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友人から勧められていたのだが文庫になっていなかったので手を出していなかった。
が、ようやく文庫になったようなので早速購入。
ダニエル・カーネマンはTEDでもスピーチを見たこともあり、
安心の学者さん。
人の心理について書いているけど経済学者でもある。
人が行いがちな決定の仕方について実に論理的に書かれているのだが、
それを自分がその通りにしているっていうのがまた。
私も間違いを犯しがちな愚かな人間の一人ということがよくわかった。
ただ章の終わりにあるまとめは、私的にはいらなかったかなー。
理解の確認には良いのかもしれないけれど、
ちょっと冗長。
本当に頭の良い人は
さほど賢くない人にもわかりやすく説明できるものだと思うのだけど、
カーネマンもそんな一人です。
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人間は客観的な判断を避け、主観的な直感に従い行動する生き物である。
わかっているつもりの事実だったが、この著書で数々例示されている事象を考えてみると、思い込みの誤りを改めて痛感した。
私は、民間航空に興味があり、いくつかの航空事故要因を調べてみたが、最近の事故の多くは人為的な判断ミスによるものは、思い込みが起因している点に注目される。
つまりは、機械による警告に従っていれば事故は避けられたということである。
物事の本質を捉える努力をするためには、主観的な判断は避けなければならない。
分かっていてもそれをやることはなかなか難しいことである。
しかし、大きな事柄を判断するに当たって難しいからといって直感に頼って行動するならば、結果的に損をするのは、自分自身である。
なかなか示唆的な著書だった。
世の中が楽な方に流れがちな時代において、直感を信じずに、アルゴリズムに従うことはとても容易である。
ただし、直感も、客観的な事実を踏まえた上では示唆に富んでいるという、著者の指摘は、忘れない方が良いだろう。
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バイアスというものが、我々の認識にどれほど絶望的に深く関わっているかを知らされる。バイアスに関して知識を深めることで、誤った考察を避けるための何らかの対処か折り合いのつけ方にヒントが得られるかと期待していた。
この本から得られる価値は何だろう?それを洞察する因果関係の意識さえ、この本から疑問を投げかけられる。
バイアスの作用を知ることは大切だが、これらのバイアスの全てを罪に問うとしたら、希望や動機の要因のほとんども否定しなければならないような気がする。まったく、不都合な真実だ。
下巻に続くが、正直なところ読むかどうか悩むなぁ。他のレビューによると、より核心な理論に触れられるらしいので読むべきなんだろうけど。
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決してサクサク読める本ではないが、出来るだけ早い時期に読んでおく。そして、数年かおきに読み直したい。
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思考力を高めるために本を漁っていたら、高評価のこの本に出合って衝動買い。行動心理学の本だが、読みやすさやインパクトなら「ヤバい経済学」「0ベース思考」のが良いと感じた。
【この本の目的】
自分自身について、判断や選択のエラーを突き止め理解する能力を高める!
【代表的ヒューリスティック】
おとなしい人はこの仕事が向いている、など正しい判断をするにあたり、似たものを探して単純しようとすることはないだろうか?
【利用可能性ヒューリステック】
インパクトのある事件、最近メディアに取り上げられている、ことによる思い出しやすさ、情報の入手しやすさに判断が影響されたことはないだろうか?
【調整とアンカリング】
「ガンジーはなくなった時114歳だった?」人は「35歳以下だった?」と聞かれた人よりも高い年齢を言ってしまう。
「彼って親切?」と聞かれれば親切なところを列挙するが、「彼って意地悪?」と聞かれると、彼に親切にしてもらったことはなかなか思い出せない。
何らかの比較対象を与えられると、例えば[結婚指輪は給料3カ月分という通説]や[会議で声の大きい人があるアイデアを出す]と、「そんなものなのかなぁ」とそれを基準にものごとを考えてします。
【ファスト&スロー】
速い思考・直感的思考をシステム1、遅い思考・熟慮思考(注意力を要す)がシステム2。これらが上手くOn/Offできるので日々の多くの意思決定をこなすことができる。
しかし、認知的・感情的・身体的のいずれかを問わず、あらゆる自発的な努力は、少なくとも部分的にはメンタルエネルギーの共有プールを利用している。つまり、努力というコストに、メンタルエネルギーという資源は消耗されてしまうのである。
だから、高速道路で運転に集中しているときに、助手席でわーわー言われると注意力が散漫になり...
