紙の本
この本と同化して
2023/01/03 17:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
向田さんのエッセイは1話が5ページ程度で完結している。
文書は読みやすく、リズム感があるのでスラスラ読める。
エッセイは、向田さんの身近な実体験で、物事の捉え方が
実に的を得ていると思う。
的を得ているとは、私も同じような体験をしていることが多く、
全くそのとおりだな、と、いつも感心してしまうからだ。
通勤電車の中で読む方にお薦めです。
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そういえば昔母が読んでいたなと思って、買った新装版の文庫。古い人間だからと言ってしまったら終いだが、妙に懐かしく、頷ける話ばかり。何十年も前に読むチャンスがあったと思うと惜しかったなという気持ちにも…。
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私がまだ幼かったので生きている向田邦子さんを知りませんが、ご本人の人柄が想像できる、読み甲斐のあるエッセイでした。
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【これぞエッセイ! 達人の筆が冴える傑作ぞろい】すぐれた人間観察を筆にのせ、人々の素顔を捉えて絶賛を博した著者が、最も脂ののりきった時期に遺した傑作揃いのエッセイ集。
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向田邦子さんの本は2冊目。
前に読んだ本より向田さんのことを身近に感じることが出来たような気がする。
くすりと笑ってしまう話が多い。
とても可愛い人だという印象。心が和む。
「霊長類ヒト科」というざっくりした分類が素敵だ。
「人間」よりも「霊長類ヒト科」という呼び方の方が同じ種族感が増すような気がする。
「霊長類ヒト科」には得意なことも苦手なこともあるのだ。
善意もあれば悪意もある。計算もある。誠意もある。
飾らず力まず、自然な自分でいられたらどんなにいいだろうと思うような時、誰かを羨ましく思ってしまう時、この本をまた開きたいと思う。
そうすればいろいろと考えて空回ってしまう自分を肯定出来る気がするから。
笑って泣いて、怒って、決してきれいじゃない感情にまみれて生きることを受け入れられる気がする。
「霊長類ヒト科」はそういう生き物なのだろうから。
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向田さんの本を読むと、私は私でいいんだなって思える。
人は、どんなにかっこつけても、かっこ悪い。
弱くて、醜い感情をたくさん持ってて、後ろめたさを抱えて生きてる。
向田さんの本は、人のそんな部分をちゃんと書いてくれる。
向田さんの本の中には、かっこつけてない、そのまんまの人間がつまってる。
私はかっこつけだ。
ても、どんなに澄まして歩いても、こける。ガムやうんこを踏む。
分かったようなことを言ってみせるけど、心の中は汚い感情でぐちゃぐちゃだ。後ろめたさをたくさん持ってる。
たまにおしゃれをしてみても、歯にゴマがついてることだってある。
かっこつけても、様にならない。
それが、私。
向田さんと同じ、11月生まれの私。
それだけで、私にも何か書けそうな気がしてしまう。
私は、単純すぎる。
嫉妬するほどの観察力と文才を持つ向田さんに、憧れる。
でも、どんなに憧れても妬んでも、私は彼女にはなれない。
悔しいけど。
かっこがつかない私でも、私は私でいいんだよ。
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向田さんのお父様が亡くなってるのに お父様の好物のこのわたをうっかり珍味屋さんに頼んで
馬鹿だなあって笑った後 泣いたという話が好きです。
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向田邦子のエッセイ『霊長類ヒト科動物図鑑』完読。
夏頃いただいた本で、一章一章が短いのをいいことに進んだり戻ったり止まったりしながらのんびり読んでました。
初版単行本が昭和56年9月、新装版第1刷が、平成26年7月。
古き良き時代の、回りくどくて理不尽、でも陽気でのんきな人間模様が見て取れます。
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読書録「霊長類ヒト科動物図鑑」3
著者 向田邦子
出版 文藝春秋
p191より引用
“大分前のーーつまり銀座通りに都電が走っ
ている頃のことだが、安全地帯に立っていた
人が、単車にはねられるのを見たことがあ
る。”
目次から抜粋引用
“豆腐
助け合い運動
新聞紙
小判イタダキ
お手本”
放送作家である著者による、著者が出会っ
た人々について記したエッセイ集。
