紙の本
醤油、味噌、お酢を発展させた日本人の末裔たる有難さに感謝!
2021/02/07 19:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人暮らしを始めて知ったどん、和食の基本的な味付け調味料の「さしすせそ」は、「砂糖」「塩」「酢」「醤油」「味噌」だと言っちょります。「せうゆ」(醤油)はこじ付けにしか聞こえんばい、「どぜう」と書いて「泥鰌」(どじょう)と読む習いですけん仕方ありまっしぇん。
年取ると食事の心掛けが喧しくなる一方だで、一々御尤もでがんすが、臍曲がりにはえろう辛いものが有っと。喰いたい物を喰いたい時に喰う方が精神的ストレスもなく、健全ではねぇかと。
血圧高めなら塩分控えめとか、コレステロールの悪玉菌を減らし善玉菌を増やすため緑黄色野菜が欠かせねぇとか、認知症を予防するにはDHA、EPAなどのオメガ3不飽和脂肪酸を豊富に含む魚肉中心の献立をとか、却って味気なく思えやす。
著者は醸造学、発酵学のど偉りゃー先生じゃから、日本人の食卓に欠かせぬ三大発酵調味料の醤油、味噌、お酢について歴史的、食文化的な起源や変遷をば語り、学問的見地から成分特性や科学的効能、和食に繋がる美味しさの秘密を教えてくれますぞな。
どれもが米飯に合う調味料じゃけん、野菜や魚介類、麺やキノコやイモなどの味付けばしよって旨味ば引き出し、おまけに食材を長期保存してくんなさる優れものやっと。漬け込むとあの怖えフグ毒さえも無毒化しよるとは、ほんに驚きの御利益でおます。
一日三食、平均寿命から導かれる生涯日数は約三万日やから、赤ん坊の頃はともかく、茶碗と箸を持って以来、ざっと数えて約九万回は食事を摂る計算になりまっしゃろ。その都度、純粋な洋食を除いて、醤油、味噌、お酢に何度お世話になるか判りまへん!
身体が醤油、味噌、お酢に馴染んどるさけえ、舌と脳が味を記憶しとって当然だがや。醤油を礼賛する文章を引用し、著者がご飯と醤油の味と香りを何よりもの御馳走と記すのも頷けますわい。味噌汁に酢の物が付いた食事風景が目に浮かびますもん。
最後の晩餐は、白飯、焼き魚、納豆か海苔、ワカメ酢か法蓮草のお浸し、梅干し、卵焼き、味噌汁、緑茶で締めとうございます。鮭も宜しおすが、銀ダラかぐじ(甘鯛)の白身を香ばしく焼いておくれやす。西京焼きなら「最強」どすぇ。
年寄りは最後の最期まで注文が多く、頑固で困るぐらいが丁度好い。その身が「発酵」食品で「発香」し、「発光」しながら「薄幸」の人生を終える…。Oh、洒落だね。
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日本の発酵食品の底力
2016/11/28 18:25
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
醤油や味噌などは、高血圧の敵、みたいな言われ方をすることがあったりしますが、知ってみれば、私たちの生活に密接に関連していて、味方になる食品であることが、本書を読めばよくわかります。よく知ることによって、付き合い方がわかるんですよね。
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料理の素材を引き立て、味付けの決め手となる調味料。古くから用いられてきた発酵調味料の醤油・味噌・酢は、日本の食卓に欠かせないばかりか、海外での需要も年々高まっている。本書は、発酵学の第一人者がこれら三大調味料の製造工程や成分をわかりやすく解説。我が国の食文化に根ざした歴史や魅力を述べる。さらには、近年の科学的知見をふまえ、血圧上昇や肥満の抑制、発ガン予防などの驚くべき効能も紹介する。
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自称「味覚人飛行物体」にして「発酵仮面」こと小泉武夫教授の新著ということで読んでみました。
醤油、味噌、酢に関する蘊蓄の数々、楽しかったですが、味噌については愛知県岡崎市などが今でも産地として有名な八丁味噌、豆味噌はおそらく高麗人によって製法がもたらされたとのことで、韓国のテンジャンとも製法が近いとのこと。改めて八丁味噌を味わってみたくなりました。
醤油については、小泉教授協力お勧めの「納豆と刻み昆布とニンニクのぶつ切りを醤油の中に入れて寝かせた特製の納豆醤油はぜひ試してみたいところ…
酢については、、、脂質代謝にやや異常のある私としては、改めて1日30mlずつ「飲んで」みなくては、、、近日中に「飲む黒酢」か何かの入手を図ります。(苦笑)