→効率的に生きるためにファスト思考が多くの意思決定をするが、時にエラーを起こすことがある。それを防ぐためにスロー思考はものぐさでなかなか出てきてくれない...。その事実を得ることがこの本の一番大きな財産。
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判断や思考に影響する脳の特徴が、読んでみて納得な内容。
感覚的になんとなくわかっている思い込みや錯覚の影響が自分の想像より大きそうで、結果的に誤った結論に至ってることも多そう。
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ひたすらシステム1の解説
ツイッターで2-3人の賢そうな人が、おすすめしていて興味をもって上下巻を借りて読んだ。
人間の意思がどのように決定されるかについて解説したものだ。
大きく、システム1(直感・瞬時に判断)とシステム2(ゆっくり考える)の2種類に別れており、この上巻ではシステム1についてひたすら解説していた。
冒頭でこの書籍の内容は論文のようなものではないというようなことが書いてあったが、自分にとっては嘘だった。実験結果などについてひたすら解説を垂れているだけで、長ったらしくてはっきりとした結論がわかりにくい。役に立てるのが難しい。
参考文献は巻末にあったが、本文を読んでいて何がおすすめなのか自分には理解できなかった。おそらくマーケティングなどで人を操作したい小賢い人には有用なのだろう。
個人的には「選択の科学」や「お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学」のほうがよかった。
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本書は,われわれがいかに錯覚に陥りやすく,不合理な意思決定をしがちかということを,多種多様な実験とデータによって示している。
本書を読了した後においては,さまざまな人間の営みを,これまでとは違った視点で(ある意味では,ひねくれた視点で)見られるようになるかもしれない。
認知的錯覚に陥ることを回避し,客観的・合理的な意思決定をするためにはどうすればよいかという点については,著者によれば,効果的な解決策は存在しない。しかし,エラーのパターンを知り,自分の置かれた状況を冷静に観察することで,部分的には意思決定のあり方を改善できるのではないだろうか(著者自身も,断片的には解決法を提示している)。その意味で,本書の内容は,実生活に役立てることもできるだろう。
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人はどのように意思決定したり、物事を理解しているのかがわかれば、ビジネスの仕掛けが変わるはずと思い、その手の本をまとめ読み。組織やチームを動かすことや経済行為について、一般的に言われているほど人は合理的ではない。やはり感情の動物。「教室の写真を見せられると教育に前向きになる(プライミング効果)」「速い思考と遅い思考の組み合わせ」「創造性とは素晴らしく良く働く連想機能」「感情という尻尾は合理的な犬を振り回す」「次のファイスブックを見落とすリスクは凡庸な企業に投資するリスクよりもはるかに深刻と受け止められている」。
読了済みの『スイッチ』に登場する象使いと象と同じで理解が深まった。
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社会人ゼミテキスト
佐々木先生の言葉を借りると、
本当に合理的なものとは、何か、ということ
合理性には限界がある、といこと
が書かれた本。
私の経済学のイメージが180度変わった。
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・ 実験の参加者は統計的事実を無視し、ステレオタイプと類似性だけを問題にした。彼らは難しい判断を下すにあたり、似た者を探して単純化ヒューリスティック(近道の解決法)を使ったのだと考えられる。
・ 直感的解決の探索は自動的に行われるが、時に失敗し、専門的スキルによる解決も、ヒューリスティックな解決も、一切浮かんでこない時がある。そういう時はたいてい、私たちはより時間をかけて頭を使う、熟慮熟考へとスイッチを切り替える
・ システム1は自動的に働き、システム2は、通常は努力を低レベルにおさえた快適モードで作動している
・ システム1は、印象、直感、意思、感触を絶えず生み出してはシステム2に供給する。システム2がゴーサインを出せば、印象や直感は確信に変わり、衝動は意志的な行動に変わる
・ そもそもシステム2は鈍くて効率が悪いので、システム1が定型的に行っている決定を肩代わりすることはできないのである。私たちにできる最善のことは妥協にすぎない。失敗しやすい状況を見分ける方法を学習し、かかっている物が大きいときに、せめて重大な失敗ウを防ぐべく努力をすることだ。
・ システム2に備わっている決定的な能力は、いわゆる「タスク設定」ができることである。
・ 私たちは普通、簡単な作業を小分けにするとか、中間結果を出して長期記憶に覚えさせるとかすぐにいっぱいになってしまう作業記憶を使わずに神に書き出すといった方法を使って、過大な負荷を防ぐ.こんな具合に時間と行動を管理して、長丁場を乗り切り、「最小努力の法則」にしたがって生活している。
