紙の本
化石おたくの女子高生×精緻なミステリー=?
2015/03/28 00:06
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
個性際立つ名探偵を数々生み出してきた麻耶雄嵩が、また新たな名探偵を送り出す。
化石おたくの女子高生・神舞まりあが本作の探偵役なのだが、彼女の推理はハッキリ言ってヒドイ。何しろ、彼女の推理は、まず私怨ありきなのだ。
彼女が部長を務める古生物部は、生徒会から最後通牒を突きつけられ、廃部の危機にある。そのため生徒会を逆恨みする彼女は、事件が起こるたび、生徒会メンバーの誰かを犯人に違いないと決めつけるのだ。
そこから逆算して、ターゲットの生徒会役員が犯人になるためにはどうしたらいいかを推理するのだが・・・・・・本末転倒というか、我田引水というか、シンプルに迷探偵というか、まったくヒドイ(笑)。
これほど無茶苦茶な探偵に、ひねくれつつも精緻なパズルとして完成度が高い麻耶ミステリが出会って、面白くならないわけがない。少なくとも私は、とても楽しませてもらいました。
紙の本
化石いらない
2024/04/29 13:37
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公が化石好きな必要性が全くない。
鉄道だろうが映画だろうが、なんでもいい。
結論のない殺人と推理の連続がだらだらと続くだけ。
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最初は麻耶雄嵩らしからぬ爽やかな青春小説といった趣ながら、事件が発生すると『らしさ』が全開になる。そして、どうにもきな臭い雰囲気が漂い始めたところでとても『麻耶雄嵩らしい』エピローグで終了。いや〜、堪能した。
しかし、何が嬉しいって、ずーーーーっと新刊が出ていなかったのに、ここに来て何冊も新しい本が読めることだ。新刊ラッシュまでは望まないが、この先もコンスタントに新しい小説が読めますように……。
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こんなライトな感じで全篇とも殺人事件を扱っちゃうのかよ〜。らしいね!って感じ。
最近の麻耶ってめっちゃ読みやすいよね。
読み手としては楽なんだけどなんか寂しい…
ミステリ部分以外にも、学園の派閥抗争に結構な分量が割かれていて『あいにくの雨で』を思い出した。
個々の話は探偵の推理が助手によってことごとく否定されるせいか、真相を聞かされてもなんだかふわふわした印象を受ける。
とは言えロジックもしっかりしていて、大胆なトリックもあるので読んでいて楽しい。
読み進めるに連れて、なんとなく犯人が掴めてしまうが、それらが最終話になってミスリードとして機能してるのが面白い。
僥倖に頼りすぎている話もあるけど、それを楽しむってことでいいんじゃないかな?
お気に入りは、危なっかしい綱渡り感のある「真実の壁」と大胆すぎるトリックが楽しい「幽霊クラブ」
このシリーズ続くといいなぁ〜
まりあ可愛いよまりあ
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麻耶くんが仕事をしたと聞いて狩りの手を休め以下省略。大体モンハン出たあとに新刊だしてるね?
高校が舞台、少女探偵とワトソンがその後輩。なんだろう、雰囲気的にすごい青崎の裏染くんシリーズを彷彿とさせる。文体が麻耶くんにしては軽かったからかもしれない。
どれだけ推理を披露してもすべてワトソンに否定され続ける可哀そうな探偵。その推理ってどれもちゃんと筋が通ってて、読者としては納得できるものなんだよ。ただ、ワトソンが「証拠がない、非現実的すぎる」と(紙の中における)現実に即した意見を言うものだから、ああこの娘の妄想なのかなぁ、と思ってしまう。思わざるをえないよね、読者として。
同じ学校のなかで殺人事件が立て続けに起こって、短編のような形で一個一個に推理していくんだけど、ラスト「このひとがまだ殺人を犯してないからこのひとが犯人!」とか言い出して、なんだよそれは、と。そういう部分があるからやっぱり、今までの推理も全部彼女の妄想ってことなのかなぁ、と。
ただ推理部分はすごく筋が通ってるし、そういう方向か、と驚きもある。綺麗に作られていて、短編ミステリとしては非常にクオリティは高い。
で、エピローグ。
ああそうきますか、と。
やっぱり麻耶雄嵩だぜ、と。
可哀そうにね、この化石少女は今後一生ずっと推理を否定され続けるんだね。
なんだろう、自業自得なのかなぁ、腹黒ワトソンの。たしかにこの少女にずっと付き従うのはきついな、とは思うんだ。最後の事件だって、彼女を見捨てきれなかったからこそ、なわけで、関わってさえいなければこんなことにはならなかった。
んー、どうせならさ、全部の事件に腹黒ワトソンくんが関わってたら面白かったのに、って思う。最後もさ、自分が関わってる事件だからこそ、先輩の推理がそこそこ良い筋をいってることに気づいたわけじゃん。そうじゃなくて、能力的に探偵の上であったらもうちょっと、「てめぇこの野郎www」って気分になれたのになーって。飽くまでも、すこし頭がいいだけの普通の少年なんだね、この子。
抜粋。ワトソンと探偵の会話。
「なにがちっですか。探偵の真似をするのは一歩どころか百歩譲って容認するにしても、予め犯人を決めてかかるのはおかしいでしょう」
「なにそれ。そんなの探偵の自由じゃない」
いやうん、そういう探偵もありだと思うよ。JDCにいそう。
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名門ペルム学園で繰り広げられる殺人事件。
我らが愛すべき赤点少女とその従僕の推理合戦・・・ってことにしておきましょうか。
さすが、麻耶センセと舌を巻く思いです。
