのは、訳者が柴田元幸のおかげかな。