紙の本
インドネシアの現在の発展の中に潜む矛盾を解き明かします
2017/07/26 09:13
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、東南アジアの大国、インドネシアの近年の経済発展とその陰でますます大きくなっている社会的な様々な矛盾を一つひとつ丁寧に解き明かしてくれる希少な書です。インドネシアという文化的・民族的多様性を抱えた国のかじ取りの難しさがいま、改めて感じられます。
紙の本
イスラーム大国の寛容
2017/10/10 08:19
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
国別でムスリム(イスラーム教徒)が最も多いのは、インドネシアである。インドネシアはイスラーム大国である。しかし、女性は自立心が高く、肌をそれほど隠すこともない。インドネシアには、仏教とやヒンズー教徒やキリスト教徒もいて、共存している。インドネシアのイスラームは寛容である。しかし、最近、その寛容が不寛容に変化しつつある。とくにスマトラ島西部ではその傾向がある。
インドネシアは、親日国でもある。どのようにインドネシアと付き合っていくかは、そのイスラームを知ることが重要だろう。
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インドネシアをイスラムの国として正しく理解していなかったと、思い知らされた。田中角栄時代の反日暴動は知ってはいたが、今、ビジネスだけを追求している事に対して、ハッとさせられた。福田ドクトリンの再考と実践が、結果、自らのインドネシアでのビジネスの成功にもなると思う。
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2016年9月発行で、いま一番新しいインドネシアを知ることができるのではないかと購入した。イスラム化と民主化・経済成長の関係性に着目した分析はたいへん勉強になった。
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日本には、あまりなじみの薄い国、インドネシア。
しかし、ASEAN加盟国の中で超大国でもあり、日本の外交・経済面では、とても深い関係にあることがわかる。
インドネシアの総人口もさることながら、当然イスラム教徒が多数を占める。
そのインドネシアにおけるイスラム教(徒)の歴史、また、政治に関わりなど、興味深かった。
現在の国際情勢と「寛容なイスラーム」の特徴を持つインドネシアのイスラムを知る。
本書は、インドネシアを理解するために重要で、かつ多くの視点から述べられている好著だと思う。
親日国であると同時に、 過去に、太平洋戦争時の日本の占領支配からインドネシア建国時にどんな経緯があったか、ということも知り、とても重要な一冊となった。
本書で取り上げられていた、他のインドネシアとイスラム教の関係の本も読みたくなった。(最後に、参考文献としてまとめて紹介されている)
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【216冊目】現代のインドネシアを知る上で極めて有用な書であったように思う。難点は、筆者が国際交流基金職員という立場で現地を観ていることから、学校教育や文化交流の網にかからない、いわゆる「下層部」に属するインドネシア社会や市民までフォロー出来ていないのではないかということ。インドネシアの国土は広大で、人口も2億人以上いることから垣間見ただけで全てを知ることができたとするのは早計である。
それでも、この書は有用である。パブリック・ディプロマシーの担い手である筆者は、その主張の通り、一部のエリート層よりも広い層と交流してきたのだろうし、文章も他の学問的研究や一次資料からの引用がなされていて、アカデミックな地域研究としても通用すると思う。
本書の要諦は、帯に書いてあるとおり、
・なぜ経済成長でイスラーム化が進む?
→ そもそも経済成長とイスラーム化は、相互背反的な現象ではない。現代インドネシア社会のイスラーム化は、グローバル化や情報化といった急速な社会の変化にさらされた同社会が自分たちのアイデンティティを模索した際、体系化されていない土着の文化やようやく安定し始めたばかりのネイションとしての統合よりも、イスラームに外来思想や文化への対抗軸とアイデンティティの拠り所を求めた結果である。
・アジアへと迫るテロといかに対峙するか?
→ インドネシアには、戦後の独立運動の流れを汲み、イスラームによる国家統合を目指す集団が長くテロ組織として君臨しており、個人名をあげた解説も本書に詳しい。しかし、近年見られる現象としてやはりIS(=Islamic State)が紹介されている。インドネシアは、国民の9割がムスリムである一方、民主政や経済成長が比較的安定して推移してきた国であり、この国から学ぶべきことはたくさんある。脱過激化プログラムなども、完全に成功しているとは言い難い面もあるが、deradicaliseした人間の肉声に学ぶことも有用だ。本書も明快な結論は出し切れていないが、「テロは既に現代社会の一部である」という正しい認識を筆者は持っている。
・日本はイスラームとどう向き合うか?
→ イスラームというよりは、インドネシアと、と書いた方が本書の内容を正確に表している。親日国として知られるインドネシアではあるが、1974年に田中角栄が訪問した際、ジャカルタでは「マラリ事件」と呼ばれる大規模な暴動が起きて11名もの死者を出している。であるから、油断してはならない、と筆者は警告する。歴史的には、インドネシア人の間でとても有名な前田精海軍武官(戦後、インドネシアの独立運動を手助けしたと言われている)がいて、現代においても、日本のポップカルチャーが浸透しつつあるが(matsuriという単語が普通に通じる)、日本人は日尼関係を従来の「教える」「教えられる」という垂直的関係ととらえるのをやめ、より対等な「助け合う」という関係としてとらえてほしいと筆者は願う。
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経済発展著しいインドネシアにおいて、なぜイスラム化が進んでいるのかを教えてくれる本。インドネシアを理解する上で有用