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各種年末ランキングの集計期間が過ぎた今、ミステリ界一食えない男・麻耶雄嵩の新刊が届けられた。何となく手に取ってしまうんだよなあ。最近は刊行ペースがコンスタントだが、内容のひねりもやや弱いと個人的には感じていた。
京都の名門・私立ペルム学園で続発する殺人事件。部員たった2人の古生物部の部長・神舞まりあの迷推理を、いつも全力で阻止にかかる、幼なじみの後輩・桑島彰。別に古生物に興味がない彼のミッションは、まりあのお守り役であった。
廃部を迫る生徒会を目の敵にしているまりあは、事件が起こる度に生徒会のメンバーを犯人に名指しする。それを彰は理詰めで否定し、絶対に推理を口外するなと言い含める。いわば、ワトスン役が探偵役を否定するという異例の構図である。
この構図のため、各編とも解決編がない。推理を聞いているのは彰だけ。彼が否定したところで終わってしまう。おいおい、真相はどうなんだよっ! 最後のエピローグで何かオチがあるのだろう。それをモチベーションに、何とか読み進める。
構図以外の部分では、近年のミステリ界の傾向を意識したわけではないだろうが、麻耶作品にしては会話が軽妙な印象を受ける。ライトミステリ好きな読者でも、読みやすいかもしれない。各編にオチがないことに目をつむれば…。
まりあと彰の関係は、敢えて言うなら木更津と香月の関係に近いだろうか。木更津と香月も歪んだコンビだったが、まりあと彰の方がある意味より歪んでいる。エピローグのためだけに読んだようなものなのだから、驚かせてくれるんだろうな?
すべて前振りだったという点では『貴族探偵対女探偵』を連想させるが…うーん、正直想定の範囲内だったかな…。せめてもの願いは、化石少女まりあの卒業まで古生物部が存続し、本当の後継者が入部してくれることか。というより、化石好きというまりあの設定は必要だったのか。何少女でもいいんじゃないの? その点もちょっと残念。
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20160308
状況や設定が読みやすかった。
化石ネタがけっこう出てきて満足。
オチは気づいてたけど、そこまで衝撃ではなかったな〜
でもよかったと思う。
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麻耶さんらしいひねくれた連作短編集でした。
一応、一編ずつ、推理が書いてあり最後にはそれを否定しという繰り返しですが、ラストに現れる逆転。
なかなか麻耶さんらしいひねくれたミステリですね。
ただ、麻耶さんならもっと邪悪なことしてくるかなって思ってたんで、少し拍子抜けだし、主人公の語りで出てた名前が伏線でもなかったな。
なんかあると思ってたんですが…
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+++
京都の名門学園に続発する凄惨な殺人事件。対するは、マンジュウガニ以上といわれるすべすべ脳みそにして、化石オタクの変人女子高生。古生物部の美形部長まりあが、一人きりの男子部員をお供に繰り出す、奇天烈推理の数々!
+++
名門学園で次々に人が死ぬ。廃部寸前の古生物部と生徒会とのいざこざ、化石にしか興味のない美少女部長・神舞まりあと唯一の部員でありまりあの幼馴染にして、親の仕事がらみでまりあのお守り役を仰せつかって入学した桑島彰の夫婦漫才――彰が聞いたら怒り出しそうだが――のようなやりとり、といったある種コメディにもなりそうなお定まりの設定のなかで、禍々しい殺人事件が起きるのである。しかもまりあは、古生物部の宿敵である生徒会のメンバーを犯人として推理を展開するので、彰はその尻拭いをさせられることになる。さらに言えば、事件はまったくすっきり解決しないのである。だが、そういう趣向なのかと思いかけたラスト近くで、突然目を覚まされた感じである。いろんな風に愉しめる一冊でもあると思う。
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相変わらずの麻耶雄嵩。ただの探偵と助手ものではない連作短編集。探偵が、自分を探偵だと思っていない化石好きの変わり者の少女という設定。個人的には、そろそろ長編が読みたいと思った。
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各話とも神舞まりあの推理があっさりとワトソン役の桑島彰に却下され、次の話へと進んでいきます。スッキリしない終わり方なのでモヤモヤが残りますし、事件、推理もやや凡庸で退屈でした。
著者こだわりの『条件縛り』ミステリーのせいでエピローグに施された仕掛けは見え見えでしたが、第四章の事件を再検証し浮かび上がらせた真実は、如何にも著者らしい趣向でニヤリとしてしまいました。
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物騒な学校においてのミステリ。
最後は面白いが、事件も平凡で、まりあの魅力もわからなかったのが残念。
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赤点だらけのおバカ少女と、お目付け役の少年の活躍?を描くミステリ。化石に関する薀蓄も楽しめる……かな。
まりあの繰り出すトンデモ推理は、その都度一蹴されるだけ。一向に解決される気配のない事件がどんどん地層のように積もっていく……それこそ事件が化石化してしまいそうです(笑)。これどうなるの? と思いつつ読んでいましたが。わはは、さすがは麻耶さんだ!
ライトな青春ミステリ、ってな体裁で読み心地は楽しいんだけど。うーん、やっぱり邪悪だったかー。なんともいえない読後感です。
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すべてをぶち壊すラストに震える。麻耶さんの描く探偵はなぜこうも魅力的なのか。ワトソンとの関係性も一筋縄ではいかず興味深い。