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閉鎖病棟 改版 みんなのレビュー

文庫 第8回山本周五郎賞 受賞作品

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みんなのレビュー418件

みんなの評価3.8

評価内訳

412 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

閉鎖からの解放、この世界への飛翔。けれど私たちは飛んでいない。

2010/06/16 14:45

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

臭いものに蓋、という便利な言葉が日本には、ある。コレが比較的密閉されてきた歴史を持つ島国特有の知恵なのか、君子危きに近寄らず・・・という逃げ腰の民族性なのか、その辺りは論議するつもりは無いが、海の向こうの戦争も、地球の裏側で続く飢餓も、ブラウン管を通して(いや、今はネットか)見る映像に顔をしかめ、安全な此方側で、身内仲間、同意見の内々で好き勝手な口上を垂れるこの集団心理は、日本に限ったことではなく人間の「保身」と言う名の本能なのかもしれない。
異質なもの、制御できぬもの、理解不能なものを排除し隔離し、時には槍玉にすら挙げて逃げるspmp集団心理は社会という組織集団を維持していくために必要な措置ですらあるのだろう。
そうして出来上がる一方的絶対多数の声はやがて、世論や世間の常識という形の無い枠組みを作り出し法律や罰則と言う名で構築された隔離地を生み出す。名を変え場所を変え、行いが外れているものには牢獄を、心が壊れているものには病院と言う名の「閉鎖病棟」を、社会は彼らに与えたのだ。

閉鎖病棟には過去に凶悪な傷害事件などを起こした所謂精神病と診断される「病人」たちが「収容」されている。
開放病棟、準開放病棟、閉鎖病棟などランクはあるが、そこに住まう彼らの小さな世界と生活とが公正かつ冷静な目で描かれていく。十数人に満たないその「病人」たちと看護士たち、そして彼らの家族が登場人物の全てでありきわめて狭い舞台でありながら、その意味するところは深く広い。10年一昔と言うが、10年たった今でも多数読まれ続けているのは、その過去の小さな社会が、現在の私たちの生きるこの世界そのものとなんら変わることの無い社会を築いているからに他ならない。

親を殺したもの、子を殺めたもの、放火したもの・・・精神病という名の隔離でもって生かされていた彼らは個々の人間としての存在を忘れ去られ精神病患者という名でひとくくりされている。これは排除もしくは差別と言う社会の保身システムに伴う性質である。
それでも、人間は強い。人と出会い関わり生を交流させていき、人と人との間にたくさんの時間が流れることでそこには必ず社会が生まれる。暖かな、力強い、確かな歴史が、この「閉鎖病棟」のなかにはある。
かつてひとから命を奪い、全てを奪われ何も持たない彼らが、この隔離された小さな世界で出会い喜びも悲しみも分かち合い・・・やがて人を生かし、死んだものを弔い、よりたくさんの交流を求めるまでになる。
人は弱い、しかしその弱さの分だけ人のために強くもなる。

病院はついの棲家ではありません。わたりに疲れた鳥たちが羽根を休める杜でしかないのです。どんなに辛くとも、いずれ翔び発って自分の巣に帰って欲しいのです。

仲間の生を救うために、また一人殺してしまった秀丸が親友ともいえるチュウさんに宛てた手紙である。
そしてその裁判の中、チュウさんは大声で答えた。「秀丸さん、退院したよ」。彼の言葉が30年以上にわたる病院生活に終止符を打ったのだ。そして鳥たちはこの世界に羽ばたいていくのだろう。

彼らの羽ばたいたこの広い世界。何不自由なく何気なくそこに生きている私たちは、果たして「翔んで」いるのだろうか?
この広い空間をもてあまし、広い世界の中に小さな閉鎖空間を築いてはいないだろうか?
私はもしかしたらようやく、この私を取り巻く硬い殻を認識できたのかもしれない。

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紙の本

本当の正義とは?

