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Rの存在は、平凡な日常から隔離された本当の自分、もしくは悪意。
加藤さんの人生に対する謙虚さ。くだらない人生から享受される幸福さ。
月並みになってしまうけど、生活におけるファンタジーはもう期待していない僕は共感してる。
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『俺が人生に現れる現象の全てを、心の底の底から完全に祝福してるとでも?
……俺は人間の限界を知っただけだ。一見くだらないと思っても、生活の中に身を置くことで、生活は幸福の感覚を享受させてくれようとしてくれる。
こっちがそんなもの幸福と思っていなくても、くだらないと思っていても、向こうからは健気に!俺は謙虚になっただけだよ。毎日を受け入れる。』
これも良かった。『悪意の手記』読んだら、いよいよ『教団X』かな。
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謎めいた事件の真相を追うミステリ。でもそれがメインという感じもせず、人間心理の機微が迫りくるような印象です。
「折鶴事件」のディテールがミステリとしては魅力的なのですが。事件の背後の隠された人々の歪みが何ともいえず哀切。起こるべくして起こった事件だったのか、それとも……?
その歪みにどんどん飲み込まれていくような主人公、そして読者が迷い込むのはまさしく答えのない「迷宮」なのかもしれません。
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フミノリストの友人に勧められ読了。
主人公が関わるある女性と、その女性にまつわる事件に触れ、心の隅に植わっている悪の芽の存在を意識させられる。
主人公に自らを投影しながら読むというよりは、
自分自身を顧みざるを得ない状況下におかれ、自らの見たくない部分をひとつひとつ発見してしまう主人公に自分を重ねた。
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今回もどっぷり中村ワールドが展開。「迷宮」というタイトルが物語終盤でじわじわ染み渡ってきた。今回も中村さん自身によるあとがきもよかったな。最後のこの中村さんの言葉が有るから安心して物語に浸れる。
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暗いストーリー。
親からの愛情がなければ子も歪む。
後半から気持ち悪さがでてきた。
?の部分が解決されてからのまた?。
こういう気持ちになるからこそ『迷宮』なのかもしれない。
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主人公は法律事務所に勤める。司法試験を受けてはいるがもう法律家には興味がない。あるバーで中学時代の同級生の紗奈江という女性と再開し関係を持つ。彼女は日置事件という一家惨殺事件の生き残りだった。
容疑者は逮捕されたものの、冤罪という事で釈放されて事件は迷宮入りしていたー。
初めて読む作家さんでした。
全体的似非常にトーンが暗くて、最後の近くまで意図が掴めずに困惑。
すでに崩壊してしまっている人が、どうにか正常に見せながら暮らしていているが、キッカケを得てまた崩壊を始める。
悪徳について書かれているのかなと思うけれど、でも思う程魅力的な悪徳とも思えず……最後に事件についての考察を主人公が行うけれど、それがシックリくる説明ではあるけれど、今真実を知ったとしても特に大勢に影響はないし、主人公自身も気にしてはいないよう。それも彼女への愛という訳ではなく。
なんと言うかみんながみんな壊れていて、どうも共感も出来ず、考えさせられる部分も分からないままに読了。
文章のリズムや雰囲気は凄いなと思うけれど……。
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迷宮事件の家族、唯一の生き残り女児だった女性と付き合う男性が、混乱のなか真実の方向へふらふらと取り憑かれていく。共感は難しかった。
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迷宮入りした不思議な事件と、それにまつわる人々。
キーとなる事件は、作中にもあるように、なぜだか人を惹きつけるような独特の雰囲気があった。
一方登場人物たちは、ほかの著者の作品に比べると、切迫した様子や葛藤する不安定な心の動きのようなものの描かれ方が少し物足りなく、
読んでいて揺さぶられる感覚や読後に得られる救いが弱いように感じた。
しかし、どんよりした色と、それだけに終わらない光は、やはり見られた。
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2024年1月9日再読。☆4から☆3へ。
この世界は誰にとっても平等、誰が死のうと誰が生きようと、大したことなどひとつもない。
これに尽きる。
ミステリー部分は消化不良感。
登場人物全員狂人。メンヘラには効いてしまいそう。
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登場人物が多めでとてもミステリ小説してると思う。
『掏摸』や『王国』に通ずるものを感じました。
面白いです。
個人的には、『土の中の子供』や『遮光』の、どんどん心の内部に入り込んじゃって訳が分からなくなってるときの文章が好きなので、この『迷宮』はあるいは別の作家の作品かもしれないと思いながら読むこともできるし、そういった意味では二度美味しいと思いました。
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すごい。映像化されないのが不思議なくらい、強烈に鮮やか。日置事件または折鶴事件(この使い分けに本作の核を得るヒントが隠されているのでは、と思うが、考える前につい読み進めてしまう)に人生を狂わされた人たちを描く。とはいえ推理小説ではなく、登場人物たちの人生の、決して全てが明かされることのないコンテクストの蜘蛛の巣の中心地に、決して解明すべきでない何かが美しく宙づりになっている、そんな小説。
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狂気について触れた作品らしく、また中村文則さんの以前読んだ作品が面白かったので購入。しかし読了後は、虚無感を覚えるほどのがっかり感。好きなひとは好きだと思いますが、自分は駄目でした。
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私は、幼い頃、今からこんな言葉を言えば相手はきっと泣き、その後自分がこんな風に謝ればまた元どおりになるだろうと考えながら喧嘩するような子供だった。朝起きた時に夜寝る時のことを考え、ウンザリして動けなくなることも多々あった。
中村文則の小説の主人公同士に共通性はあるけれど、『迷宮』の主人公は、特にこの、「退屈していて不安定」の要素が強く、その感覚が理解できてしまって、ドキリとしながら読み進めた。
死ぬまで生きなければならないことへの恐怖、無条件に人生を肯定できない苦しみの中で、狂人になってしまうためのスイッチを、いつでも押せると自分に言い聞かせなんとかやり過ごす。そんな中、決定的に壊れてる人に出会ってしまったらどうなるか。
この本を読んで感情移入できない人はたぶん幸せなんだと思うから、残念に思うことはないんじゃないかな。
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迷宮入りした一家惨殺事件。
密室で、外部犯の形跡があり、遺体は無数の折鶴で装飾されていた。
それは調べる程に不可能性が強化される。
冒頭から中村文則的マインドの病める男と謎めき立つ状況の連続にのめり込んだ頃、垣間見た、狂い。
チックの症状が自分には出ないと言えるだろうか。