・ 鮮明に印刷された文章、繰り返し出てくる文章、プライム(先行刺激)のあった文章は認知しやすく、スムーズに処理されることが伺える(認知容易性=慣れ親しんだ物が好き)認知が容易な時は、あなたは多分機嫌がよく、好きな物を見ていて、聞いていることをもっともだと思い、直感を信用し、慣れ親しんだ心地よい状況だと感じている。
・ 見覚え、聞き覚えといった感覚は、単純だが強力な「過去性」という性質を帯びており、そのために、以前の経験が鏡に直接映し出されているように感じる(ジャコビー)
・ 聞き慣れたことは真実と混同されやすい
・ 結局一番頻繁に見せられた単語や写真ほど好きになる。このことから明らかなように、この印象を形成しているのはシステム1であり、そのことにシステム2は気づいていない。むしろ単純接触効果は全く意識せずに見ている時の方が刺激としては強い。
・ 気分は明らかにシステム1の働きを左右する。不機嫌な時や不幸な時、私たちは直感のきらめきを失ってしまう
・ システム1は信じたがるバイアスを備えている。疑ってかかり、信じないと判断するのはシステム2の仕事だが、しかしシステム2は時に忙しく、だいたいは怠けている。実際、疲れている時やうんざりしている時は、人間は根拠のない説得的なメッセージ(たとえばコマーシャル)に影響されやすくなる
・ 「自分の見た物がすべてだ」となれば、つじつまはあわせやすく、認知も容易になる。そうなれば、私たちはそのストーリーを真実と受け止めやすい。速い思考ができるのも、複雑な世界の中で部分的な情報に意味付けできるのもこのためである。
・ 標本サイズが大きければ、小さい場合より正確である。標本サイズが小さいと、大きい場合より極端なケースが発生しやすくなる。
・ アンカリング効果:ある道の数値を見積もり前に何らかの特定の数値を示されると、この効果が起きる
・ 「お一人様12個まで」平均7個、「お一人様何個でも」平均2個
・ 連想システムは情報の信頼性に拘泥しない。大事なのはストーリーであり、それはなんであれ、入手できた情報からこしらえられる。見た物がすべてである
・ 利用可能性ヒューリスティック
・ 代表性ヒューリスティック:システム1はそうと意識しなくても、類似性の印象を絶えず生み出している
・ 結果の確率を見積もる時は、妥当な基準率をアンカーにする
・ 回答者は確立理論に反して、より詳しくて具体的なシナリオの方が確率は高いと判断した
・ 高価な商品に安物のおまけを付けたところ、そのせいで、全体が安っぽくなってしまった。これはまさに、過ぎたるは及ばざるがごとし、というやつだ
・ 私たちの頭は因果関係を見つけたがる強いバイアスがかかっており、ただの統計はうまく扱えない
・ ある人のたったひとつの目立つ特徴についての判断に、すべての資質に対する評価を一致させるようしむけるのがハロー効果。
・ ハロー効果は「よい人間のやることはすべてよく、悪い人間のやることはすべて悪い」という具合に、評価に一貫性を持たせる働きをする。
・ 何にでも意味付けをしたがるシステム1の作用によって、私たちは世界を実際よりも整然として、単純で、予測可能で、首尾一貫した物としてとらえている。過去の認識の錯覚は、未来は予測できコントロールできるというもうひとつの錯覚を生む。こうした錯覚は心地よい。事態が全く予測不能だったら感じるはずの不安を和らげてくれるからだ。
・ 自信は感覚であり、自信があるのは、情報に整合性があって、情報処理が認知的に容易であるからにすぎない。必要なのは、不確実性の存在を認め、重大に受け止めることである。
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世の中自分が考えているより因果関係で説明できることは実は少なくて,かなり多くの不確実性に支配されている。
そのことを踏まえた上で,意思決定の際には意識的にベイズ推定のフレームワークを使っていきたい。
早い思考と遅い思考という思考のラベリングは初めて知った。
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プロスペクト理論の創始者であり、行動経済学の先駆者、ダニエル・カーネマン著。様々な事例に対する、行動経済学からの解釈は、非常に興味深い。好き嫌いでスパっと判断するシステム1と、熟考のシステム2。周りの意思決定を見て「あ、今、システム1がでた。」「システム2が発動中やな。」と思ってしまう。
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ハロー効果
代表性と基準率
平均への回帰
後知恵バイアスや結果バイアスは、結果としてリスク回避を助長する一方で、無責任なリスク追求者に不当な見返りをもたらす。・・・かくして一握りの幸運なギャンブラーは、大胆な行動と先見性のハロー効果によって、「勇気あるリーダー」という称号を手に入れるのである。
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ハロー効果(ハローこうか、英:halo effect)とは、心理学者エドワード・ソーンダイクによって名づけられた造語で、心理的効果の一つ。 ある対象を評価をする時に顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと。 認知バイアスの一種。