年の瀬のカレンダーの付け替えから交差点
での信号待ちについてまで、物語の登場人物
を語るように書かれています。
上記の引用は、安全について書かれた話で
の一節。
どれ程安全とうたっていたとしても、いつ何
が起こるかなんて、誰にもわからないものな
のでしょうね。安全や安心などというものは、
本当はどこにもありはしないものかも知れま
せん。
テレビ全盛期に数多くのドラマを書かれた
著者だからでしょうか、出会ったあらゆる人
が物語の題材になるくらい、観察されている
ようです。
単行本が昭和56年と、かなり昔の出版なの
で、年月を感じるところも多数あるので、若
い方にはギャップを感じるところもあるかも
しれません。
ーーーーー
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向田邦子のエッセイの読後感はサザエさんを見たあとの感覚に似ている、と思う。そこに在るのは純然たる昭和であり、なぜだかホッとするような生活感が広がっている。ただ一つ違うのは、サザエさんは明るさがあとに残るが、向田邦子のエッセイを読んだあとに残るのは、うっすらとした人間の悲哀だ。特に本書は殊更悲しい。何故なら「ヒコーキ」というエッセイに、向田邦子の飛行機に対する不安感が綴られているからだ。飛行機事故で亡くなっただけに、リアリティのある悲しさがそこにある。面白いが物悲しい、なんともややこしい読後感になる本。
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短いエッセイがたくさん。ふふふと笑ったりしんみりしたりしながら、スルスル読み進む。あんまり読みやすいから、私にも書けるかもとか思ってしまう(冷静に考えると無理だけど)。
「父の詫び状」は子供の頃の思い出が中心だったけど、この本はわりと大人になってからの向田さん自身が多く描かれている。
ヒトってこんなだよなあと、肩肘張らず読める本です。
あと、やっぱりお父様がおもしろい。家族みんながヤレヤレという風に我儘に付き合ってあげている様子とか。
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様々なことが積み重なって、その中から1本通っているという印象を受けました。
とても読みやすいのに、軽すぎず重すぎず、気持ちよく読めます。
「電気どじょう」には原稿が書けない理由がいくつか紹介されており、あまりの面白さに家族中に言いふらしました。
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向田邦子さんのショートエッセイ集。
敢えて「随筆」と呼びたい雰囲気の、おかしみもありぐっと考えさせられる一面もあり、それでいて軽妙で読みやすい一冊。
普段は口には出さないちょっぴり黒い考えとか、無意識ながら他人を観察していて気づくこと、自分のおかしな失敗談など“ヒト科”の面白味がシニカルに書かれている。
客人が持参してきたお土産らしきものの大きさや箱の様子を見て中を予想してその客人に出す飲み物を選ぶくだりとか、その客人によってお土産を寄越すタイミングが違うと観察しているところとか、口に出すのは憚られることだからこそ読んでいて面白い。
そして印象に残ったのは、向田さんが飛行機嫌いだということを書き残している点。験担ぎではないけれど、飛行機で出掛ける前は家の中を片付けすぎないようにしていたとか。(綺麗にしすぎるとその後死ぬフラグが立つようだから)
そんな彼女が最後飛行機事故で亡くなってしまったということにも、無意識の予感みたいなものがあったのかもしれない。
「Aを見に出掛けてなぜかBを見て帰って来てしまう」というたまにあるなぁと思えることとか、「安全ピンや安全カミソリで怪我をすることもある」という“安全”という言葉に対して胡座をかいてしまう人間の甘さだとか。
そんな中「郵便ポストだけは透明にならない方がいい」と考えていた向田さんが、今のネット社会の、SNSやなんかでの人と人のやりとりが誰にでも透けて見えてしまう現象を目にしたらどんな風に感じるのだろう、と考えたりした。
想像力と奥ゆかしさ、人間の少し秘めたる部分は失いたくないと、そういう短い一文を読んではっとさせられた。
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〈天声人語〉とか、あの辺りの感じの型、スタイルの文章、エッセイ。特に目的は持たず、ふらふらと興味の対象を探す時に読みたい。その快楽は、「特に計画のない、ふらっと一人旅」のようなものか。
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「それを言える人柄、言って似合う個性というものなのだろう。誰でも彼でも出来る芸当ではなさそうである。」(18ページ)
幼少期から今に至るまで、
この作者の人柄と個性を作り上げた数々小さなエピソード。
人は、散りばめられた小さな記憶と思い出の集結で作られる。