紙の本
気づきとアイデアの宝庫
2016/01/27 21:09
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アリョーシャ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル経済学賞受賞者による行動経済学の本であるが、本質的には経済学よりも心理学である。さまざまな実験によって、速い(fast)思考であるシステム1と、遅い(slow)思考であるシステム2に着目して、意思決定のメカニズムを探究していく。とりわけ、システム1を中心にあつかいながら、意思決定の際に起こりうる誤謬を、これでもかと列挙してくれる。日々の生活の中に意思決定はあふれているから、本書は多くの人にとって気づきとアイデアの宝庫だと思われる。
紙の本
行動経済学に興味があるなら、目を通しておきたい本
2015/09/26 23:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:chibi - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、テレビでも随分と「行動経済学」と言う言葉を耳にするようになってきた。損失回避、ヒューリスティクス、フレーミング効果・・・などがそれにあたる。平済みになっている本でも、書かれている内容だ。
もちろん、本書でも書かれているが、やはり本家は違う。冒頭からの「システム1」と「システム2」の話などは、目から鱗であった。
行動経済学に関心のある方は、是非とも読んでいただきたい1冊と言えるだろう。
電子書籍
経済学に風穴を開けた著者
2015/08/31 02:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は心理学を応用し2002年にノーベル経済学賞。
大雑把に言うとそれまでの経済学は人は合理的に判断するということを前提にしてたが
そうでないことが広く知れ渡った。
不合理な選択をしたくない人は読むべし。
紙の本
判断の非合理性
2016/10/28 15:14
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまごろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の意思決定システムは非常に誤謬を犯しやすく、単純な影響を受けやすく出来ているということが様々な実験で明らかにされている。人間は考えられている以上にずっと非合理的な判断をし、その誤りに気付いてすらおらず、それは一般人だけでなく各分野の専門家も例外ではない。本書を読んだ前後では物の見方、考え方が変わるだろう。
紙の本
人間の行動は果たして合理的なのか、を改めて考えさせてくれる良書です!
2017/11/20 09:36
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、心理学者でありながらノーベル経済学賞を受賞したカールマン氏による渾身の書です。「人間は果たして合理的に判断して、行動しているのだろうか?」。このような素朴な疑問を徹底的に検討し、私たちが間違った判断を行い、間違った行動に出る理由を解明してくれます。ここには行動心理学や認知心理学の研究成果がちりばめられていますが、決して内容は難しくありません。その面に関して素人の方々でも興味深く読むことができます。
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バイアスと数字を扱うのが苦手な人間
2022/01/10 08:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動経済学の言わずと知れた名作であるが、上巻では行動経済学で研究されている認知バイアスについての紹介が行われている。認知バイアスは様々なあるが、総じて言えるのが、人間は合理的に数字をそのまま処理するのが苦手だということである。著者らのそもそもの問いが、「人間は統計的・数学的に物事を考えられるか?」というものだった。この問いの答えとして、「否」と答えられるかもしれない。その実例がまじまじと研究を交えて説得力あるかたちで記述されている、認知バイアスという癖があり、数字を基に客観的に判断するのがあまり得意でない。これまでの合理的人間を想定する経済学へのアンチテーゼにもなる。
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ウムムの心理
2019/05/24 17:22
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:保母札布 - この投稿者のレビュー一覧を見る
行動経済学といっても、経済だけでなく生活全般に影響している私たちの行動原理をわかりやすく、実験から見る根拠を添えて示されている。
これを逆手にとって悪用されないよう、騙されないよう、自分を守るためのバイブルとして何回読み直しても、新たな発見がある。
紙の本
サッと読むのもいいかもです・・・
2017/01/30 19:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K - この投稿者のレビュー一覧を見る
違う角度から切り込んでいるのもありますが、重複内容も多く思え、まとめをさっと読むだけでも内容が掴める気がしました・・・
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義務教育で教えて欲しい
