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食のエッセイ。
文章から、食べる喜び、幸せが溢れてくる。鯨めし、そんなに美味しいの??鯨雑炊、どんだけ美味しいの???あじフライにはタルタルソースとレモンだなぁ~とか、お腹が減ってたまりません。いつも何気なく食べてる食材たちに改めて感謝したくなる、良本です。
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食に関するエッセイの多い筆者。食欲は常人以上だが品のある語り口が心地よい。
週刊文春の連載エッセイ。一話一話が短いのでスキマ時間に読むのに最適。筆者の品のある語り口と擬音が何とも心地よい。本当に食を大切にしていることがうかがえる。最近お気に入りの作家の一人。
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平松洋子の食べ物読み物に間違いはないけれど、この確固さたるや。
解説にあるが「食うという行為は、味うんぬん以前に、楽しい行為なのだということを知る。つまらなさそうに食べたら、すべてが台無し、楽しく食うことが一番なのだ」とあるが、それに尽きる。
どんな些細な料理や材料にもストーリーがある。それを丁寧に掬い上げてこの本は出来ている。簡単そうでなかなか奥が深い。だって通常はそんな些細なこと、人は記憶していないから。
丁寧に向き合う。生けるものを食すからにはそれが礼儀。なんてムズカシイことを言っているわけではない。それが自然なのだ、彼女にとっては。
そのお裾分けを少々いただく我らは襟を正して食事(食材)に向き合おう。楽しく食べよう。
B級ならぬC級グルメあたりのレシピが簡単に載っている。
豚白菜をやってみた。美味。
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ドラマ『孤独のグルメ』で
ゴローさんも美味しそうに食べてたなぁ、あじフライ。
平松さんが食べたお店(東京交通会館のキッチン大正軒)
他の揚げものも全部美味しそう!
前巻の続き?で「海苔弁アンケート」なんてのも。
私なら「すきな海苔弁のおかず」は
ちくわの磯辺揚げと回答するね。
他にも、これまた前回の
「なすは肉でした」発言に匹敵する「鶏肉は魚でした」
新幹線で持ち寄りランチを開く「おばちゃんの実力」
手作り感が満載の「いちじく祭り」
「わたしの柚子仕事」など
仕事帰りに読むには空腹感を倍増させる
楽しい1冊でした。
…本文とは関係ないけど、挿絵を書いてくれてる人が
谷口ジローさんに続き
安西水丸さんまで亡くなってしまわれ。
次はどなたが描かれるのかドキドキ。
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一編2.3ページ、スイスイ読める連載集。有楽町という文字には、"楽"しいが"有"り。近隣のおいしいお店が参考になるし、お家での料理にも手が出る。煮物は温度が下がる時に味が入る。全国各地でも平松さんの食い意地エピソードが面白い。血眼になりながら旬の食材を追いかける様子がありありと浮かぶので、クスリと笑いながらも触発される始末。まずはあのお店に行ってみよう。
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(抜粋)
安心するのです。胸もとをはだけた三角座布団。ぴんっと突き出た尻尾も、お約束。いつの時代も底値安定価格。冷めたら冷めたで、身がきゅっと締まっておつな味。予想を裏切ることのない、揚げ物界のご隠居さん風情がすてきだ。定食屋でも居酒屋でも、「あじフライ」の五文字を確認すると、品書きに安泰感が漂いますね。ほっとする。
(「あじフライ」を有楽町で)
分かる!分かる!分かるぅ!
あじフライって何で時々食べたくなるんだろう?もっとも私は自分で作るには「めんどくさ」さのほうが優って、スーパーのお惣菜で冷めたあじフライのお世話になっている程度で、母にあまり作ってもらった記憶もなく、定食屋や居酒屋で食べたことも実はあまりない。なのにどうして平松さんの文章を読んだら「家庭的な味」としての私の記憶が甦ったのかと考えてみたら、多分、小学校での学校給食で時々出されたのではなかったかと思う。
そんな「あじフライ」の魅力を痛いほど分かっている店として紹介されているのが、有楽町の東京交通会館の定食屋「キッチン大正軒」。交通会館が出来て以来半世紀、ビル地下にある小さな店で、スコッチエッグもハムカツもある、平松さんも「ツボをぎゅっと押さえつけられている」お店だそうだ。そして例えば、「ミックスA定食(メンチ、あじ、エビ)950円」「ミックスB定食(豚生姜焼き、あじ、エビ)」のようにどの定食でも「あじフライ」が基本になっているのだそうだ。
キャノーラ油で揚げたさくさくの味!堂々とした体躯でふっくら、座布団然として食べごたえ十分、ソースがまだらに浸みこんだ下世話なおいしさ!イヤ〜ン!そんなに誘惑しないで♡
行ったこともない東京有楽町、大正軒の「あじフライ」はきっと私には何故か“運命の人“のように懐かしく味わい深いに違いないと思う。
さらに、平松さんはイケナイ、悪魔的な“あじフライ“の食べ方を書いてくれる。
(抜粋)
全部食べたあと、落下した衣のツブツブが皿のあちこちに散乱している。これをですね、箸でかき集め、ある程度溜まったら残りの千切りキャベツを移動、丁寧に混ぜ合わせる。もちろん、せん切りキャベツはこのためにとっておいた大事なお宝で、すでにうっすらソースにまみれているところがポイントだ。
週刊文春に掲載された食に関する平松さんのエッセイを集めた本書。
そのほか、特に私がそそられた作品を一部紹介。
『砂糖じゃりじゃり』
パインミーと呼ばれるベトナムの“バケット“を炭火で焙ったのに、砂糖をじゃりじゃり押し付けて、食べる。ベトナムコーヒーによく合うらしい。
『八十三歳の意地』
茨城県常陸太田市の83歳の中嶋利さんが全国でただ一人作られる“凍みこんにゃく“。厳寒の二月、田んぼ一面に二万五千枚の薄切りこんにゃくを地面に敷き詰めた藁の上に手で並べ、凍らせ、自然解凍を繰り返して五日目に裏返すという作業を繰り返し、三週間ほどかけて作る。五十年もつといわれる究極の保存食。食べてみたい!
『とうがらしめし!』
ゴールデンウィークの新宿御苑で売り出された“新宿内藤とうがらしめし“。とうがらし汁で炊いた茶飯はほのかな辛みが染みて滋味深く、あとを引く味だそうだ。そこに甘酢漬けの実、葉とうがらし伽羅煮がのせてあるそうだ。そそられる大人の味!
『夏の塩豆腐』
平松さんの自慢の料理“塩豆腐“。絹ごし豆腐に塩をパラパラ振って、優しく表面をなで、布巾で包んでから豆腐パックに戻し、重しをのせ、冷蔵庫で一晩置くだけ。絹ごし豆腐がむっちり、ねっとり、モツァレラチーズのようになるそうだ。
どの作品にも“愛“がある。“美味しい“って高級だとか、ミュシュラン星幾つとかだけで決められないんだな。その食材や料理を作った人の思いとか、その料理を食べたときの思い出とか、そんな“体温“と料理が合わさるとたとえ失敗した料理でもおいしい、おいしい思い出として残るのだろう。平松さんの本を片手に味巡りをして自分なりの地図を作ってみたい。