2020/05/07 19:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:rin - この投稿者のレビュー一覧を見る

作品のタイトルにあるように物語の舞台が閉鎖病棟が舞台になっている作品である。苦しい経験をした人にとっては、重い作品かもしれない。閉鎖病棟に短期間ではあるが実際に入院したことがある。現実社会では物語に出てくる閉鎖病棟のように、患者自身のそれぞれの絆が結ばれてるか?と問われると、中々難しいものがある。“風変わりな人たち”に失笑した人も、最後は大事なことに気づくはずだ。登場人物の1人が、「事情を抱えてない人なんてこの世に存在しない」という言葉が私自身の心の中に強く残っている。この言葉は一生私自身の人生の中に強く刻まれるだろう。この物語をみんなに読んでほしい。新しい人生が始まる作品であるということには間違いない。

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紙の本

淡々とした展開の末、最後の20ページ位で一気に感動しました。

2018/12/25 23:08

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

淡々とした展開の末、最後の20ページ位で一気に感動しました。現役の精神科医でなければ書けない精神科病院の日常は、このように整然と描かれると特異な個性を持った人々のコミュニティとして違って見えて来る。不気味に見えていたものが微笑ましく見えて来るから不思議です。そしてその対極として、薬物中毒患者の重宗が徐々に暴虐の度を増してくるにつれて緊張感が増し、遂に起きるべくして事件は起こるのだが、その感動的な決着に「精神病患者」といった偏見的見方を問い直させる力強さを感じた。作品の大半は、淡々とした精神病院内の日常生活を描いた叙事詩的な内容だが、逆にそのフワフワ感の先の結末の強烈さに感動必至です。作者の温かい視点も嬉しい作品でした。流石、山本周五郎賞受賞作です。

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紙の本

在宅治療をめぐって

2023/02/02 10:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

帚木蓬生氏は精神科医である、だからこの作品に登場するチュウさん、秀丸、昭八、敬吾といった入院患者がたちの日常がリアルに描かれているんだと精神保健の仕事に携わった経験を持つ私には思える、措置入院、医療保護入院、任意入院について丁寧に説明してくれているのも嬉しい。チュウさんは、「患者はもう、どんな人間にもなれない、かつてはみんなは何かであったのだ、それが病院に入れられたとたん、患者という別次元の人間になってしまう。そこではもう以前の職業も人柄も好みも、一切合切が問われない、骸骨と同じだ」と途中、嘆く。しかし、何人かの入院患者たちは退院にむけて少しずつ前進していく、もちろんチュウさんも、精神科病院が病院が舞台というとサイコな内容を想像しがちだが、この作品には生きることに懸命な人間が描かれている

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紙の本

「ちょっと変」だと思われている人々が織りなす、感動ドキュメント

2002/08/27 15:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大空アゲハ - この投稿者のレビュー一覧を見る

■作品かいせつ

◎過去に暗い記憶を背負っている人々が暮らす、ある精神科病棟の物語。ここにいるほとんどの人は、まわりから疎まれ、一方的に「病気」だとレッテルを貼られてこの世界に入る。

◎看護婦達を叱ってばかりいる主任。人の心がわからない主治医。歌を詠むチュウさん。それを清書する秀丸さん。外来で通ってくる女子中学生の島崎さん。耳が聞こえない昭八ちゃん。昭八ちゃんの甥の敬吾くん。そこには、外と何ら変わらない個性のある人がいる。

◎ただひたすらひたむきに一日一日を淡々と生き抜く、まっすぐな患者達。「桜がきれい」だと、素直に感じる心をあらためて取り戻せる、そんな物語。


■かんそう

◎ただひたむきなのだ。こんなに純粋で、一生懸命な人たちを「病気」だと決めつけた人たちがほんとうに正常なのか。ひととはちょっと違うところがあって、不器用なためにうまく生きられない「病気」だと決めつけられた、彼らの方が正常で、一方的に決めつけた方が、じつは異常なのではないだろうか。

◎よくわからなくなる。物事を正しい、正しくない、だけで判断しようとする二元論的な見方だけでは「ほんとうのこと」は見えない。私にとっては、ほんとうのことでも、誰かにとってはうそなのかもしれない。「これが正解」などというものは実は世の中には存在しないのではないか。

◎先入観。固定観念。こうあるべきだ。こうあらねばならない。これが常識である。周りに合わせなければならない。

◎もっと、もっと、ひとりひとりが自分の幸せのために生きてよいのだとおもう。

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紙の本

言葉にならない…

2001/01/26 11:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:純子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 閉鎖病棟というのは精神病棟のことです。この精神病棟で、殺人事件が起きるのですが、この事件の裏には悲しい動機があるのです(これ以上は言えませんが)。患者を取り巻く家族、病院内の人間関係とか、精神科の先生だからこそ書けたのではと思えるリアルさです。ちょっとタイトルとテーマは重いかもしれませんが、素晴らしい内容なので、読まないと損するかもしれません。

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2004/11/01 18:01

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2004/11/22 19:44

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2004/11/27 22:19

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2005/10/16 00:03

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2005/12/13 02:05

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2005/12/26 13:22

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2008/01/19 22:26

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2006/03/14 16:24

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2006/02/26 08:44

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