2017/01/15 10:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の意思決定が様々な種類のバイアスによって歪められ、合理的な行動がとれなくなるという事実が解説されています。
科学的な実証実験のデータも提示されています。
自分の思い込みを補強するために都合のいい事実だけを選び出す確証バイアスなど、本書で明らかにされていることこそ、義務教育できちんと教えておくべき価値のあることだと思います。
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書評:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/money/features/40.aspx?g=DGXMZO9547651024122015000000
p.349「講釈の誤り(narrative fallacy)」⇒ナシーム・タレブ『ブラック・スワン』
p.361「ハロー効果」⇒フィル・ローゼンツワイグ 『なぜビジネス書は間違うのか』
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2002年、ノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンによる大作。
前々からこの本の評判は聞いていたものの、
内容が重厚そうで中々チャレンジできなかったのですが、
学校の指定教科書になってしまったので、強制的に読む機会を得ました。
結果としては、大満足のとても面白い内容、
もっと早く読んでも良かったと思わせてくれる本でした。
内容の割には読みやすく(決して簡単で軽い本ではないですが)、
一度読み始めると次の展開が気になって仕方なくなってしまう本でした。
簡単に内容を紹介すると、著者は人が頭の中で思考するとき、
速い思考(「直観」のようなもの)と遅い思考(「熟考」のようなもの)の
2パターンがあると主張しています(主張というより、比喩を用いて説明しているという感じ)。
この2つはときに、人の決断・判断を誤らせることがあり、
どういったときに人は間違った決断・判断をしてしまうのかを
様々な心理学の実験や統計的な知識を用いて解説してくれます。
代表的なものが色々なところで言われている
ヒューリスティック・バイアスでしょう。
この本を読んで実践できれば、そういった間違いを減らす可能性が高まるでしょう。
(といっても、実践するのは結構難しい。。)
欲を言えば、彼の主張を脳科学の観点から補足できれば、
より魅力的な&知的好奇心を刺激される内容になったと思われます。
(誰か脳科学者の方に本の解説をしてもらいたいです。)
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砂う喰らうような読書がようやく終わった。。。
しかし、まだ下巻がある。
もう一度良く噛んで上巻を読むか、無栄養のまま下巻になだれ込むか、今一度良く考えたい。
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人間の判断は概ね合理的で、強い情動(恐怖や愛情、憎悪)が絡むような場合に逸脱するとされてきたが、カーネマンらは人間の思考には本来的に系統的なエラーが入り込むものであることを示した。
とりわけタイプ1とよぶ速い思考に由来するヒューリスティックな判断や選択による誤りを扱っている。
システム1はバイアスがある。難しい問題を易しい問題に置き換えて答えようとするうえ、論理や統計はほとんど分かっていない。スイッチオフすることもできないため、例えば自分の国の言葉が画面上に出てきたりした場合は読まずにはいられない。意識して疑う、ということもそのレパートリーに入っていない。疑いを抱くためには相容れない解釈を同時に思い浮かべる必要があり、それには知的努力を必要とする、これはシステム2の守備範囲である。
システム2はシステム1を見張る役目ではあるが、例えば7つの数字を覚えておく、など認知的負荷の高い作業に忙殺されている時は誘惑に駆られやすかったり、利己的な選択、表面的な判断、などシステム1の影響が強くなる。システム2が他のことにかかりきりの時は、私たちはほとんど何でも信じてしまう
感情的な問題がからんでくると、システム1の批判者よりは擁護者になりやすい。気に入っているものの長所をあげて批判に抵抗したりする。
・認知容易性
注意を要するようなテストの問題を読みやすいフォント、読みにくいフォントの二種類で印刷すると、読みにくいフォントの方が成績が良かった。認知負担を感じたおかげでシステム2が動員されたため。
・ハロー効果
Forming impressions of personality (Asch, 1946)の実験では
アラン:頭がいい、勤勉、直情的、批判的、頑固、嫉妬深い
ベン:嫉妬深い、頑固、批判的、直情的、勤勉、頭がいい
の二人の印象が問われた。普通はアランの方に好感をもつ。頭がいい人が頑固なのは理由がある、とみなされるが、頑固な人が頭がいいのは一段と危険、と取られる。また、ハロー効果によって「頑固」は「頭が固い」とも「意志が強い」ともどちらでも解釈できるので、第一印象の文脈に合わせて解釈される。
人物描写の時にその人の特徴を示す言葉の並び順は適当に決められることが多いが、実際には順番が重要。
・置き換え
Priming and communication (Strack, 1988) の実験ではドイツの学生を対象に
あなたは最近どれぐらいしあわせですか?
あなたは先月何回デートしましたか?
と質問したが、デート回数と幸せの間には全く相関がなかった
しかし
あなたは先月何回デートしましたか?
あなたは最近どれぐらいしあわせですか?
