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紙の本
久々の名作
2013/03/22 12:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mamimu3 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に名作に出会えました。
読むきっかけはやはりTVで放送されたとんびを見てから、
TVのとんびも良かったけど、原作もやはり素晴らしかった。
正直、こんな父親になりたいと思うと同時に
息子の旭が本当に羨ましくも思えました。
人の本当の幸せって・・・・・
つくづく、考えさせられる一冊でした。
紙の本
外で読んでいたら、不覚にも涙がこぼれてしまった。
2013/02/24 17:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
外で読んでいたら、不覚にも涙がこぼれてしまった。恥ずかしいので一人、部屋で読むことをお勧めします。
内容はいたってシンプル。
真っ正直な男であるヤスさんが結婚し、子どもを持ち、奥さんに先立たれてから一人息子をどのように育てていったかを綴った物語。
時代背景が昭和40年台~60年台ということもあり、その年代の方は全く抵抗なく物語に入り込めます。懐かしいというより、今でも近くにそのような情景があるように気がします。また、広島弁で語られるいくので、どことなく素朴な感じを醸し出しています。
主人公のヤスさんの一人息子アキラは、がさつで乱暴な父親には全く似ておらず、誰にも優しく、しかも優等生。父親からすると、自慢の息子ですが、親一人子一人の家庭では様々な問題が起きます。
物語を読んで感じるのは、人の一生は短いということ。子どもと一緒に過ごせる時間はさらに短い。その中で自分が子どもに何を残せるのだろうか。特に父親は、接する時間は短いので、色々と考えてしまいました。
物語は、アキラが東京の大学にいき、結婚し、孫ができ、と、本当にどこにでもあるものです。重松さんの作品に使われている言葉は、どこにでもあるシンプルなものばかり。
でも心に響きます。
数ページに心に響く表現があるのですが、たぶん人によって共感するところは違うのではないでしょうか。その人の生い立ちや考え方によって、響き方が違うはずだと思いながら読んでいました。
ともあれ、「泣ける物語」の看板に偽りなし、というところです。
龍.
紙の本
「親」にはつとに染みる一作
2013/02/23 07:04
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
重松氏の作品で「家族愛」を描いた物というと、最初に浮かぶのは名作「流星ワゴン」なのだけれど。「流星ワゴン」がちょっとSFチックでいくつかの家族愛を描いた物なら、この「とんび」は一人の男が人生全てをかけて、息子を愛し抜いた物語。しかし「流星ワゴン」に勝るとも劣らない、というか傑作ぞろいの氏の作品の中にあってもピカイチと評したい。誰にでも染みる物語ではあるけれど、私のような子を持つ親、得に高校生の一人息子を持つ私などには少し染みすぎてしまう。それは少し「痛み」や「恐れ」にも似て、苛まれる人がいるかもしれないのでご注意。
主人公のヤスにはずっと家族がいなかった。だから妻が出来て子が出来た事に、本当に言葉にならない「幸せ」を感じる毎日だった。だけど事件は起きてしまう。3人だった家族は2人になってしまい、ヤスは息子のアキラに一つの秘密を抱えて育てて行くことになる。照れ屋で不器用なヤスは、いつもいつもうまく気持ちを伝えられない。思いとは裏腹な辛辣な言葉が飛び出してしまったり、時に手が出てしまったり。でもその底にある深い深い愛情は、アキラに十分伝わる。ヤスの幼なじみや地元の大人たちにも育てられ、アキラは「とんびが鷹を生んだ」と呼ばれる程優しくて賢い少年に成長していく。そしていよいよ巣立ちの日、別れの日がやってくる・・・。
今、学校と親と子供たちの間にいろんな問題が起きている。体罰問題、親の教育放棄、そして子供の不登校やいじめや引きこもり。子供たちの命にさえ関わる重大な問題。もしかしたら、そういう問題に対する答えの一つが、この「とんび」なんじゃないかと思う。辛辣な事を言おうが手を出そうが。そこに真っ直ぐな深い深い愛情があれば、子供には伝わる。正直、私にもその経験がある。その部分が、論点として今欠けているのではなかろうか。「お前の子供に対するその行動、そこには深い愛情はあるのか」と、それをこの作品は語りかけてくるように感じた。
最後に。本作品は物語はもちろん素晴らしいんだけど、最後の一行が本当に美しい。うまく息が出来なくなってしまった程。本当の傑作というのは、こういう一文の言葉や語調の切れ味や美しさが素晴らしいのだと思う。もう芸術の域をさえ感じる最後の一文を、ぜひお楽しみに読み進めてください。