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日本の三大発酵調味料である、醤油、味噌、酢について、歴史的経緯、地理的特異性、科学的特性などを説いた一冊。日本文化史との関わりや風土との絡みなど、深い知見に満ちていてとても面白かった。各地の発酵調味料を使ってみたくなった。
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「醤油・味噌・酢はすごい」ことを書いているのではあるが、つくづく小泉武夫はすごいと思う。専門の学者とは言え、日本の三代発酵調味料たるこの3つについては、その歴史・製法・成分・効能・調理法まで凡そこのコンパクトな新書にギュウギュウに詰め込んで出し惜しみすることがない。
下手にネットサーフィンするよりも、この一書を読めば様々な調べ物は用を足すのではないか?とは言え流石に、発酵調味料が「腸に良い」という視点は、この学者には殆どなかった。医者でないので、 最新の病理学は得意ではないのだろう。あと現代風レシピもない。でも、「発酵調味料のおかげで、日本食はこんなにも美味い」ということは大いに主張している。日本全国、世界の発酵調味料は味わい尽くした御方ではある。
私の関心は腸活に関すること、古代の知識に関することなので、そこに限定して参考になった部分を以下にメモする。
〈醤油〉
・塩の土器製塩法(縄文後期〜)は茨城県霞ヶ浦に初現、以後松島、津軽、やがて弥生時代に児島、そして瀬戸内海全体へ、古墳時代に愛知や天草へ。
・醤油は6世紀初頭中国の豆醤(トウジャン)の上澄液の記録が有り。我が国へは仏教伝来(538)共に伝わったと言われているが、弥生時代に肉魚野菜を塩に漬け込んだ「比之保(ひしお)」があり、その保存液を捨てるはずがない(←私もそう思う)。「醤」に「ひしお」を当てたのは、似ているので、一緒にしてしまったのだろう。大豆も縄文時代からあることが、確かめられている。
・醤油1リットルに納豆5包、昆布、ニンニクを混ぜた「納豆醤油」を、小泉武夫は万能調味料として作ってきたという。粘り気のある調味料。気持ち悪いかもしれないが、私は試してみたい。
〈味噌〉
・養老律令(718)によると、調味料は「醢(肉の塩辛)、醤、鼓、未醤、酢、酒、塩」だったという。このうち、鼓は大徳寺納豆に近いもの、未醤が味噌である可能性が高くなった。味噌という漢字は「日本三代実録(901)」に初めて現れる。
・味噌の保健効果は多い。「大豆アレルギーが起きない」「血中のコレステロールを下げる不飽和脂肪酸が多い」「メラニン色素の合成を防ぐ遊離脂肪酸」「動脈硬化を防ぐレチシン」「大腸癌を防ぐ食物繊維」「ビフィズス菌を増やすオリゴ糖」「抗酸化と食品保存効果のビタミンE」「血圧上昇抑制放射線防御効果」「抗腫瘍性と抗変異原性」
〈酢〉
・酢の歴史は酒の歴史と同じ。ブドウ糖から酒が作られて、酒のエチルアルコールから酢酸菌が作用して酢酸ができる。
・奈良時代では既に酢を作るために最初から醸している。
・万葉集巻16に「醤酢に蒜つきかてて鯛願ふ吾にな見せそ水葱のあつもの」→「野蒜を刻んで加えた醤油と酢で鯛を食いたいと思っていたのに、水葵の煮物とは勘弁してくれよ」とある。←かなりのグルメだ!
・食酢の殺菌作用。o-157の様な薬剤に耐性を持つ細菌でも約150分で死滅。
・減塩効果並びに肉魚野菜からカルシウム、マグネシウム、カリウム、リンなどを溶出する力等々がある。
・熟鮓(なれずし)の知恵。保存性、魚臭の���滅、ビタミンの生成、整腸作用。
・酢の保健効果。コレステロール値の低下。糖尿病の予防効果。高血圧症予防効果。肥満の防止(脂肪面積の減少)。骨粗鬆症の予防。疲労の回復。
・食酢の有効摂取量は1日15-30ミリリットル。
←発酵食品博士の小泉武夫さん。現在77歳。これは4年前の書ではあるが、そろそろ身体をご自愛してもらって、無茶な食べ歩きはせずに、発酵食品で健康長寿ができると証明してもらいたいものだ。
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タイトルそのままで、醤油、味噌、酢について知れる本。
単なる調味料としてしか思ってなかったが、どうやって作られるのか、歴史的にいつごろからあったのか、体にどういいのか、などいろいろと勉強になることが多かった。
味噌汁などで味噌を日常的に取るようにするとお通じなど体調がよくなるのは自分でも体感していたけど、昔の人々も経験的にそれを知っていて、戦国時代などはタンパク源としても味噌を重用していたと知ってすこし驚いた。現代ではそのすごさが科学的にも解明、裏付けされている。
体に良い、疲れも取れる、ということで、味噌、酢をもっと取るようにしようと思った。