と聞くと高い相関が見られた。しあわせという評価の難しい質問を恋愛ライフに置き換えたため
・少数の法則
小さいサンプルでの結果を過信しやすい
成績上位の学校は小さい規模のものが多く、過去には大きな学校を小さなものに分割することまで行なわれた。が、実際は小さい学校のほうがばらつきが大きいだけ。小さい学校の成績は平均を上回るわけではない。私たちはメッセージの内容に注意を奪われ、その信頼性を示す情報にはあまり注意しない。偶然の事象を因果関係で説明しようとすると必ずまちがう。
・アンカリング効果
世界で最も高いアメリカ杉は1200フィート(180)より高いでしょうか?低いでしょうか?
世界で最も高いアメリカ杉の高さはどれぐらいだと思いますか?
と聞かれる。アンカーは1200(高いアンカー)か180(低いアンカー)のどちらかが提示される。アンカーの差は1020。
高いアンカーを提示されたグループの平均は844フィート、低いアンカー群が282フィートで562フィートの差があった場合、アンカリング率は562/1020=55%となる。アンカーにそのまま沿った場合は100%、アンカーを完全に無視した場合は0%となるが、通常は55%程度になる。
アンカリング効果はかなり強力で、不動産業者の見積もる不動産価格や寄付の額(XXドル以上寄付するつもりがありますか?とか)などで影響が確かめられている。手がかりが全くないときに、わらをもつかむつもりでアンカーに寄せているのではなく、全くランダムに選ばれたアンカーだと分かっている場合でもアンカリング効果は見られる。
缶詰のセールの場合「お一人様12個まで」とすると平均7個売れ、「お一人様何個でも」という掲示の時の倍売れた。
・利用可能性ヒューリスティック
Ease of retrieval as information(Schwarz, 1991) の実験では
あなたが何かを強く主張した例を6つ書き出してください
次に、自分はどの程度自己主張が強いか、自己評価してください
と聞かれた。この質問の6つを12に増やした群と比較すると12のグループは自己主張が低いと評価した。こういう例は3−4個はすぐに浮かぶが12も思い出すのは難しいため。たやすく思い出せたという感覚の方が、思い出せる例の数よりも強力。
また、「自己評価をしなかった例を12書き出してください」と言われた群では自己主張が強い、と評価している。
UCLAのある教授は学生たちに講義の改良点を挙げさせた。この時、改善点を多く上げるように指示したクラスほど講義に高い評価をつけた
・平均回帰
フランシス・ゴルトンが見出した。
二種類の計測値の相関が完全でない(r=1でない)場合には必ず起こる。相関と回帰とは別々の概念ではなく、同じ概念を別の角度から見たにすぎない。
成績が悪くて叱責されると、次はよい成績になる
うつ状態の人にエネルギー飲料を飲ませるとよくなる
などは因果関係で説明されるべきでない。成績が悪い、うつ状態、など極端な集団が平均に回帰しただけ。確認するためにはきちんとコントロール群を置かないといけない
・妥当性の錯覚
私たちは過去についてつじつまの合った後講釈をする。今日、後知恵で説明がつくなら昨日予測できたはずだという直観を拭い去ることができない。過去を分かっているという錯覚が、未来を予測できるという過剰な自信を生む
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・ 実験の参加者は統計的事実を無視し、ステレオタイプと類似性だけを問題にした。彼らは難しい判断を下すにあたり、似た者を探して単純化ヒューリスティック(近道の解決法)を使ったのだと考えられる。
・ 直感的解決の探索は自動的に行われるが、時に失敗し、専門的スキルによる解決も、ヒューリスティックな解決も、一切浮かんでこない時がある。そういう時はたいてい、私たちはより時間をかけて頭を使う、熟慮熟考へとスイッチを切り替える
・ システム1は自動的に働き、システム2は、通常は努力を低レベルにおさえた快適モードで作動している
・ システム1は、印象、直感、意思、感触を絶えず生み出してはシステム2に供給する。システム2がゴーサインを出せば、印象や直感は確信に変わり、衝動は意志的な行動に変わる
・ そもそもシステム2は鈍くて効率が悪いので、システム1が定型的に行っている決定を肩代わりすることはできないのである。私たちにできる最善のことは妥協にすぎない。失敗しやすい状況を見分ける方法を学習し、かかっている物が大きいときに、せめて重大な失敗ウを防ぐべく努力をすることだ。
・ システム2に備わっている決定的な能力は、いわゆる「タスク設定」ができることである。
・ 私たちは普通、簡単な作業を小分けにするとか、中間結果を出して長期記憶に覚えさせるとかすぐにいっぱいになってしまう作業記憶を使わずに神に書き出すといった方法を使って、過大な負荷を防ぐ.こんな具合に時間と行動を管理して、長丁場を乗り切り、「最小努力の法則」にしたがって生活している。
・ 鮮明に印刷された文章、繰り返し出てくる文章、プライム(先行刺激)のあった文章は認知しやすく、スムーズに処理されることが伺える(認知容易性=慣れ親しんだ物が好き)認知が容易な時は、あなたは多分機嫌がよく、好きな物を見ていて、聞いていることをもっともだと思い、直感を信用し、慣れ親しんだ心地よい状況だと感じている。
・ 見覚え、聞き覚えといった感覚は、単純だが強力な「過去性」という性質を帯びており、そのために、以前の経験が鏡に直接映し出されているように感じる(ジャコビー)
・ 聞き慣れたことは真実と混同されやすい
・ 結局一番頻繁に見せられた単語や写真ほど好きになる。このことから明らかなように、この印象を形成しているのはシステム1であり、そのことにシステム2は気づいていない。むしろ単純接触効果は全く意識せずに見ている時の方が刺激としては強い。
・ 気分は明らかにシステム1の働きを左右する。不機嫌な時や不幸な時、私たちは直感のきらめきを失ってしまう
・ システム1は信じたがるバイアスを備えている。疑ってかかり、信じないと判断するのはシステム2の仕事だが、しかしシステム2は時に忙しく、だいたいは怠けている。実際、疲れている時やうんざりしている時は、人間は根拠のない説得的なメッセージ(たとえばコマーシャル)に影響されやすくなる
・ 「自分の見た物がすべてだ」となれば���つじつまはあわせやすく、認知も容易になる。そうなれば、私たちはそのストーリーを真実と受け止めやすい。速い思考ができるのも、複雑な世界の中で部分的な情報に意味付けできるのもこのためである。
・ 標本サイズが大きければ、小さい場合より正確である。標本サイズが小さいと、大きい場合より極端なケースが発生しやすくなる。
・ アンカリング効果:ある道の数値を見積もり前に何らかの特定の数値を示されると、この効果が起きる
・ 「お一人様12個まで」平均7個、「お一人様何個でも」平均2個
・ 連想システムは情報の信頼性に拘泥しない。大事なのはストーリーであり、それはなんであれ、入手できた情報からこしらえられる。見た物がすべてである
・ 利用可能性ヒューリスティック
・ 代表性ヒューリスティック:システム1はそうと意識しなくても、類似性の印象を絶えず生み出している
・ 結果の確率を見積もる時は、妥当な基準率をアンカーにする
・ 回答者は確立理論に反して、より詳しくて具体的なシナリオの方が確率は高いと判断した
・ 高価な商品に安物のおまけを付けたところ、そのせいで、全体が安っぽくなってしまった。これはまさに、過ぎたるは及ばざるがごとし、というやつだ
・ 私たちの頭は因果関係を見つけたがる強いバイアスがかかっており、ただの統計はうまく扱えない
・ ある人のたったひとつの目立つ特徴についての判断に、すべての資質に対する評価を一致させるようしむけるのがハロー効果。
・ ハロー効果は「よい人間のやることはすべてよく、悪い人間のやることはすべて悪い」という具合に、評価に一貫性を持たせる働きをする。
・ 何にでも意味付けをしたがるシステム1の作用によって、私たちは世界を実際よりも整然として、単純で、予測可能で、首尾一貫した物としてとらえている。過去の認識の錯覚は、未来は予測できコントロールできるというもうひとつの錯覚を生む。こうした錯覚は心地よい。事態が全く予測不能だったら感じるはずの不安を和らげてくれるからだ。
・ 自信は感覚であり、自信があるのは、情報に整合性があって、情報処理が認知的に容易であるからにすぎない。必要なのは、不確実性の存在を認め、重大に受け止めることである。
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◯やさしく親切に行動することで、あなたは実際にやさしく親切な気持ちになる(101p)
◯人物描写をするときに、その人の特徴を示す言葉の並び順は適当に決められることが多いが、実際には順番は重要である。(151p)
◯教官が何もしなくても、次は多かれ少なかれましになる可能性が高い。(312p)
◯予測精度を最大限に高めるには、最終決定を計算式にまかせるほうがよい(393p)
★自分も知らない自分のこと。世界は予測不能って受け入れられます?